【J1クラブ通信簿】ACL出場権獲得を目指した名古屋、シーズン途中に180度転換も残留争い…《名古屋グランパス》
2019.12.17 22:20 Tue
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第6弾は13位の名古屋グランパスを総括!
◆MVP
FW前田直輝(25)
明治安田生命J1リーグ29試合出場(先発19試合)/9得点
昨夏に松本山雅FCから加入した前田は切り込み役としての地位を確立。第20節から3試合連続でネットを揺らし、第22節の川崎フロンターレ戦でダメ押し弾となった3点目を決め、10試合勝ち星のなかったチームの勝利に貢献した。一際輝きを放ったのは、第31節のヴィッセル神戸戦だろう。この試合では2得点1アシストを記録し、名古屋を3-0の勝利に導き、こちらも8試合勝利なしという状況を打破する救世主的な働きを見せた。
変幻自在のドリブルでチャンスを演出し、チームトップの9得点を記録した前田。セカンドストライカー的な立ち回りでも得点を重ね、成績が伴わないクラブのなかで、異彩を放つ姿が多く見受けられたという部分を評価した。
◆補強成功度【C】
昨シーズン、リーグワーストタイの59失点を喫したクラブは、主力を維持したまま12名を獲得した。DF吉田豊(←サガン鳥栖)、MFジョアン・シミッチ(←リオ・アヴェ)、MF米本拓司(←FC東京)、FWマテウス(←大宮アルディージャ)が即戦力として見積もられていたなか、マテウスは5回の先発にとどまるなど風間スタイルにフィットできず、夏に横浜F・マリノスへレンタル。また、昨シーズンから特別指定選手としてプレーしていた有望株のFW相馬勇紀も、正式入団からわずか半年で鹿島アントラーズへレンタルとなった。夏の目玉として入ったDF太田宏介(←FC東京)に至っては、実績や能力を考えると、守備的戦術のなかで機能したとは言い難い。
◆総合評価【D】
風間体制3年目の今シーズン、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を目指した名古屋だったが、16位の湘南ベルマーレとわずか1ポイント差の13位フィニッシュ。最終節も敗れ、自力残留を決められず、他クラブの低調さに助けられての薄氷のJ1生き残りだった。
序盤は開幕3連勝で首位に立ち、クラブ新記録となるホーム開幕5連勝を達成するなど好調だったが、守備面の綻びが顕著となり、第12節の川崎F戦から状況が一変。昨シーズンの8連敗を含む15試合勝利なしを再現するかのように、12節以降の18試合で1勝7分け10敗と大きく失速した。
そこで、26節終了後に風間八宏前監督の解任に動き、マッシモ・フィッカデンティ監督を招へい。極端なほど攻撃的なサッカーを志向した前任のスタイルから堅守ベースの現実路線にシフト。しかし、この大幅な路線変更は、結果的にみても、大胆すぎた。
その時点の現有戦力は、攻撃的サッカーを志向する風間前監督が数年にかけて選りすぐった選手たち。180度異なる戦術に素早く適応するのは容易ではない。フィッカデンティ体制発足後の成績で見ると、1勝3分け4敗。FC東京や鳥栖時代のフィッカデンティ監督の堅実なスタイルを買って、準備期間がほぼないなかで再建を託したが、シーズン途中に前任者と真逆の戦術を落とし込み、立て直すというプラン自体にやや無理があったように思えてならない。
また、シーズンを通してだが、ジョーのゴール欠乏症もチームにとって誤算だった。昨シーズン、24ゴールを挙げて得点王を獲得したが、今シーズンは二桁にも届かずの6ゴール。昨シーズンの活躍が活躍だけに、マークがより厳しくなることを想定して、チームとしてジョーに続くゴールゲッターを確保するなり、擁立しておく必要性があっただろう。
来シーズン、上位を目指すにあたり、チームに求められる第一優先は、続投の方向だというフィッカデンティ監督の守備的サッカーの浸透ではないだろうか。そして、イタリア人指揮官のスタイルに適した選手の獲得だ。したがって、今オフシーズンと、シーズン前のキャンプでの立ち回りが来年の復権に向けて大事になってくるに違いない。
◆MVP
FW前田直輝(25)
明治安田生命J1リーグ29試合出場(先発19試合)/9得点
©︎J.LEAGUE
監督交代やFWジョーの不調などチームが不安定のなか、高いパフォーマンスを披露し、自身キャリアハイとなるJ1リーグ9得点をマークしたFW前田直輝を選出した。変幻自在のドリブルでチャンスを演出し、チームトップの9得点を記録した前田。セカンドストライカー的な立ち回りでも得点を重ね、成績が伴わないクラブのなかで、異彩を放つ姿が多く見受けられたという部分を評価した。
◆補強成功度【C】
©︎J.LEAGUE
昨シーズン、リーグワーストタイの59失点を喫したクラブは、主力を維持したまま12名を獲得した。DF吉田豊(←サガン鳥栖)、MFジョアン・シミッチ(←リオ・アヴェ)、MF米本拓司(←FC東京)、FWマテウス(←大宮アルディージャ)が即戦力として見積もられていたなか、マテウスは5回の先発にとどまるなど風間スタイルにフィットできず、夏に横浜F・マリノスへレンタル。また、昨シーズンから特別指定選手としてプレーしていた有望株のFW相馬勇紀も、正式入団からわずか半年で鹿島アントラーズへレンタルとなった。夏の目玉として入ったDF太田宏介(←FC東京)に至っては、実績や能力を考えると、守備的戦術のなかで機能したとは言い難い。
それでも、吉田、ジョアン・シミッチ、米本が高稼働。吉田は固定できていなかった左サイドバックを中心に30試合に出場し、幾度となくサイドを駆け上がり4アシストを記録した。また、MFエドゥアルド・ネットが負傷離脱のなか、ジョアン・シミッチと米本が多くの試合で攻守にわたり躍動。手薄なFW陣のバックアッパーとして獲得したFW赤崎秀平(←川崎フロンターレ)も途中出場が主ながら5得点を挙げ、及第点の出来。ただ、6得点に終わったFWジョーの不振がチームの結果に影響した部分も少なくないだけに、代役を用意しておきたかったところだ。
◆総合評価【D】
(C)CWS Brains, LTD.
風間体制3年目の今シーズン、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を目指した名古屋だったが、16位の湘南ベルマーレとわずか1ポイント差の13位フィニッシュ。最終節も敗れ、自力残留を決められず、他クラブの低調さに助けられての薄氷のJ1生き残りだった。
序盤は開幕3連勝で首位に立ち、クラブ新記録となるホーム開幕5連勝を達成するなど好調だったが、守備面の綻びが顕著となり、第12節の川崎F戦から状況が一変。昨シーズンの8連敗を含む15試合勝利なしを再現するかのように、12節以降の18試合で1勝7分け10敗と大きく失速した。
そこで、26節終了後に風間八宏前監督の解任に動き、マッシモ・フィッカデンティ監督を招へい。極端なほど攻撃的なサッカーを志向した前任のスタイルから堅守ベースの現実路線にシフト。しかし、この大幅な路線変更は、結果的にみても、大胆すぎた。
その時点の現有戦力は、攻撃的サッカーを志向する風間前監督が数年にかけて選りすぐった選手たち。180度異なる戦術に素早く適応するのは容易ではない。フィッカデンティ体制発足後の成績で見ると、1勝3分け4敗。FC東京や鳥栖時代のフィッカデンティ監督の堅実なスタイルを買って、準備期間がほぼないなかで再建を託したが、シーズン途中に前任者と真逆の戦術を落とし込み、立て直すというプラン自体にやや無理があったように思えてならない。
また、シーズンを通してだが、ジョーのゴール欠乏症もチームにとって誤算だった。昨シーズン、24ゴールを挙げて得点王を獲得したが、今シーズンは二桁にも届かずの6ゴール。昨シーズンの活躍が活躍だけに、マークがより厳しくなることを想定して、チームとしてジョーに続くゴールゲッターを確保するなり、擁立しておく必要性があっただろう。
来シーズン、上位を目指すにあたり、チームに求められる第一優先は、続投の方向だというフィッカデンティ監督の守備的サッカーの浸透ではないだろうか。そして、イタリア人指揮官のスタイルに適した選手の獲得だ。したがって、今オフシーズンと、シーズン前のキャンプでの立ち回りが来年の復権に向けて大事になってくるに違いない。
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