悩めるストライカー、モラタ 4年ぶりのユベントス復帰は輝きを取り戻すこれ以上ないチャンス

2020.09.24 22:57 Thu
Getty Images
アトレティコ・マドリーから、ユベントスへの買い取りオプション付きの移籍が発表されたスペイン代表FWアルバロ・モラタ(27)。2016年以来、4年ぶりとなるユベントス復帰となった。モラタにとって、これが2014年夏のレアル・マドリーからユベントスへの移籍から数えて直近6シーズンで5度目の移籍となった。このところ移籍したどのチームでも完全には信頼を得られず、自身も実力を完全に発揮させせられたとは言えなかったモラタだが、この流れを断ち切るには、過去に一番輝いていたユベントスの復帰こそが最適なチームなのではないだろうか。
◆モラタがユベントスで見せた輝き

レアル・マドリーの下部組織で育ったモラタは、同クラブで将来を嘱望されながらも、2014年夏、レギュラーとしての出場機会を求めてユベントスにマドリーの買い戻しオプション付きで加入。すぐに主力に定着すると、キャリアの中でも一番の輝きを見せていた。

ユベントスでの初シーズンとなった2014-15シーズン、当時のマッシミリアーノ・アッレグリ監督の下で、モラタは公式戦46試合に出場。15ゴール7アシストを記録して、ユベントスのセリエA制覇とコッパ・イタリア優勝の2冠に貢献し、チャンピオンズリーグ(CL)でも決勝のバルセロナ戦で得点を決めるなど、3冠まであと一歩のところまでチームを導いた。

続く2015-16シーズンも公式戦47試合に出場し12ゴール11アシストをマーク。セリエA制覇に加え、コッパ・イタリアでのミランとの決勝でも、延長後半に決勝点を決めるなど、タイトル獲得へつながる重要な場面で活躍をしてみせた。
モラタのキャリアの中でも、指揮官からここまでの信頼を得て、自らも活躍し、タイトルの獲得に貢献できていた時期はないだろう。

ユーロ2016でも輝きを放っていたモラタは、レアル・マドリーの買い戻しオプションの行使に伴い、マドリー復帰を余儀なくされる。育ちのクラブへと舞い戻ったモラタは、買い戻し後に他クラブへと放出されるという噂もあった中、残留して開幕を迎える。

2016-17シーズンにはシーズン20ゴールとキャリアハイの数字を残しているものの、FWクリスティアーノ・ロナウド、FWカリム・ベンゼマの控えとしてのポジションは変わらず。公式戦42試合に出場しながらも、フル出場した試合はわずか6試合に留まった。

マドリーへの復帰について後のイタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』でのインタビュー中でも「契約上の合意を尊重しなければならず、本当に落胆した。全てが振り出しに戻った」、「イタリアを絶対に離れるべきではなかった」とモラタは明かしている。

その後、2017年に移籍したチェルシーでは、開幕6試合で6ゴールを決めるなど、スタートダッシュに成功。しかしチームが調子を落とすと、自身も背中のケガにも苦しみ、モラタのパフォーマンスは落ちていった。

高額な移籍金も相まって、ファンからチームの不調のスケープゴートにされてしまったモラタは、チェルシーでの時間について「自分への自信を失ってしまった」、「イングランドのファンの僕に対する意見はとてもがっかりしている。僕は全てにおいて板挟みにされてしまった」と語っており、成功とは言い難かった。

そして、2019年1月に加入したアトレティコ・マドリーでは、16ゴール4アシストを記録して、2019-20シーズンのチーム得点王となりながらも、後半戦にかけてはFWジエゴ・コスタにレギュラーの座を譲ることに。ディエゴ・シメオネ監督からの信頼を完全に掴むことはできなかった。また、モラタの妻であるアリス・カンペッロさんが母国であるイタリアでの生活を強く望んでいることも今回のユベントス移籍の一因となったようだ。

不運や環境の問題があったものの、ユベントスを離れて以来、本来の力を出し切れずにいるモラタ。しかし、ユベントスに復帰したことで、環境面に関してはポジティブな要素が多い。

獲得に失敗したウルグアイ代表FWルイス・スアレスの“プランB”とはいえ、現役時代にチームメイトとしてもプレーしたアンドレア・ピルロ新監督は、モラタの実力を買って獲得に乗り出しているはずであり、既に一定の信頼を得ていると言っても過言ではない。さらに、在籍した2シーズンでの活躍を知るユベントスサポーターは、モラタを温かく迎え入れてくれるだろう。

監督の信頼、そしてファンからの愛情。最後に必要なのは、モラタ自身が結果を出すことだ。キャリアの中でも最も輝いていたユベントスへの復帰は、モラタにとって、これ以上ない再ブレイクのチャンスとなるはずだ。
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