【2022年カタールへ期待の選手⑥】イニエスタ、ポドルスキ、リージョ監督から薫陶を受ける東京世代の大型ボランチ/郷家友太(ヴィッセル神戸/MF)2018.09.26 17:00 Wed

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▽フアン・マヌエル・リージョ新監督就任が発表され、労働ビザが取れ次第、本格的に指揮を執ることになるヴィッセル神戸。2017年夏のルーカス・ポドルスキ、今夏のアンドレス・イニエスタという両ビッグネーム加入に加え、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が師を仰ぐ名将の合流によって、彼らにはさらなる世界基準と化学変化がもたらされる可能性が高い。

▽22日の浦和レッズ戦はイニエスタ欠場と3バック採用による戦術浸透不足などで0-4の大敗を喫したが、19歳の若き大型ボランチ・郷家友太は「自分たちが変わるためには必要な試合だった」と強調。ここからが真の再スタートになると認識している様子だ。▽「ファンマ(リージョの愛称)監督からまだ指導は受けてないですけど、相手が来てからボールを出すとか、ギリギリまで引きつけてパスを出すとか『体よりも頭を使ってサッカーをする』という考え方を持っていると聞いています。そういった戦術を早く理解することが大事。吉田(孝行)監督の時は運よく出してもらっていたけど、また新しいポジション争いも始まる。自分と役割の近い選手に負けないように、もっとゴールに迫るプレーだったり、シュートの本数を増やしていかないといけない。それは日々、思ってます」と彼は神妙な面持ちでコメントした。

▽青森山田高校の2年だった昨年正月の全国高校サッカー選手権制覇で一躍知名度を高めた郷家は今季から神戸入りし、いち早く出場機会を得た逸材だ。3月7日のJリーグ・ルヴァンカップ、V・ファーレン長崎戦でプロデビューを果たし、3月18日のセレッソ大阪戦でJ1初先発。4月18日のルヴァンカップ・長崎戦でプロ初得点と一気に階段を駆け上がり、すでにJ1・20試合出場を記録。イニエスタとポドルスキとともに何度もピッチに立ち、凄まじいハードワークと運動量で彼らを支えてきた。その貢献度の高さとダイナミックさ、底知れぬポテンシャルは吉田監督を筆頭にチーム全体に認められていたのだ。

▽リージョ監督率いる新体制移行後は、微妙に役割は変わるかもしれないが、185㎝という高さを誇る伸び盛りのMFを使わないことはないはず。本人も「いつ試合に出られなくなるか分からない」という危機感を抱きつつ、自分自身を進化させていこうという意欲を強めている。

▽「吉田監督の時は下がってボールを受けたりしていいと言われていたけど、今は『あまり下がってこずに前で張ってる状態でいてくれ』と指示されている。それだけFWとの距離は近いので、簡単にFWにつけて、自分がもぐってゴール前に飛び出していくようなシーンを増やさきゃいけない」とゴールに直結するプレーと結果を貪欲に求めていく考えだという。

▽そのお手本と言うべき存在が近くにいるのは大きな強み。ポドルスキは左足1本で豪快なシュートを打てる選手だし、イニエスタも要所要所でプレーを変化させながらゴールを奪える。8月11日のジュビロ磐田戦と15日のサンフレッチェ広島戦で見せた連続ゴールで多彩な得点パターンを実証している。世界トップレベルで活躍しようと思うなら、中盤の選手と言えども、ペナルティエリアの外側からシュートを決められる能力は必要不可欠。イニエスタの得点シーンを間近で見た郷家はそのことを痛感したはず。そんなスーパースターのクオリティを日々体感できる環境にいられることは本当に恵まれている。それを生かさない手はないのだ。

▽「イニエスタとポドルスキは1本1本のパスの精度だったり、シュートの精度だったりが非常に高い。そこは自分に足りない部分だと思うし、成長するうえで絶対に必要なところだと感じます。僕が目標にしているのは(イバン・)ラキティッチ(バルセロナ)や(ルカ・)モドリッチ。点も取れて守備もできてゲームメークもできるという『何でもできる選手』になりたい」と本人も目を輝かせている。

▽このような総合力を高めていけば、郷家は日本を代表するスーパーボランチに飛躍できる可能性が少なからずある。実際、185㎝という高さを誇るMFはなかなかいない。2018年ロシア・ワールドカップまで8年間日本代表キャプテンを務めた長谷部誠(フランクフルト)といえども180㎝で、世界基準ではそこまで高い方ではなかった。他のボランチ陣を見ても、山口蛍(C大阪)も柴崎岳(ヘタフェ)も遠藤航(シントトロイデン)も170㎝台。190㎝近いアタッカーを次々と投入してくるベルギーやセネガルのような相手を想定した場合、郷家のような選手が順調に育たなければ厳しいのだ。

▽そういう意味でも、彼には大きな期待が寄せられる。まずはリージョ新監督の信頼を勝ち得て神戸でコンスタントにピッチに立ち続け、10月のAFC U-19選手権(インドネシア)で世界切符を勝ち取り、森保一監督率いるU-21代表へと着実にステップアップすることが重要だ。2020年東京五輪で活躍すれば、A代表の定位置、そして2022年カタールワールドカップ出場も自ずと見えてくる。そういったルートに乗るべく、彼には最高の環境にいるメリットを武器に、急成長を遂げてほしいものである。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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【2022年カタールへ期待の選手㉒】偉大な先輩・内田篤人を超える可能性を秘めたインテリジェンスの高い右サイドバック/菅原由勢(名古屋グランパス/DF)

5月23日からポーランドで開催中の2019年U-20ワールドカップ。久保建英(FC東京)や安部裕葵(鹿島アントラーズ)、橋岡大樹(浦和レッズ)らチーム発足時からの主力を欠いた日本は苦戦が予想されたが、ふたを開けてみると、エクアドルに1-1、メキシコに3-0と2戦終了時点で勝ち点4を確保。29日のグループ最終戦・イタリア戦もスコアレスドローに終わり、「死の組」と言われたタフなグループを2位で通過。何とか決勝トーナメントに駒を進めることができた。 ここまで2ゴールの宮代大聖(川崎フロンターレ)、1ゴールの田川亨介(FC東京)と山田康太(横浜F・マリノス)ら攻撃陣の働きが注目されがちだが、守備陣の奮闘も見逃せない。とりわけ、右サイドバック・菅原由勢(名古屋グランパス)の献身的なパフォーマンスは目を見張るものがある。エクアドル戦前半の日本は一方的に攻め込まれ、度重なるピンチに見舞われたが、背番号5は体を張ってクロスを跳ね返し、1対1でも食らいついていく。その集中力の高さがチームを救う場面が大いに目についた。 メキシコ戦は一転、攻め込む展開となり、菅原も前半35分には絶妙クロスで田川のヘディング弾をお膳立てしたかと思われた。が、惜しくもオフサイド。本人は弓矢を引く素振りを見せたが、残念ながら得点は認定されず、パフォーマンスはお預けになった。 「弓矢? ホント、よく見てますね(笑)。なんか結果残したいと思ってやってるので、オフサイドでしたけど見えているところだったり、ボールを蹴る感触はいいので、ポジティブにやれていると思います」と本人は笑顔を見せたが、取材者を笑わせるようなウィットに富んだ会話力も彼の武器。それはU-15世代から変わらない。菅原が笑顔でチームを盛り上げてくれているからこそ、劣勢を予想された今大会で好スタートを切れた部分は少なからずあるだろう。イタリア戦もフル出場した彼の無尽蔵のスタミナは今の影山ジャパンの大きな力になっているのだ。 2000年に愛知県豊川市で生まれ、中学生の時から名古屋に所属する菅原は、U-15世代から継続的に日の丸をつけ、2017年U-17ワールドカップ(インド)にも参戦してきた。右サイドバックを主戦場とし、迫力ある攻め上がりと精度の高いクロスに自信を持ち、コメント力も高いという意味で、日本代表の偉大な先人・内田篤人(鹿島アントラーズ)に似ているという評価もある。 「内田選手に関しては僕も映像はメッチャ見てます。歴代の先輩と比較してもらえるのは嬉しいですけど、僕は僕ですし、内田選手は内田選手。やっぱり追い越さなきゃいけない存在だと思ってます」と本人も「内田超え」を視野に入れながら自己研鑽に励んでいる。もちろん菅原は状況に応じてセンターバックもこなせるし、内田よりも守備面で力を発揮するケースも多い。そういった特徴の違いはあるが、「世界トップレベルを目指せる逸材」という部分では、若かった頃の先輩に通じる部分は少なくないのだ。 振り返ること12年前。内田は2007年カナダ大会に参戦した。当時すでに鹿島アントラーズで定位置を確保していた彼はU-20の経験を経て、翌年にはA代表入り。北京五輪にも出場し、22歳でドイツに渡った。そういったキャリアプランを菅原も描いているはず。今回のポーランドで躍進を遂げれば、1年後に迫った2020年東京五輪出場、A代表昇格の道も開けてくるだろう。東京五輪世代の右サイドバックには傑出した存在がいないだけに、彼には大きなチャンスが広がっている。A代表の酒井宏樹(マルセイユ)とも10歳差で、ちょうど世代交代の位置にいる。奇しくも内田も加地亮(現解説者)と入れ替わるように頭角を現し、A代表での地位をさらった。そういうチャンスが広がっているのは、菅原にとっての大きなプラス要素と言える。 そうなるためにも、まずは今大会でチームを勝たせる仕事をすることだ。そして所属クラブの名古屋で出場機会を得る努力をしなければならない。高校3年だった昨季は風間八宏監督に才能を見出され、序盤の13試合に起用されたものの、シーズンが進んでいくにつれて戦力外と扱われるようになった。迎えた今季もJ1出場はゼロ。ルヴァンカップではフル稼働しているが、宮原和也らライバルを蹴散らして主力の座に君臨しなければ、森保一監督からも認めてもらえないだろう。ただ、若い選手というのはちょっとしたきっかけで急成長することがある。菅原にとっては今が絶好のチャンス。ポーランドの地で世界の同世代の強敵相手に十分やれるのを示すこと。そこに尽きるのだ。 「僕らはU-17の時にイングランドにPKで負けている。本当に悔しい経験をした。でもあの試合があったから、世界基準が分かったし、モチベーションを持ってここまでやってこれた。まだまだ詰めていかなきゃいけないところはあるので、無駄な時間を過ごさないようにしたい」と本人も目の前の敵を倒すことに集中している。その闘志をピッチ上で体現し、タフに戦える勇敢な右サイドバック像を多くの人に焼き付けるべきである。 さし当たってやるべきなのは、6月4日のラウンド16で韓国代表との大一番に勝つこと。2年前のU-17ワールドカップで敗れ去ったステージを超えることができれば、菅原自身のキャリアも大きく変わるかもしれない。その好機を何としてもつかみ取ってもほしいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">名古屋の菅原由勢に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.06.04 23:50 Tue
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【2022年カタールへ期待の選手㉑】10番を背負うキャプテン。U-20日本代表をけん引する絶対的リーダー/齊藤未月(湘南ベルマーレ/MF)

「インドネシアの最終予選(2018年AFC・U-19選手権)のチームは彼中心にまとまっていた。10番でキャプテンというのはいいんじゃないですかね」 U-20日本代表の影山雅永監督にこう言わしめたのは、チーム最年長のボランチ・齊藤未月(湘南ベルマーレ)。23日に開幕するU-20ワールドカップ(ポーランド)で日本の絶対的リーダーに指名されたのだ。 「10番とかキャプテンとか関係ないです。でもやっぱり周りから見られる目だとか、チームとしての立場は間違いなく大事。しっかり責任と覚悟を持って、地に足付けて戦いたいと思います」と13日の流通経済大学との練習試合後、彼は力強くこう語った。 今回のチームは、最終予選で10番をつけた安部裕葵(鹿島アントラーズ)や攻撃の軸を担っていた久保建英(FC東京)が6月のコパ・アメリカ(南米選手権/ブラジル)参戦のため選外に。守備陣の統率役だった橋岡大樹(浦和レッズ)や守護神の谷晃生(ガンバ大阪)、左サイドの切り札・滝裕太(清水エスパルス)までもがケガで離脱し、戦力的にかなり厳しくなっている。そういう中、99年の早生まれである田川亨介(FC東京)と茂木秀(セレッソ大阪)、齊藤の3人には託される責任はより大きくなる。指揮官も齊藤をキャプテン、2017年韓国大会経験者の田川を副キャプテンに据え、チーム引き締めを図っているのだ。 報道陣の質問にも堂々と答え、外国メディアに対しても湘南インターナショナルスクール時代に磨きをかけた英語で物怖じすることなく回答するなど、確かに彼はリーダーに最適な人物だ。常に勇敢で大人びた立ち振る舞いは同じ湘南下部組織出身の遠藤航(シント=トロイデン)を彷彿させるものがある。そういった人間性を含めて、影山監督も彼を高く評価しているはず。強靭なメンタリティというのは国際舞台で戦い抜くうえで必要不可欠な要素と言っていい。 湘南では17歳になったばかりの2016年にJ1デビューを飾り、2017年にはほぼボランチの定位置を確保。そこからコンスタントに出場実績を積み上げてきた。166㎝と小柄ながらも、凄まじい運動量とハードワークを身上とし、球際も激しく戦うスタイルは、2014年ブラジル・2018年ロシア・ワールドカップメンバーの山口蛍(ヴィッセル神戸)に通じるものがある。 「僕の特長は球際の強さ。山口選手は僕のプレーモデルになる存在だと思います。素早い判断でポジションに戻ったり、相手の逆を突くプレー、つぶすべきところでつぶす動きや姿勢とか、見習う部分が沢山ありますね」と昨年9月のC大阪戦後も目を輝かせていたが、9つ年上の偉大なボランチの一挙手一投足を脳裏に描きながら自己研鑽を続けてきた。 こうした実力を示すべき大舞台が今回のポーランドの大会だ。日本はエクアドル、メキシコ、イタリアという強豪揃いのグループに入っていて、3位以上にラウンド16進出のチャンスがあるとは言っても苦戦が予想される。自国開催だった1979年大会以来、日本は1995年カタール、1997年マレーシア、1999年ナイジェリア、2001年アルゼンチン、2003年UAE、2005年オランダ、2007年カナダと2017年韓国の9回この大会に参戦しているが、1次リーグ敗退を余儀なくされたのは1979年と2001年の2回だけ。駒野友一(FC今治)や佐藤寿人(ジェフユナイテッド千葉)ら2001年組は「谷間の世代」と揶揄され、長い間厳しい評価を受けてきた。そうならないためにも、影山ジャパンは何としても1次リーグを突破する必要がある。齊藤はその絶対的けん引役として奮闘しなければならないのだ。 「大会が始まれば中2日で試合がありますし、先のことを考えるんじゃなくて、1つ1つを見つめて、1つの試合にどれだけパワーをかけられるかが大事だと思います。やっぱり肝心なのはどれだけいいコンディション、いいクオリティでチームを持って行けるか。そこに集中したいです」 キャプテンが言うように、技術戦術レベルで対戦国を下回ったとしても、それだけでサッカーの勝敗が決まるわけではない。走って戦う部分で敵を凌駕できれば日本にも必ず勝機が巡ってくるはずだ。そういう土俵に引きずり込むことが齊藤の大きな役割だ。日本代表で足掛け8年間キャプテンを務めた長谷部誠(フランクフルト)が常にチームを鼓舞し続けたように、若きリーダーには仲間を奮い立たせる声掛けやパフォーマンスが強く求められてくる。 そこで自身の評価を上げることができれば、1年後に迫った2020年東京五輪出場、そして将来的な日本代表入りの道も開けてくる。尊敬する山口やクラブの先輩・遠藤らがひしめくボランチはA代表屈指の激戦区。小兵ボランチの齊藤がそこに割って入るのはそう簡単なことではないが、フィジカル的なマイナス面をカバーできる何かがあれば浮上のチャンスは見出せる。彼にはそれだけのポテンシャルがあるだけに、大いに楽しみだ。まず影山ジャパンで異彩を放つところから始めてもらいたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">湘南の齊藤未月に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.05.17 12:15 Fri
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【2022年カタールへ期待の選手⑳】「ポスト大迫」に向け成長を加速させろ!コパ・アメリカでも見たいマルチFW/上田綺世(法政大学/FW)

2019年コパ・アメリカ(ブラジル)まで1カ月余り。しかし欧州クラブへの拘束力がないうえ、Jリーグも期間中で、森保一監督は選手選考に苦悩している。 とりわけ、深刻なのがFWだ。絶対的1トップ・大迫勇也の派遣を所属のブレーメンは拒否。となれば、別の選手を見つけなければいけない。1~2月の2019年アジアカップ(UAE)では武藤嘉紀(ニューカッスル)と北川航也(清水エスパルス)、3月シリーズでは鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)と鎌田大地(シント=トロイデン)が代役としてテストされたが、誰も合格できたとは言えない状況だ。その彼らもコパには呼べない可能性が高いため、もっと違った人材に目を向ける必要があるだろう。 そこでクローズアップすべきなのが、U-22日本代表のエースFW上田綺世(法政大学)だ。まだ大学3年生でJリーグでの実績は皆無だが、182㎝の高さと強さを兼ね備え、ヘディングでも裏に抜ける動きでもゴールを奪えるマルチなFWという点で、注目に値する。「プレースタイル的には大迫に一番近い選手」という評価もあるほどだ。 24日に東京・西が丘サッカー場で行われた全日本大学選抜とU-20全日本大学選抜との練習試合でも、彼は1ゴールを含む圧巻のパフォーマンスを披露。視察に訪れた森保一監督を唸らせた。U-20日本代表の影山雅永監督も「上田と三苫(薫=筑波大学)はレベルが違う」と語っていて、すでにJリーグで十分活躍できる存在だと多くの関係者に認められている。2018年12月の日本代表合宿に練習パートナーとして参加した時もそん色ないプレーをしていただけに、今、このタイミングでA代表に呼んでみるのも面白いそうだ。 「僕はU-22代表に参加していて、人に見られる環境にいるから、A代表と比べてもらえるんだと思うけど、僕と大迫選手の間には海外にもJリーグにも沢山のFWがいる。今の自分は少し陽の目を浴びさせてもらっているだけ。大迫選手と比較されるってことは、彼と五分の選手でないといけない。鹿島で練習生をやってるうちは全然そういう立場じゃない。鹿島でエース張ってるくらいじゃないと日の丸は背負えないと思います」と本人は謙虚な姿勢を崩さない。が、もちろんこのレベルで終わるつもりはない。 「『大迫の代役』になるつもりはないし、超えていきたいと思ってます。そこにたどり着くにはいろんな壁がある。そこを超えるために足元を見ながら、大学で活躍し、Jに行って、海外へステップアップするという道を歩んでいければいい」と自分に言い聞かせるようにコメントしていた。 そんな上田だが、中学生時代を過ごした鹿島アントラーズノルテから鹿島ユースに昇格できなかった苦い過去を持つ。地元の茨城県の強豪校である鹿島学園へ進み、絶対的エースとして高校総体や高校選手権で活躍するも、夢だったプロ入りは叶わず、法政大学入りを決意している。 「ユースに上がれなかったことを挫折にしたくなかった。『自分が選んだ道を失敗だと思いたくない』って強い気持ちがあったし、鹿島学園に行ったことで、ユースに行っていたであろう自分を超えたかったんです。大学にしてもそう。(プロ入りできなかった)僕は大学に行くしかなかったけど、大学で殻を破れたし、一皮剥けたというのは感じているんで」と自信をのぞかせるように、高校・大学というルートを歩んだから今がある。 法政大学に来てからの上田は、1年の冬に森保監督率いる東京五輪代表の立ち上げとなったM-150カップ(タイ)のメンバーに抜擢され、2018年に入ってからはトゥーロン国際大会やアジア競技大会(インドネシア)、ドバイ・カップなど数々の代表の舞台に立ち、ゴールを量産してきた。そして所属先でも関東大学リーグベストイレブンや全日本大学選手権(インカレ)ベストFW受賞など、数々の成果を手にしてきた。 そんな逸材には複数のJクラブからオファーが殺到。大学生活を2年残した時点で古巣・鹿島に内定したが、これから2年間をどう過ごしていくべきかを今、本人も熟慮している様子。東京五輪に出て、A代表という道を突き進もうと思うなら、大学からJリーグにいち早くステップアップした方が得策だ。本当に「ポスト大迫」の地位に手にしようと思うなら、成長スピードを加速させなければならないのは確か。かつて長友佑都(ガラタサライ)や武藤、室屋成(FC東京)らが辿ったように、大学在学中に退部してJに進む道をどこかで選ぶ可能性が大だろう。 「いろんな選択肢を含めて考えてますけど、いずれにしても自分を高めていくことが大事ですね。今の僕はヘディングと背後とシュートという他より抜けてるであろう武器で認められていると思うけど、収める仕事や守備とかいろんなことができるようになってきたと見られることは1つの成長かなと感じています。そうやって全てのアベレージを上げ、質を高めていくことが重要。そうできる環境を考えていきます」 さしあたって上田がコパ・アメリカに選ばれるかどうかは大きな関心事。そこに参戦しなかったとしても、トゥーロン、ユニバーシアードと沢山の国際舞台が待っている。そこでゴールを量産して、本当にプロになった時に爆発できるような力を蓄えてほしいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">横浜FMの三好康児に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.04.30 12:30 Tue
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【2022年カタールへ期待の選手⑲】横浜で「チームを勝たせる存在」へ。大激戦の2列目の一角を窺う東京世代のアタッカー/三好康児(横浜F・マリノス/FW)

1-1で迎えた後半アディショナルタイム。トリコロールの背番号41をつける小柄なアタッカー・三好康児は自身の力で勝利をもぎ取るべく、右サイドから強引な突破を見せ、思い切り左足を振り抜いた。が、「ちょっと相手が気になって少しミートしなかった」と本人は悔やんだが、GK武田洋平との1対1を決め切れずにタイムアップの笛。13日の名古屋グランパスとの上位対決を制することはできなかった。 昨季の北海道コンサドーレ札幌に続き、今季は横浜F・マリノスに2度目のレンタル移籍に踏み切った三好。札幌ではミハイロ・ペトロヴィッチ監督の信頼を勝ち取り、J1・26試合出場3ゴールという数字を残した。その実績を引っ提げてジュニア時代から在籍する川崎フロンターレへ復帰する道もあったが、本人は「もう一度、外でチャレンジしたい」と横浜FM行きを決断。勝負の2019年を迎えた。そして新天地デビュー戦となった2月23日のガンバ大阪戦でいきなりゴールをゲット。非常に幸先のいいスタートを切ったと思われた。 アンジェ・ポステコグルー監督からも信頼を勝ち得て、そこからコンスタントに先発出場しているが、得点は1のままストップしている。今回の名古屋戦でもインサイドハーフの位置から切れ味鋭いスルーパスをたびたび前線のマルコス・ジュニオールや仲川輝人に送るなど、お膳立ての部分では異彩を放ったものの、自身のシュートは冒頭の1本のみ。 「もう少しゴールに近いところでシュートを打つなり、工夫をしてもいい。開幕戦のゴールはペナ外でしたけど、このチームでゴールまで近づいて行けるチャンスはある。味方としっかり連携を合わせることで決定機を作り出せるだろうし、そこは自分の中でも改善していかないといけない部分だと思います」と本人もゴールに迫る回数や迫力不足を痛感している様子だった。 <div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">横浜FMの三好康児に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> それでも、数々の得点チャンスを演出してくれる「三好加入効果」を実感する選手は多い。U-22日本代表で一緒に戦う遠藤渓太も「康児君は前を向くのがすごくうまいし、自分にないものを沢山持ってるからすごい参考になる。今はセンターFWをマルコスがやってますけど、彼や自分、康児君が流動的にプレーして連動することが大事だと思います」とコメントしていた。東京五輪世代の盟友が指摘する通り、前線のコンビネーションが研ぎ澄まされていけば、横浜FMの攻撃力が増し、三好の課題である得点の部分も改善していくはず。現状から一歩前進し、壁を超えられればできれば、来年に迫った自国開催の東京五輪出場はもちろんのこと、日本代表入りも見えてくるはずだ。 2017年U-20ワールドカップ(韓国)をともに戦った1つ下の堂安律(フローニンヘン)がすでに森保一監督率いる日本代表に定着している通り、同世代には優れたアタッカーが少なくない。17歳の久保建英(FC東京)も近未来のA代表入りが噂されているほどだ。同じレフティの小柄なアタッカーで、U-22代表では10番を背負う三好も「彼らに負けていられない」という危機感は非常に強いはずだ。 「国内国外問わず、仲間たちとの競争で自分は高め合っていけると思っています。律が力のある選手だというのは分かっていますし、タケもU-20から一緒にやっていて(その凄さは)今に始まったことではない。ただ、自分には自分の特長があるので、そこを出していくしかない。やっぱり一番大事なのは最後に点を決めるか決めないか。結果に結び付けなければ先はないと思っています」 三好は語気を強めたが、大激戦の2列目アタッカー競争に勝とうと思うなら、本当にゴールという数字を残すことにこだわるしかない。すでに森保ジャパンの主軸にとなっているリオ・デ・ジャネイロ五輪世代の中島翔哉(アル・ドゥハイル)や南野拓実(ザルツブルク)、さらに年長の2018年ロシア・ワールドカップ組の香川真司(ベシクタシュ)、乾貴士(アラベス)、原口元気(ハノーファー)らもいるだけに、先輩たちを押しのけて台頭するためには傑出した実績がどうしてもほしい。22歳という年齢を考えると決して若いとは言えないだけに、三好はここから一気に勝負をかけるべきだ。 「五輪に出ることが自分の目標じゃないですし、小さい頃からA代表として大会に出ることが目標だった。それは今も変わっていないし、先も変わることはないです。マリノスでしっかり結果を残さなければ、五輪もA代表も見えてこない。『自分がチームを勝たせなければいけない』という思いはもちろん強く持っています」 名門・マリノスで勝利請負人としての役割を果たし、10年以上遠ざかっているJリーグタイトルを引き寄せる原動力になれれば、彼を取り巻く環境も劇的に変化する。そういった勢いを見せられるか否か。札幌に続く2度目のレンタル先で着実に進化する三好康児には大きな期待が寄せられる。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。<div style="text-align:center;" id="cws_ad"><hr><a href="https://prf.hn/click/camref:1100l3Pqd/adref:innews_j" terget="_blank">横浜FMの三好康児に注目!<br />Jリーグを観るならDAZN!<br />1カ月のお試し無料視聴はコチラから!</a><hr></div> 2019.04.17 11:50 Wed
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【2022年カタールへ期待の選手⑱】長友の後継者候補に名乗り。守備的タイプの佐々木や杉岡とは一線を画す左サイドバック/安西幸輝(鹿島アントラーズ/DF)

3月22日のコロンビア戦(横浜)後半44分に佐々木翔(サンフレッチェ広島)と代わって日本代表初キャップを飾った安西幸輝(鹿島アントラーズ)。彼にとって真の国際Aマッチデビュー戦となったのが22日のボリビア戦(神戸)だった。 東京ヴェルディ時代からの同期・畠中槙之輔(横浜F・マリノス)の横に陣取り、経験豊富な2018年ロシア・ワールドカップ組の乾貴士(アラベス)とタテ関係を形成する中、背番号19をつけた23歳の左サイドバックは序盤から高い位置を取って積極的に仕掛けた。ダイナミックな攻撃力とタテへの推進力は同じポジションの佐々木、東京五輪世代の杉岡大暉(湘南ベルマーレ)と一線を画すものがある。そこは鹿島の先輩・内田篤人が「攻撃だけなら長友佑都(ガラタサライ)さんや宏樹(酒井宏樹/マルセイユ)よりいい」と語っただけのものはある。 課題の守備に関しても、ボリビアで最も大きなインパクトを残したレオナルド・パカの鋭い突破力と1対1の強さに翻弄されながらも、何とかついていって最後の危ない場面に至る前に阻止していた。むしろこういう相手とマッチアップできたのは、安西にとってはいい経験になったはず。「守りが今一つ」と言われてきた若武者はこういった世界基準の相手と対峙する経験を増やしていけば、着実にレベルアップできる。そんな前向きな感触を残したのは確かだろう。 「代表で長い時間プレーして『もっと出たい』って思ったし、『このチームで定着したい』っていうふうに純粋に感じたんで。これからやるべきことは多いですけど、急いで篤人君だったり、長友さんのレベルに追いつかないと。危機感を感じています」と本人は世界基準を目の当たりにして、意識レベルを一気に引き上げていた。 長友の後釜をどうするかというのは、森保一監督率いる日本代表にとって1つの懸案になっている。長友自身は「まだまだ代表でやり続けたい。(1歳の)息子が父親が代表選手だと分かるまでピッチに立っていたい」と繰り返し語っていて、6月のコパ・アメリカ(ブラジル)も出る気満々だ。しかしながら、2018年ロシア・ワールドカップ後には肺気胸に見舞われ、1~2月の2019年アジアカップ(UAE)直後には発熱、右ひざじん帯損傷とアクシデントが続いている。今回の3月2連戦も同じトルコで戦う盟友・香川真司(ベシクタシュ)をサポートする意味も込めて参戦を熱望したはずだが、体の状態には勝てなかった。 となると、現時点では2番手の佐々木がファーストチョイスに繰り上がるが、彼は森保体制になって国際舞台を踏んだ選手。屈強なフィジカルと跳躍力を生かして守備面で貢献できる選手だが、29歳という年齢やここからの伸び代を考えるとやや難しいところがある。これまで森保監督が呼んだ山中亮輔(浦和レッズ)も攻撃偏重の傾向が強く、攻守両面でバランスのとれる適材がなかなか見つからない。そんな中、安西が一気に浮上してきたのだ。 安西はご存知の通り、左右両サイドでプレーでき、タテに出ていく力、アップダウンできる心肺機能の高さや献身性は誰よりも備えている。そこは東京Vアカデミー時代に教えた経験のある元日本代表左サイドバックの都並敏史氏(ブリオベッカ浦安監督)も太鼓判を押していた点だ。加えて、現在の鹿島の大先輩・内田にも薫陶を受けているのだから、これ以上心強いものはない。内田も19歳だった2008年1月のチリ戦(東京・国立)で代表デビューした頃は「守りの方が不安」と言われ、岡田武史監督(FC今治代表)から2010年南アフリカ・ワールドカップのレギュラーを外される苦い経験をしている。その後、ドイツへ渡り、シャルケで屈強な男たちの中でプレーを重ね、守備能力に磨きをかけていった。惨敗した2014年ブラジル・ワールドカップで唯一、世界と渡り合った内田のパフォーマンスを当時18歳だった安西はその目に焼き付けていたに違いない。 その偉大な先輩に近づくためには、ボリビア戦のような場に立ち続けるしかない。2018年はFIFAクラブ・ワールドカップにも参戦しているが、代表の舞台は背負うものが全く違ってくる。ボリビア戦のようなフレンドリーならトライ&エラーを優先しても許されるところがあるが、6月のコパ・アメリカ(ブラジル)や今秋から始まる2022年カタール・ワールドカップアジア予選では1つのミスも許されない。そういう修羅場をくぐり、心身ともに成長できれば、安西は本当に長友の後継者たるべき存在に慣れるかもしれない。だからこそ、今後も代表に残り続けて、大舞台に立つチャンスを伺い続ける必要があるのだ。 「(ドイツから帰ってきた)篤人君が『競技が違う』『サッカーが違う』という話をしていたけど、その通りだと思ったし、Jリーグでバンバン活躍して代表に選ばれても、サッカーが違うというのが衝撃を受けた。フィジカル、スピード感。テクニックというよりはガシャって相手は背負ってキープして連動して、相手がどんどん出てくる。シンプルですけど、それが僕らからしたら怖い。そういうことを篤人君は伝えたかったんじゃないかなと。僕も攻撃面ではキレイに抜くよりもぶち抜くことを考えてやってますし。守備も源君(昌子源/トゥールーズ)が一回り違って帰ってきたのを見ると変えないといけない部分があると思う。ホントに全部ですね」 高いレベルに目覚め、ギラギラし始めた若きサイドバックが大化けしてくれれば、森保ジャパンももっと面白くなる。近い将来、A代表に入ってくるであろう杉岡も含めて、競争が激化してくれるのを祈りたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2019.03.29 11:50 Fri
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