リーガはまだ終わらない…/原ゆみこのマドリッド2019.05.04 08:00 Sat

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「やっぱり何もないからかしら」そんな風に私が首を傾げていたのは金曜日、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場でシメオネ監督の記者会見を聞いた帰りがけ、Puente de mayo/プエンテ・デ・マジョ(5月の連休)で学校がないにも関わらず、駐車場出口で選手を待っているファンが意外に少ないことに気がついた時のことでした。いやあ、折しも前日はバレンシアがEL準決勝1stレグでアーセナルと対戦。自宅のTVで見られたのはもう1つのカード、フランクフルトvsチェルシーだったため、長谷部誠選手やレアル・マドリーの補強候補に挙がっているヨビッチ、そしてアザールらのプレーを眺めていたんですが、その後、エミレーツ・スタジアムのサマリー映像に何とも言えない懐かしさを感じることに。

ええ、というのも1年前、やはりEL準決勝でアーセナルを当たったアトレティコを応援に私もロンドンでの1stレグに駆けつけていたから。それもあの時は前半10分にベルサイコが退場させられるわ、続いてシメオネ監督も抗議で退席処分になるという恐ろしい始まり方で、おかげでポゼッションなんて30%を切るぐらい。挙句の果てに後半16分、ラガゼットに先制点を奪われた日にはもう、せめて最小得点差負けに留めてくれと祈るばかりに。

ところが何と37分、グリーズマンが起死回生の同点ゴールを挙げてくれたんですよ!すると翌週のワンダ・メトロポリターノでの2ndレグではジエゴ・コスタ弾で1-0での勝利で突破、リヨンでのマルセイユとの決勝なんて0-3と圧巻の強さで優勝を決め、8月にはタリンでのUEFAスーパーカップまでお隣さんを制してトロフィーを掲げてしまったとなれば、その間、ずっとシメオネ監督がベンチ入り禁止処分でいなかったことなんて誰も思い出さない?

まあ、要はアトレティコファンもその間、エキサイティングな日々を過ごしていたということですが、それとは対照的だったのがバレンシア。ええ、前半10分にディアカビのヘッドで先制したものの、ベンゲル監督からウナイ・エメリ監督に代わっていたアーセナルは30分になる前にラカゼットの2発で逆転に成功すると、終了間際にもオーバメヤンに決められて、3-1で負けてしまったから、さあ大変!こうなると同日の昼間は25日にバルサとベニト・ビジャマリンで対戦するコパ・デル・レイ決勝のチケットを求め、メスタジャの窓口に長蛇の列を作っていたバレンシアファンたちも先に来週木曜の2ndレグでいかに、かつて1度もヨーロッパの大会でこれだけの差を覆したことのないチームを奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)ムードに持っていくか、応援に知恵を絞る方が優先になりそうですが、その辺は所詮、ヨソ様のチームのこと。

翻って今季はCL16強対決でユベントスに逆転敗退して以来、3月半ばから週1ペースの試合をしているアトレティコはこの水曜なんて、まさにカンプ・ノウでの1stレグでバルサがリバプールを3-0で下し、CL決勝進出に王手をかけている時間にチーム全員揃って、セントロ(市内中心部)にあるヌエボ・アポロ劇場でミュージカル鑑賞していたんですよ。そりゃあコケなどに言わせると、「Tenemos la decepcion de la Juve, pero al final te echa un gran equipo/テネモス・ラ・デセプシオン・デ・ラ・ユーベ、ペロ・アル・フィナル・テ・エチャ・ウン・グラン・エキポ(ユーベ戦での失望はあったけど、最後は偉大なチームに負けたんだよ)。マズかったのはコパで、準々決勝には行くべきだった」という話なんですけどね。

でもねえ、「En general es buena temporada/エン・ヘネラル・エス・ブエナ・テンポラーダ(全般的にはいいシーズンだった)。だって、またリーガでマドリーより上で終われるんだからね」(コケ)というのが慰めになったのは一昔前のアトレティコファン。シメオネ監督も「1位になれないのなら、2位にならないといけない。 Es lo que nos da la regularidad, que es lo que podemos festejar/エス・ロ・ケ・ノス・ダ・ラ・レグラリダッド、ケ・エス・ロ・ケ・ポデモス・フェステハール(ウチに規則的な実力を発揮させることになるし、それは祝うことができる)」と言っていましたが、はい、先週末にはバルサのリーガ優勝が数字的に確定し、もう白日夢すら見られませんからね。

おまけにこの土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのリーガ36節なんて、相手もすでに残留決定済み、かといってEL出場権がもらえるかもしれない7位までは勝ち点差6と難しいところにいるエスパニョールなため、せっかくアジアに優しい時間帯ながら、ウー・レイの活躍を楽しみにしている中国のサッカーファンたちの方がずっと多くチャンネルを合わせてくれそうですし、日本のアトレティコファンにアピールできるところがなかないのが私にとっても悩みの種。ちなみに今週前半はサビッチがジムごもりしていて、ネウエンもU-20アルゼンチン代表に行ってしまったため、シメオネ監督はサウールとトマスに更なるマルチぶりを発揮してもらおうとCBをやらせていたりしたんですが、幸い木曜には合流。

私が見学できた最初15分の練習ではジエゴ・コスタが張り切っていましたが、こちらは出場停止処分消化に来季1節までかかるため、再び前線はグリーズマンとモラタ頼りとなりそう。このエスパニョール戦の後は弟分のヘタフェとCL出場圏の末席、4位を争っているセビージャ、締めは降格圏すぐ上の3チームの一角を占めるレバンテと、もしかしたらラージョの最後の命綱になるかもしれない大事な試合が控えているアトレティコですからね。最近はお隣さん同様、シーズンオフの人事系話題が増えていることなどには惑わされず、リーガ優勝の目が消えたバルサ戦での負け以来、驀進している連勝街道を途切れさせることなく、今季を終わってくれるといいのですが。

え、それで土曜にはアトレティコの前に奇跡の残留を懸けたレバンテとの一戦に挑むラージョはどうしているのかって?いやあ、丁度今週は水曜にエスタディオ・バジェカスで公開練習があったため、私も覗きに行ってみたんですけどね。その日はDía del Trabajador/ディア・デル・トラバハドール(労働者の日)の祝日だったというのに、前節は兄貴分のマドリーに1-0で勝ち、激しく盛り上がっていたスタンドに来ていたサポーターはせいぜい2、30人といったところ。おかげでロッカールームへの出入り口の上に陣取ったファンたちは選手にサインやセルフィーを頼み放題でしたが、やっぱり連休の初日とあって大多数はバケーションに行ってしまった?

練習の方は私もほとんどラージョのセッションは見たことがなかったため、興味を持って眺めていたところ、ちょっと他のチームと違うんですよね。位置を変えながらのパス交換では3組程に分かれてやるアトレティコに対し、全員一緒でやるため、選手たちが順番待ちする時間が長かったり、攻撃陣と守備陣に分かれての演習も動きを説明するのがパコ・ヘメス監督しかいないせいか、前者のパスをつないでシュートというエクササイズが始まるまで、後者は手持無沙汰にしていたり、それより何より、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)をやるとなってから、用具係がビブスを取りにスタジアム内部まで行っていたのにはビックリ。

素人ながら、もうちょっと要領良くやれないのかと思ったものですが、最後はここ2試合、出場停止とレンタル移籍による契約条項でプレーできなかったラウール・デ・トマスを始め、ファンたちがいるスタンド側にあるゴールに向かって選手たちがシュートというサービスタイムも。ええ、もう今の段階ではどんな練習をするより、気合で頑張るしかありませんからね。ただ、パコ・ヘメス監督も前日記者会見で「El partido de mañana va a ser mucho más complicado de lo que fue el del Real Madrid/エル・パルティードー・デ・マナヤナ・バ・ア・セル・ムーチョ・マス・コンプリカードー・デ・ロ・ケ・フエ・エル・デル・レアル・マドリッド(明日の試合はレアル・マドリー戦よりずっと難しくなるはず)」と言っていたように、相手はすでに頭がバケーションに行っているような兄貴分とは違い、残留争いの直接ライバル。

おまけに前節はバルサの優勝を遅らせる寸前までいきながら、後半に出場したメッシにゴールを許し、勝ち点1も獲得できないという悔しい思いをしているレバンテだけに、かなり手ごわそうですが、その後もバジャドリー戦、セルタ戦とラージョが残留争い渦中のチームとばかり当たるのはいいんだか、悪いんだか。どちらにしろ、現在、残留ラインと勝ち点差が6ある彼らはとにかく勝ち続けるしか、道はないですし、来季もマドリッドが1部5チーム体制を維持できるよう、私も応援していますよ。

そして今週末の日曜はスペインの首都で2試合が開催されて、正午(日本時間午後7時)からはコリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェがやはり、残留争いの渦中にあるジローナと対戦。うーん、前節のレアル・ソシエダ戦ではVAR(ビデオ審判)が入りながら、ペナルティを2つもスルーされるという不運に見舞われ、2-1で負けてしまった彼らですが、幸いながら、その日は4位争いのライバル、セビージャとバレンシアも共に躓くというラッキーが。おまけに金曜に一足先にプレーした同じ弟分のレガネスが前半8分にはエン・ネシリが、20分にはブライトワイトが決め、後半にもオスカルが3点目をゲット。何とサンチェス・ピスファンで0-3の勝利という、信じられない援護者射撃をしてくれたって、持つべきものは良き隣人?

おかげでレガネスも数字的に残留が確定しましたし、ヘタフェもセビージャとは同じ勝ち点で4位という状態を保ったまま、仕切り直しができるんですが、実は審判の抗議で退場させられたボルダラス監督が2試合のベンチ入り禁止処分を課されるという逆境も。いえ、くだんのシメオネ監督の例を見れば、それでチーム力が落ちる訳ではないんですけどね。前節と違うのはミッドウィーク開催リーガがなかった今週はホルヘ・モリーナ、マタ、アンヘルの30代FWトリオもしっかり体力を回復できたこと。逆にアノエタで90分プレーした柴崎岳選手はまたベンチに戻ってしまう気がしますが、こればっかりはねえ。何はともあれ、最下位のウエスカと対戦するバレンシアにもELの疲れがありますし、ラージョのためにもこのチャンスは逃さないでくれるといいのですが。

え、それで日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのマドリー戦は何を楽しみにしたらいいのかって?そうですね、まだ残留は確定していないものの、一応勝ち点40を貯め、降格圏まで間に3チームあるため、少し余裕が出てきたビジャレアルをサンティアゴ・ベルナベウに迎えるジダン監督のチームなんですが、むしろ今週は水曜に元キャプテンのカシージャスがポルトでの練習中に心臓発作を起こして緊急入院。幸い手当てが間に合って、月曜には退院できる程、回復したようですが、この先の選手生命についてはわからないという心配な話題で持ちきりに。

それ以外では相も変わらず、アザール、ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、エリクセン(トッテナナム)、バン・デ・ビーク(アヤックス)ら戦力補強候補について、ベイル、イスコ、セバージョス、レギロンといった放出候補について、更にはハメス・ロドリゲスやコバチッチらレンタル移籍からの帰還組についての話ばかり。その辺を見ても今季の残り試合はただただ、辛抱して消化するものになりそうなんですが、どうやらそろそろビニシウスの復帰は期待しても良さそう。ええ、CL16強対決アヤックス戦の2ndレグで負傷した彼は全体練習に加わってもう2週間。ここ2試合、ヘタフェ、ラージョと弟分たちから1点も奪えていない攻撃陣だけにいい刺激になってくれるかと。

いえ、ラージョ戦直前にケガをしたベンゼマはランニングをした程度で今週末には間に合わないんですけどね。セルヒオ・ラモスとオドリオソラもまだリハビリ中とあって、それ以外、メンバー的にあまり変わりはないんですが、せめてホームのファンの前ではいいプレーを見せてほしいかと。ちなみにこの日曜の試合は間が2時間以上あるため、セルカニアス(国鉄近郊路線)やメトロを使って梯子が可能。たまたまマドリッドに観光に来ているファンでしたら、チャレンジしてみるのも面白いかと思いますが、プレーの温度差は大きいかもしれませんね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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