【試合後会見】森保一監督、約1年ぶりの試合でゴールレスドローも評価「連携不足の部分でも画は合っていた」

2020.10.10 00:35 Sat
©︎JFA
9日、国際親善試合の日本代表vsカメルーン代表がオランダ・ユトレヒトで行われ、0-0の引き分けに終わった。

約1年ぶりの実戦となった日本代表。カメルーン代表も同様に昨年11月以来の試合となったなか、前半は[4-2-3-1]のシステムで積極的にボールを奪いにいくが、カメルーンにかわされリズムを掴めなかった。
後半に入り[3-4-2-1]にシステムを変更。幅を使った攻撃からチャンスを作る場面もあったが、最後までゴールを奪えず。ラストプレーではMF久保建英がボックス右からのFKを直接狙ったが、GKのファインセーブに阻まれてゴールレスドローに終わった。

試合後、日本代表の森保一監督が記者会見に出席。試合を振り返るとともに、改めてこの活動を準備してくれた関係者や医療従事者、ソーシャルワーカーへ感謝の気持ちを述べた。

◆森保一監督(日本代表)
「まずはカメルーン戦、ここオランダで強化試合をさせていただくにあたって、多くの方に尽力していただいて、試合をするのは簡単ではなかったと思いますが、環境を作りをしてくださった全ての方に感謝したいと思います。ありがとうございました」

「コロナ禍にあり、一度は日常生活もままならない、機能がストップするような世の中になったなか、医療従事者の方々が命をかけてコロナウイルスと戦ってくださり、社会の機能を守るために、我々の暮らしを守るために身を粉にして頑張ってくださったソーシャルワーカーの方のおかげで、我々がコロナ終息ではないですがサッカーができる、日常が少しずつ戻ってきているということに、世の中を作っていただいて感謝し、敬意を評したいと思います」

「この試合ですが、日本代表は約1年ぶりの試合ということで、対戦相手のカメルーンも強い中、手探りの状況も多かったと思いますが、選手たちが勝って日本に励ましのエールを送る、勝利を届けるという気持ちを持って最後まで戦ってくれたと思います」

「試合途中は連携的に上手く行かなかったり、カメルーンが力のあるチームで受け身になることもありましたが、そこを粘り強く辛抱しながら、徐々に自分たちのペースに持っていって、前半よりも後半、時間を追うごとに我々の戦いができたと思います」

「勝利を目指して戦った中、引き分けという結果が出ましたが、次の試合に勝てるように、この引き分けということを勝利という結果に変えられるように、準備期間ベストを尽くしたいと思います」


─連携不足になることは想定できていたと思うが、前半はどう評価するか。また後半のシステム変更について

「今日戦う上で、連携不足のところで上手くいかなくなるということはある程度有り得るかなと準備していましたし、選手たちにも話していました」

「その中で、まずは守備で無失点に抑えることができたということは、守備の部分ではもっと上手く守れる部分はあったと思いますが、無失点で抑えたということは選手が粘り強く守ってくれたと思います」

「攻撃の部分では決定的な場面を作ることができたのは後半特にできたと思いますが、まだまだ相手を崩す時の画が合わないために、最後フィニッシュまでいけないというところはありましたので、今後もさらに精度を上げていかなければいけないと思います」

「連携不足の部分でも画は合っていると思いましたし、実際にプレーで表現できるようにというのは、次の試合に向けてやっていきたいと思います」

「4バックから後半3バックに変えた部分では、準備の段階で昨日の練習では4バックも3バックでも試して練習しました。いつ使うかは、試合の状況を見て使っていくという部分では、3バックを試すということをやらないという選択肢もありましたが、試合の流れを見て、昨日選手たちも4バックも3バックも試すということ、戦術的に厚みをもたらすということで積極的にやってくれたので、後半トライしました」

──ボールを奪った後に上手くいかなかったと思うが、連携面が問題か。また改善点は見つかっているか

「守から攻に切り替わった時のプレーのクオリティは、より上げていかなければいけないのかなというのは、今日の試合でも出ていたと思います」

「今日の試合を想定した時に、ボールを奪った瞬間に相手がプレッシャーを激しくかけてくることはスカウティングでも予想していましたし、トレーニングの中でも意識的に選手たちにプレッシャーを回避してもらえるように、素早く相手のゴールに向かっていけるようにとは選手がやってくれたと思います。ただ、全体の繋がりの部分ではもっとやっていかなければいけないかなと思います」

「その画はあったと思いますが、実際のクオリティという部分でさらに上げていかなければいけないと思います」

──中山雄太を先発で起用した意図。デビューとなった菅原由勢も途中出場して世代も融合させられたと思う。狙いと手応えは

「狙いという部分では、今日先発を決める中で、もう1人ボランチができる遠藤航がいますが、遠藤が今日の試合でプレーできないという部分で、トレーニングの中からどういうメンバーでこのカメルーン戦を戦っていくかを考えました」

「ボランチの部分で、中山はズヴォレでボランチで試合に出ていますし、そういった部分でも起用を考えました」

「コパ・アメリカ以来のボランチでの日本代表の試合だったと思います。コパ・アメリカでは彼だけでの責任ではないですが、チリ戦で完敗した後、試合に出られないことになった経験は彼も覚えていると思います。1年経って彼がどれだけ成長したかを見たかったので起用しました」

「前回の思いは強かったと思いますし、ボランチで勝負したいという思いも強いと思います。持っている力は全て出してくれたと思います」

「菅原も起用しましたが、左サイドのウイングバックということで起用しました」

「彼自身、今AZで練習の中で左サイドのポジションをやっているということで話を聞いていました。この0-0の状況の中、試合を落とさないため、さらにそこから勝つためにという緊張感ある中でプレーしてもらえたことは、彼の成長に繋がっていければと思っています」

「彼自身は去年からそうですし、今年のAZでのシーズンを送る中で、試合出場の時間、機会共にそれほど多くないです。代表としてプレーするという部分では、他にまだ結果を出している選手がいる中で、こうやってプレーできたという部分、今回の招集条件等々もあって代表としてプレーできることは、彼が持っているラッキーな部分もあります。そこを生かしてもらって、今後の成長につなげてほしいです」

「今後日本代表として、東京オリンピックに向けても、もっともっと成長してもらって、戦力として計算のできる選手になってしてもらいたいので、今日の経験をいかしてもらいたいと思います」

──3バックにして後半にやりたかったこと。また、伊東純也に期待したこと

「まずは攻撃の部分では、ウィングバックの選手がワイドなポジションを取ることによって、4バックの相手に対してより難しく守備の対応をさせる、我々がサイドのスペースを持って突破できると考えました。かつ、ワイドなポジションに選手がいることで1トップ2シャドーの選手が、中でボールを持って起点となって、攻撃を仕掛けられると考えて3バックで戦いました」

「ワイドなポジションから相手を崩すというところでは、(伊東)純也が持っている攻撃力をいかしてもらえればと思っていた。最後の突破してチャンスメイクという部分では、狙い通りの形になっていた。ただ、得点には至らなかったので、もっとチャンスを作れる部分もあったので、優位性は選手として感覚として持ってもらいながら、さらにクオリティを上げてもらいたい」

「守備の部分では3バックにして、相手の右サイドの2番(ファイ)と左サイドバックの6番(オヨンゴ)の選手が前半かなり高い位置をとって、我々が守備の対応するのが難しくなっていた。3バックにして役割をはっきりさせることで、相手の攻撃をある程度うまく止めらえるようになったと思います」

「選手たちもこの短い準備期間の中で4バックも3バックも1年ぶりでやるというのは、そんなに簡単なことではないと思いましたが、練習から自分たちがレベルアップするためチームの戦術の幅を広げるために、ポジティブに選手たちはトライしてくれて、試合の中でもいろいろなことを擦り合わせてやってくれたと思う」

──守備の時の選手たちの気持ちが入っていた。攻撃で苦戦した部分もあるが、1対1の部分はどうだったか

「カメルーン代表の選手も1対1の部分では非常に身体能力高く、体の強さを持っている選手ばかりでした。試合の入りから我々日本代表の選手たちが、試合に勝つためにアグレッシブに、勇敢に相手との戦いを挑んでいくという部分で、積極的に入ってくれたと思います」

「試合の途中ももちろん局面の部分で勝つこともあれば、相手に上回られる部分もありましたけど、アグレッシブに自分たちが戦いを挑んでいく部分、選手たちが勇気を持って戦ってくれましたし、少し相手に優位になったかなという場面でも粘り強く相手に食らいついていくしつこさも出してくれました」

「そこがチームが戦う意思統一ができて、今日の試合で無失点に抑えることができたかなと思います。そのベースがあって徐々に攻撃も良くなっていったと思うので、選手たちには続けて欲しいと思います」

「選手たちが球際のところで勇気を持って勇敢に戦う、アグレッシブに積極的な姿勢を持って戦うということと、相手に対して粘り強く対応していくという部分は、もちろん我々が勝つために選手たちが表現してくれたことがあります」

「今日我々の試合を見てくださった方々に、コロナ禍や自然災害等々で大変な思いをされている方が多い中で、自分たちが戦う姿勢を見せることと、粘り強く最後まで戦い抜くということを感じてもらい、なかなか終息しない新型コロナの問題の中でも復興までは遠い道のりである自然災害の中でも、試合を通して我慢強く戦おうというメッセージを伝えようと選手たちに話し、それを表現してくれたと思います」
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