「このような形で実現するとは…」母校で初指揮、選手権制覇の青森山田・正木昌宣監督は優勝決定後に予定外の涙「勝手に涙が出るんだな」

2024.01.08 21:35 Mon
見事に母校を優勝に導いた正木昌宣監督
©超ワールドサッカー
見事に母校を優勝に導いた正木昌宣監督
8日、第102回全国高校サッカー選手権大会の決勝が行われ、青森山田(青森)が近江(滋賀)と対戦。3-1で勝利し、2大会ぶり4度目の優勝を果たした。
PR
今シーズンのU-18プレミアリーグファイナルで優勝を収め、2冠を目指した青森山田。近江は初の決勝進出となり、2005年の野洲高校以来、滋賀県勢としての優勝を目指した。試合は青森山田の前プレスに対し、近江も細かく繋いで進軍していく中、33分に福島健太がネットを揺らし、青森山田が先制する。
青森山田が1点リードで迎えた後半だったが、近江は早々に得意のコンビネーションで崩しにかかると47分、浅井晴孔がドリブルで持ち上がり右の金山耀太にパス。その折り返しを山本諒がファーで詰めて同点に追いついた。

近江は1点を奪うと勢いづいて青森山田ゴールに迫っていくが、なかなかその牙城を崩せず。すると60分、一瞬の隙をついて抜け出した米谷壮史がGKまでかわしてネットを揺らして青森山田が勝ち越しに成功。70分にもカウンターから、最後は杉本英誉のシュートがオウンゴールを生み出し、リードを広げると、3-1で青森山田が勝利した。
4度目の優勝を収めた青森山田。昨シーズン限りで青森山田を強豪校に育てた黒田剛監督が退任し、FC町田ゼルビアの監督に就任。その後、明治安田生命J2リーグで優勝を果たしていた中、コーチとして従事してきた正木昌宣監督が就任して、タイトルを獲得した。

試合後の記者会見に臨んだ正木監督はまずは選手に感謝した。

「本当に選手たちがこの大舞台でも緊張することなく、今まで1年間積み上げてきたハードワークすること、良い守備から良い攻撃というのを90分間徹底してくれたことが全てだと思うぐらい、最後までやってくれました」

「まだ優勝したという感覚もないですが、本当に頑張ってくれた選手たちに感謝したいという気持ちだけです」

正木監督は青森山田出身で、黒田監督の下で指導者に。母校を率いての全国制覇への思いを語った。

「母校で指導者をやって、選手権で優勝したいという思いで指導者になりました。去年ビックリした形で監督も引き継ぎまして、この1年試行錯誤しながらやってきましたが、本当に報われたなという気持ちで、ただただ感謝しかないです」

今回の優勝については「優勝するつもりで指導者になりましたが、このような形で実現するとは思わなかったです」と語り、「一番は黒田監督が作ってきてくれたベースがあるので、そこにただ乗らせて頂いているだけです。1回優勝したことで欲がもっと出てきそうなので、来年から頑張りたいという気持ちでいっぱいです」と、さらなる高みを目指し続けることを誓った。

試合は後半早々に追いつかれ、近江に勢いづかせる可能性もあったなか、しっかりと耐えて相手の逆をついて得点を重ねた。

近江については「本当に力のあるチームで得点力はかなり警戒していましたし、後半は選手交代やポジション変更で攻勢に来ることは十分想像していました」とコメント。「1点取られましたが、選手たちの顔を見ても全く動揺することなくプレーしていましたし、逆にしまったという顔つきでしたので、やり続けていれば必ず点が取れるとミーティングでも話していましたので、選手の状況を見て、何かを変えることはなく、今までやってきたことをもう1回整理してやろうということだけです」と語り、慌てることなく、やってきたことを出そうと考えていたとした。

選手たちを信じ、青森山田のサッカーを信じていた正木監督。黒田監督という偉大な指揮官の後を継いだが、プレッシャーはあまりなかったという。

「本当にとんでもない記録や結果というものを出してきた前監督から引き継いでの監督スタートでしたので、このような体験をしたことがある人は全国でもいないというのが正直で、誰に相談するということもなく、自分なりに監督と19年やってきていたので、監督がいた時も色々なプレッシャーをかけられていたので、それに比べれば、ちょっと伸び伸びできた部分もありました笑」

「みなさんが思っていたプレッシャーは正直感じることなく、スムーズに渡してくれた黒田前監督に感謝しかないですし、そのプレッシャーを跳ね除けてくれた選手たちが1年間逞しくやってくれていたので、プレッシャーはあまり感じずここまでこれました」

それでも優勝が決定した時には、うっすら涙も。「泣かない予定で、2年前の黒田監督の涙を見て『泣いてる』って思っていたんですが、監督で優勝すると勝手に涙が出るんだなというところと、最後笛が鳴るまで本当に選手たちが走って戦ってくれた姿を見ると、もうこれで見れないんだと。そう思うと、優勝したことよりもそっちの方に感動して涙が出ました」と、今年の3年生との活動が終わることが主な涙の理由だったという。

その3年生を始め、チームの選手たちについては「今年の選手たち、3年生全体に言えることは、コミュニケーション能力が非常に高いということと、向上心が高い選手たちがそろったなという印象があります」とコメント。「向上心とコミュニケーションというのは、チームがどうすれば結果を出せるかとか、個人としてもどうすれば良くなるかということをみんなが会話しながら、練習の中でも私が喋る必要がないぐらいコーチングが飛びましたので、それは2022年の11月の行われた新人戦の1週間前から練習しましたが、その時から既にその状況があったので、そこをしっかり活かせれば来年(2023年)戦えると思っていました。そこがこのチームの一番の強みだと思います」とコメント。選手たちがしっかりとやってくれたと語った。



PR

黒田剛の関連記事

J1リーグ第29節は首位の町田が後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴールで浦和と引分けたため、FC東京を3-2で振り切った広島が同勝点(55)ながら得失点差で首位に浮上した。広島は、同一シーズン7連勝というクラブ新記録で勝点21を積み上げての首位奪取は驚異的と言うしかない。 9月28日には広島のホームで両雄が激 2024.09.03 11:30 Tue
おお、町田ゼルビアの黒田剛監督が「『優勝』って言わない」宣言したじゃないですか。かなり意識してるって感じ?的な? ただね、本当に言えないと思うんです。ってのが、今年は想像以上に団子状態ですよ。いつひっくり返ってもおかしくないんです。なぜかって?それはこの数字を見てもらえば。例の如く、18チーム構成になった2005 2024.08.31 11:30 Sat

J1の関連記事

今週はうれしいニュースと残念なニュースが交錯した。 まず、うれしいニュースは24日のJリーグ理事会でプロ選手の「ABC契約」が26年2月から撤廃されることだ。正直、時代に即しているとは言い難い契約がずいぶん長く踏襲されてきた。それがやっと撤廃されることが決まった。 この「プロ選手のABC契約」、導入されたの 2024.09.27 22:00 Fri
27日、明治安田J1リーグ第32節の川崎フロンターレvsアルビレックス新潟がUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われ、ホームの川崎Fが5-1で勝利した。 AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)では初戦で勝利を収めたものの、続くJ1第31節名古屋グランパス戦は0-2で落とした15位川崎F 2024.09.27 21:01 Fri
東京ヴェルディの城福浩監督が、28日にパナソニックスタジアム吹田で行われる明治安田J1リーグ第32節のガンバ大阪戦に向けた会見を実施した。 東京Vは前節、サガン鳥栖とホームで対戦。MF山田楓喜の今シーズン3本目となる直接FKによるゴールで先制に成功すると、以降は一進一退の攻防の中で要所を締める守備で1点差を維持。 2024.09.27 20:43 Fri
好調を継続する昇格組の右ウイングバックが存在感を示している。 東京ヴェルディは前節、サガン鳥栖とのホームゲームを2-0で勝利し、今シーズン初の4連勝を達成。開幕前は残留争いのメインキャストを担うと見られていた中、残り7試合の時点で勝ち点47の6位と大躍進を見せている。 直近の4連勝では全試合で複数得点を記録 2024.09.27 20:00 Fri

黒田剛の人気記事ランキング

1

【J1注目プレビュー|第31節:町田vs札幌】優勝へ、残留へ…どちらも欲しいのは勝ち点「3」だけ

【明治安田J1リーグ第31節】 2024年9月21日(土) 19:00キックオフ FC町田ゼルビア(1位/58pt) vs 北海道コンサドーレ札幌(19位/25pt) [町田GIONスタジアム] <span class=“paragraph-subtitle">◆首位復帰、守り続ける【FC町田ゼルビア】</span> サンフレッチェ広島の猛烈な追い上げを受け、首位を陥落していた町田だったが、前節はアウェイでアビスパ福岡に完勝。広島が鹿島アントラーズと引き分けたことで、首位に復活した。 2位に勝ち点差「2」、3位に勝ち点差「3」をつけており、このまま守り続けたい首位。今節の相手は、目の色を変えている札幌だ。 首位交代などはあったが、チームは4戦無敗。ただ、前節は中山雄太、昌子源とCB2人が相次いで負傷するアクシデントに見舞われ、今節はどちらも欠場予定となっている。 ここ最近の守備を支えた2人を同時に欠くことになれば、多少は不安材料となる。連携ミスなど慣れないコンビが上手く90分を過ごせるのかはポイントとなりそうだ。 ★予想スタメン[4-4-2] GK:谷晃生 DF:林幸多郎、望月ヘンリー海輝、ドレシェビッチ、杉岡大暉 MF:ナ・サンホ、白崎凌兵、下田北斗、藤本一輝 FW:中島裕希、オ・セフン 監督:黒田剛 <span class="paragraph-subtitle">◆驚異的な追い上げ、リスタートへ【北海道コンサドーレ札幌】</span> 最下位に位置しながら3連勝で一気に勝ち点を積み上げていた札幌だったが、前節はホームで東京ヴェルディ相手に惨敗。0-2で敗れて連勝は3で止まった。 勢いに乗って行った中で突きつけられた敗戦。逆転残留が簡単な話ではないことは分かっていたが、現実を突きつけられたと感じているだろう。 とはいえ、下を向いている暇はない。残留ラインとの差は「7」。数字上は可能性はあるが、やはり勝ち点「3」ずつを積み上げていかなければ難しいものとなる。相手は首位の町田。前節はリードを追いつくべく長い時間パワープレーに出たが、全く効果なし。選手にパワープレーを活かす力がなく、戸惑いも見せていただけに、ビハインド時に地上戦で最後まで戦うのかどうか気になるところだ。 ★予想スタメン[3-4-2-1] GK:菅野孝憲 DF:馬場晴也、岡村大八、パク・ミンギュ MF:近藤友喜、駒井善成、中村桐耶、菅大輝 MF:青木亮太、スパチョーク FW:鈴木武蔵 監督:ミハイロ・ペトロヴィッチ 出場停止:大﨑玲央、荒野拓馬 2024.09.21 14:25 Sat
2

【J1注目プレビュー|第29節:町田vs浦和】首位を守るためにも国立で勝利を、監督交代の浦和は何を見せるか

【明治安田J1リーグ第29節】 2024年8月31日(土) 18:00キックオフ FC町田ゼルビア(1位/54pt) vs 浦和レッズ(13位/35pt) [国立競技場] <span class=“paragraph-subtitle">◆2位に迫られる中で国立勝利を【FC町田ゼルビア】</span> 前節はアウェイでアルビレックス新潟と対戦し0-0のゴールレスドロー。終盤戦に入っていく中で、2位以下との差がどんどんと迫っている。 後半戦は4戦無敗、3連勝スタートと独走すつと思われたが、直近5試合は1勝2分け2敗と勝ち点を落としている。 その中で今節は得意としていない国立での戦い。相手は程近い埼玉かやってくる浦和だ。 しっかりと勝利したい町田は、日本代表に3選手が選ばれることに。谷晃生、中山雄太はこれまでも呼ばれていたが、ついに望月ヘンリー海輝が初招集。飛躍している大卒ルーキーが代表選出後にどんなパフォーマンスを見せるか注目だ。 戦い方としてはこれまでの浦和を想定して準備をしてきたはず。新監督のチームを相手にどう戦うかも見ものだ。 ★予想スタメン[4-4-2] GK:谷晃生 DF:望月ヘンリー海輝、昌子源、中山雄太、杉岡大暉 MF:荒木駿太、白崎凌兵、下田北斗、藤本一輝 FW:藤尾翔太、オ・セフン 監督:黒田剛 出場停止:仙頭啓矢 契約上出場不可:柴戸海 <span class="paragraph-subtitle">◆突然の監督交代、何を見せる【浦和レッズ】</span> 4年で4度目の監督交代。クラブとして完全に迷走しているのは明らかな浦和レッズは、13位と低迷した結果、ペア・マティアス・ヘグモ監督との契約を解除した。 期待したほどの成長はなく、成績も残留争いに近づいている中、監督交代という結末になったことは理解できる。ただ、選手の負傷、夏に主軸の相次ぐ移籍と、監督ばかりの責任とも言えない状況でもある。クラブとして、失敗続きのシーズンとなる中で、どう反省するかがポイントとなる。 マチェイ・スコルジャ監督の電撃復帰という驚きの結果となったが、ビザの関係などもあり指揮が執れる状況でもない。苦しいチームをどう立て直すのか、クラブ一丸となって取り組む必要があるだろう。 リーグ戦は5試合勝利なし。ここ2試合は引き分けているが、新体制になるまでの間、ずるずると勝てない試合を続けるわけにもいかない。首位を叩いて、息を吹き返したい。 ★予想スタメン[4-2-3-1] GK:西川周作 DF:石原広教、井上黎生人、マリウス・ホイブラーテン、大畑歩夢 MF:安居海渡、サミュエル・グスタフソン MF:大久保智明、渡邊凌磨、関根貴大 FW:ブライアン・リンセン 暫定監督:池田伸康 2024.08.31 15:25 Sat
3

東京V、バスケス・バイロンの異例の移籍経緯を説明…

J2リーグの上位2チームの間で実現したシーズン途中の異例の移籍を受け、東京ヴェルディが経緯を明かした。 FC町田ゼルビアは6日、東京ヴェルディからチリ人MFバスケス・バイロン(23)を完全移籍で獲得したことを発表。 現在、両クラブは勝ち点10差が付いているものの、町田が首位、東京Vが2位と自動昇格、優勝争いを繰り広げている。さらに、同じ東京を本拠地とするローカルライバルの間柄ということもあり、シーズン途中のライバルチームへの移籍は衝撃をもって伝えられた。 6日の移籍決定後に新天地での加入会見に臨んだバスケス・バイロンは、移籍リリース時のコメント同様に「批判されるのもわかった上での決断」と、大きな覚悟をもっての移籍だったとコメント。それでも、恩師である黒田剛監督の元でのプレーを熱望し、町田行きを決断した。 一方、ライバルに主力を引き抜かれる形となった東京Vは移籍発表翌日となった7日、江尻篤彦強化部長がクラブハウスで報道陣の囲み取材に応じ、交渉の詳細に関する言及は避けながらも移籍の経緯を説明。 クラブとしては契約延長交渉を含め、全力で慰留に努めながらも、最終的には選手自身の強い意向によって移籍を認めざるを得なかったとしている。 「我々にとって欠かせない選手でした。1カ月プラスアルファ前から彼との契約の更新というのは当然進めていました。そういった中で最終的に今回のような形となりました」 「今まで巻き直し(延長交渉)は年度末にやっていたと思いますが、この時期に巻き直しをちゃんとやって、残さなければいけないというのは、今までのヴェルディではなかったことだと思います。去年お金を作ったぶん、早い段階でそういったことをやっていくことは自分の仕事だと思っていました」 「そういった中、(自分たちが)早く動けば、(他クラブから)早く動きがくるというのはしょうがないことです」 「当然、ある程度のお金を彼が置いていってくれました。そのへんは抜かりなく自分も仕事をしているつもりです」 「(延長オファーを拒否され、他クラブからのオファーが来て違約金を払われての移籍という形か)そういう流れでした」 「彼も彼で悩み抜いた結果だと思いますし、僕らも個人的に彼と話を重ねて、最終的に彼が決めた決断でした。ただ、クラブは指をくわえて見ているような状況ではなく、クラブとしてやれることを全力でやった結果、こうなってしまったことは致し方ないというところです」 また、9日に新国立競技場で行われる『東京クラシック』を間近に控える中での移籍発表に関しては、様々な要素が絡み合った上での偶然だったという。 「1カ月前のそういったところから始めていて、町田さんのいろんな狙いがあるとは思いますが、それを含めてのJ1昇格への戦いだと捉えています。J1昇格にはクラブ力が問われる。現場だけでなくクラブの力が当然問われます。そういう戦いのステージに、万年中位のチームが上がったということは、それだけの戦いをしている。現状の上位のチームと戦うということはピッチだけではない。そこをチーム全体で認識してやっていける機会なのかなと思います。そういう舞台で戦っていることを私も監督含めた現場、クラブ側もわかってJ1昇格に向けて戦っていかないと良い形にはなりません」 「こういったタイミングになったことに関しては、彼と真剣に我々が向き合って話し合った結果がこのときになってしまったというだけで、意図してやっているわけではないです」 主力の穴埋めに関しては名古屋グランパスから育成型期限付き移籍で獲得したMF甲田英將らを含めた現有戦力の台頭を促しつつも、クラブとして新戦力補強に動くことを認めている。 「それは当然です。今年は(J1昇格の)チャンスがあると思っています。そこに向けて全力投球していきたいと思っています。(伸びしろ十分の若手選手が)補強しなくても自分たちがいるというような形が一番です。ただ、それを指をくわえて待つわけではなく、強化部としてそこに適する選手を取っていくという考えではいます」 「ただ、間違ってもバカげた補強というか、端的に言えば多くのお金が必要となる補強をするつもりは明確にありません。あくまでクラブに合った形でないと、それ以後のことに関して上がっても上がれなくても大変になりますし、そこは10年、20年とヴェルディがやっていく上で重要なことだと考えています」 また、現場を預かる城福浩監督も同日に行われた記者会見、その後の囲み取材で今回の移籍に言及。「サッカーの世界ではよくあること」、「弱肉強食の世界」と前置きしながらも、百戦錬磨の指揮官にとっても今回の移籍は前例がないものだと感じている。 「“強奪”という言い方が適切かはわかりませんが、我々の目からそのように映ることはサッカーの世界ではよくあることです」 「ただし、サッカー先進国やサッカー先進国に近づこうとしている国のリーグでシーズン途中に、このような順位でこういった移籍が実現した例がはたしてほかにあるのであれば、聞かせてほしいというふうに思っています。シーズン中にこういう2位から1位に主力が行くというのが、こういうことが成立するのか。自分が知り得る限りでは聞いたことがないです」 さらに、クラブ同様に1カ月以上の期間を通じて何度となく対話を重ねて慰留を図ったという。その中で「これ以上は話せない」と慎重に言葉を選びつつも、起用の可否を含めて難しいチーム状況の中で指揮官として繊細な対応を行っていたことを明かした。 「彼とは話しすぎるぐらい話しました。もちろん条件というのはサッカー選手にとって重要なものです。20年も30年もサッカー選手を続けていくのは難しい。あとは個人でバックボーンが異なります。その部分は無視できないです」 「ひとつは彼がそういう選択肢を得た事実があったこと。そこで条件がはね上がったとするのであれば、それは彼が勝ち取ったものです。そこを否定することはありません」 「あとは手段を選ばずにJ1昇格を考えたとき、今回のような向こうの手段が意表というものではありません。僕らはそういった部分も含めて昇格を争っています。ただ。ピッチの上で90分、戦術や選手交代がどうのという部分だけで戦っているわけではない」 「何がなんでも昇格しようとしているチームが何チームもあります。これほどインパクトがある補強がこれからあるかはわかりませんが、そのチームの戦力をもぎ取れば二乗倍の補強になるという思考があってしかるべきというほど、みんなが是が非でも昇格したい。そういう世界だと思います」 「この1カ月はこの騒動にチームが巻き込まれないようにすることにかなり努力しました。おそらく選手は僕らが言わなくても、どんな混沌とした状況かというのは、この1カ月感じながらやっていました」 「僕らは起用するしないの判断も含めて考えていました。それはなぜかと言えば、行くか残るのかわからなかったからです。行くか残るかわからない状況でどういう準備をしてという部分は、少なくともチームに影響がないという部分で自分が努力する。今はその努力をしなくていいという部分でスッキリしていますし、個人的には間違いなくプラスです」 「(残留の可能性に賭けていた部分は?)僕らが賭けていたというか、(選手本人が)ファイナルアンサーしたら僕らはどうしようもないです。それにものすごい差があろうがなかろうかというところです」 「誰よりも1人いなくなったことで、チームが沈んだと言われたくないのは我々当事者です。それをプラスにできると確信しています」 2023.07.07 17:10 Fri
4

挑むクラブ史上初のJ1、新加入選手は各国代表クラス揃う【J1開幕直前ガイド|FC町田ゼルビア】

2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、FC町田ゼルビアを紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:1位(26勝9分け7敗) 2022シーズン:15位(14勝9分け19敗) 2021シーズン:5位(20勝12分け10敗) ※いずれもJ2 【昨季チーム得点王】 エリキ 18ゴール 【今季ノルマ】 残留 【編集部イチオシ】 FW平河悠 昨季J2:35試合出場/6ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆悲願のJ1初昇格、新たな歴史を作れ</span> 青森山田高校での実績を持つ黒田剛監督はプロで通用するのか、ロングスローの是非は、といった外野の懐疑的な声を吹き飛ばし、昨季は2位に12ポイント差を付けてのJ2優勝。JFL降格やJ1参入プレーオフ不参加という苦難の歴史を乗り越え、クラブ史上初のJ1昇格を勝ち取った。 <span class="paragraph-subtitle">◆プレー強度はJ1で通用するのか</span> 最注目ポイントは、町田の特徴であるプレー強度の高いサッカーが、J1でどこまで通用するかだろう。球際での勝負で勝ち切ることはもちろんだが、対戦相手のプレス回避能力も一段上がるため、自分たちの土俵に持ち込めるか否かが焦点となる。同様に、奪ってからの素早い攻撃でも、前線の収める力は試される。 個々人にとっても、昨季全試合出場で6得点とブレイクの平河悠、8年目のベテラン奥山政幸といった主軸らが初のトップカテゴリー挑戦となる。高い強度の中で、年間を通じてこれまで以上の力が必要とされるだろう。 <span class="paragraph-subtitle">◆新加入選手は各国代表クラス</span> 一方で、ミッチェル・デューク、下田北斗などはそもそもがJ1レベルで、ポープ・ウィリアムが抜けた穴には元日本代表GK谷晃生、センターバックには昌子源、コソボ代表イブラヒム・ドレシェヴィッチ、前線にも韓国代表ナ・サンホと代表クラスの人材を補強。ここに柴戸海、仙頭啓矢とJ1経験を携えた選手が加わった。各選手が実績やネームバリュー通りのパフォーマンスを披露すれば、残留だけ終わるのはもったいないとさえ思わされる。エリキの復帰は当然待たれるが、前線の顔ぶれは相当に豊富。競争にも注目が集まる。 <span class="paragraph-subtitle">◆育成面も楽しみ、スタジアムアクセスは…</span> 町田は、少年サッカーチームにトップが付随するという、珍しい成り立ちのクラブだ。今季はアカデミースタッフに、育成の実績に長けた永田雅人氏が就任。現在のホームグロウン選手は三鬼海と樋口堅の2名だが、今後はより活性化しそうだ。 また、運営にとっても初のJ1。来場者は過去を上回ることを予想されるうえに、町田GIONスタジアムへ初めて足を運ぶファンもいるだろう。チーム側による導線の指示はもとより、シャトルバス以外にも、慣れたら野津田高校の裏を通っての野津田車庫へのルートも検討すべきだ。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 GK谷晃生(23)←ガンバ大阪/期限付き移籍 GK山口瑠伊(25)←水戸ホーリーホック/完全移籍 DF奈良坂巧(21)←カマタマーレ讃岐/期限付き移籍より復帰 DF望月ヘンリー海輝(22)←国士舘大学/新加入 DF林幸多郎(23)←横浜FC/完全移籍 DF青木義孝(25)←ラインメール青森FC/期限付き移籍より復帰 DFドレシェヴィッチ(27)←ファティ・カラギュムリュク(トルコ)/完全移籍 DF昌子源(31)←鹿島アントラーズ/完全移籍 MF高崎天史郎(17)←QUON FD/新加入 MF樋口堅(20)←沖縄SV/期限付き移籍より復帰 MF芦部晃生(22)←関東学院大学/新加入 MF黒川淳史(26)←大宮アルディージャ/期限付き移籍より復帰 MF柴戸海(28)←浦和レッズ/期限付き移籍 MF仙頭啓矢(29)←柏レイソル/完全移籍 FW藤尾翔太(22)←セレッソ大阪/完全移籍移行 FW荒木駿太(24)←サガン鳥栖/完全移籍移行 FW藤本一輝(25)←大分トリニータ/完全移籍 FWオ・セフン(25)←清水エスパルス/期限付き移籍 FWナ・サンホ(27)←FCソウル(韓国)/完全移籍 【OUT】 GKストイシッチ(26)→未定 GKポープ・ウィリアム(29)→横浜F・マリノス/完全移籍 DF藤原優大(21)→浦和レッズ/期限付き移籍満了 DF深港壮一郎(23)→カマタマーレ讃岐/期限付き移籍延長 DF内田瑞己(24)→カマタマーレ讃岐/期限付き移籍 DF高橋祥平(32)→松本山雅FC/完全移籍 DF太田宏介(36)→現役引退 MF布施谷翔(23)→カターレ富山/育成型期限付き移籍 MF松井蓮之(23)→川崎フロンターレ/期限付き移籍満了 MF翁長聖(28)→東京ヴェルディ/完全移籍 FW佐藤大樹(24)→ブラウブリッツ秋田/期限付き先変更 FW髙澤優也(26)→ザスパクサツ群馬/完全移籍 FWアデミウソン(30)→未定 2024.02.12 18:30 Mon
5

東京Vの城福監督、町田とのリベンジマッチへ意気込む…「自分たちらしさを見せながら対等以上に戦えるか」

東京ヴェルディの城福浩監督が、リベンジを期すFC町田ゼルビアとの東京クラシックへの意気込みを語った。 現在、10位の東京Vは前節、セレッソ大阪とのホームゲームを1-1のドローで終えてリーグ2戦無敗。ただ、10日に行われた直近の天皇杯3回戦では湘南ベルマーレに0-1で敗戦し、ルヴァンカップに続くカップ戦敗退に。これにより、残りシーズンはJ1残留を最大の目標に、より上位でのフィニッシュを目指したリーグ一本の戦いに集中していく。 そして、14日に味の素スタジアムで行われる明治安田J1第23節では5月中旬にアウェイで行われ、0-5で完敗した因縁の相手との重要なダービーマッチに臨む。 12日にクラブハウスで行われた会見で城福監督は、リーグ11戦無敗で臨んだなかで大敗を喫した首位チームとの前回対戦について「歴然とした差を見せつけられた試合。自分たちがJ1でどういうふうに生き残っていくかという意味でも、少し目を覚まさせられたというか、目が覚めた部分もあります。何かひとつ変えれば、全て変わるわけではなくて、ひとつひとつの取り組みを、よりレベルを上げていくというところを感じさせてくれた試合でした」と振り返った。 さらに、「試合直後のオフ明けのミーティングだったと思いますけど、我々スタッフも選手も意識としては、あの試合で我々が別に日本一のトレーニングをやっているわけではないんだと。そういうふうに標榜していた自分も恥ずかしくなりましたし、我々の取り組みというのをもう一度見直すという意味でも、あの試合がきっかけでした」と、同じ昇格組相手に16年ぶりのJ1の舞台で徐々につけてきた自信を打ち砕かれたことで、改めて意識を高める契機になったと語る。 その屈辱をきっかけに、以降の約2カ月の期間では[3-4-2-1]への布陣変更、幾つかのポジションでの序列の変化も含め、4勝1分け2敗と内容面には引き続き課題を残しながらも、粘り強く勝ち点を重ねて前回対戦時よりも順位をわずかながら上げてきた。 今回の一戦では因縁の相手へのリベンジはもちろんのこと、前回対戦直後に語った「今シーズンはこの歴然とした差をどう埋めていくか」という答えの一端をチームとして見せる必要がある。 その点について指揮官は「ここまでで首位のチームなので、そこには必ず理由がありますし、Jリーグの中で特別なものを見せている部分もあるので、我々が全く通用しなかった最初の対戦からどこまで自分たちらしさを見せながら、対等にあるいは対等以上に戦えるかというところは、むしろ楽しみでもあります」と首位チームに敬意を示しつつも静かに闘志を燃やす。 「もちろん選手は前回対戦のスコアを含めて忘れているはずがない」と試合前の“リベンジマッチ”という煽り要素を理解しつつも、「ただやれることというのは、自分たちが今やれる成長を確かめること。それを100%やること。それで成長を自分たちで確認できる試合にするということ」。 「自分たちが目指しているものというのはあまり変えたくない。それをやり切るからこそ、むしろ町田のストロングを消せる部分もあると思っているので、町田さんのやり方とかストロングを過剰に意識しないで、我々のやってきたことを突き詰めるようなイメージを持って試合に入らせたい」と、対戦相手を意識しながらも、自分たちにベクトルを向けた戦いを見せたいと試合に向けたアプローチについても言及した。 戦前の取材では各選手が表立った形で対町田という部分を強調することはなかったものの、言葉の端々や態度で胸の内に熱い想いを抱えていることが推察された。 その選手たちのメンタル面の変化について城福監督は「(J1の舞台で)ひと通りやってきて自分たちが目指しているものと、手応えと課題というのを彼らが冷静に受け止められるようになっていることは事実」と認める。 その上で、「この舞台にいることが我々は普通ではない。それを思い出させてくれた前キャプテン(平智広)がいましたし、僕も改めていい意味で慣れてはいけないなと。冷静にハードワークする、冷静に燃えるというと、ちょっと相反するような感じですけど、我々は他のチームよりもこの舞台でやることが当たり前ではないという思いは強くなければおかしい。密かに燃えるものをピッチの上で出してほしい」と、“心は熱く頭は冷静に”にこの大一番を戦うことを求めている。 最後に、前回対戦の惨敗後に少なからずのブーイングはあったものの、チームを鼓舞する声援を送り、悪天候の中で惜敗した直近の湘南戦後にも今回の大一番に向けてチームを懸命に後押ししたファン・サポーターの存在について問われた情熱の指揮官は、チーム同様に危機感を抱きながらある意味で同じ目線で共に戦ってくれている“仲間”に勝利という結果での恩返しを誓う。 「J1での我々のクラブとしての立ち位置なんてものは、おそらく彼らもわかっていると思います。その中で、だからこそ一緒に戦って、J1でヴェルディの存在を見せようじゃないかという思いが伝わってくるので、それは本当に我々もやっていて、すごく力になります」 「まずはアウェイの町田戦で、あれだけの試合を見せつけられたサポーターが、我々の背中を押してくれるというか、彼らと共にこのクラブは這い上がってきたんだなというのを改めて感じましたし、だからこそ彼らと共に喜び合いたい」 直近3勝2分けで5戦無敗という良好なチーム状態に加え、黒田剛監督就任後は1分け2敗と一度も勝利がない町田との大一番は東京Vにとってタフな一戦になることは間違いないが、今季リーグ戦無敗の味スタでリベンジを果たせるか…。 2024.07.13 19:30 Sat

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly