いい目が出たのは1チームだけだった…/原ゆみこのマドリッド

2020.02.25 18:25 Tue
twitterfacebookhatenalinegplus
photo
「こうまで明暗が逆転するとは!」そんな風に私がサッカーの移ろいやすさに感慨を覚えていたのは月曜日、マルカ(スポーツ紙)に昨季全てのタイトルへの道が途絶え、ソラリ監督体制が崩壊したレアル・マドリー暗黒の1週間と現在の状況を比べる記事があったのを見つけた時のことでした。いやあ、その悲劇とは2月27日のコパ・デル・レイ準決勝2ndレグにサンティアゴ・ベルナベウでバルサに0-3で敗退し、3月2日には同じ舞台でリーガのクラシコに0-1で負け、翌週の5日にはCL16強対決アヤックス2ndレグで1-4とショッキングな逆転敗退をしたというものだったんですけどね。

とはいえ、今季はまず、コパには準々決勝でレアル・ソシエダに負けているため、準決勝そのものがありませんし、CL16強対決マンチェスター・シティ戦1stレグは今週水曜に開催。リーガもバルサに大差をつけられていたのと違い、「Hace una semana estábamos tres arriba y ahora dos abajo no te puedes dormir/アセ・ウナ・セマーナ・エスタバモス・トレス・アリーバ・イ・アオラ・ドス・アバホ・ノー・テ・プエデス・ドルミル(1週間前には勝ち点3上にいたのに今は2ポイント下。眠ることはできないよ)」とカルバハルも嘆いていた通り、先週末に首位陥落はしたものの、まだまだ大袈裟に騒ぐ程のもんじゃないと思いますが、ほんの2試合、白星がないだけでこの世の終わりのように言われてしまうのがビッブクラブの宿命。

逆に2月頭のマドリーダービーに1-0で負け、一時はマドリーと勝ち点差13がついたアトレティコは、お隣さんが今季はdoblete(ドブレテ/2冠優勝のこと)だと浮かれる中、弟分であるヘタフェにも先を越され、マストであるCL出場圏を入ったり出たりしていたんですが、先週、リバプール戦1stレグに1-0の僅差ながら、勝つことができたのが運気をアップさせたよう。いえ、首位バルサとの差は勝ち点12と、リーガ優勝戦線との距離は大して縮まった訳ではないんですけどね。とりわけ今週はCLがなく、高みの見物となるだけに選手たちも気分良く過ごせることかと。

ちなみにアトレティコ以外のマドリッド勢にとって、先週末の結果は芳しいものではなかったんですが、順番にお話していくことにすると、土曜のお昼にセルタとの残留争い直接対決に挑んだレガネスは後半19分、FKからイアゴ・アスパスが流し込んだゴールで1-0と負けてしまうことに。それも前半20分にはブラダリッチがレッドカードで退場し、そこからずっと相手が10人だったにも関わらず、エン・ネシリ(1月にセビージャに移籍)もバライトワイテ(先週木曜にバルサに移籍)も契約破棄金額で引き抜かれた攻撃陣はまったくゴールを挙げられず。

おまけにその後、カンプ・ノウであったエイバル戦ではそのブライトワイテが早速デビュー。メッシが4点目を決めるアシストをした上、自身の弾かれたシュートがアルトゥールの5点目を呼び込んだなどと聞くと、レガネスファンのやるせない気分を想像して、私もこの世の沙汰は金次第の現実に鬱々となってしまうんですが、まだリーガは13試合ありますからね。セーフラインにいる17位のセルタとの差も勝ち点差5となってしまったものの、とりあえずブタルケのサポーターの応援を受けられる土曜のアラベス戦から、立て直しを図ってほしいものです。

そして夜は近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でレバンテvsマドリー戦を見たんですが、ジダン監督のチームも前半はGKアイトール・フェルナンデスのナイスセーブに遭って、得点することができず。それでも彼らはレガネスと違い、ゴール力のある選手はいるため、後半の奮起を期待していたんですが、まさか20分には昨年11月のCLグループリーグPSG戦で右足首の骨にヒビが入るケガをして、ようやく回復。出場2試合目となるアザールが再び同じところを痛めてしまう不運に見舞われるとは!うーん、彼もバルデベバス(バラハス空港の近く)でのチーム練習に加わるようになってから、マスコミが次の試合こそ、次こそはと復帰を毎回予想しながら、なかなか戻らず、かなり用心深く完治まで時間をかけたんですけどね。

今度は手術になるかもしれないそうで、だとすると今季は絶望。ただ、6月のユーロ参加も危うくなるとまでは、後半33分、ブクチェビッチが自陣から放ったロングパスを追いかけ、角度のないところから「La pegué con el alma/ラ・ペゲ・コン・エル・アルマ(魂を込めて蹴った)」というレバンテのキャプテン、モラレスが撃ったシュートに対応できなかったベルギー代表の同僚、GKクルトワも予想していなかったと思いますけどね。でもまさか、お隣さんじゃあるまいし、たったの1点が返せず、マドリーが1-0で負けてしまうとはこれ如何に。

もちろん、カンパーニャとトーニョが自陣エリア内で腕にボールを当てたプレーがペナルティと見なされなかったことなどもあり、セルヒオ・ラモスが「De este árbitro no me sorprende nada/デ・エステ・アルビトロ・ノー・メ・ソルプレンデ・ナーダ(あの審判に驚かされることは何もないよ)。ボクなんか、開始10分でイエローカードを出されたんだよ。その前にはこっちがcodazo(コダソ/肘打ち)を受けていたっていうのにね。きっと事前に考えていたジャッジだったんだ」とエルナンデス・エルナンデス主審への不満をぶちまけていたりもしたんですけどね。

大体、1点を取られた時点ですでにジダン監督はビニシウスとルーカス・バスケスを投入しており、ベイルとヨビッチはウィルス性急性胃腸炎が治ったばかりだったせいか、マドリッドでお留守番。こちらも招集リスト落ちしたロドリゴなど、翌日曜のRMカスティージャ(2部B)のサンセ戦の応援に行かされ、先週入団したブラジル人アタッカー、同じ18才のヘイニエルのデビューを支えてあげたのはいいものの、まさか2点目のゴールを決めた後、相手GKに難癖をつけられ、「Se ha asustado y en ese afán de celebrarlo el colegiado ha interpretado que era amarilla/セ・ア・アススタードー・イ・エン・エセ・アファン・デ・セレブラールロ・エル・コレヒアドー・ア・インテルプレタードー・ケ・エラ・アマリージャ(怯えちゃって、ゴールを熱狂的に祝ったものだから、審判にイエローカードを出された)」(ラウール監督)って、もう意味不明じゃない(https://bit.ly/2wE1TMJ)?

要はレバテン戦終盤のマドリーベンチにはアタッカーがおらず、最後の交代枠で入ったのがバルベルデだったのも何なんですが、ロドリゴがツイてなかったのは、それが2枚目のイエローカードで退場となってしまったため、今週末のトップチームの試合、バルサとのクラシコにも出られなくなってしまったから。ええ、恐れるべしは再度のスキャンダル発覚でpito(ピト/ブーイング)を浴びていた経営陣から、エイバル戦の4ゴールで瞬く間にカンプ・ノウのファンにバルサの主役は自分だということを知らしめたメッシで、いえまだ、コロナウィルス禍で厳戒態勢となったイタリアで行われる火曜のCLナポリ戦1stレグで、彼らがどうなるかも見ないといけませんけどね。

アザール不在はもう慣れているため、それ程、影響はないとはいえ、前節のセルタ戦でも2点しか取れず、引き分けてしまったマドリーとなると、ここでメッシに爆発されたら、とても撃ち合いでは敵わない?「La semana que viene nos lo jugamos todo/ラ・セマーナ・ケ・ビエネ・ノス・ロ・フガモス・トードー(来週、ウチは全てを懸けてプレーする)」とジダン監督も言っていたように、水曜午後9時(日本時間翌午前5時)にサンティアゴ・ベルナベウに来襲する、グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティとの1stレグから、いよいよマドリーも今季の正念場に突入です。

そして日曜はワンダ・メトロポリターノに行く前、時間帯が連続していたため、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのセビージャ戦をバルで見ることにした私ですが、同じく先週、ヨーロッパの大会決勝トーナメント初戦で強豪アヤックスに2-0と先勝した後輩はその勢いをリーガに繋げることができず。いやあ、その前は最後まで粘って2-1で負けたバルサ戦と、全力を振り絞る試合が続いていたため、選手たちが疲れていたのもあったんでしょうけどね。ローテーションでアランバリの代わりにこの冬、ストークシティからレンタルで来たエテボをボランチに入れたのが裏目に出てしまったんですよ。

問題のプレーはスコアがまだ0-0だった前半42分、自陣エリアすぐ横でボールを持った彼がすぐにクリアせず、向きを変えた途端、滑って転んでしまったから、さあ大変!そこに詰めていたレギロンがボールを奪い、オカンポスの先制点に繋がってしまったんですが、デイベルソンがアンヘルに代わった後半もヘタフェは反撃のキッカケが一向に掴めません。それどころか、22分にはFKから、デ・ヨングがゴール前に上げたボールをフェルナンドにヘッドされて2点目を取られると、私がお店を出たすぐ後にもクンデに3点目と、最後は0-3で完敗とは困ったもんじゃないですか。

何せELはラウンドが1つ多いため、ヨハン・クライフ・アレナでのアヤックス戦32強対決2ndレグが今週木曜午後9時にもうやって来てしまいますからね。この敗戦でセビージャに抜かれ、CL出場圏から5位に落ちてしまったとはいえ、勝ち点差はたったの1となれば、今は早く気分を切り替えて、EL16強進出に努めるべきかと。すでに2000人以上のファンがチケットを買い、アムステルダムまで応援にいくのも「El Ajax es favorito/エル・アヤックス・エス・ファボリートー(勝ち抜け候補はアヤックスだ)」というボルダラス監督にとっては心強いかもしれませんね。

え、それでリバプール戦勝利の宴が続いていたアトレティコの何が変わったのかって?いやあ、火曜の試合の前半で太ももをケガしたレマルの代わりにビトロが入っただけで、あとは同じスタメンだったんですが、前半15分には自陣エリア内からのクリアに失敗。パコ・アルカセルにライン前からシュートを撃ち込まれ、ビジャレアルに先制を許すという失態から、その試合は始まったんですけどね。この日の彼らはパスが続かなくても、モラタとビトロの連続シュートがGKアセンホにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されても落ち込まず、39分にはベルサイコが送った浮き球をコレアが押し込んで、前半のうちにイーブンに戻してくれたから、助かったの何のって。

おまけに後半11分には、招集リストに21人いたため、てっきり応援合宿と思われながら、ベンチにも入った負傷明けのジョアン・フェリックスとトリッピアーが、累積警告でパルコ(貴賓席)観戦をしていたシメオネ監督の指示により、ビトロとベルサイコに代わってピッチへ。この交代がバッチリ当たり、19分にはジョアンが右に送ったボールをトリッピアーがエリア内に入れ、コレアがゴール前に出したところ、そこへ突っ込んで来たコケがヘッドで勝ち越し点って、ちょっとお。話が出来すぎじゃない?

更に28分にはジョアンもエリアのちょっと前から、自身の快気祝いとなるゴールを決め、とうとう3-1で逆転勝利を収めたアトレティコだったんですが、大丈夫。負けていた時はヨーロッパの大会出場圏外の7位まで落ちながら、勝って3位に上がったとはいえ、この日はさすがにvuleta de honor(ブエルタ・デ・オノール/場内一周)まではやっていませんよ。それでも「リバプール戦の勝利がボクらにこのシーズン終盤、意欲を持って立ち向かう自信と力を与えてくれた」(コレア)ことが感じ取れましたし、これで3月11日にリバプールまでついていく勇気が沸いたファンも増えたかも。

いやあ、気になるのはそのCL16強対決1stレグでとうとう、昨年の頸椎ヘルニアの手術による長期離脱から復帰、15分程プレーしたジエゴ・コスタが当日、ベンチ外になったことなんですけどね。「いい練習をしていたが、yo entendía que no estaba en condiciones de competir hoy/ジョ・エンテンディア・ケ・ノー・エスタバ・エン・コンディシオネス・デ・コンペティール・オイ(今日はプレーするコンディションにないと思った)」とシメオネ監督は言っていましたが、お隣さんのアザールの例もあるため、念には念を入れておくのは決して悪くはないかと。

彼がアンフィールドでの決戦を完璧な体調で迎えることができれば、それまではきっと、「Si escucha al míster y a los compañeros, será el jugador que todo el mundo quiere ver/シー・エスクーチャ・アル・ミステル・イ・ア・ロス・コンパニェロス、セラ・エル・フガドール・ケ・トードー・エル・ムンド・キエレ・ベル(監督やチームメートの言うことを聞けば、皆が見たがっている選手になってくれるよ)」(コケ)とキャプテンも話していたジョアンがゴールを入れるのに手を貸してくれるのでは?そんなアトレティコの次の試合は日曜、RCDEスタジアムでのエスパニョール戦。相手はレガネスと勝ち点を同じくする降格圏仲間ですが、丁度、その日はヘタフェも18位マジョルカのホームに乗り込むため、マドリッド勢がアギーレ監督のチームを援護射撃をしてあげられるといいですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
コメント