【2022年カタールへ期待の選手⑲】横浜で「チームを勝たせる存在」へ。大激戦の2列目の一角を窺う東京世代のアタッカー/三好康児(横浜F・マリノス/FW)
2019.04.17 11:50 Wed
1-1で迎えた後半アディショナルタイム。トリコロールの背番号41をつける小柄なアタッカー・三好康児は自身の力で勝利をもぎ取るべく、右サイドから強引な突破を見せ、思い切り左足を振り抜いた。が、「ちょっと相手が気になって少しミートしなかった」と本人は悔やんだが、GK武田洋平との1対1を決め切れずにタイムアップの笛。13日の名古屋グランパスとの上位対決を制することはできなかった。
昨季の北海道コンサドーレ札幌に続き、今季は横浜F・マリノスに2度目のレンタル移籍に踏み切った三好。札幌ではミハイロ・ペトロヴィッチ監督の信頼を勝ち取り、J1・26試合出場3ゴールという数字を残した。その実績を引っ提げてジュニア時代から在籍する川崎フロンターレへ復帰する道もあったが、本人は「もう一度、外でチャレンジしたい」と横浜FM行きを決断。勝負の2019年を迎えた。そして新天地デビュー戦となった2月23日のガンバ大阪戦でいきなりゴールをゲット。非常に幸先のいいスタートを切ったと思われた。
アンジェ・ポステコグルー監督からも信頼を勝ち得て、そこからコンスタントに先発出場しているが、得点は1のままストップしている。今回の名古屋戦でもインサイドハーフの位置から切れ味鋭いスルーパスをたびたび前線のマルコス・ジュニオールや仲川輝人に送るなど、お膳立ての部分では異彩を放ったものの、自身のシュートは冒頭の1本のみ。
「もう少しゴールに近いところでシュートを打つなり、工夫をしてもいい。開幕戦のゴールはペナ外でしたけど、このチームでゴールまで近づいて行けるチャンスはある。味方としっかり連携を合わせることで決定機を作り出せるだろうし、そこは自分の中でも改善していかないといけない部分だと思います」と本人もゴールに迫る回数や迫力不足を痛感している様子だった。
それでも、数々の得点チャンスを演出してくれる「三好加入効果」を実感する選手は多い。U-22日本代表で一緒に戦う遠藤渓太も「康児君は前を向くのがすごくうまいし、自分にないものを沢山持ってるからすごい参考になる。今はセンターFWをマルコスがやってますけど、彼や自分、康児君が流動的にプレーして連動することが大事だと思います」とコメントしていた。東京五輪世代の盟友が指摘する通り、前線のコンビネーションが研ぎ澄まされていけば、横浜FMの攻撃力が増し、三好の課題である得点の部分も改善していくはず。現状から一歩前進し、壁を超えられればできれば、来年に迫った自国開催の東京五輪出場はもちろんのこと、日本代表入りも見えてくるはずだ。
2017年U-20ワールドカップ(韓国)をともに戦った1つ下の堂安律(フローニンヘン)がすでに森保一監督率いる日本代表に定着している通り、同世代には優れたアタッカーが少なくない。17歳の久保建英(FC東京)も近未来のA代表入りが噂されているほどだ。同じレフティの小柄なアタッカーで、U-22代表では10番を背負う三好も「彼らに負けていられない」という危機感は非常に強いはずだ。
「国内国外問わず、仲間たちとの競争で自分は高め合っていけると思っています。律が力のある選手だというのは分かっていますし、タケもU-20から一緒にやっていて(その凄さは)今に始まったことではない。ただ、自分には自分の特長があるので、そこを出していくしかない。やっぱり一番大事なのは最後に点を決めるか決めないか。結果に結び付けなければ先はないと思っています」
三好は語気を強めたが、大激戦の2列目アタッカー競争に勝とうと思うなら、本当にゴールという数字を残すことにこだわるしかない。すでに森保ジャパンの主軸にとなっているリオ・デ・ジャネイロ五輪世代の中島翔哉(アル・ドゥハイル)や南野拓実(ザルツブルク)、さらに年長の2018年ロシア・ワールドカップ組の香川真司(ベシクタシュ)、乾貴士(アラベス)、原口元気(ハノーファー)らもいるだけに、先輩たちを押しのけて台頭するためには傑出した実績がどうしてもほしい。22歳という年齢を考えると決して若いとは言えないだけに、三好はここから一気に勝負をかけるべきだ。
「五輪に出ることが自分の目標じゃないですし、小さい頃からA代表として大会に出ることが目標だった。それは今も変わっていないし、先も変わることはないです。マリノスでしっかり結果を残さなければ、五輪もA代表も見えてこない。『自分がチームを勝たせなければいけない』という思いはもちろん強く持っています」
名門・マリノスで勝利請負人としての役割を果たし、10年以上遠ざかっているJリーグタイトルを引き寄せる原動力になれれば、彼を取り巻く環境も劇的に変化する。そういった勢いを見せられるか否か。札幌に続く2度目のレンタル先で着実に進化する三好康児には大きな期待が寄せられる。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
昨季の北海道コンサドーレ札幌に続き、今季は横浜F・マリノスに2度目のレンタル移籍に踏み切った三好。札幌ではミハイロ・ペトロヴィッチ監督の信頼を勝ち取り、J1・26試合出場3ゴールという数字を残した。その実績を引っ提げてジュニア時代から在籍する川崎フロンターレへ復帰する道もあったが、本人は「もう一度、外でチャレンジしたい」と横浜FM行きを決断。勝負の2019年を迎えた。そして新天地デビュー戦となった2月23日のガンバ大阪戦でいきなりゴールをゲット。非常に幸先のいいスタートを切ったと思われた。
アンジェ・ポステコグルー監督からも信頼を勝ち得て、そこからコンスタントに先発出場しているが、得点は1のままストップしている。今回の名古屋戦でもインサイドハーフの位置から切れ味鋭いスルーパスをたびたび前線のマルコス・ジュニオールや仲川輝人に送るなど、お膳立ての部分では異彩を放ったものの、自身のシュートは冒頭の1本のみ。
「もう少しゴールに近いところでシュートを打つなり、工夫をしてもいい。開幕戦のゴールはペナ外でしたけど、このチームでゴールまで近づいて行けるチャンスはある。味方としっかり連携を合わせることで決定機を作り出せるだろうし、そこは自分の中でも改善していかないといけない部分だと思います」と本人もゴールに迫る回数や迫力不足を痛感している様子だった。
それでも、数々の得点チャンスを演出してくれる「三好加入効果」を実感する選手は多い。U-22日本代表で一緒に戦う遠藤渓太も「康児君は前を向くのがすごくうまいし、自分にないものを沢山持ってるからすごい参考になる。今はセンターFWをマルコスがやってますけど、彼や自分、康児君が流動的にプレーして連動することが大事だと思います」とコメントしていた。東京五輪世代の盟友が指摘する通り、前線のコンビネーションが研ぎ澄まされていけば、横浜FMの攻撃力が増し、三好の課題である得点の部分も改善していくはず。現状から一歩前進し、壁を超えられればできれば、来年に迫った自国開催の東京五輪出場はもちろんのこと、日本代表入りも見えてくるはずだ。
2017年U-20ワールドカップ(韓国)をともに戦った1つ下の堂安律(フローニンヘン)がすでに森保一監督率いる日本代表に定着している通り、同世代には優れたアタッカーが少なくない。17歳の久保建英(FC東京)も近未来のA代表入りが噂されているほどだ。同じレフティの小柄なアタッカーで、U-22代表では10番を背負う三好も「彼らに負けていられない」という危機感は非常に強いはずだ。
「国内国外問わず、仲間たちとの競争で自分は高め合っていけると思っています。律が力のある選手だというのは分かっていますし、タケもU-20から一緒にやっていて(その凄さは)今に始まったことではない。ただ、自分には自分の特長があるので、そこを出していくしかない。やっぱり一番大事なのは最後に点を決めるか決めないか。結果に結び付けなければ先はないと思っています」
三好は語気を強めたが、大激戦の2列目アタッカー競争に勝とうと思うなら、本当にゴールという数字を残すことにこだわるしかない。すでに森保ジャパンの主軸にとなっているリオ・デ・ジャネイロ五輪世代の中島翔哉(アル・ドゥハイル)や南野拓実(ザルツブルク)、さらに年長の2018年ロシア・ワールドカップ組の香川真司(ベシクタシュ)、乾貴士(アラベス)、原口元気(ハノーファー)らもいるだけに、先輩たちを押しのけて台頭するためには傑出した実績がどうしてもほしい。22歳という年齢を考えると決して若いとは言えないだけに、三好はここから一気に勝負をかけるべきだ。
「五輪に出ることが自分の目標じゃないですし、小さい頃からA代表として大会に出ることが目標だった。それは今も変わっていないし、先も変わることはないです。マリノスでしっかり結果を残さなければ、五輪もA代表も見えてこない。『自分がチームを勝たせなければいけない』という思いはもちろん強く持っています」
名門・マリノスで勝利請負人としての役割を果たし、10年以上遠ざかっているJリーグタイトルを引き寄せる原動力になれれば、彼を取り巻く環境も劇的に変化する。そういった勢いを見せられるか否か。札幌に続く2度目のレンタル先で着実に進化する三好康児には大きな期待が寄せられる。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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