【2018-19プレミアリーグ総括】連覇を達成した絶対王者シティ、初の国内三冠で完璧なシーズンに
2019.05.27 21:29 Mon
★史上最高の優勝争い
世界中のどのリーグを見ても、今季のプレミアほど熾烈を極めた優勝争いを見つけるのは難しいかもしれない。
昨季同様桁外れの強さを持って2連覇を達成したマンチェスター・シティは、第16節でチェルシーに敗れるまで13勝2分け無敗という圧倒的な成績を誇った。ところが年末の第18節と第19節でクリスタル・パレスとレスター・シティに連敗を喫し、シーズン折り返し時点では3位だった。
この躓きは意外だったが、グアルディオラ監督はその後すぐに立て直し白星を重ね続ける。第21節で今季最大のライバルとなったリバプールを破ると、第26節でついに逆転。その後は変則日程の影響で抜きつ抜かれつのデッドヒートを見せ、最終的に昨季の勝ち点「100」に匹敵する勝ち点「98」を積み上げ2連覇を達成した。結局、後半戦は第24節でニューカッスルに敗れた以外は全勝を収めたのだった。
また、シティはプレミアリーグの他、EFLカップとFAカップも制覇し、イングランド史上初の国内三冠を達成。再び歴史に名を刻んだ。
3位から6位はこちらもまた激戦だった。最終節までどのチームが4位以内に入るのか決まらない中、一抜けしたチェルシーは3位でフィニッシュ。ナポリからマウリツィオ・サッリ監督とその弟子ジョルジーニョを引き抜いて臨んだ今シーズン、規律を重んじ、パスを細かく繋ぐ“サッリ・スタイル”で第12節まで無敗を誇ったが、以降、キーマンとなっていたジョルジーニョが徹底マークされるようになったことで、チームとしての機能が停止。結局、アザール頼みとなった攻撃はトップ6最少得点だった。
チェルシーと勝ち点差「1」で4位に入ったのはトッテナム。夏と冬の補強がなかったうえに、シーズンを通して負傷者の多さに悩まされることになったチームは、ポチェッティーノ監督の手腕によりシーズン終盤まではシティやリバプールに届かないまでも3位確保の安全圏にいた。ところが終盤、集中力が切れたかのように黒星が増え、最終的にトップ6最多の13敗を喫してしまうことになった。
昨シーズンでアーセン・ヴェンゲル監督が退任し、今季からウナイ・エメリ監督が指揮を執ることになったアーセナル。第3節から第16節まで無敗という時期もあったが、上位相手に悉く負けたうえ、終盤には格下相手の痛恨3連敗で5位フィニッシュとなった。
マンチェスター・ユナイテッドは失意のシーズンに。3年目のモウリーニョ監督に率いられたチームは覇気がなく、一時10位にまで落ち込む事態に。そして、12月16日の第17節リバプール戦の完敗を最後に、モウリーニョ監督は解任された。その後、ユナイテッドはレジェンド・スールシャールを監督に招へい。そこからチームはリーグ戦12試合で10勝2分けで、本物の赤い悪魔が戻ってきたかに思われたが、少しずつ魔法は解け始める。第30節のアーセナル戦の完敗をきっかけに訪れた崩壊。そこから最終節までの9試合の成績は2勝2分け5敗という大恐慌に見舞われた。
優勝争いが盛り上がった一方で、残留争いは例年より早い決着となった。第32節でハダースフィールドの降格が決定。翌節にはフルアムもそれに続くことになった。また、最終節を残してカーディフも降格の憂き目に。勝ち点「16」しか得られなかったハダースフィールドは、プレミアリーグでは史上2番目の早さでの降格決定となった。
今季から武藤嘉紀が加わった日本人勢。サウサンプトンの吉田麻也は最後まで残留争いに身を置くことになったものの、個人的には17試合の出場で内容でもまずまずの成果を残した。ニューカッスルに加入した武藤嘉紀は初めてのプレミアで四苦八苦。第8節のユナイテッド戦で待望の初ゴールを決めたが、レギュラーに定着することはできなかった。そして、今季がレスターで最後のシーズンとなった岡崎慎司はバックアッパーとして21試合に出場。ゴールは叶わなかったが、15-16シーズンのプレミア優勝など、在籍4年間で多大な貢献をした。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)
シティの2連覇にこの男の存在は欠かせなかった。今季は昨季の18ゴール15アシストに匹敵する17ゴール12アシストを記録。相手の隙を見つける嗅覚、ドリブル、シュート、どれをとっても24歳のそれとは思えないレベルでシティの攻撃の中心に君臨。元々高かった戦術理解度でグアルディオラ監督の信頼を掴んでいる。
★最優秀監督
◆ユルゲン・クロップ(リバプール)
連覇を達成したグアルディオラ監督が見事なのは言わずもがなだが、今回はそのシティに食らいついたクロップ監督を最優秀監督に選んだ。2015年に就任し、4季目を迎えた今シーズン。クラブの積極的な補強もあり、サラーやファン・ダイク、アリソンなど欠けていたピースを揃えたチームは序盤から完成度の高いサッカーで他を圧倒。今季最多得点の22ゴールをマークしたマネの成長もリバプールの好調を支える大きな要因の一つだった。難しい時期を控えのシャキリやオリジらの活躍で乗り切れたことはクロップ監督の手腕があってこそ。ベンチワークという観点ではグアルディオラ監督を上回っていたのではないだろうか。
【期待以上】
★チーム
◆ウォルバーハンプトン
今季のプレミアリーグで台風の目となったのが昇格組のウルブスだ。16勝9分け13敗でトップ6に次ぐ7位という好成績を残したが、特筆すべきはそのトップ6との戦績。チェルシーやトッテナム、アーセナルなどを破り、計12試合で4勝4分け4敗。昇格チームであることを考えると偉業とも言える。ルベン・ネヴェスを中心にラウール・ヒメネスやディオゴ・ジョッタら粒揃いの選手らがサント監督のテクニカルで攻撃的なスタイルを体現し、一気にプレミアの中堅クラブレベルにまで伸し上がった。来季はさらなる狼旋風が予想される。
★選手
◆MFベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)
シティの最優秀選手に選ばれたベルナルド・シウバ。加入初年度の昨季は右ウイングからドリブル突破するスタイルが多かったが、今季はインテリオールの一角として周りとの連係を深め、崩しの局面に何度も絡んだ。ペップ仕込みの戦術眼や視野の広さを身に付けたベルナルド・シウバは、今季は先発31回。15回だった昨季と比べると、いかにグアルディオラ監督からの信頼が厚かったかがわかる。
【期待外れ】
★チーム
◆マンチェスター・ユナイテッド
前述したようにユナイテッドにとっては不遇のシーズンだった。前任のモウリーニョ監督は「要求が満たされなかった」と幹部を非難。センターバックの補強を望んでいた同監督だったが、クラブは誰も連れてくることはなかった。そんな中で選手との軋轢も報じられらポルトガル人指揮官は年末に解雇。スールシャール凱旋で一時は調子を取り戻したものの、終盤に向けて尻すぼみしていった。
★選手
◆MFジョルジーニョ(チェルシー)
サッリ監督が連れて来たパスマスター・ジョルジーニョ。ナポリでサッリ・ボールを体現し、まさに愛弟子とも呼べるジョルジーニョはシーズン開幕からインパクトを残した。どの試合でも両チーム最多のパス本数と成功率を誇り、第3節のニューカッスル戦では一人で158本のパスを成功させ、クラブ歴代最多記録を更新。第12節まで無敗だったチェルシーの原動力だった。だが、相手のマークが厳しくなるとジョルジーニョの存在感は一気に薄まり、結局、彼が輝いたのは序盤だけだった。
世界中のどのリーグを見ても、今季のプレミアほど熾烈を極めた優勝争いを見つけるのは難しいかもしれない。
この躓きは意外だったが、グアルディオラ監督はその後すぐに立て直し白星を重ね続ける。第21節で今季最大のライバルとなったリバプールを破ると、第26節でついに逆転。その後は変則日程の影響で抜きつ抜かれつのデッドヒートを見せ、最終的に昨季の勝ち点「100」に匹敵する勝ち点「98」を積み上げ2連覇を達成した。結局、後半戦は第24節でニューカッスルに敗れた以外は全勝を収めたのだった。
また、シティはプレミアリーグの他、EFLカップとFAカップも制覇し、イングランド史上初の国内三冠を達成。再び歴史に名を刻んだ。
そのシティに最後の最後まで食らいついたリバプールは、2位における歴代最多勝ち点「97」を獲得。昨年は4位だったものの、シーズン終盤にかけて完成度を高めていったチームは、その勢いのまま今季も駆け抜けた。前半戦は王者シティを霞ませるほどの見事なフットボールを披露。とりわけ、ブラジル代表GKアリソンが加わった守備陣はリーグ最少失点の「22」という結果を残し、チームの躍進に一役買った。得点数もシティに次ぐ「89」。これほど完璧なリバプールをもってしても、連覇を阻止できなかったシティがいかに桁外れだったかが窺い知れる。
3位から6位はこちらもまた激戦だった。最終節までどのチームが4位以内に入るのか決まらない中、一抜けしたチェルシーは3位でフィニッシュ。ナポリからマウリツィオ・サッリ監督とその弟子ジョルジーニョを引き抜いて臨んだ今シーズン、規律を重んじ、パスを細かく繋ぐ“サッリ・スタイル”で第12節まで無敗を誇ったが、以降、キーマンとなっていたジョルジーニョが徹底マークされるようになったことで、チームとしての機能が停止。結局、アザール頼みとなった攻撃はトップ6最少得点だった。
チェルシーと勝ち点差「1」で4位に入ったのはトッテナム。夏と冬の補強がなかったうえに、シーズンを通して負傷者の多さに悩まされることになったチームは、ポチェッティーノ監督の手腕によりシーズン終盤まではシティやリバプールに届かないまでも3位確保の安全圏にいた。ところが終盤、集中力が切れたかのように黒星が増え、最終的にトップ6最多の13敗を喫してしまうことになった。
昨シーズンでアーセン・ヴェンゲル監督が退任し、今季からウナイ・エメリ監督が指揮を執ることになったアーセナル。第3節から第16節まで無敗という時期もあったが、上位相手に悉く負けたうえ、終盤には格下相手の痛恨3連敗で5位フィニッシュとなった。
マンチェスター・ユナイテッドは失意のシーズンに。3年目のモウリーニョ監督に率いられたチームは覇気がなく、一時10位にまで落ち込む事態に。そして、12月16日の第17節リバプール戦の完敗を最後に、モウリーニョ監督は解任された。その後、ユナイテッドはレジェンド・スールシャールを監督に招へい。そこからチームはリーグ戦12試合で10勝2分けで、本物の赤い悪魔が戻ってきたかに思われたが、少しずつ魔法は解け始める。第30節のアーセナル戦の完敗をきっかけに訪れた崩壊。そこから最終節までの9試合の成績は2勝2分け5敗という大恐慌に見舞われた。
優勝争いが盛り上がった一方で、残留争いは例年より早い決着となった。第32節でハダースフィールドの降格が決定。翌節にはフルアムもそれに続くことになった。また、最終節を残してカーディフも降格の憂き目に。勝ち点「16」しか得られなかったハダースフィールドは、プレミアリーグでは史上2番目の早さでの降格決定となった。
今季から武藤嘉紀が加わった日本人勢。サウサンプトンの吉田麻也は最後まで残留争いに身を置くことになったものの、個人的には17試合の出場で内容でもまずまずの成果を残した。ニューカッスルに加入した武藤嘉紀は初めてのプレミアで四苦八苦。第8節のユナイテッド戦で待望の初ゴールを決めたが、レギュラーに定着することはできなかった。そして、今季がレスターで最後のシーズンとなった岡崎慎司はバックアッパーとして21試合に出場。ゴールは叶わなかったが、15-16シーズンのプレミア優勝など、在籍4年間で多大な貢献をした。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)
Getty Images
シティの2連覇にこの男の存在は欠かせなかった。今季は昨季の18ゴール15アシストに匹敵する17ゴール12アシストを記録。相手の隙を見つける嗅覚、ドリブル、シュート、どれをとっても24歳のそれとは思えないレベルでシティの攻撃の中心に君臨。元々高かった戦術理解度でグアルディオラ監督の信頼を掴んでいる。
★最優秀監督
◆ユルゲン・クロップ(リバプール)
Getty Images
連覇を達成したグアルディオラ監督が見事なのは言わずもがなだが、今回はそのシティに食らいついたクロップ監督を最優秀監督に選んだ。2015年に就任し、4季目を迎えた今シーズン。クラブの積極的な補強もあり、サラーやファン・ダイク、アリソンなど欠けていたピースを揃えたチームは序盤から完成度の高いサッカーで他を圧倒。今季最多得点の22ゴールをマークしたマネの成長もリバプールの好調を支える大きな要因の一つだった。難しい時期を控えのシャキリやオリジらの活躍で乗り切れたことはクロップ監督の手腕があってこそ。ベンチワークという観点ではグアルディオラ監督を上回っていたのではないだろうか。
【期待以上】
★チーム
◆ウォルバーハンプトン
Getty Images
今季のプレミアリーグで台風の目となったのが昇格組のウルブスだ。16勝9分け13敗でトップ6に次ぐ7位という好成績を残したが、特筆すべきはそのトップ6との戦績。チェルシーやトッテナム、アーセナルなどを破り、計12試合で4勝4分け4敗。昇格チームであることを考えると偉業とも言える。ルベン・ネヴェスを中心にラウール・ヒメネスやディオゴ・ジョッタら粒揃いの選手らがサント監督のテクニカルで攻撃的なスタイルを体現し、一気にプレミアの中堅クラブレベルにまで伸し上がった。来季はさらなる狼旋風が予想される。
★選手
◆MFベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)
Getty Images
シティの最優秀選手に選ばれたベルナルド・シウバ。加入初年度の昨季は右ウイングからドリブル突破するスタイルが多かったが、今季はインテリオールの一角として周りとの連係を深め、崩しの局面に何度も絡んだ。ペップ仕込みの戦術眼や視野の広さを身に付けたベルナルド・シウバは、今季は先発31回。15回だった昨季と比べると、いかにグアルディオラ監督からの信頼が厚かったかがわかる。
【期待外れ】
★チーム
◆マンチェスター・ユナイテッド
Getty Images
前述したようにユナイテッドにとっては不遇のシーズンだった。前任のモウリーニョ監督は「要求が満たされなかった」と幹部を非難。センターバックの補強を望んでいた同監督だったが、クラブは誰も連れてくることはなかった。そんな中で選手との軋轢も報じられらポルトガル人指揮官は年末に解雇。スールシャール凱旋で一時は調子を取り戻したものの、終盤に向けて尻すぼみしていった。
★選手
◆MFジョルジーニョ(チェルシー)
Getty Images
サッリ監督が連れて来たパスマスター・ジョルジーニョ。ナポリでサッリ・ボールを体現し、まさに愛弟子とも呼べるジョルジーニョはシーズン開幕からインパクトを残した。どの試合でも両チーム最多のパス本数と成功率を誇り、第3節のニューカッスル戦では一人で158本のパスを成功させ、クラブ歴代最多記録を更新。第12節まで無敗だったチェルシーの原動力だった。だが、相手のマークが厳しくなるとジョルジーニョの存在感は一気に薄まり、結局、彼が輝いたのは序盤だけだった。
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