【J1クラブ通信簿】眼前で逃した垂涎のタイトル…横浜FMとの間には勝ち点以上の差が《FC東京》
2019.12.21 20:30 Sat
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第17弾は2位のFC東京を総括!
◆MVP
FWディエゴ・オリヴェイラ(29)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発33試合)/14得点
月並みな選出だが、チーム得点王のブラジル人助っ人を推したい。昨季の期限付き移籍から完全移籍に切り替えて臨んだ今季は、自己最多の14ゴールを記録。試合の流れに関係なく点が取れた為、何度もチームを救うゴールを決めてきた。
とりわけ圧巻だったのは、第5節から第9節にかけての5試合連続ゴール。チームもその頃、第12節まで9勝3分けと好調を維持していた。
しかし、優勝した横浜F・マリノスと明暗を分けたのはゴール数。失点数では勝っていたものの、得点差は「22」もあった。その中でチーム総得点の3割を一人で叩き出したディエゴ・オリヴェイラの安定したパフォーマンスがなければ、FC東京は優勝争いをしていなかったかもしれない。
なお、ディエゴ・オリヴェイラが得点した試合では11勝1分け無敗。今季のブラジル人FWはFC東京のタリスマンだった。
ディエゴ・オリヴェイラを完全移籍に移行し、ほぼ現状維持で迎えた2019シーズン。特筆するならばFW久保建英の復帰か。しかし、周知の通り久保は夏にレアル・マドリーに移籍。FC東京に求められたのはその後の対処だったが、前半戦に数々のチャンスを演出していた久保の抜けた穴は埋められなかった。
一方で、中央大学からやってきたルーキーDF渡辺剛が台頭。渡辺はDFチャン・ヒョンスが退団した夏以降に出場機会を増やすと、第18節以降の17試合のうち15試合にフル出場。第24節の北海道コンサドーレ札幌戦と、第30節の大分トリニータ戦ではゴールも奪った。失点数2位タイのFC東京において、22歳の活躍は優勝争いに多大な影響を与えた。
また、韓国の光州FCから加入したMFナ・サンホも出場数を重ねた一人。基本的に控えという立ち回りであったが、両サイドこなせる器用さを見せ、リーグ戦25試合に出場。カップ戦も含めると33試合に出場し、計3ゴールを奪った。
◆総合評価 【B】
最後まで優勝争いを演じ、順位はクラブ史上最高位となる2位。普通であれば高評価されるべきであるが、FC東京の場合、そう断定するのはいささか安直かもしれない。
長谷川健太体制2年目、1年目で築いた基盤を昇華させ、ディエゴ・オリヴェイラとFW永井謙佑の2トップを最大限に生かす戦いを披露した長谷川トーキョー。ボールを保持する方法ではなく、もっとシンプルにカウンターやロングボール、セットプレーでゴールを奪えるフィジカル的なサッカーを極めた。そしてその狙い通り、ロングカウンターの成功率はリーグ随一を誇り、セットプレーの破壊力も抜群。昨シーズンはディエゴ・オリヴェイラを封じられると手を焼いていたチームも、去年のように大失速する事態は避けられた。
しかし、このやり方には伸びしろが見えない。ディエゴ・オリヴェイラと永井の強力な2本槍があってこその戦術で、得点パターンは限られていた。もちろん、どのチームにも中心となる選手は存在するが、FC東京のそれは依存と呼ぶほうが正しいように思える。もし、この2人の調子が来季以降続かなければどう対処するのか。ケガでの離脱も考えられる。移籍した場合はどうだろうか。彼らの後釜を見つけるのは容易ではない。
横浜FMとの差はそこではないだろうか。サイド、中央、セットプレーからでもネットを揺らすことが出来た横浜FMはリーグ最多の68ゴールを記録。攻めのパターンがいくつもあるため、一人欠けたぐらいではそれほど大きな支障はなかった。事実、リーグ最終節の直接対決では、ディエゴ・オリヴェイラを欠いたFC東京は成す術なく完敗。横浜FMは得点王のFW仲川輝人やMFマルコス・ジュニオール以外の選手が点を取り、途中出場の選手が勝利を決定付ける完璧な試合運びを見せた。
だからこそ、長谷川トーキョーはタイトルという目に見える結果を残す必要があった。今季はラグビー・ワールドカップの日程の都合でアウェイ8連戦を強いられたが、多少の影響はあったにせよエクスキューズには出来ない。もちろん昨季や今季の様な戦い方で優勝を争ったことは評価できるが、今後安定して優勝争いを演じるチームを作り上げるには、もう少し知恵を絞る必要がある。来年の鍵もディエゴ・オリヴェイラと永井が握ることになるだろうが、全く同じ戦術ではもう通用しないのかもしれない。
◆MVP
FWディエゴ・オリヴェイラ(29)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発33試合)/14得点
J.LEAGUE
月並みな選出だが、チーム得点王のブラジル人助っ人を推したい。昨季の期限付き移籍から完全移籍に切り替えて臨んだ今季は、自己最多の14ゴールを記録。試合の流れに関係なく点が取れた為、何度もチームを救うゴールを決めてきた。
しかし、優勝した横浜F・マリノスと明暗を分けたのはゴール数。失点数では勝っていたものの、得点差は「22」もあった。その中でチーム総得点の3割を一人で叩き出したディエゴ・オリヴェイラの安定したパフォーマンスがなければ、FC東京は優勝争いをしていなかったかもしれない。
なお、ディエゴ・オリヴェイラが得点した試合では11勝1分け無敗。今季のブラジル人FWはFC東京のタリスマンだった。
◆補強成功度 【B】
J.LEAGUE
ディエゴ・オリヴェイラを完全移籍に移行し、ほぼ現状維持で迎えた2019シーズン。特筆するならばFW久保建英の復帰か。しかし、周知の通り久保は夏にレアル・マドリーに移籍。FC東京に求められたのはその後の対処だったが、前半戦に数々のチャンスを演出していた久保の抜けた穴は埋められなかった。
一方で、中央大学からやってきたルーキーDF渡辺剛が台頭。渡辺はDFチャン・ヒョンスが退団した夏以降に出場機会を増やすと、第18節以降の17試合のうち15試合にフル出場。第24節の北海道コンサドーレ札幌戦と、第30節の大分トリニータ戦ではゴールも奪った。失点数2位タイのFC東京において、22歳の活躍は優勝争いに多大な影響を与えた。
また、韓国の光州FCから加入したMFナ・サンホも出場数を重ねた一人。基本的に控えという立ち回りであったが、両サイドこなせる器用さを見せ、リーグ戦25試合に出場。カップ戦も含めると33試合に出場し、計3ゴールを奪った。
◆総合評価 【B】
(C)CWS Brains,LTD.
最後まで優勝争いを演じ、順位はクラブ史上最高位となる2位。普通であれば高評価されるべきであるが、FC東京の場合、そう断定するのはいささか安直かもしれない。
長谷川健太体制2年目、1年目で築いた基盤を昇華させ、ディエゴ・オリヴェイラとFW永井謙佑の2トップを最大限に生かす戦いを披露した長谷川トーキョー。ボールを保持する方法ではなく、もっとシンプルにカウンターやロングボール、セットプレーでゴールを奪えるフィジカル的なサッカーを極めた。そしてその狙い通り、ロングカウンターの成功率はリーグ随一を誇り、セットプレーの破壊力も抜群。昨シーズンはディエゴ・オリヴェイラを封じられると手を焼いていたチームも、去年のように大失速する事態は避けられた。
しかし、このやり方には伸びしろが見えない。ディエゴ・オリヴェイラと永井の強力な2本槍があってこその戦術で、得点パターンは限られていた。もちろん、どのチームにも中心となる選手は存在するが、FC東京のそれは依存と呼ぶほうが正しいように思える。もし、この2人の調子が来季以降続かなければどう対処するのか。ケガでの離脱も考えられる。移籍した場合はどうだろうか。彼らの後釜を見つけるのは容易ではない。
横浜FMとの差はそこではないだろうか。サイド、中央、セットプレーからでもネットを揺らすことが出来た横浜FMはリーグ最多の68ゴールを記録。攻めのパターンがいくつもあるため、一人欠けたぐらいではそれほど大きな支障はなかった。事実、リーグ最終節の直接対決では、ディエゴ・オリヴェイラを欠いたFC東京は成す術なく完敗。横浜FMは得点王のFW仲川輝人やMFマルコス・ジュニオール以外の選手が点を取り、途中出場の選手が勝利を決定付ける完璧な試合運びを見せた。
だからこそ、長谷川トーキョーはタイトルという目に見える結果を残す必要があった。今季はラグビー・ワールドカップの日程の都合でアウェイ8連戦を強いられたが、多少の影響はあったにせよエクスキューズには出来ない。もちろん昨季や今季の様な戦い方で優勝を争ったことは評価できるが、今後安定して優勝争いを演じるチームを作り上げるには、もう少し知恵を絞る必要がある。来年の鍵もディエゴ・オリヴェイラと永井が握ることになるだろうが、全く同じ戦術ではもう通用しないのかもしれない。
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