女性への不適切行為にJFAは素早い対応/六川亨の日本サッカー見聞録2018.11.10 12:00 Sat

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▽今週水曜の7日、JFA(日本サッカー協会)はキリンチャレンジ杯で16日にベネズエ、20日にキルギスと対戦する日本代表23名を発表した。招集メンバーは10月のウルグアイ戦とほぼ同じで、試合中に胸部をボールが痛打し肺気腫となった長友佑都、J1リーグの試合中に相手選手の肘が顔面を強打し眼底骨折した小林悠がメンバーから外れた。▽代わりに招集されたのが、レフティーの左サイドバック山中亮輔(横浜FM)と、屈強なフィジカルから対人プレーに強さを発揮する鈴木優磨(鹿島)の2人だった。山中は25歳、鈴木は22歳と、選手として脂の乗り切った年代での選出だけに、どんなプレーを見せてくれるか楽しみである。

▽そして今回の招集で明らかになったことがある。森保監督は海外組といえども試合に出ていない選手、今回では香川真司、武藤嘉紀、岡崎慎司らロシアW杯組のベテランを招集しないということだ。トップ下の候補が南野拓実しかいないことに不安を覚えるが、アジアカップは今回のメンバーが中心となって臨むことは間違いないだろう。

▽当日は11月11日から21日にかけて、UAEで開催されるドバイカップU-21日本代表のメンバーも発表された。こちらはU-21世代の板倉滉(仙台)、小川航基(磐田)と、U-19世代の橋岡大樹(浦和)、田川亨介(鳥栖)に加え、U-17世代の久保建英(横浜FM)と3世代の混成チームだ。

▽そしてA代表の横内昭展コーチがU-21代表の監督代行を務め、逆にA代表のコーチにU-19コーチの秋葉忠宏、U-16コーチの齋藤俊秀を起用したのは、森保監督がテーマに掲げる世代間の融合を意図してのことだろう。こうした試みは初めてのことなので、どのような成果と弊害が出てくるのか興味深い。

▽さて、翌8日はJFAの定例理事会が開催され、先月31日に女性職員にハグなどの不適切な行為でリトルなでしこ(U-17日本女子代表)の監督を辞任した楠瀬直木監督に代わり、監督代行を務めていた池田太氏の正式な監督就任を承認した。

▽あわせて監督責任として田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、女子委員会の今井純子委員長、手塚貴子副委員長が役員報酬の10パーセントを3か月間、自主返納することを決めた。

▽楠木氏の辞任はすでに11月1日で報道されていたが、最初は「強敵に勝ったり、W杯出場を決めたりしたら、思わず近くにいたら女性でもハグしてしまうだろう」と、ちょっと厳しい対応だなと思った。しかし詳細を聞くと、出張先の勤務時間中だったり、JFAハウス内での会議後だったりと、ハグする必要のない場面で同じ女性にハグしたという。

▽これでは「お疲れ様という意味だった」という言い訳は通用しない。今回は不快に感じた女性職員が上司に相談したことで明らかになり、JFAの対応も素早かった。ここ1年、体操女子や柔道女子ではパワハラが明るみに出たり、8月のアジア大会ではバスケットボール選手の回春行為が明らかになったりした。

▽バスケットボールの選手がわざわざ「JAPAN」のロゴが入った公式ウェアを着て繁華街に繰り出したことを不審に思うかもしれないが、アジアで開催される大会では「JAPAN」のロゴが入っていればアスリートだとすぐに分かるため、モテるのだ。そうした伝統を彼らは受け継いだのだと推測できる。

▽そうした意味で、今回のJFAの対応は賞賛していい。他競技の不祥事を「他山の石」としたのだろう。被害女性は、最初の1回くらいはガマンしたのかもしれない。しかし2度目となると確信犯である。もしかしたら楠木氏も1回目のハグで何も抗議されなかったので、自分に好意を抱いていると勘違いしたのかもしれない。一般社会でもよくありそうな事例だが、スポーツ界に携わる関係者は、諺にも「李下に冠を正さず」とあるように、疑われる行為は慎むべきである。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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レアル移籍で久保は東京五輪に出場できない?/六川亨の日本サッカー見聞録

現在ブラジルで開催中のコパ・アメリカだが、テレビ中継しているのはインターネットのDAZNだけ。放映権を取得する時点で選手を招集するのに強制力がなく、海外組はオフシーズン、国内組はJ1リーグの真っ最中ということもあり、東京五輪候補が主力になるだろうとの予測のもと、NHKを始め民放各社は手を上げなかった。 フタを開けてみれば、U-20W杯に出ると思われていた久保建英と安部裕葵が呼ばれ、なおかつ久保はレアル・マドリーに移籍が決まったため、がぜん注目度が急上昇。放映権を見送ったNHKを始め民放各社は地団駄を踏んでいるかもしれない。 本来、日本代表の試合は広く日本国民に見てもらうため、無料での視聴がJFA(日本サッカー協会)の務めだろう。その義務を怠ったそしりは免れないが、DAZNが手を上げなければ試合そのものを視聴できなかった可能性もあっただけに、今回は致し方ないといったところか。 といったところで本題に入ろう。チリ戦では新聞各紙をはじめネットでも久保のプレーを賞賛する記事が多かった。試合は0-4の完敗だっただけに、ポジティブな要素が久保しかなかったのは頷ける。ただし、チリ戦後の記事を読んで気になったこともある。 「久保を東京五輪の中心選手に」といった論調だ。 久保のレアル移籍に関し、所属元のFC東京の大金直樹社長は「6月4日で契約は切れているため、移籍交渉にはまったく関与していません」と明言していた。久保サイドとレアルが直接交渉したことになる。 そこでブラジル在住で、古くからサッカーダイジェストに寄稿していたフリージャーナリストの沢田啓明氏が興味深い記事を書いた。スペインのマルカ紙はレアルと密接な関係があり、同紙の記者が練習場に来たので直撃したところ、次のようなことが判明した。 「バルセロナは年俸がBチームの選手として上限の3050万円で、最初の2年間はBチーム」に対し、「レアルは手取りで年俸約1億5千万円、税金を含めると総額2億4千万円の5年契約を提示し、Bチームでプレーするのは1年間」というものだ。 今夏、7月中旬にバルセロナとチェルシーが来日し、神戸や川崎Fなどとフレンドリーマッチを行う。同様にレアルはアメリカツアーを実施し、久保のレアル合流はこのアメリカツアーが有力視されている。 そこで来夏の東京五輪である。サッカー競技は開会式の2日前の7月22日に開幕戦を迎え、8月8日が決勝戦となっている。今年に当てはめるならレアルのアメリカツアー(7月21日から27日にかけてバイエルン・ミュンヘン、アーセナル、アトレチコ・マドリーと対戦)とモロに被っているのだ。 バルセロナなら2年間はBチームのため、久保の東京五輪出場を認めたかもしれないが、レアルなら、来年の7月はトップチームに昇格し、ポジション争いをしなければならない重要な時期だ。 そこで東京五輪に出場することをレアルが許すかどうか。また久保自身がトップチームに昇格しながらチームから離脱するかどうかは、はなはだ疑問だ。 田嶋幸三JFA会長は「東京五輪は男女とも金メダルを狙う」と公言しているものの、久保の移籍に関して関塚隆技術委員長がレアルと東京五輪の出場に向けて交渉したとは考えにくい。これが、もしもFC東京が移籍交渉に絡んでいれば、その可能性はほんの数パーセントだがあったかもしれない。 また久保自身がレアルに対して東京五輪への出場を移籍条件に含めたかというと、その可能性はゼロだろう。今年2月の沖縄キャンプを取材した際に、久保にU-20ポーランドW杯の抱負を聞いたところ、「まだ選ばれていないのでお答えできません」という返事だった。 仮定の質問には答えない。なぜなら選ばれなかったら恥をかく――それが久保流のプライドでもあるからだ。 このため久保を中心とした五輪のチーム作りはリスクを伴う。それは3年前のリオ五輪で久保裕也を招集できなかった前例からも明らかで、同じことは海外組の堂安律や冨安健洋にも当てはまる。 最強チームを作りたくても作れない状況に陥りかねないのが東京五輪の男子チームと言える。関塚技術委員長がどうネゴシエイトするのか、責任は重大である。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.06.21 12:00 Fri
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久保のレアル移籍報道/六川亨の日本サッカー見聞録

やっとと言うか、ようやく久保建英の海外移籍に進展が見られそうだ。今日の午前中、共同通信が、久保がレアル・マドリーと5年契約で年俸2億円超などの条件面で合意したと報じた。 かつて下部組織でプレーしたバルセロナは、当初から条件面で久保サイドとは開きがあり、獲得レースから身を引いていた。そこで急浮上したのがレアルでありパリSGだった。久保自身はかつて過ごした、言葉もわかるスペインへの移籍を希望していたそうだ。 しかしトップチームでのプレーを希望したため、バルセロナとは決別せざるを得なかった。それもそうだろう。いくら才能があっても、実績はゼロに近い。これが、もしもポーランドで開催中のU-20W杯に久保が出場し、優勝に導くなど大活躍すれば話は違ったかもしれない。 久保の出場を訴えながらも聞き入れられなかったU-20日本代表の影山雅永監督にすれば、グループリーグでイタリアから勝利を奪えず、グループリーグ2位で勝ち進んだ韓国にラウンド16で敗れ、その韓国が初の決勝戦に進出しただけに“慚愧”の思いだろう。 ただ、その他の報道によると当初は3部リーグにあたるレアルBチームからのスタートが濃厚だという。そこで結果を残し、1部中位クラブへのレンタル移籍でも実績を残せば、晴れて“白い巨人”の一員になれるかもしれない。 レアルへの移籍で、これから開幕するコパ・アメリカでも久保は多くの注目を集めるだろう。6月9日のキリンチャレンジ杯のエルサルバドル戦で代表デビューを飾り、華麗なステップでマーカーをかわしてシュートを放ったり、フリックで中島翔哉の決定機を演出したりするなど、デビュー戦とは思えないレベルの高いプレーを見せた。 そんな久保をエルサルバドルのカルロス・デロスコボス監督は「非常に興味深いと思う。若くして代表にデビューしたのは、とてもいい選手だからだ。18歳で代表チームにデビューしたのは、とても成熟した選手だからだと思う」と印象を語っていた。 エルサルバドル戦では、久保と同じ時間帯に中島も交代で投入された。ドリブラーとして、代表でも海外移籍でも実績のある中島だったが、より輝いて見えたのは久保の方だった。 その理由を富山の監督を務めていたときに中島を、FC東京U-23の監督時には中島と久保を指導した安間貴義FC東京コーチは「スタートポジションの違い」と説明する。 「翔哉(中島)は左サイドでワイドに開き、足下にパスを受けてからドリブル突破を始めます。建英(久保)は、右サイドはもちろん、トップ下でも左サイドでもプレーできます。そして足下だけでなく、スペースにパスを要求するときもあります。ボールの引き出し方が豊富なため、自然と味方からのパスが多くなり、翔哉より目立って見えたのでしょう。これで堂安君が刺激を受けたら面白くなりますね」 17日のチリ戦からスタートするコパ・アメリカに堂安律は選出されていないが、久保と中島がどんなプレーを見せるのか。そしてFC東京はいつ久保のレアル移籍を発表するのか。久保から目の離せない1週間になりそうだ。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.06.14 18:00 Fri
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久保がメンバー外ならU-20W杯に出して欲しかった/六川亨の日本サッカー見聞録

トリニダード・トバゴを迎えてのキリンチャレンジ杯は0-0のスコアレスドローに終わった。森保一が監督に就任して15戦目で採用した3バックによる[3-4-3]システムは、それなりに見どころがあった。 しかし前後半を通じて25本のシュートを放ち、8度の決定機を迎えながら、シュートに正確性を欠き、相手GKマービン・フィリップの神がかったようなビッグセーブにゴールを割ることはできなかった。 そしてこの試合の一番の焦点であった久保建英は、スタメンはおろかベンチにはいることすらできなかった。もともと国際Aマッチの登録メンバーは23名である。しかし今回、森保監督は27名の選手を招集した。 そしてスタートリストに名を連ねたのは、過去にサムライ・ブルーの一員として出場経験のある23名だった。 今シーズンの出場が1試合だけのGK川島永嗣(ストラスブール)と、今季は無得点のFW岡崎慎司(レスター・シティ)がベンチ外になったのは、コンディションの確認とコパ・アメリカ要員だからだろう。そして初招集で、同じくコパ・アメリカ要員の久保と中山雄太もスタートリストから漏れた。 18歳(招集時は17歳)で代表入りし、世間の注目を集めている久保がベンチ外になったことを、森保監督は次のように説明した。 「メディアに期待されていると思うし、試合をごらんになっている皆さんも久保が出ることを期待されているのはひしひしと感じています。クラブでの活躍と今回招集してA代表でできると思ったので、ピッチの上に立たせてあげたいと思っています」と最初は期待を持たせた。 しかし、「18歳になったばかりなのと、シーズンを通してチームを牽引し、今は移籍報道でプレッシャーがかかっているなか、緊張を緩めながら先に進んだ方がいい。チームの状況次第ですが、このまま成長し続けてくれれば間違いなくA代表でプレーできます。彼の成長と、彼だけでなく選手は日本の宝だから、彼らを見ながらベストの選択をしたいと思っています」と、トリニダード・トバゴ戦だけでなく、9日に宮城で開催されるエルサルバドル戦でも構想外であることを示唆した。 「覆水盆に返らず」--ではないが、キリンチャレンジ杯で起用する予定がないのだったら、ポーランドで開催中のU-20W杯に久保を出場させて欲しかった。 もしも久保がチームにいたら、グループリーグ最終戦のイタリアに勝って1位で突破していたかもしれないし、決勝トーナメント1回戦の韓国戦でも前半で勝負を決めていたかもしれない。もしかしたらベスト4以上の可能性もあったのではないかと思うと残念でならない。 もともとFC東京の長谷川健太監督は久保と田川亨介に関してU-20W杯に2人を送り出す気でいた。 逆読みすると、もしも久保をU-20W杯に招集したら5月12日にチームに合流してポーランドへ移動すると、J1リーグの試合は3試合の欠場を余儀なくされる。そこでJFA(日本サッカー協会)はFC東京への配慮からJ1リーグ出場を優先し、リーグ戦が中断期間に入るキリンチャレンジ杯に招集した可能性もある。 コパ・アメリカに関しては、久保の海外移籍の話が現実味を帯びており、その後のリーグ戦への影響もない。そうした複雑な裏事情があったのかもしれないが、すでにU-20日本代表は負けてしまったため、「覆水盆に返らず」である。 ただ、6日の練習ではトリニダード・トバゴ戦に出場しなかったメンバーがハーフコートでのゲーム形式の練習中に、シャドー候補の香川真司が練習を途中で切り上げ、トレーナーとともにロッカーへ戻った。彼の代わりに練習に参加したのが久保だったので、今後の香川のコンディション次第では久保の途中出場もあるかもしれない。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.06.07 15:30 Fri
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6月はイベントが目白押しだが今後は整理する必要も/六川亨の日本サッカー見聞録

影山雅永監督率いるU-20日本代表が、ポーランドで開催中のU-20W杯で「死の組」と言われたグループBを1勝2分けの2位で通過し、2017年の韓国大会に続きベスト16進出を決めた。 前回大会は“飛び級”で久保建英や田川亨介らが招集されたものの、第2戦のウルグアイ戦でエースの小川航基が負傷。1勝1分け1敗ながら3位でグループリーグを突破した。しかしラウンド16で準優勝したベネズエラに延長戦の末0-1で敗れて敗退を余儀なくされた。 今回のチームには久保が不在だが、初戦で南米王者のエクアドルと1-1で引き分けると、北中米2位のメキシコに3-0と快勝。そして昨夜は欧州2位のイタリアとスコアレスドローだったが、PKやGKとの1対1を確実に決めておけば首位通過も可能だった。 ただ、首位通過だとA/C/Dの3位と対戦と組み合わせには恵まれるものの、試合が6月2日のため中3日でのゲームになる。しかし2位のため試合は6月4日と中5日の余裕がある。イタリア戦では田川がGKと1対1の場面で負傷し、斉藤光毅もドリブル突破を仕掛けた際に左肩を負傷して交代を余儀なくされた。 これまでの連戦と続出した負傷者を考慮すれば、中5日のインターバルは日本にとってアドバンテージになる。 2年前の大会に比べ、試合を重ねるごとに日本は戦術理解度が浸透し、対戦相手の攻撃に臨機応変に判断して対処していた。失点はGKのパンチングが田川の顔面をヒットして失ったOGだけで、実質無失点に近い。イタリア戦でも後半は相手の猛攻にさらされたが、GK若原智哉が好セーブでゴールを死守した。 さてラウンド16の対戦相手はグループFの2位で、現在は韓国だが、3位のポルトガルとは同勝点で、得失点差でリードを保っている。しかし最終戦の相手は韓国が2戦全勝のアルゼンチン、ポルトガルは2戦全敗の南アフリカだけに、最終戦で順位が入れ替わる可能性も大だ。 ポルトガルは欧州1位の強豪だが、アジア勢はU-19アジア選手権のサウジアラビアと3位のカタールが2戦全敗で早々とグループリーグ敗退が決定。もしも韓国が2位だとアジア勢同士のつぶし合いになるだけに、できればポルトガルと対戦したいところだ。 そして6月に入ればトゥーロン国際大会とキリンチャレンジ杯が始まり、中旬からはコパ・アメリカも開幕する。さらに女子のW杯と主要なイベントが目白押しだ。現在ポーランドで取材中の知人記者は、決勝まで残り、ポルトガルで開催されるリスボン杯(6月4日~15日。U-18日本代表が参加)を取材してからブラジル入りと長期ツアーを計画している猛者もいる。 ただ、こうして簡単に紹介しただけでもかなりハードな6月で。先週23日のJリーグの理事会で、ある理事から「スケジュールが過密なので、今後はコパ・アメリカも含めて出場する大会を整理したらどうか」という提案が出されたのも当然だろう。 <hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.05.30 19:20 Thu
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キリン杯とコパの日本代表が決定/六川亨の日本サッカー見聞録

6月5日と9日のキリンチャレンジ杯に臨む日本代表27名と、6月17日から始まるコパ・アメリカの代表23名が発表された。 選手の拘束力があるキリンチャレンジ杯は、大迫勇也や長友佑都らロシアW杯のメンバー10人に、今年1月のアジア杯からは権田修一、冨安健洋、堂安律、中島翔哉らに加え、新たに中山雄太、久保建英ら3名が加わった。 総勢27名の大所帯になった理由について森保一監督は「選手のコンディションにより、リーグ戦が終わって間の空いた選手もいれば、活動を見られない選手もいたので呼んだ」と述べた。 注目の久保建英については「チームで見せているパフォーマンスがいいのと、チームの中でも存在感を発揮している。2試合連続してゴールを決め、チームを勝たせる仕事をしている。求めるところはクラブと変わらない。攻撃のアクセントになり、緩急をつけて相手ゴールに迫っているので、代表でもその力を発揮して欲しい」と高く評価していた。 その久保がコパ・アメリカの代表にも招集されたのは正直意外だった。FC東京の長谷川監督がよく出したものだと思う。恐らく控えには大森晃太郎、ナ・サンホらがいるからだろう。 さてコパ・アメリカに臨む日本代表である。会見の冒頭で森保監督が「まずコパ・アメリカに参加するにあたって、派遣義務のない大会のなか、Jのみなさん、大学の皆さんにはシーズン中に戦力がダウンするなか、選手を派遣していただき、われわれに協力していただけることに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。 23名のメンバーには初代表の選手が13人もおり、東京五輪世代が18人もいる。五輪のエントリーメンバーは18名だから、今回のコパ・アメリカ組が東京五輪のベースになるのは間違いないだろう。 森保監督も「まずは東京五輪世代の選手を多く選出させていただきました。その点では、私がA代表の監督をし、東京五輪の監督をしており、2つのグループをラージグループとして見ています。今回2つの大会があるなかで、どうA代表のラージグループとしてレベルアップさせることができるかを考えて、このメンバーになりました」と選考理由を明かした。 従って今回の選考は、コパ・アメリカというより、東京五輪のためではないだろうか。だからこそJクラブも協力せざるを得なかったのではないか。その点を関塚隆技術委員長に質問したところ、「このメンバーは森保監督以下のスタッフが兼任でやられているなかで、拘束力のない大会での派遣に関してA代表として戦いますが、来年の五輪への戦力というご理解は大きかったのかなというふうに思っています」と正直に語っていた。 和を重んじる日本人が「地元開催の五輪で金メダルを取るため」と言われれば断ることは難しい。ただJFA(日本サッカー協会)が配慮した節も見られる。それはフィールドプレーヤーが各クラブとも1名に限定していることだ。やはりリーグ戦の期間中ということで、JFAも譲歩したのだろう。 キリンチャレンジ杯に招集されなかった安部裕葵(鹿島)、同じくトゥーロン国際大会に招集されなかった上田綺世(法政大)も順当にコパ・アメリカでの選出となった。 森保監督は4-2-3-1を基本フォーメーションにするが、キリンチャレンジ杯では久保、南野、中島の2列目がどんなハーモニーを奏でるのか楽しみだし、コパ・アメリカなら右サイドの久保と松本泰志(広島)、渡辺皓太(東京V)、左サイドは安部と中島の競争となるが、そうなるとトップ下の候補がいなくなるだけに、中島がトップ下を務める可能性もあるかもしれない。 まずはキリンチャレンジ杯で新戦力の融合具合を確認しつつ、コパ・アメリカでは誰が台頭してくるのかを楽しみに待ちたい。 6月上旬にはカタールW杯のアジア1次予選が行われ、9月からは日本などシード国の出場する2次予選がスタートする。W杯予選に向けて選手層の充実と戦術の浸透度を図る6月の2大会とも言える。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.05.24 21:00 Fri
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