【J1クラブ通信簿】戸惑いの2位フィニッシュ…手にしたのは「強さ」か「脆さ」か《サンフレッチェ広島》2018.12.20 21:45 Thu

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▽優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2018シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第17弾は2位のサンフレッチェ広島を総括! シーズン振り返り
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▽命からがら残留を手にした昨季と比べれば、2018年の広島は見事だった。おおよそ前半戦までは。

▽開幕前に、ヴァンフォーレ甲府やFC東京の監督を歴任してきた城福浩監督を招へい。それ以前にはアンダー世代の日本代表監督を務め、FC東京では育成部門の統括も手掛けていたこともあり、世代交代が必要と叫ばれていた広島の若返りに期待が持てた。だが一方で、その手腕に疑問を呈する声もあり、期待と不安が交錯する中で新シーズンの幕は開けた。

▽するとどうだろう。広島は浦和レッズや鹿島アントラーズといった難敵相手に開幕から3連勝を収め、第9節までは8勝1分けとこの上ないスタートダッシュを切った。第10節でFC東京に初黒星を付けられるも、その後は4連勝でもろともしなかった。城福監督の特長である「ムービング・フットボール」、縦に速いサッカーが功を奏し前半戦をダントツで折り返した。

▽しかし、ロシア・ワールドカップ明けから少しずつ歯車が狂い始める。誰もが予想しなかった快進撃から、ほぼノーマークだった広島が研究されるようになり、頼みの綱だったパトリックの勢いにも徐々に陰りが見え始めた。終盤戦の広島はまるで勝ち方を忘れてしまったように大失速。第28節から魔の6連敗を喫するなど、第25節の鹿島戦を最後に勝利を手にすることが出来なかった。

▽結果として、広島は第28節に最大「13」あった勝ち点差を川崎フロンターレに引っくり返され首位を明け渡すと、前述のような自滅もありながらその差を広げられ、2試合を残した時点で優勝を決められてしまった。期待された若返りも出来ず、ジェットコースターのようなシーズンの功績はAFCチャンピオンズリーグのプレーオフ出場権だけだった。

MVP
FWパトリック(31)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発31試合)/20得点
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▽今年の広島の躍進の秘訣はこの男の覚醒にほかならない。ヴァイオレットのユニフォームを纏って2年目を迎えたブラジル人ストライカーは昨季4ゴールのイメージを払拭。今季は得点ランク2位の20ゴールを挙げた。チームが調子の良かった前半戦は2度も3戦連続ゴールを決めるあたりは、その愛称どおり“重戦車”だった。

▽しかし、相手が警戒力を強めた後半戦は動きを封じられ試合から消える時間帯が長くなった。パトリックが苦しめばチーム全体が窮地に陥る。今年はそれだけパトリック依存は強かったのだ。

▽とはいえ、J1リーグ20ゴールは胸を張って誇れる数字だ。20ゴールという大台は広島では佐藤寿人以来2人目の快挙。外国人としてはクラブ史上最多だ。

補強成功度《D》※最低E~最高S
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▽MF川辺駿やFWティーラシン、FW渡大生など実力者を補強した今季だったが、どれも活躍したとは言い切れない。城福スタイルのキーマンになると期待され古巣に戻ってきた川辺は、リーグ戦出場は33試合であるもののそのほとんどが途中出場。完全にバックアッパーに甘んじた。また、“タイの英雄”ティーラシンや、昨季の徳島ヴォルティスで23得点を挙げた渡も、好調パトリックの前に鳴りを潜めた。

▽そんな中で結果を残したのは大宮アルディージャから完全移籍で加入したDF和田拓也だ。開幕から右サイドバックでレギュラーを掴むと、最終的にリーグ戦33試合に出場。そのうち32試合に先発出場し、2ゴール3アシストの記録を残した。

総合評価《B》※最低E~最高S
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▽今年の広島の評価は意見が分かれるところだが、優勝を目前にしてそれを掴み切れなかったことは見過ごせない。昨季薄氷の残留を掴んだことを考慮すると、2位という成績は間違いなく大成功のシーズンだったと言える。しかし、前半戦のような快進撃があったからこそ、それを継続できなかったどころか昨季のような不甲斐ない姿が余計に目立つ格好となった。

▽パトリック戦術から抜け出せなかったこと、その術を持っていなかったことは来季に向けて大きな課題となる。パトリックに次ぐゴールスコアラーのティーラシンがわずか6得点だったというのも好調さが続かなかった大きな要因の一つだった。守備が固く最少得点で勝てていた前半戦も、対策を練られた後半戦は複数失点が増え白星が極端に減った。城福監督の引き出しが少なすぎたのかもしれない。

▽城福監督は就任会見時、「目の前の結果に徹底的にこだわること、サッカーを楽しむこと」とあえて具体的な目標設定はしなかった。寡黙な男の真の目標はどこにあったのだろうか。2018年の成績を監督はどう捉えているのか。ひとつの試合に徹底的に精魂込めて戦えた前半戦と、楽しめなかった後半戦。全く異なる2つの表情を見せたチームをどう見たのか。すでに続投が決定している来季に向けて、「今季よりもいい成績を」というのは簡単ではないが、城福監督の手腕が本当の意味で発揮されるのは来季以降。より“ICHIGAN”となって戦えることを期待したい。
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【CL決勝特集③・戦術分析】世界最高峰のプレッシングゲームに!

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【CL決勝特集②・キーマッチアップ】最注目はソン・フンミンvsアーノルド

2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、トッテナムvsリバプールが日本時間6月1日28時からスペイン・マドリードのエスタディオ・メトロポリターノで開催される。 2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、運命のファイナルの戦局を左右する3つのマッチアップに焦点を当てて、両チームのキープレーヤーを紹介していく。 <span style="font-weight:700;">◆サイドで優勢を保つのは?</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190531_1_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>今回のファイナルではスパーズの主力のコンディション、策士ポチェッティーノ監督の多彩な戦術もあって明確なマッチアップの予想は困難だが、今季リーグ戦でチーム最多アシストを記録したリバプールのDFアーノルドと、トッテナムのサイドアタッカーのマッチアップが戦局を大きく左右することになりそうだ。 ◆FWソン・フンミン(26歳/トッテナム) CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:816分 得点数:4、アシスト数:1 アジアの枠を飛び越えたワールドクラスのアタッカー。爆発的なスピード、緩急自在の仕掛け、両利きと言って遜色ない高精度且つパワフルなシュートを兼備する韓国人アタッカーは、守備面の献身性、勝負強さを含めて現在のヨーロッパで屈指の万能型ストライカーだ。今大会を通じては決勝トーナメントでのドルトムント戦、マンチェスター・シティ戦で異次元の働きをみせ、エースケインの穴を完璧に埋めてみせた。 今回のリバプール戦では2トップ、あるいは左ウイングでの起用が濃厚とみられる。その中で今や相手のキーマンに成長した新進気鋭の右サイドバックを相手に、守備では得意のアーリークロスを封じるタイトな寄せ、攻撃では対人対応やスペースケアに甘さがある若武者に対して積極果敢な仕掛けで翻弄し、押し込んだ攻撃参加を自重させたい。 ◆DFトレント・アレキサンダー=アーノルド(20歳/リバプール) CL出場試合:10試合(先発10)、出場時間:832分 得点数:0、アシスト数:4 新進気鋭のアシストマシーン。ユース時代は一列前の右サイドハーフやセントラルMFを主戦場にしていたが、名将クロップ監督の下で正式に右サイドバックにコンバート。昨季は中盤仕込みの正確なパスやクロス、プレッシャーを苦にしないキープ力など攻撃面の良さが目立った一方、コンバート組ゆえの守備の緩さが見受けられた。だが、今季は攻守両面でスケールアップを果たしてプレミアリーグではディフェンダーとして歴代最多の12アシストを記録するなど、スーパーな右足のキックでプレミア屈指の攻撃的な右サイドバックに進化を遂げた。今季CLでは準々決勝のポルト戦から出場3試合すべてでアシストを記録。さらに、バルセロナとの2ndレグの意表を突いたクイックリスタートでの決勝アシストは、クラブ史に燦然と輝く好プレーの1つにノミネートされたはずだ。 今回の決勝では攻め残りの傾向が強いサラーを守備面で後方支援しつつ、ソン・フンミン、ルーカスら一線級のドリブラー相手に粘りの対応が求められる。また、空中戦でやや分が悪い中、準々決勝のシティMFデ・ブライネのプレーを参考に高めの相手最終ラインのスペースを突くアーリークロスや斜めのフィードで快速3トップの持ち味を生かしたいところだ。 <span style="font-weight:700;">◆スパーズ司令塔を封じ込められるか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190531_1_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>トッテナムにとって攻撃の全権を託されたMFエリクセンのパフォーマンスが初優勝の鍵を握る。逆に、リバプールはその司令塔を封じ込められるかが守備面の大きなポイントに。その意味でアンカーを務めるMFファビーニョの出来が重要になるはずだ。 ◆MFクリスティアン・エリクセン(27歳/トッテナム) CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:913分 得点数:2、アシスト数:4 巧さ、賢さ、献身性を兼ね備えた世界屈指のチャンスメーカー。今シーズン、オーバーワークの影響で一時期ミスが目立ったものの、その他の攻撃陣が波のあるシーズンを送ってきた中で最も安定したプレーでチームをけん引してきたデンマーク代表MFはこの決勝においてもスパーズ攻撃陣の要だ。起用法に関しては右ウイング、トップ下、3センターハーフの一角のいずれかになるが、求められる役割は相手の猛烈なプレッシャーを浴びるピッチ中央での繋ぎ役、前線のアタッカーを一発で抜け出させるラストパスの配給だ。トッテナムにとっての理想はビルドアップの局面でエリクセンが下がり過ぎることなく、相手陣内のハーフスペースや相手インサイドハーフの裏でボールを受けて味方とのコンビプレーやミドルシュート、ラストパスと複数の選択肢を持ちながら崩しの局面に専念することだ。 ただ、完調のウィンクスが中盤の底に入らない限り、ワニャマやムサ・シソコ、ダイアーあたりでリバプールのプレッシャーを前にスムーズにボールを動かすのは困難だ。したがって、現実的には最終ラインからボールを引き出して的確に散らしつつ、切り替えやロングカウンターの場面で局面を一気に変えるミドルレンジのパスで決定機創出を目指す形になるはずだ。なお、今季リーグ最終戦では自身久々の直接FKからのゴールを記録しており、名手アリソンとの駆け引きにも注目だ。 ◆MFファビーニョ(25歳/リバプール) CL出場試合:10試合(先発6)、出場時間:637分 得点数:0、アシスト数:0 強靭なフィジカルと読みに長けたチーム屈指のボールハンター。今季、守護神アリソン、世界屈指のセンターバックのファン・ダイクと共に大幅な守備力改善に寄与したブラジル代表MF。モナコから加入したシーズン当初はクロップ・スタイルへの順応に苦しんだが、中盤戦以降アンカー、2セントラルMFのポジションで主力に定着。元々、カバーリングに定評があるものの、強靭なフィジカルと長い手足を生かしたボール奪取が特長の同選手にとって、自陣バイタルエリアに留まりスペース、人を管理する通常のアンカーの役割と異なり、3センターがローテーション気味に役割を変えるリバプールではチャンスとあらば、前に出て相手を潰すアグレッシブな守備が可能とチーム戦術との親和性は高い。 今回の決勝では基本的にデレ・アリやエリクセンとのマッチアップが想定される中、インサイドハーフとマークを受け渡しながらその中盤のキーマンに自由を与えないタイトな守備が求められる。とりわけ、ボールロスト、ミスが少ないエリクセンから良い形でボールを奪い切ることができれば、前がかった相手を一気に引っくり返すことも可能だ。 <span style="font-weight:700;">◆マネの突破力かアルデルヴァイレルトの読みか? セインツ元同僚対決</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190531_1_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>シーズン後半に入ってFWサラー以上の存在感を放ったFWマネと、シーズンフル稼働で最終ラインを締めたDFアルデルヴァイレルトのセインツ元同僚によるマッチアップも試合の行方を大きく左右することになるはずだ。 ◆DFトビー・アルデルヴァイレルト(30歳/トッテナム) CL出場試合:11試合(先発11)、出場時間:990分 得点数:0、アシスト数:0 完全復活でスパーズへの忠誠誓う頼れるディフェンスリーダー。昨季、終盤はケガと契約延長問題、ダビンソン・サンチェスの台頭により3バック採用時以外ベンチを温める機会が多かったベルギー代表DF。しかし、今シーズンは相棒ヴェルトンゲン、D・サンチェスが離脱を強いられることもあった中、リーグ戦とCLの舞台でフル稼働を見せた。今季CLではハイライトとなる印象的な試合こそなかったが、すべての試合を通して平均以上の安定したプレーで最終ラインを締めた。筋骨隆々の屈強なフィジカルに加え、危機察知能力、プレーリードに長けており、総合力では対戦相手のDFファン・ダイクに劣るもののフィード能力で勝るなど世界屈指の万能型センターバックだ。 リーグ戦での直近の対戦で悔しいオウンゴールを献上した因縁の相手に対しては、キーマンのマネとのマッチアップが肝となる。直接マッチアップするDFトリッピアーが圧倒的に分が悪いことは明白であり、カバーリングに長けたシソコと共にいかに同選手をサポートできるかが重要となる。また、ハイラインを採用する以上、被カウンター時にマネやFWフィルミノと一対一の対応を強いられる可能性が高く、そこでの奮闘も求められる。 ◆FWサディオ・マネ(27歳/リバプール) CL出場試合:12試合(先発11)、出場時間:1062分 得点数:4、アシスト数:1 決定力向上で世界最高のアタッカーの1人に成長。相棒のサラー、フィルミノが昨季のゴール数を下回った中、その穴をカバーしたのがマネだ。圧倒的なスプリント能力、驚異のコーディネーション能力を生かしたドリブル突破、スペースへの飛び出し、豊富な攻撃センスと世界屈指のチャンスメーカーとして名を挙げた近年の活躍から今季はゴールスコアラーとしての才能を完全開花させ、プレミアリーグでは相棒サラー、アーセナルFWオーバメヤンと共に22ゴールで自身初の得点王を獲得。今季CLでは4ゴール3アシストと目立った数字を残せていないが、敵地でバイエルンを撃破した2ゴール、ポルト戦での1ゴール1アシストなどきっちり存在感を放っている。 今回の対戦相手トッテナム戦ではリバプール移籍後、5試合の出場で2ゴールとそこまで得意としてはいないが、2017年2月の対戦では2ゴールを奪って勝利に貢献している。相棒2人が本調子ではない中、トリッピアー、アルデルヴァイレルトの壁を破ってチームを勝利に導くゴールを奪いたい。左サイドからの積極果敢なドリブル突破、カウンター時のオープンスペースでの仕掛けに加え、アーノルドからのアーリークロスをファーでワンタッチで仕留める形が期待される。 2019.06.01 22:00 Sat
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【CL決勝特集①】敵地で苦戦も要塞アンフィールドで圧巻の強さ見せ2年連続のファイナル進出《リバプール》

2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、トッテナムvsリバプールが日本時間6月1日28時からスペイン・マドリードのエスタディオ・メトロポリターノで開催される。2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、ここまでの両チームの勝ち上がりを振り返っていく。 ◆リバプール 2018-19シーズンCL戦績 7勝4敗1分け 22得点12失点 ◆死の組でアウェイ全敗も要塞アンフィールドで強さ発揮!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_2_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>昨季のプレミアリーグを4位で終えたリバプールは、フランス王者のパリ・サンジェルマン(PSG)と昨季セリエA2位のナポリ、セルビア王者ツルヴェナ・ズヴェズダと同じグループCに入った。 ツルヴェナ・ズヴェズダを除く三つ巴の争いが予想された中、PSGとのホームでの初戦をFWフィルミノの劇的な後半アディショナルタイム弾で3-2と競り勝ち幸先の良いスタートを切ったリバプールだが、第2節のナポリ戦では逆に試合終了間際にFWインシーニェに決勝点を許して今大会初黒星。その後、ツルヴェナ・ズヴェズダとの連戦ではホームで4-0の快勝を収めるも、敵地でのリターンマッチでは格下相手に0-2で敗れて大金星を献上することとなった。さらに、PSGとの重要なアウェイゲームにおいても1-2の敗戦を喫し、グループ最終節を前に3位に転落した。 逆転での決勝トーナメント進出のためには1-0の勝利か、2点差以上での勝利が必要な状況で臨んだ最終節のナポリとのホームゲームでは、ホームでのツルヴェナ・ズヴェズダ戦での2ゴールを除き沈黙が続いていたエースのFWサラーが34分にMFミルナーからのスルーパスに抜け出し、相手DF2枚を見事なドリブルでかわして相手GKの股間を抜くシュートを決めて先制に成功。その後、幾度かのピンチを冷静に凌いだ末に1-0で勝利。アウェイゲーム全敗もアンフィールドで全勝を飾って逆転での2位通過を果たした。 ▽グループステージ結果 リバプール 3-2 パリ・サンジェルマン ナポリ 1-0 リバプール リバプール 4-0 ツルヴェナ・ズヴェズダ ツルヴェナ・ズヴェズダ 2-0 リバプール パリ・サンジェルマン 2-1 リバプール リバプール 1-0 ナポリ ◆かつての宿敵との激闘制す!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_2_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>決勝トーナメント初戦となったラウンド16ではクロップ監督のドルトムント時代のライバルでグループEを首位通過したバイエルンと対戦。国内リーグでは首位マンチェスター・シティと一騎打ちの状態が続いた中、ホームでの1stレグではDFファン・ダイクの出場停止に加え、DFジョー・ゴメス、DFロブレンと主力センターバック3人を欠く苦しい台所事情に。ここでクロップ監督はセントラルMFで順応し始めたMFファビーニョをセンターバックで起用。FWレヴァンドフスキらを相手に守備面が不安視されたものの、リバプールは真骨頂のハイプレスを武器に攻撃で相手を押し込むことで、その不安を払拭。サラーやFWマネを起点に幾度かの決定機を作って試合を通して優勢を保ったが、白熱の初戦は結局ゴールレスドローでの決着となった。 グループステージでアウェイ全敗ということもあり、劣勢が予想されたアリアンツ・アレーナでの2ndレグでは相手が主力のDFキミッヒ、FWミュラーの出場停止で戦力を落とす中、ファン・ダイクらの復帰によってベストメンバーで臨んだ。立ち上がりにMFヘンダーソンの負傷交代と嫌な流れが漂うも、前半半ばにロングボールに抜け出したマネがGKノイアーのやや無謀な飛び出しの隙を突いて貴重なアウェイゴールを奪取。その後、前半終盤にDFマティプのオウンゴールで追いつかれたものの、後半の69分にはミルナーの右CKからファン・ダイクが勝ち越しゴールを奪う。さらに、試合終盤にはサラーとのコンビでマネがトドメの3点目を決めて難敵相手に今季CLアウェイ戦初白星を挙げて2戦合計3-1での勝ち上がりを決めた。 ▽ラウンド16結果 リバプール 0-0 バイエルン バイエルン 1-3 リバプール ◆昨季大勝のポルトを連破!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_2_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>準々決勝の舞台では昨季ベスト4のローマを破って勝ち上がったポルトガル王者のポルトとの対戦に。昨季、ラウンド16で2戦合計5-0と圧倒した相手との1年ぶりの再戦では、その再現かのような力強い戦いぶりを見せた。 共に一部主力を欠く中で臨んだアンフィールドでの1stレグでは、相手が予想外の5バックの守備的な布陣を採用してきた中、先発に抜擢したMFナビ・ケイタが指揮官の期待に応える。開始5分、フィルミノのポストプレーを受けたボックス中央のケイタが右足を振り抜き公式戦2試合連続ゴールとした。さらに、26分にもヘンダーソンのスルーパスに抜け出したボックス右のDFアーノルドの折り返しをゴール前でフリーのフィルミノが難なく押し込み、追加点を奪い切った。その後は攻め手が薄いアウェイチーム相手に大人の試合運びで試合をクローズし、初戦を2-0で先勝した。 余裕を持って臨んだ敵地での2ndレグではリスクを冒して攻める相手に立ち上がりは防戦一方を強いられたが、26分にサラーのシュートのこぼれ球をマネが押し込んで相手の心を折るアウェイゴールを奪取。その後、後半にサラー、フィルミノと自慢の3トップが揃い踏みのゴールを奪うと、試合終盤にはファン・ダイクがトドメの4点目を奪い、4-1で圧勝。2戦合計6-1の圧勝劇で順当に準決勝へと駒を進めた。 ▽準々決勝結果 リバプール 2-0 ポルト ポルト 1-4 リバプール ◆“アンフィールドの奇跡”! CL史に残る大逆転劇!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_2_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>グループステージでの苦戦を除き決勝トーナメントではリーグ戦のような安定した戦いぶりで勝ち上がってきたリバプールだったが、優勝候補筆頭のバルセロナと対峙した準決勝ではCL史に残る大逆転劇を演じることになった。 バルセロナホームでの1stレグでは、「カンプ・ノウは聖地ではない」との試合前の会見でクロップ監督が発した一言がスペイン王者の闘争心に火を付けることに。コンディション不良のフィルミノや戦術的な理由でアーノルド、ヘンダーソンをベンチスタートとし、長期離脱明けのジョー・ゴメスを右サイドバックに、ワイナルドゥムを“ゼロトップ”起用する奇策を講じた中、前半半ばにケイタが負傷交代しヘンダーソンを緊急投入するアクシデントに見舞われる。すると、その直後の26分にはDFジョルディ・アルバの絶妙なアーリークロスに反応した古巣対戦のFWスアレスに手痛い恩返し弾を献上することに。 士気を落とさずに決定機の数では相手と互角以上に渡り合うが、サラーやミルナーらがことごとく決定機を決め切れずにいると、75分にスアレスのシュートのこぼれ球をFWメッシに決められると、82分にはボックス手前中央距離のあるFKを再びメッシに圧巻の左足シュートで直接決められて痛恨の3失点目を許す。その後、前がかった試合終盤にはMFデンベレに2度のビッグチャンスを与えるが、相手のシュートミスに助けられると、これがアンフィールドでの大逆転劇の布石となる。 その翌週に行われた要塞アンフィールドでの2ndレグでは1stレグでの途中出場でケガを悪化させたフィルミノに加え、直近のリーグ戦で脳震とうと診断されたサラーと、逆転突破に最低4点が必要な状況で2大エースを欠くことに。これによって熱心なKOPでも逆転突は不可能と思われた中、2人の伏兵が大仕事を果たすことに。 すでにリーグ戦優勝を決めたことで直近のリーグ戦で主力全員を温存した盤石のバルセロナに対して、満身創痍のリバプールが立ち上がりからまるで獣のようなアグレッシブなプレッシングで相手を圧倒。7分にはアルバの不用意なバックパスをかっさらったマネを起点に最後はオリジがルーズボールを押し込んで先制に成功。だが、その後が続かず前半を1-0のスコアで終えると、前半に足を痛めたDFロバートソンがプレー続行不可能となり、ワイナルドゥムを投入することに。すると、初戦では全く見せ場を作れなかったワイナルドゥムが54分にアーノルドからのクロスを押し込んで2点目を奪取。さらに、その2分後には左サイドからのシャキリのクロスを再びワイナルドゥムが頭で合わせ瞬く間の連続ゴールによって2戦合計スコアで追いつく。 アウェイゴールの脅威はあるものの、沸きに沸くアンフィールド劇場のハイライトは79分に起きる。右CKの場面でボールボーイとの“連係”からアーノルドが意表を突くクイックリスタートを試みると、相手守備陣と共に意表を突かれたオリジが何とかニアサイドでグラウンダーのクロスにダイレクトで合わせ、2戦合計スコアで逆転となる4点目を決めた。その後、決死の反撃を試みたアウェイチームの猛攻をチーム一丸となった守備で凌ぎ切ったリバプールが初戦の0-3の大敗から驚異のカムバックとなる4-0の勝利で“アンフィールドの奇跡”を実現。劇的過ぎる勝ち上がりで2年連続のファイナル進出を果たした。 ▽準決勝結果 バルセロナ 3-0 リバプール リバプール 4-0 バルセロナ 2019.06.01 21:31 Sat
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【CL決勝特集①】劇的に次ぐ劇的な戦いぶりで初のファイナル進出《トッテナム》

2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、トッテナムvsリバプールが日本時間6月1日28時からスペイン・マドリードのエスタディオ・メトロポリターノで開催される。2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、ここまでの両チームの勝ち上がりを振り返っていく。 ◆トッテナム 2018-19シーズンCL戦績 6勝4敗2分け 20得点13失点 ◆折り返し勝ち点1からの逆転劇!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_1_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>昨季のプレミアリーグを3位で終えたトッテナムは優勝候補筆頭のスペイン王者バルセロナ、セリエA4位のインテル、オランダ王者PSVという難敵3チームと同居したグループBに組み込まれることになった。 今夏の移籍市場でプレミアリーグ史上初の新戦力補強ゼロに終わったトッテナムは、主力の多くがロシア・ワールドカップ(W杯)に出場した影響もあって厳しい前半戦を過ごすことに。そして、リーグ戦連敗の状況で臨んだインテルとのアウェイでの今季CL初戦では試合を通して主導権を握り、後半立ち上がりにMFエリクセンのゴールで先制に成功。しかし、試合終了間際の86分にFWイカルディのスーパーボレーで同点に追いつかれると、後半アディショナルタイムにもMFベシーノにセットプレーから逆転ゴールを決められて最悪のスタートを切ることに。これで流れを失うと、バルセロナとの第2戦では格上バルセロナ相手にやや無謀とも取れる真っ向勝負で臨んだ結果、FWメッシらに格の違いを見せつけられる2-4の大敗で連敗。また、勝利必須で臨んだPSVとのアウェイゲームではGKロリスの一発退場が響き、痛恨の2-2のドローに。 グループステージ折り返し時点で勝ち点1の3位と逆転突破は不可能と思われたが、諦めないチームはここから驚異の巻き返しを見せる。PSVとのホームでのリターンマッチでは開始直後に先制を許す最悪の展開も試合終盤にエースのFWケインが2ゴールを奪うエースの仕事を果たして逆転で今大会初勝利。さらに、2位通過を争うインテルとの直接対決では拮抗した展開の中、80分にMFエリクセンの値千金のゴールで先制に成功し1-0の勝利を収めて2位に浮上。最終節ではすでに首位通過を決めたバルセロナとのアウェイゲームで先制を許す苦しい戦いを強いられるも、85分にFWルーカス・モウラの劇的同点ゴールが生まれると、インテル相手にドローに持ち込んだPSVのアシストもあって劇的な形で2位通過を果たした。 ▽グループステージ結果 インテル 2-1 トッテナム トッテナム 2-4 バルセロナ PSV 2-2 トッテナム トッテナム 2-1 PSV トッテナム 1-0 インテル バルセロナ 1-1 トッテナム ◆スーパーヤンにソン・フンミンがドルトキラー発揮!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_1_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>コンディションが上向いたシーズン中盤からリーグ戦でも復調を見せて迎えた決勝トーナメント初戦のラウンド16ではグループAを首位通過したドルトムントと対戦。エースのケイン、MFデレ・アリに左サイドバックの主力2選手がコンディション不良と苦しい台所事情を強いられたが、昨季グループステージで連勝を飾った相手に対して伏兵ヴェルトンゲンとドイツ時代からドルトムントキラーとしてならしたFWソン・フンミンが躍動を見せた。 ホームでの1stレグではエースのMFロイズ不在もリーグ首位の好調を維持するドルトムント相手に劣勢の前半を強いられる。しかし、後半に入ると、左ウイングバックでのスクランブル起用を強いられたヴェルトンゲンが魅せる。後半立ち上がりにピンポイントクロスでソン・フンミンの先制点をお膳立てすると、83分にはDFオーリエのクロスをストライカーさながらのダイレクトボレーで合わせ、追加点まで奪取。これで勢いに乗ったトッテナムは途中出場のFWジョレンテにもゴールが生まれ、望外の3-0のスコアで先勝に成功した。また、守護神ロリスが主役となったドルトムントホームでの2ndレグは防戦一方の状況を頼れるスキッパーの活躍で凌ぐと、後半に負傷明けケインの見事な決定力でトドメのアウェイゴールを奪い、2戦合計4-0の圧勝劇でベスト8進出を果たした。 ▽ラウンド16結果 トッテナム 3-0 ドルトムント ドルトムント 0-1 トッテナム ◆VARが明暗分けたシティとの激闘!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_1_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>2010-11シーズン以来の準々決勝の舞台ではラウンド16でシャルケを破ったマンチェスター・シティとの同国対決に。直近のリーグ戦4敗1分けと再び大不振に陥った中、下馬評ではシティの絶対優位が囁かれていたが、約半年遅れでの開場となった新本拠地トッテナム・ホットスパー・スタジアムのホームアドバンテージと絶好調のソン・フンミン、決勝トーナメントから導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が大きなドラマを生むことになった。 新スタジアムでのCL初陣となった1stレグでは連戦を考慮してMFデルフやMFマフレズの抜擢に、[4-2-3-1]のシステム変更を行ったシティに対して、同じ[4-2-3-1]での真っ向勝負を選んだポチェッティーノ監督の英断が報われることに。立ち上がりにVARによってDFローズがハンドを取られて与えたPKをGKロリスが見事な反応でFWアグエロのシュートをストップし流れを掴むと、その後は果敢なプレスを武器に試合の流れを掌握。しかし、0-0のスコアで迎えた後半立ち上がりにはデルフとの接触でケインが足首のじん帯を損傷し負傷交代を強いられる。このアクシデントで勢いを失いかけたホームチームだったが、78分にはエリクセンからのパスをゴールラインぎりぎりで残したソン・フンミンが鋭いカットインからの左足のゴールで直近リーグ戦のクリスタル・パレス戦に続く新スタジアムでのCLファーストゴールを記録し、1-0での先勝に成功した。 その翌週に行われた難所シティ・オブ・マンチェスターでの2ndレグでは文字通りの壮絶な打ち合いに。ケイン不在もあって初戦と異なる[4-3-1-2]の布陣で臨んだ中、開始4分にFWスターリングの個人技であっさりと2戦合計タイとなる先制ゴールを献上。だが、初戦でも存在感を放ったソン・フンミンが相手DFラポルテの2つのミスを突き7分と10分に圧巻の連続ゴールを奪い、貴重な2つのアウェイゴールと共に逆転に成功する。しかし、システム変更によってプレスがハマらず、11分にMFベルナルド・シウバ、21分にスターリングとあっさりとゴールを許してソン・フンミンが獲得したアドバンテージを前半のうちに失ってしまう。さらに、MFムサ・シソコの負傷交代によってジョレンテの投入も余儀なくされた。すると、押し込まれた後半立ち上がりの59分には絶好調のMFデ・ブライネに3度目のアシストを許し、アグエロに2戦合計逆転となる4点目を許した。 ここまでの試合の流れを考えれば、このままシティが押し切るかに思われたが、粘りのスパーズはここから試合を引っくり返す。73分、左CKの場面でDFトリッピアーのニアへのクロスに反応したジョレンテが腰付近にボールを当ててゴールに流し込む。ハンドが疑われたため、VARによるレビューが行われたものの正当なゴールと認められた。これで2戦合計4-4もアウェイゴール数で優位に立ったトッテナムはシティの猛攻に晒されると、後半アディショナルタイムにVAR介入の大きなドラマ。エリクセンの不用意な自陣でのバックパスをベルナルド・シウバに引っ掛けられてアグエロを経由したボールをスターリングに決められる。これでシティの劇的突破と思われたが、VARのレビューの結果、アグエロのオフサイドとの判定でゴールは認められず。そして、VARのアシストを受けたトッテナムがシティとの同国対決を制してベスト4進出を果たした。 ▽準々決勝結果 トッテナム 1-0 マンチェスター・シティ マンチェスター・シティ 4-3 トッテナム ◆飛車角抜きに過密日程撥ね返す魂の勝利!<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190530_1_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>前身チャンピオンズカップ時代以来、57年ぶりのベスト4進出を果たしたトッテナムは、決勝トーナメントでレアル・マドリー、ユベントスと優勝候補2チームを連破した今大会屈指のダークホースとなったアヤックスと対戦。シティ戦以上の劇的な展開は起こりえないと思われたが、今大会で最もエモーショナルなチームはこの準決勝でも劇的過ぎるドラマの主役となった。 ケインに加え、ソン・フンミンを出場停止で欠く飛車角抜きの状況でホームでの1stレグに臨んだトッテナムは、“進撃のヨング・アヤックス”の勢いに呑まれることに。守備的に入った中で前半の15分には相手の見事な連係プレーからMFファン・デ・ベークに痛恨のアウェイゴールを献上してしまう。さらに、味方との接触で顔面を打ったヴェルトンゲンの負傷交代というアクシデントに見舞われた中、攻撃的な交代カードを欠くチームは相手に2つ目のアウェイゴールを与えないことが精一杯の苦しい戦いぶりでホームでの初戦を0-1で落とすことに。 また、ソン・フンミンの復帰によって巻き返しを狙うアウェイでの2ndレグに向けては4日前に行われたボーンマス戦で2人の退場者を出して40分間を9人で戦う異例の状況を強いられたこともあり、コンディションに不安を抱える中での戦いとなった。そして、前半の立ち上がりにDFデ・リフトにセットプレーから先制を許す最悪な入りを強いられると、押し返し始めた前半半ばにもMFジイェフに追加点を奪われ、2戦合計0-3の厳しすぎる状況で前半を終えることになった。 それでも、190cmを超える屈強なベテランストライカー、ジョレンテの投入で流れを引き寄せたトッテナムは55分に高速カウンターからルーカス、直後の59分にはボックス内での混戦から再びルーカスが複数の相手DFを翻弄するステップワークからのゴラッソで連足ゴールを奪い、一気に点差を縮めてあと1ゴールで逆転できる状況に追い上げた。しかし、ホームの大歓声を後押しに粘り強く戦うアヤックスを前に3点目を奪うことができず、試合は5分が与えられた後半アディショナルタイムを残すのみに。この最終盤も決定機を作り出せないトッテナムだったが、ラストプレーの場面で最後尾のシソコからのロングボールをジョレンテが身体を張って落とすと、これをデレ・アリが絶妙なダイレクトパスでボックス中央のルーカスに繋ぐと、これをルーカスが左足でゴール右隅に流し込み、ハットトリックを達成すると共にトッテナムをクラブ史上初のCL決勝に導いた。 ▽準決勝結果 トッテナム 0-1 アヤックス アヤックス 2-3 トッテナム 2019.06.01 21:30 Sat
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【2018-19セリエAベストイレブン】得点ランクTOP4を選出!

2018-19シーズンのセリエAが終了しました。そこで本稿では今季のセリエAベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ベストイレブン GK:ハンダノビッチ DF:シュクリニアル、クリバリ、アチェルビ、キエッリーニ MF:A・ゴメス、マテュイディ FW:D・サパタ、ピョンテク、クアリアレッラ、C・ロナウド GKサミル・ハンダノビッチ(34歳/インテル)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:38(先発回数:38)/失点数:33/出場時間: 3420分 フルタイム出場を果たし、ユベントスの30失点に次ぐ33失点に抑えたインテルの守護神を選出した。ユベントスとは比較にならない程のピンチがあった中、ハンダノビッチのファインセーブにより防がれた失点は数多くあった。イカルディがキャプテンを剥奪された中、主将としてチームをまとめ、最終節エンポリ戦ではビッグセーブを連発してチームをCL出場に導いた。 DFミラン・シュクリニアル(24歳/インテル)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:35(先発回数:35)/得点数:0/出場時間:3150分 移籍2年目の今季もインテルの守備の要として抜群の存在感を見せた。ソリッドな守備からの好インターセプトでそのまま持ち上がり、攻撃につなげるシーンを幾度も見せた。ハンダノビッチと共にインテルのディフェンスに欠かせない存在となっている。 DFカリドゥ・クリバリ(27歳/ナポリ)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:35(先発回数:35)/得点数:2/出場時間:3135分 セリエAのみならず世界を見渡しても屈指のDFであるクリバリは今季も抜群の安定感を誇り、自陣ゴール前で壁となった。相棒のアルビオルが負傷で長期離脱しながらも毎試合のように代わる相棒を牽引し、ナポリの守備を支えた。 DFフランチェスコ・アチェルビ(31歳/ラツィオ)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:37(先発回数:37)/得点数:3/出場時間:3310分 デ・フライの抜けた穴を見事に埋めて見せた。サッスオーロから加入した192cmの大型センターバックはシモーネ・インザーギ監督の全幅の信頼を掴み、フル稼働して見せた。対人の強さはもちろん、3バックの中央で守備を統率するインテリジェンスを併せ持ち、ラツィオのディフェンスリーダーとなった。 DFジョルジョ・キエッリーニ(34歳/ユベントス)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:25(先発回数:22)/得点数:1/出場時間:1991分 出場試合数は少ないが、出た試合での好パフォーマンスを考慮して選出。同い年のC・ロナウドの加入が刺激となったのか、34歳となってもなお衰えを知らず、例年以上のハイパフォーマンスを見せた。惜しむらくはシーズン終盤に慢性化しているふくらはぎの負傷によってアヤックス戦に出場できなかったことだった。 MFアレハンドロ・ゴメス(31歳/アタランタ)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:35(先発回数:34)/得点数:7/出場時間:2911分 ミラクル・アタランタの象徴として攻撃陣を牽引。イリチッチと共に攻撃のアクセントを付け、12アシストを記録し、得点源のD・サパタのゴールをお膳立てした。在籍5シーズンのキャプテンは、ピッチ外でも明るいキャラクターでチームをまとめ、クラブ史上初のCL出場に導いた。 MFブレーズ・マテュイディ(32歳/ユベントス)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:31(先発回数:29)/得点数:3/出場時間:2427分 アタランタのコントロールタワーであるデ・ルーンと迷ったが、ユベントスの中盤を支えたマテュイディを選出。移籍2年目の今季も持ち前のハードワークで攻守に奮闘し、ユベントスのアイデンティティを体現する存在となった。優勝したワールドカップでの疲れを見せず、シーズンを通して戦い抜いた。 FWドゥヴァン・サパタ(28歳/アタランタ)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:37(先発回数:32)/得点数:23/出場時間2897分 これまでもポテンシャルは評価されてきたD・サパタだったが、今季ついにブレイクした。圧倒的なフィジカルの強さを武器に強引にゴールをこじ開け、キャリアハイとなる23ゴールを挙げて得点ランク2位となった。一方で両足を器用に扱えるテクニックも持ち、前線で起点となる働きもこなした。7アシストを記録したことが彼のプレーの幅の広さを物語っている。 FWファビオ・クアリアレッラ(36歳/サンプドリア)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:37(先発回数:37)/得点数:26/出場時間:3211分 昨季キャリアハイの19ゴールを挙げた36歳の大ベテランは、今季更なる進化を遂げ26ゴールを奪って自身初の得点王に輝いた。キャリア終盤を迎えて意外な最盛期を迎えている円熟のストライカーは類まれなシュートテクニックを生かし、ゴールを量産した。 FWクシシュトフ・ピョンテク(23歳/ミラン)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:37(先発回数:34)/得点数:22/出場時間:2971分 ポーランドからイタリアにやって来た新星が大ブレイクを果たした。ジェノアで開幕7試合連続ゴールを決めてその名を轟かせたピョンテクは、1月に4000万ユーロの大金でミランに移籍。ジェノアとはプレッシャーのかかり方が違うミランでの後半戦も9ゴールを挙げ、得点力不足に陥っていたチームの貴重な得点源となった。驚異的な決定力を武器にミラニスタのハートを鷲掴みにした。 FWクリスティアーノ・ロナウド(34歳/ユベントス)<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190527_38_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>出場試合数:31(先発回数:30)/得点数:21/出場時間:2689分 移籍金1億ユーロの価値を結果で証明した。34歳となっても身体のキレは全く衰えず、レアル・マドリーでは影を潜めていた左サイドからのカットインシュートで幾度もゴールに迫った。ゴールマシーンとしてコンスタントに得点を重ね、21ゴールを記録。得点王は逃したが、ユベントスの得点源として十分な働きを見せた。懸念されたエゴイスティックなプレーは見られず、チームプレーにも徹し、11アシストを記録した点も高評価に値する。 2019.05.30 23:45 Thu
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