久保がメンバー外ならU-20W杯に出して欲しかった/六川亨の日本サッカー見聞録
2019.06.07 15:30 Fri
トリニダード・トバゴを迎えてのキリンチャレンジ杯は0-0のスコアレスドローに終わった。森保一が監督に就任して15戦目で採用した3バックによる[3-4-3]システムは、それなりに見どころがあった。
しかし前後半を通じて25本のシュートを放ち、8度の決定機を迎えながら、シュートに正確性を欠き、相手GKマービン・フィリップの神がかったようなビッグセーブにゴールを割ることはできなかった。
そしてこの試合の一番の焦点であった久保建英は、スタメンはおろかベンチにはいることすらできなかった。もともと国際Aマッチの登録メンバーは23名である。しかし今回、森保監督は27名の選手を招集した。
そしてスタートリストに名を連ねたのは、過去にサムライ・ブルーの一員として出場経験のある23名だった。
今シーズンの出場が1試合だけのGK川島永嗣(ストラスブール)と、今季は無得点のFW岡崎慎司(レスター・シティ)がベンチ外になったのは、コンディションの確認とコパ・アメリカ要員だからだろう。そして初招集で、同じくコパ・アメリカ要員の久保と中山雄太もスタートリストから漏れた。
「メディアに期待されていると思うし、試合をごらんになっている皆さんも久保が出ることを期待されているのはひしひしと感じています。クラブでの活躍と今回招集してA代表でできると思ったので、ピッチの上に立たせてあげたいと思っています」と最初は期待を持たせた。
しかし、「18歳になったばかりなのと、シーズンを通してチームを牽引し、今は移籍報道でプレッシャーがかかっているなか、緊張を緩めながら先に進んだ方がいい。チームの状況次第ですが、このまま成長し続けてくれれば間違いなくA代表でプレーできます。彼の成長と、彼だけでなく選手は日本の宝だから、彼らを見ながらベストの選択をしたいと思っています」と、トリニダード・トバゴ戦だけでなく、9日に宮城で開催されるエルサルバドル戦でも構想外であることを示唆した。
「覆水盆に返らず」--ではないが、キリンチャレンジ杯で起用する予定がないのだったら、ポーランドで開催中のU-20W杯に久保を出場させて欲しかった。
もしも久保がチームにいたら、グループリーグ最終戦のイタリアに勝って1位で突破していたかもしれないし、決勝トーナメント1回戦の韓国戦でも前半で勝負を決めていたかもしれない。もしかしたらベスト4以上の可能性もあったのではないかと思うと残念でならない。
もともとFC東京の長谷川健太監督は久保と田川亨介に関してU-20W杯に2人を送り出す気でいた。
逆読みすると、もしも久保をU-20W杯に招集したら5月12日にチームに合流してポーランドへ移動すると、J1リーグの試合は3試合の欠場を余儀なくされる。そこでJFA(日本サッカー協会)はFC東京への配慮からJ1リーグ出場を優先し、リーグ戦が中断期間に入るキリンチャレンジ杯に招集した可能性もある。
コパ・アメリカに関しては、久保の海外移籍の話が現実味を帯びており、その後のリーグ戦への影響もない。そうした複雑な裏事情があったのかもしれないが、すでにU-20日本代表は負けてしまったため、「覆水盆に返らず」である。
ただ、6日の練習ではトリニダード・トバゴ戦に出場しなかったメンバーがハーフコートでのゲーム形式の練習中に、シャドー候補の香川真司が練習を途中で切り上げ、トレーナーとともにロッカーへ戻った。彼の代わりに練習に参加したのが久保だったので、今後の香川のコンディション次第では久保の途中出場もあるかもしれない。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
しかし前後半を通じて25本のシュートを放ち、8度の決定機を迎えながら、シュートに正確性を欠き、相手GKマービン・フィリップの神がかったようなビッグセーブにゴールを割ることはできなかった。
そしてスタートリストに名を連ねたのは、過去にサムライ・ブルーの一員として出場経験のある23名だった。
今シーズンの出場が1試合だけのGK川島永嗣(ストラスブール)と、今季は無得点のFW岡崎慎司(レスター・シティ)がベンチ外になったのは、コンディションの確認とコパ・アメリカ要員だからだろう。そして初招集で、同じくコパ・アメリカ要員の久保と中山雄太もスタートリストから漏れた。
18歳(招集時は17歳)で代表入りし、世間の注目を集めている久保がベンチ外になったことを、森保監督は次のように説明した。
「メディアに期待されていると思うし、試合をごらんになっている皆さんも久保が出ることを期待されているのはひしひしと感じています。クラブでの活躍と今回招集してA代表でできると思ったので、ピッチの上に立たせてあげたいと思っています」と最初は期待を持たせた。
しかし、「18歳になったばかりなのと、シーズンを通してチームを牽引し、今は移籍報道でプレッシャーがかかっているなか、緊張を緩めながら先に進んだ方がいい。チームの状況次第ですが、このまま成長し続けてくれれば間違いなくA代表でプレーできます。彼の成長と、彼だけでなく選手は日本の宝だから、彼らを見ながらベストの選択をしたいと思っています」と、トリニダード・トバゴ戦だけでなく、9日に宮城で開催されるエルサルバドル戦でも構想外であることを示唆した。
「覆水盆に返らず」--ではないが、キリンチャレンジ杯で起用する予定がないのだったら、ポーランドで開催中のU-20W杯に久保を出場させて欲しかった。
もしも久保がチームにいたら、グループリーグ最終戦のイタリアに勝って1位で突破していたかもしれないし、決勝トーナメント1回戦の韓国戦でも前半で勝負を決めていたかもしれない。もしかしたらベスト4以上の可能性もあったのではないかと思うと残念でならない。
もともとFC東京の長谷川健太監督は久保と田川亨介に関してU-20W杯に2人を送り出す気でいた。
逆読みすると、もしも久保をU-20W杯に招集したら5月12日にチームに合流してポーランドへ移動すると、J1リーグの試合は3試合の欠場を余儀なくされる。そこでJFA(日本サッカー協会)はFC東京への配慮からJ1リーグ出場を優先し、リーグ戦が中断期間に入るキリンチャレンジ杯に招集した可能性もある。
コパ・アメリカに関しては、久保の海外移籍の話が現実味を帯びており、その後のリーグ戦への影響もない。そうした複雑な裏事情があったのかもしれないが、すでにU-20日本代表は負けてしまったため、「覆水盆に返らず」である。
ただ、6日の練習ではトリニダード・トバゴ戦に出場しなかったメンバーがハーフコートでのゲーム形式の練習中に、シャドー候補の香川真司が練習を途中で切り上げ、トレーナーとともにロッカーへ戻った。彼の代わりに練習に参加したのが久保だったので、今後の香川のコンディション次第では久保の途中出場もあるかもしれない。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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