【2018-19ブンデスリーガ総括】最優秀選手はキミッヒ!

2019.05.28 21:30 Tue
Getty Images
★ドルトムント善戦もバイエルンが7連覇
ドルトムントが最終節まで優勝の望みを残す善戦を見せたが、終わってみれば大方の予想通り、王者バイエルンが7連覇を達成する結果となった。ニコ・コバチ新監督の下、前半戦終了時にはドルトムントに6ポイント差を付けられるなど躓いたが、後半戦は“ロベリ”に代わるウインガーとしてコマンとニャブリが攻撃を牽引し、13勝3分け1敗と圧巻の戦績を収めた。とりわけ、第28節でのドルトムントとの直接対決では5-0と粉砕し、王者の貫禄を見せつけた。そして、引き分けでも優勝が決まる状況だった最終節ではバイエルンの黄金時代を築き上げ、今季限りで退団することが決まった“ロベリ”にゴールが生まれるなど、圧勝で有終の美を飾った。

そのバイエルンに最後まで食らいついたドルトムントも素晴らしいシーズンを過ごした。知将ファブレ監督の下、新戦力のMFヴィツェルが早々にチームにフィットし、攻守に隙のないチームに仕上がった。とりわけ前半戦はエースのMFロイスがフル稼働し、FWサンチョやFWアルカセルらと共に爆発的な攻撃力を誇った。惜しむらくはそのロイスが後半戦は懸念の負傷に泣かされ、コンスタントにプレーできない状況となったこと。それでもバイエルンのライバルとして、来季以降に繋がる良いシーズンを過ごしたことに疑いの余地はない。
2強に続いたのはライプツィヒだった。名将ラングニック監督が1年限定で現場に戻ったチームは、ヨーロッパリーグ(EL)と並行して戦っていた前半戦は5敗を喫するなど乗り切れなかったものの、ELグループステージ敗退を受けてリーグ戦に集中できた後半戦に加速。10勝5分け1敗の好成績を収め、余裕を持って2年ぶり2度目のCL出場権を手にした。来季は新進気鋭のナーゲルスマン監督の下、更なる飛躍を誓う。

そして、最終節までもつれたCL最後の出場枠を巡っての争いは、レバークーゼンが制した。前半戦は9位と振るわずヘルリッヒ前監督が解任となったが、新指揮官に就任した元ドルトムントのボス監督の下、攻撃陣が躍動した。とりわけMFハフェルツが覚醒し、後半戦だけで11ゴールをマーク。11勝を挙げて怒涛の追い上げを見せ、最終節で今季最高位の4位に滑り込んだ。

そのレバークーゼンに惜しくも巻かれたのはボルシアMGとフランクフルト。ボルシアMGはMFトルガン・アザールに押し上げられる形で前半戦を3位フィニッシュ。後半戦はそのT・アザールに疲れが見えてチームも下降線を辿り、最終節でレバークーゼンにかわされる格好となった。
フランクフルトはヒュッター新監督の下、昨季に続いて長谷部をリベロで起用する策が奏功し、第32節まで4位の座を死守。しかし、ELで準決勝まで進出したチームは最終盤で力尽き、3連敗で7位フィニッシュに終わった。

一方、下位では降格の憂き目に遭ったのが、日本人所属の2クラブとなった。MF原口元気とFW浅野拓磨が所属するハノーファーは、初勝利を手にしたのが第7節と苦戦。わずか2勝に終わっていたブライテンライター監督を2月に解任するも、ドル新監督も建て直せず、2月から4月にかけて泥沼の8連敗を喫してしまった。そんな中で原口は守備を泥臭くこなしていたが、それが結果に繋がることは少なく、ハノーファーは2年で2部へ逆戻りとなっている。

そしてMF久保裕也の所属するニュルンベルクも大苦戦を強いられた。こちらは第6節までに2勝を挙げ、まずまずのスタートを切ったかに思われたが、そこから第27節まで勝利から見放されるなど、21試合未勝利が続いた。結局、わずか3勝に終わったチームは最終節を前に1年での降格が決定。久保はわずか1ゴールに終わり、ブンデスの高い壁の前に跳ね返されてしまった。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆DFヨシュア・キミッヒ(バイエルン)
Getty Images
2シーズン連続で得点王に輝き、7連覇の原動力となったレヴァンドフスキと迷ったが、シーズンを通して最もコンスタントにチームの力になっていたキミッヒを選出。右サイドバックながら累積による出場停止もなくフルタイム出場を果たしたキミッヒは、14アシストを記録し、多くのゴールに絡んだ。また、チームがうまく行っていなかった前半戦には本職のボランチでチームを助けるなど、与えられた仕事を的確にこなして見せた。彼がいなければニコ・コバチ監督の首が飛んでいてもおかしくない程の存在感だった。

★最優秀監督
◆ルシアン・ファブレ(ドルトムント)
Getty Images
ニースで好結果を残し、ブンデスリーガに戻ってきたスイス人指揮官がドルトムントを優勝争いに導いた。ボルシアMG時代の愛弟子であるロイスを軸としたアタッキングフットボールでバイエルンに次ぐ81ゴールを記録。若手の起用も積極的でサンチョの大ブレイクを促した。また、多くのケガ人にも見舞われたが、ヴァイグルのセンターバック起用や、ゲッツェのゼロトップ起用でうまく乗り切って見せた手腕もさすがだった。

【期待以上】
★チーム
◆ドルトムント
Getty Images
バイエルンの一強状態に待ったをかける存在として十分な役割を果たした。補強したヴィツェルやアルカセル、デラネイといった面々がチーム力を押し上げ、サンチョやアカンジ、ラーセンといった若手の台頭でチームが活性化した。近年、バイエルンの独走優勝が続いた中、ドルトムントの奮闘があったからこそ、最終節まで優勝争いがもつれる結果となった。

★選手
◆FWルカ・ヨビッチ(フランクフルト)
Getty Images
バルセロナで燻っていたもののドイツの地で持ち前の決定力を見せ付けたアルカセルと迷ったが、一躍メガクラブ注目の存在となったヨビッチを選出。昨季8ゴールを挙げて徐々に存在感を示していたセルビア代表FWは、今季は得点ランク3位の17ゴールをマーク。両足を遜色なく使え、豊富な得点パターンを持つ点取り屋は、アラー、レビッチと共にフランクフルトの得点源として重要な働きを見せた。

【期待外れ】
★チーム
◆シャルケ
Getty Images
33歳の青年指揮官の下、昨季は2位となってCL出場を果たしたシャルケだったが、CLと並行して戦えるほどの戦力はやはりなく、リーグ戦で大きく躓いてしまった。結局、3月にテデスコ監督を解任したものの、後任のステーフェンス監督もチームを立て直せず、残留争いに巻き込まれかけた。何とか14位でシーズンを終えたが、昨季とは一転して明るい話題のないシーズンとなってしまった。

★選手
◆セバスティアン・ルディ(シャルケ)
Getty Images
バイエルンから完全移籍で加入し、中盤の要となることが期待されたが、バイエルンで試合勘をなくしたドイツ代表MFは全く期待に応えられなかった。ケガがなかった中、リーグ戦での先発は17試合に留まり、凡庸なパフォーマンスに終始。期待が大きかっただけに周囲の失望も大きくなってしまった。
関連ニュース

技ありのとんでもゴールを決めたムバッペ、ゴールデンシュー争いで2位浮上も受賞はかなり困難?

パリ・サンジェルマン(PSG)のフランス代表FWキリアン・ムバッペがロリアン戦で2ゴールの活躍。これで、今シーズンのゴールデンシュー争いで2位に浮上した。 各国リーグもシーズン終盤戦に差し掛かっており、ブンデスリーガではすでにレバークーゼンが無敗で初優勝。セリエAもインテルの20度目のスクデット獲得を決めている。 リーグタイトル以外にも注目されるのがヨーロッパ・ゴールデンシュー。シーズンのリーグ戦で最もゴールを決めた選手に届けられる賞だ。 リーグごとの格差を埋めるため、UEFAリーグランキングで1位から5位のリーグは得点の2倍、6位から21位のリーグは1.5倍の係数がかけられ、ポイントで争うこととなる。 各国の得点王が争うタイトルだが、その中の1人であるムバッペは、24日に行われたリーグ・アン第29節延期分のロリアン戦で2ゴールの活躍。リーグ・アンでのゴールを「26」に伸ばし、52ポイントで2位に浮上した。 これまでの2位はシュツットガルトのギニア代表FWセール・ギラシー。ここまで25ゴールを記録し、残留争いを続けていたシュツットガルトの3位躍進に貢献している。 ギラシーを1ゴール抜いたムバッペだが、1位は遠くにいる。バイエルンのイングランド代表FWハリー・ケインで、今シーズンから挑戦したブンデスリーガで33ゴールを記録。66ポイントを持っており、7ゴール差だ。ブンデスリーガは残り4試合、リーグ・アンも残り4試合。ケインがこの先ゴールを決めなかったとしても、ムバッペは4試合で7ゴール以上が必要な状況。不可能とは言わないが、かなり難しいミッションとなりそうだ。 なお、ラ・リーガのトップはジローナのウクライナ代表FWアルテム・ドフビクの18ゴール(36ポイント)で13位タイ。プレミアリーグのトップはマンチェスター・シティのノルウェー代表FWアーリング・ハーランド、チェルシーのイングランド代表MFコール・パーマーの20ゴール(40ポイント)で6位タイ。セリエAのトップはインテルのアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスで23ゴール(46ポイント)で4位タイとなっている。 ◆ヨーロッパ・ゴールデンシュー ランキング 1位:ハリー・ケイン(バイエルン) 66ポイント(33ゴール) 2位:キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン) 52ポイント(26ゴール) 3位:セール・ギラシー(シュトゥットガルト) 50ポイント(25ゴール) 4位タイ:ラウタロ・マルティネス(インテル) 46ポイント(23ゴール) 4位タイ:ロイス・オペンダ(RBライプツィヒ) 46ポイント(23ゴール) 6位タイ:アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ) 40ポイント(20ゴール) 6位タイ:コール・パーマー(チェルシー) 40ポイント(20ゴール) 8位:ルークデ・ヨング(PSV) 39ポイント(26ゴール) 8位:ヴァンゲリス・パヴリディス(AZ) 39ポイント(26ゴール) 10位:オリー・ワトキンス(アストン・ビラ) 38ポイント(19ゴール) <span class="paragraph-title">【動画】とんでもゴールを含むムバッペが2ゴールを記録!</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJUTHp4bFJsRiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.onefootball.com/inline/ultrasoccer.js"></script> 2024.04.25 17:15 Thu

バイエルンがター獲得に動く? 代理人サイドと交渉を開始

バイエルンが、レバークーゼンのドイツ代表DFヨナタン・ター(28)の獲得に動き始めたようだ。 今シーズンのブンデスリーガで12連覇を逃したバイエルン。すでにトーマス・トゥヘル監督のシーズン終了後の退任が決定し、後任探しに注力する一方、来シーズンの覇権奪還に向けて戦力補強にも動くクラブは、今季優勝を逃した大きな要因であるディフェンスラインのテコ入れとしてライバルクラブの主力引き抜きを画策しているようだ。 ドイツ国内の移籍に精通するジャーナリストのフロリアン・プレッテンベルク氏によると、バイエルンはターの獲得に向けて代理人サイドとの交渉を開始。契約に向けた動きを推し進めているという。 同選手とレバークーゼンの契約は2025年までとなっており、クラブはブンデスリーガ初優勝に貢献した主力との契約延長を希望しているものの、選手本人はプレミアリーグや欧州主要リーグのビッグクラブ移籍を希望しているとみられる。 3バックと4バックのセンターバックに加え、ドイツ代表ではユリアン・ナーゲルスマン監督の下で右サイドバックの役割も担う28歳は、その汎用性や経験値を含め、どの指揮官にとっても間違いなく構想に入るタイプの選手だけに、バイエルン首脳陣としては新監督の人選に関わらず、確保しておきたい人材のようだ。 2024.04.25 11:00 Thu

オーストリアを率いるラングニック監督がバイエルンからの接触を認める「OFBにもそのことは伝えてある」

オーストリア代表を率いるラルフ・ラングニック監督が、バイエルンからの接触を認めている。オーストリア『90minuten』が報じている。 バイエルンはブンデスリーガのタイトルレースでレバークーゼンに大きく後れを取っていたこともあり、2月にトーマス・トゥヘル監督の今シーズン限りの退任を発表。 すでに後任探しを始めているクラブは、レバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いたシャビ・アロンソ監督や2021年7月~2023年3月までクラブを率いたドイツ代表のユリアン・ナーゲルスマン監督にアプローチをかけたが、交渉はまとまらず破談に。そして、現在はラングニック監督と交渉中であると、一部メディアに報じられていた。 そんな中、ラングニック監督は『90minuten』のインタビューでバイエルンについての質問を受けると、実際にクラブからコンタクトがあったと明かした。 「バイエルンから連絡があり、オーストリアサッカー協会(OFB)にもそのことは伝えてある。我々は非常に強い信頼関係で結ばれている。今はオーストリア代表のことだけを考えていて、それ以外のことは考えていない。ユーロのことだけに集中しているんだ。ここはとても居心地がいい。今のところ、去就について具体的に考える必要はないと思っている」 2024.04.25 00:30 Thu

CLレアル戦に期待感高めるムシアラ、元同僚ベリンガムの活躍ぶりにも言及「驚かなかった」

バイエルンのドイツ代表MFジャマル・ムシアラがかつての戦友とも相まみえる大一番を心待ちにしている。スペイン『アス』が伝えた。 アーセナルとの準々決勝を制し、チャンピオンズリーグ(CL)でベスト4まで到達したバイエルン。ファイナル進出が懸かる準決勝ではレアル・マドリーとの2試合が待ち受けている。 ホームでの1stレグを30日に控える中、チームの攻撃を牽引するムシアラはこの強敵との対戦についてドイツ『シュポルト・ビルト』にコメント。敵地サンティアゴ・ベルナベウで行われる5月8日の2ndレグも含め、期待に胸を膨らませている。 「伝統あるベルナベウでのレアル・マドリーとの試合を楽しみにしている。ヨーロッパで最高の2チームが対戦する。重要な試合だ」 また、ドイツ生まれイギリス育ちのムシアラは、ユース年代をイングランド代表として戦っており、当時はマドリーのイングランド代表MFジュード・ベリンガムとも共闘。CLでの対戦を前に、元チームメイトの活躍ぶりについても語った。 「ジュードとはヤングライオンズで長年ルームメイトだったし、何試合か一緒にプレーした。それ以来僕らは良い友達だ。彼が順調なことを嬉しく思っている。彼は自信に満ち溢れているし、大きな挑戦を前にしても躊躇しない」 「言うまでもなく、彼のレアル・マドリーでのスタートは普通ではなかった。他国のチームと契約する際、普通であれば環境に適応しなければならないが、ジュードの場合は違った。それに、そのことにはあまり驚かなかった。彼のメンタリティを知っているからね」 2024.04.24 18:23 Wed

シャビ・アロンソ、ナーゲルスマンの招へい失敗のバイエルン、ラングニック監督との交渉が加速中か

新指揮官の選定を急ぐバイエルンは、オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督(65)との交渉を進めているようだ。 バイエルンはブンデスリーガのタイトルレースでレバークーゼンに大きく後れを取っていたこともあり、2月にトーマス・トゥヘル監督の今シーズン限りの退任を発表。後任の最有力候補はそのレバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いたシャビ・アロンソ監督だったが、指揮官は3月に残留を明言した。 続けてバイエルンがターゲットとしたのは、ドイツ代表を率いるユリアン・ナーゲルスマン監督。2021年夏に就任してから2023年に電撃解任されるまで指揮をとっていた若手指揮官の再招へいに動いていたが、ナーゲルスマン監督はドイツ代表での仕事継続を決断し、契約延長が発表されている。 当初、4月中には新指揮官を決定したい意向を持っていたバイエルン。ドイツ『スカイ・スポーツ』によると、現在はラングニック監督と交渉中であり、指揮官側も前向きな姿勢を示しているとのことだ。 ラングニック監督はこれまでシュツットガルトやハノーファー、シャルケ、ホッフェンハイム、RBライプツィヒなど、主にブンデスリーガで監督を歴任。現在はオーストリア代表を指揮しており、6月から始まるユーロ2024へ向けた準備を進めている。 バイエルンはかねてよりラングニック監督の手腕を高く評価しているが、指揮官が大きな大会を控えていることもあり、まだ不確定要素も残っているようだ。 2024.04.24 14:05 Wed
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly