【J1クラブ通信簿】オレンジ軍団、トップ5入り遠く…守備崩壊&ドウグラス頼み露呈《清水エスパルス》
2019.12.18 23:10 Wed
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第7弾は12位の清水エスパルスを総括!
◆MVP
FWドウグラス(31) 明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発25試合)/14得点
昨シーズンの途中加入でJ1クラブの脅威となった強力ストライカーは、今シーズンも変わらず火を噴いた。しかし、1年を振り返ると、14ゴールもの数字を残すことも困難な状況に置かれていた。
シーズン序盤は、開幕前に発覚した不整脈の症状により出遅れ、コンディションを整えるのにも時間がかかった。初ゴールは第12節の大分トリニータ戦だ。しかし、パフォーマンスが向上した矢先には、相棒のFW北川航也がラピド・ウィーン(オーストリア)に完全移籍し、自身のマークを分散させる人間が不在に。孤立する場面も増えていった。
それでも優れた身体能力と高い決定力で得点を積み重ね、最終節のサガン鳥栖戦でも、負ければJ1参入プレーオフ行きの可能性があった中でスーパーゴールを記録。このゴールを含め、14ゴール5アシストの数字を残したドウグラスの存在がなければ、J2リーグに降格していたと言っても過言ではない。
◆補強成功度【C】
評価としてはまずまずか。一番の注目だったDFエウシーニョは序盤こそ、その超攻撃的な意識がフィットに時間を要したものの、徐々に攻守で欠かせない存在に。MFヘナト・アウグストも負傷によりフル稼働はできなかったものの、中盤でのゲームメイクでチームに勢いを与え、守備にも一役買った。
しかし、大きな誤算もあった。期待されたDFヴァンデルソンが馴染めず。エウシーニョの加入により、センターバックでの起用が可能となったDF立田悠悟の不調に伴い、守備が崩壊した。結果的にDFフレイレを放出したことが裏目に出たと言える。
一方、夏の補強は狙いこそ良かったものの、奏功したのはオーバートレーニング症候群と診断されたGK六反勇治の代役として獲得したGK大久保択生のみ。守備の再建に向けて獲得したDF吉本一謙は、加入後すぐにスタメンに入るも半月板損傷で5試合の出場に留まり、DF福森直也は試合に絡めず。FWジュニオール・ドゥトラも海外移籍した北川の穴を十分に埋めるには至らなかった。
◆総合評価【D】
昨シーズンを5年ぶりとなる一桁順位の8位で終えたことで、名門復活への一歩を踏み出したかに思われた。しかし、今シーズンは「トップ5」を目標に掲げながら、最終節まで残留争いに巻き込まれた。この結果はいただけない。
ヤン・ヨンソン体制2年目を迎えた今シーズンは、堅守速攻にポゼッション向上と守備力の強化に着手。だが、ボールを保持しようとした結果、昨シーズンの武器であったカウンターは鋭さを失った。さらに、上述した通り、新加入のヴァンデルソンの適応失敗と立田の不調も伴い、失点も重ねていった。
リーグ開幕6試合未勝利に始まり、ヤン・ヨンソン監督が解任された第11節終了時点で2勝2分7敗の17位。失点数もこの時点で「26」とワーストだった。試合内容こそ悪くはないものの、決め切る、守りきることができず。そういう意味では、ドウグラスの不整脈の症状による出遅れや序盤のヘナト・アウグストのコンディション不良は不運だったとも言える。
篠田善之監督就任後は、優れた分析力を生かしたリアクションサッカーで5試合負けなしと一時は立て直した。しかし、その後は引き出しの少なさを露呈し、海外移籍した北川の代役を見つけられず、ドウグラス頼みの攻撃が時間と共に顕著となった。守備面も立て直すことができないまま、攻撃の停滞と共に押し込まれる時間も増加し、リーグワーストの69失点を記録した。
それでもなんとか最終節で残留を確定した。来シーズンは守備の立て直しとドウグラス頼みの攻撃からの脱却が急務。新たに横浜F・マリノスでヘッドコーチを務めていたピーター・クラモフスキー氏が新監督に就任することが決まり、篠田監督もトップチームのコーチを務める。J1王者からの就任に期待は高まるが、クラブチームの監督は初めて。アンジェ・ポステコグルー監督の右腕がどれほどの手腕を発揮できるのか、フロント含めチーム全体でサポートできるかが重要になるだろう。
その前にまだ清水には天皇杯が残っている。苦しいシーズンを過ごしたとはいえ、ここでタイトルを取ることができれば、来シーズンに向けた大きな自信となる。篠田体制で有終の美を飾れるか。
◆MVP
FWドウグラス(31) 明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発25試合)/14得点
(C)J.LEAGUE
昨シーズンの途中加入でJ1クラブの脅威となった強力ストライカーは、今シーズンも変わらず火を噴いた。しかし、1年を振り返ると、14ゴールもの数字を残すことも困難な状況に置かれていた。
それでも優れた身体能力と高い決定力で得点を積み重ね、最終節のサガン鳥栖戦でも、負ければJ1参入プレーオフ行きの可能性があった中でスーパーゴールを記録。このゴールを含め、14ゴール5アシストの数字を残したドウグラスの存在がなければ、J2リーグに降格していたと言っても過言ではない。
◆補強成功度【C】
(C)J.LEAGUE
評価としてはまずまずか。一番の注目だったDFエウシーニョは序盤こそ、その超攻撃的な意識がフィットに時間を要したものの、徐々に攻守で欠かせない存在に。MFヘナト・アウグストも負傷によりフル稼働はできなかったものの、中盤でのゲームメイクでチームに勢いを与え、守備にも一役買った。
中でも周囲を驚かせたのは、ルーキーのMF西澤健太だ。23試合7ゴール3アシストの成績と共に、J1第15節の横浜F・マリノス戦から2試合連続で劇的決勝ゴールを奪うなど、勝利をもたらす活躍が光った。
しかし、大きな誤算もあった。期待されたDFヴァンデルソンが馴染めず。エウシーニョの加入により、センターバックでの起用が可能となったDF立田悠悟の不調に伴い、守備が崩壊した。結果的にDFフレイレを放出したことが裏目に出たと言える。
一方、夏の補強は狙いこそ良かったものの、奏功したのはオーバートレーニング症候群と診断されたGK六反勇治の代役として獲得したGK大久保択生のみ。守備の再建に向けて獲得したDF吉本一謙は、加入後すぐにスタメンに入るも半月板損傷で5試合の出場に留まり、DF福森直也は試合に絡めず。FWジュニオール・ドゥトラも海外移籍した北川の穴を十分に埋めるには至らなかった。
◆総合評価【D】
(C)CWS Brains,LTD.
昨シーズンを5年ぶりとなる一桁順位の8位で終えたことで、名門復活への一歩を踏み出したかに思われた。しかし、今シーズンは「トップ5」を目標に掲げながら、最終節まで残留争いに巻き込まれた。この結果はいただけない。
ヤン・ヨンソン体制2年目を迎えた今シーズンは、堅守速攻にポゼッション向上と守備力の強化に着手。だが、ボールを保持しようとした結果、昨シーズンの武器であったカウンターは鋭さを失った。さらに、上述した通り、新加入のヴァンデルソンの適応失敗と立田の不調も伴い、失点も重ねていった。
リーグ開幕6試合未勝利に始まり、ヤン・ヨンソン監督が解任された第11節終了時点で2勝2分7敗の17位。失点数もこの時点で「26」とワーストだった。試合内容こそ悪くはないものの、決め切る、守りきることができず。そういう意味では、ドウグラスの不整脈の症状による出遅れや序盤のヘナト・アウグストのコンディション不良は不運だったとも言える。
篠田善之監督就任後は、優れた分析力を生かしたリアクションサッカーで5試合負けなしと一時は立て直した。しかし、その後は引き出しの少なさを露呈し、海外移籍した北川の代役を見つけられず、ドウグラス頼みの攻撃が時間と共に顕著となった。守備面も立て直すことができないまま、攻撃の停滞と共に押し込まれる時間も増加し、リーグワーストの69失点を記録した。
それでもなんとか最終節で残留を確定した。来シーズンは守備の立て直しとドウグラス頼みの攻撃からの脱却が急務。新たに横浜F・マリノスでヘッドコーチを務めていたピーター・クラモフスキー氏が新監督に就任することが決まり、篠田監督もトップチームのコーチを務める。J1王者からの就任に期待は高まるが、クラブチームの監督は初めて。アンジェ・ポステコグルー監督の右腕がどれほどの手腕を発揮できるのか、フロント含めチーム全体でサポートできるかが重要になるだろう。
その前にまだ清水には天皇杯が残っている。苦しいシーズンを過ごしたとはいえ、ここでタイトルを取ることができれば、来シーズンに向けた大きな自信となる。篠田体制で有終の美を飾れるか。
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