【J1開幕直前クラブガイド】失意の幕開け、産みの苦しみに耐えられるか《鹿島アントラーズ》
2020.02.22 12:33 Sat
FUJI XEROX SUPER CUP 2020、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)、YBCルヴァンカップとすでに公式戦が開幕。そんな中、J1リーグが最後に開幕を迎える。
超ワールドサッカー編集部が、チームのノルマや補強達成度、イチオシ選手、そして、東京オリンピックを翌年に控える注目の五輪候補をお届け。第16弾として、昨季のJ1・3位鹿島アントラーズを紹介する。
◆補強動向《S》※最低E~最高S
無冠に終わった2019シーズンを踏まえ、新たにアントニオ・カルロス・ザーゴ監督を招へい。タイトル奪還のために、大きな補強を行った。
昨シーズンは多くの選手がケガに悩まされ流という事態に陥ったサイドバックには、DF杉岡大暉(←湘南ベルマーレ)、DF永戸勝也(←ベガルタ仙台)、DF広瀬陸斗(←横浜F・マリノス)と各クラブがこぞって獲得に興味を示した選手を3名も確保。特に同じ左サイドでプレーする杉岡、永戸の2枚獲りはお見事といえる。
チーム内得点王のMFセルジーニョ(→長春亜泰)が抜けたことは大きな穴になるが、それを埋めるだけの選手は揃っている。そのほかは主力選手ではなかったため、戦力補強は大成功だと言えるだろう。
◆勝利を義務付けられたチームが我慢できるか《上位争い》
3シーズン連続で上位にいながらもJリーグのタイトルを獲れていない鹿島は、大岩監督以下スタッフも一新。ザーゴ監督の招へいに加え、OBでありFC町田ゼルビアで昨シーズンは指揮を執っていた相馬直樹氏、鹿島ユースで長らく指導した熊谷浩二氏をコーチに据えた。
昨シーズンはケガ人の多さ、シーズン途中の相次ぐ選手の移籍などエクスキューズは多々あったものの、「鹿島らしさ」を感じられないシーズンとなってしまった。特に衝撃だったのは、2020年元日の天皇杯決勝。ヴィッセル神戸との決勝戦だったが、神戸の良さもありながら、鹿島が鹿島ではなかった。
再建しなくてはいけない1年目。さらに、新たな選手を大量に獲得したため、ゼロからのチーム作りになる。確固たるサッカー理論を持つザーゴ監督は、繋ぐサッカー、ポゼッションを大事にするスタイルだが、今までの鹿島とは戦い方が全く違う。しかし、ACLではプレーオフでメルボルン・ビクトリーに敗戦。日本勢“初”のプレーオフ敗退という、屈辱の結果を味わった。
「2位以下は全て同じ」というメンタリティを持つ鹿島にとって、そしてそのチームを信じているチームにとっては、非常に不満が募る、我慢のシーズンになると予想される。ザーゴ監督が掲げるサッカーは一日にして成らず。しかし、その先には必ずや魅了されるサッカーが待っている。どこまで我慢できるのか、忍耐力が求められるシーズンとなりそうだ。
◆超WS編集部イチオシ選手
MFレオ・シルバ(34)
イチオシ選手はザーゴ・サッカーのキーマンとなり得るMFレオ・シルバだ。
ポゼッションに人一倍こだわりを持つザーゴ監督のサッカーにおいて、攻守のバランスを取るボランチのポジションは、人選が非常に重要となる。当然、パスの精度、キックの精度が高い選手であり、プレービジョンがしっかりしている選手でなければ務まらない。
これまではピッチの多くの場面で顔を出していたレオ・シルバだが、今シーズンはより攻撃に比重を置くことになるはず。ポゼッションサッカーの舵取り役としての活躍が求められる。守備面は相棒のDF三竿健斗に比重を置き、いかに攻撃を活性化させられるか。エヴェラウド、フアン・アラーノとのコンビネーションが確立された時は、怖い存在となるだろう。
◆注目の東京五輪世代!
FW上田綺世(21)
夏に予定されている東京オリンピック世代の選手としてピックアップするのは、FW上田綺世だ。
2019年6月、コパ・アメリカに臨む日本代表に初招集を受けた上田。持ち前のポジショニングと、ボックス内への侵入のやり方、タイミング、最終ラインの裏をとる動きは非凡なものを持っていることを示した。
コパ・アメリカではチャンスを不意にし続けたが、南米勢との真剣勝負に触発され、法政大学サッカー部を辞め、前倒しで鹿島の一員となった。
抜群の動き出しは、J1リーグでも通用。鹿島では13試合で4ゴールと結果を残したが、2シーズン目の今シーズンは新監督のやり方にアジャストしていくことがゴールへの近道だろう。
しっかりとした戦術の下で、自分自身を生かすことができるのか。東京オリンピック世代のエース争いの前に、チームでのポジション争いが待っている。それでも、他のFWにはない動き出しと、タイミングの良さが結果に繋がれば、エースとして東京オリンピック出場の可能性も高いだろう。
超ワールドサッカー編集部が、チームのノルマや補強達成度、イチオシ選手、そして、東京オリンピックを翌年に控える注目の五輪候補をお届け。第16弾として、昨季のJ1・3位鹿島アントラーズを紹介する。
【IN】
GK山田大樹(18)←鹿島アントラーズユース/昇格
DF杉岡大暉(21)←湘南ベルマーレ/完全移籍
DF永戸勝也(24)←ベガルタ仙台/完全移籍
DF広瀬陸斗(24)←横浜F・マリノス/完全移籍
DF奈良竜樹(26)←川崎フロンターレ/完全移籍
MF和泉竜司(26)←名古屋グランパス/完全移籍
MFファン・アラーノ(23)←インテルナシオナウ(ブラジル)/完全移籍
MF荒木遼太郎(17)←東福岡高校/新加入
MF松村優太(18)←静岡学園高校/新加入
FWエヴェラウド(28)←ケレタロ(メキシコ)/完全移籍
FW染野唯月(18)←尚志高校/新加入
【OUT】
GK川俣慎一郎(30)→南葛SC(東京都1部)/完全移籍
DFチョン・スンヒョン(25)→蔚山現代(韓国)/完全移籍
DF小田逸稀(21)→FC町田ゼルビア/レンタル移籍
DF小池裕太(23)→シント=トロイデン(ベルギー)/期限付き移籍満了
MF中村充孝(29)→モンテディオ山形/完全移籍
MFセルジーニョ(24)→長春亜泰(中国)/完全移籍
MFレアンドロ(26)→FC東京/期限付き移籍
MF久保田和音(23)→退団
FW有馬幸太郎(19)→栃木SC/期限付き移籍
FW山口一真(23)→水戸ホーリーホック/期限付き移籍
FW相馬勇紀(22)→名古屋グランパス/期限付き移籍満了
FW垣田裕暉(22)→徳島ヴォルティス/期限付き移籍
FW金森健志(25)→サガン鳥栖/期限付き移籍→完全移籍
GK山田大樹(18)←鹿島アントラーズユース/昇格
DF杉岡大暉(21)←湘南ベルマーレ/完全移籍
DF永戸勝也(24)←ベガルタ仙台/完全移籍
DF広瀬陸斗(24)←横浜F・マリノス/完全移籍
DF奈良竜樹(26)←川崎フロンターレ/完全移籍
MF和泉竜司(26)←名古屋グランパス/完全移籍
MFファン・アラーノ(23)←インテルナシオナウ(ブラジル)/完全移籍
MF荒木遼太郎(17)←東福岡高校/新加入
MF松村優太(18)←静岡学園高校/新加入
FWエヴェラウド(28)←ケレタロ(メキシコ)/完全移籍
FW染野唯月(18)←尚志高校/新加入
【OUT】
GK川俣慎一郎(30)→南葛SC(東京都1部)/完全移籍
DFチョン・スンヒョン(25)→蔚山現代(韓国)/完全移籍
DF小田逸稀(21)→FC町田ゼルビア/レンタル移籍
DF小池裕太(23)→シント=トロイデン(ベルギー)/期限付き移籍満了
MF中村充孝(29)→モンテディオ山形/完全移籍
MFセルジーニョ(24)→長春亜泰(中国)/完全移籍
MFレアンドロ(26)→FC東京/期限付き移籍
MF久保田和音(23)→退団
FW有馬幸太郎(19)→栃木SC/期限付き移籍
FW山口一真(23)→水戸ホーリーホック/期限付き移籍
FW相馬勇紀(22)→名古屋グランパス/期限付き移籍満了
FW垣田裕暉(22)→徳島ヴォルティス/期限付き移籍
FW金森健志(25)→サガン鳥栖/期限付き移籍→完全移籍
無冠に終わった2019シーズンを踏まえ、新たにアントニオ・カルロス・ザーゴ監督を招へい。タイトル奪還のために、大きな補強を行った。
昨シーズンは多くの選手がケガに悩まされ流という事態に陥ったサイドバックには、DF杉岡大暉(←湘南ベルマーレ)、DF永戸勝也(←ベガルタ仙台)、DF広瀬陸斗(←横浜F・マリノス)と各クラブがこぞって獲得に興味を示した選手を3名も確保。特に同じ左サイドでプレーする杉岡、永戸の2枚獲りはお見事といえる。
また、同様にケガ人が相次ぎ、層の薄さを露呈したセンターバックにもDF奈良竜樹(←川崎フロンターレ)を補強。さらに、期限付き移籍していたFW相馬勇紀(→名古屋グランパス)の代役に、同じ名古屋からMF和泉竜司を完全移籍で獲得。加えて、MFファン・アラーノ(←インテルナシオナウ)、FWエヴェラウド(ケレタロ)と2人のブラジル人も確保した。
チーム内得点王のMFセルジーニョ(→長春亜泰)が抜けたことは大きな穴になるが、それを埋めるだけの選手は揃っている。そのほかは主力選手ではなかったため、戦力補強は大成功だと言えるだろう。
◆勝利を義務付けられたチームが我慢できるか《上位争い》
©︎CWS Brains,LTD.
3シーズン連続で上位にいながらもJリーグのタイトルを獲れていない鹿島は、大岩監督以下スタッフも一新。ザーゴ監督の招へいに加え、OBでありFC町田ゼルビアで昨シーズンは指揮を執っていた相馬直樹氏、鹿島ユースで長らく指導した熊谷浩二氏をコーチに据えた。
昨シーズンはケガ人の多さ、シーズン途中の相次ぐ選手の移籍などエクスキューズは多々あったものの、「鹿島らしさ」を感じられないシーズンとなってしまった。特に衝撃だったのは、2020年元日の天皇杯決勝。ヴィッセル神戸との決勝戦だったが、神戸の良さもありながら、鹿島が鹿島ではなかった。
再建しなくてはいけない1年目。さらに、新たな選手を大量に獲得したため、ゼロからのチーム作りになる。確固たるサッカー理論を持つザーゴ監督は、繋ぐサッカー、ポゼッションを大事にするスタイルだが、今までの鹿島とは戦い方が全く違う。しかし、ACLではプレーオフでメルボルン・ビクトリーに敗戦。日本勢“初”のプレーオフ敗退という、屈辱の結果を味わった。
「2位以下は全て同じ」というメンタリティを持つ鹿島にとって、そしてそのチームを信じているチームにとっては、非常に不満が募る、我慢のシーズンになると予想される。ザーゴ監督が掲げるサッカーは一日にして成らず。しかし、その先には必ずや魅了されるサッカーが待っている。どこまで我慢できるのか、忍耐力が求められるシーズンとなりそうだ。
◆超WS編集部イチオシ選手
MFレオ・シルバ(34)
©︎J.LEAGUE
イチオシ選手はザーゴ・サッカーのキーマンとなり得るMFレオ・シルバだ。
ポゼッションに人一倍こだわりを持つザーゴ監督のサッカーにおいて、攻守のバランスを取るボランチのポジションは、人選が非常に重要となる。当然、パスの精度、キックの精度が高い選手であり、プレービジョンがしっかりしている選手でなければ務まらない。
これまではピッチの多くの場面で顔を出していたレオ・シルバだが、今シーズンはより攻撃に比重を置くことになるはず。ポゼッションサッカーの舵取り役としての活躍が求められる。守備面は相棒のDF三竿健斗に比重を置き、いかに攻撃を活性化させられるか。エヴェラウド、フアン・アラーノとのコンビネーションが確立された時は、怖い存在となるだろう。
◆注目の東京五輪世代!
FW上田綺世(21)
©︎J.LEAGUE
夏に予定されている東京オリンピック世代の選手としてピックアップするのは、FW上田綺世だ。
2019年6月、コパ・アメリカに臨む日本代表に初招集を受けた上田。持ち前のポジショニングと、ボックス内への侵入のやり方、タイミング、最終ラインの裏をとる動きは非凡なものを持っていることを示した。
コパ・アメリカではチャンスを不意にし続けたが、南米勢との真剣勝負に触発され、法政大学サッカー部を辞め、前倒しで鹿島の一員となった。
抜群の動き出しは、J1リーグでも通用。鹿島では13試合で4ゴールと結果を残したが、2シーズン目の今シーズンは新監督のやり方にアジャストしていくことがゴールへの近道だろう。
しっかりとした戦術の下で、自分自身を生かすことができるのか。東京オリンピック世代のエース争いの前に、チームでのポジション争いが待っている。それでも、他のFWにはない動き出しと、タイミングの良さが結果に繋がれば、エースとして東京オリンピック出場の可能性も高いだろう。
|
関連ニュース