【2026/27 J2展望】J1昇格の本命は? 大宮、仙台、横浜FCら注目クラブを徹底分析

シーズン移行を終え、2026/27明治安田J2リーグが幕を開けた。

今季も20クラブがしのぎを削る中、最大の焦点となるのは、上位2クラブに与えられるJ1自動昇格枠、そして3位から6位までが進む昇格プレーオフを巡る争いだ。

J1からの降格組、百年構想リーグで結果を残したクラブ、豊富な戦力をそろえる昇格候補がひしめく一方、序列を覆しそうなダークホースや、カテゴリーを駆け上がってきた新興勢力も存在感を高めている。

すでに開幕から、前評判どおりの強さを見せるクラブがあれば、優勝候補を破る波乱も生まれた。38試合という長丁場の中で、現在の勢力図はどこまで塗り替えられていくのか。

J1への切符を巡る本命争いからダークホース、J2初挑戦のクラブまで。2026/27シーズンのJ2を彩る注目チームを見ていきたい。

目次

熾烈なJ1昇格争いの中心となるのは?

38試合の長丁場を戦い、上位2クラブに与えられるJ1自動昇格枠、そして3〜6位が進む昇格プレーオフへの切符をつかむのはどこか。

昨季J1を戦った横浜FC、新潟、湘南をはじめ、百年構想リーグ王者の仙台、豊富な戦力をそろえる大宮、さらに札幌、磐田、鳥栖など、実力あるクラブがひしめく。

その中でも、自動昇格争いの中心として特に注目したい3クラブをピックアップする。

3人で28得点。RBスタイルで突き進む大宮

豊富な資金力を背景に、今季も充実した戦力をそろえる大宮。最大の魅力は得点力だ。

百年構想リーグでは泉柊椰と山本桜大がともに10得点を挙げ、EAST-Bの得点王を分け合った。さらにカプリーニも8得点。3人だけで計28得点を記録しており、18試合で10得点を奪った泉と山本には、38試合を戦う今季、20得点の大台も見えてくる。

今季から指揮を執るのはナルシス・ペラッチ・ナダル監督。指揮官は代わったものの、RBグループとして一貫する高強度のハイプレスと、奪った瞬間から素早くゴールへ向かう縦への速さは継続している。やるべきことが明確で、選手たちのプレーに迷いが少ないことも特徴だ。そこに後方からのビルドアップや、試合展開に応じた守り方も加えている。

2026/27シーズンも新潟との初戦を1-0で制し、続く今治戦も3-2で勝利。一方、新潟戦では多くの好機を作りながら追加点を奪えず、前から出た際のスペース管理にもリスクは残る。また、外国籍監督がJ2特有の戦い方にどこまで適応できるかも未知数だ。

ただ、ナルシス監督はスペインでの指導経験が長く、夏に始まり翌春まで戦うシーズンサイクルを知る指揮官でもある。豊富な戦力と得点力、迷いの少ないスタイルがかみ合えば、J1への最短ルートを突き進む可能性は高い。

王者の土台にさらなる上積み。仙台は開幕の停滞を破れるか

J2・J3百年構想リーグの王者・仙台も、自動昇格の筆頭候補だ。

森山佳郎監督体制3年目を迎え、最大の強みは王者となったチームの土台がほぼそのまま残っていること。EAST-Aでは18試合で勝点43、32得点15失点。開幕から13試合無敗を続けて首位通過し、そのままプレーオフラウンドも勝ち抜いて頂点に立った。

基本布陣は[3-1-4-2]。中盤は1アンカーを底に置く逆三角形を形成し、前線から連動してボールを奪う。攻撃では2トップや両ウイングバックも積極的にゴール前へ入り、さまざまなポジションから得点を生み出す。

百年構想リーグではチーム最多でも岩渕弘人の6得点ながら、全体では32得点。特定のエースに依存せず得点を生み出せることが強みだ。守備でも経験豊富なGK林彰洋を中心に18試合15失点。得点力と堅守を両立したことが、安定した結果につながった。

さらに今季は中島元彦が2024シーズン以来2年ぶりに復帰し、藤枝で攻撃の中心を担った浅倉廉も加入。王者の土台に、狭いスペースでも違いを作れる2人が加わった。

一方、森山体制3年目でスタイルが確立されているからこそ、相手から研究されやすい側面もある。1アンカーへのパスコースを消されれば中央から前進しづらくなり、守備でもアンカー脇のスペースを使われた際に後手を踏むリスクがある。

今季は藤枝に0-2、大分に0-0と、開幕2試合で勝点1、無得点でスタート。それでも、百年構想リーグで32得点15失点を記録した攻守の土台は揺らがない。得点源が分散する強みを伸ばしながら、決定力も徐々に向上。第3節ヴァンラーレ八戸戦からはリーグ戦では3連勝、いずれも複数得点でを記録し、本領を発揮しはじめている。

理想の崩し+個の突破。進化を続ける横浜FC

昨季J1から降格し、1年での復帰を目指す横浜FC。須藤大輔監督の下、百年構想リーグから取り組んできたボール保持を軸とする「インプレッシブサッカー」を、今季さらに進化させている。

百年構想リーグでは、後方から丁寧にボールを動かして相手を引きつけ、敵陣へ押し込む時間やチャンスを増やすことに成功した。湘南戦では20本のシュートを放つなど、ボール保持からゴールへ迫る回数は着実に増加。一方、実際の得点はサイドからのクロスやアダイウトンの“理不尽シュート”に頼る場面も多く、中央を細かな連係で崩し切って得点につなげる部分には伸びしろを残していた。

その点で、今季は一段階先へ進んでいる。山田康太、髙江麗央、横山暁之ら技術に優れた選手が立ち位置を変えながら関わり、相手を食いつかせて空いたスペースへ3人目が入り込む。ボールを動かすこと自体ではなく、そこから相手の守備を崩して決定機まで持ち込む形が増えてきた。

さらに、理想とする崩しだけに固執しないのも強みだ。ルキアンが前線で起点となり、アダイウトンはスピードとパワーを生かした個人突破で局面を一人で変えられる。新加入の島村拓弥もドリブルや狭いスペースで違いを生み、磐田戦ではPK獲得を含む2得点に関与。組織的な崩し、クロス、個人突破と、ゴールへの道筋が増えていることが今季の大きな進化と言える。

一方で、攻撃に人数を掛けるスタイルだけに、ボールを失った直後の守備にはリスクがある。百年構想リーグでも、相模原戦では相手のハイプレスの餌食となり、自陣でのボールロストから複数失点を許した。また、押し込んだ時間帯で決定機を作っても、最後の精度を欠けば試合を難しくしてしまう点は今季も課題となる。

それでも宮崎、磐田を破って開幕2連勝。百年構想リーグで培った「ボールを動かしてチャンスを増やす力」に、今季は「崩して仕留める力」が加わり始めている。そこへアダイウトンらの個の突破という別解もある。理想の崩しと個の力、その両輪がさらにかみ合えば、クラブ5度目のJ1昇格へ大きく近づくだろう。

勢力図を揺らすダークホース

自動昇格候補を追いかける存在として、今季は藤枝MYFCとカターレ富山にも注目したい。百年構想リーグで確かな成長を示した2クラブが、プレーオフ争いの勢力図を変える可能性を秘めている。

アイデア満載の“槙野藤枝”が旋風を巻き起こすか

槙野智章監督率いる藤枝は、クラブが培ってきた攻撃的なスタイルに、強度や攻守の切り替え、背後への意識を加えて進化を続けている。

百年構想リーグではEAST-B5位。18試合21得点17失点と、攻撃的なイメージの強いチームが失点を1試合平均1点未満に抑えた守備面の変化も見逃せない。

今季の見どころの一つがセットプレーだ。ベンチから「絵柄」が描かれたボードでサインを送り、複数のパターンを使い分けるなど、槙野監督らしいアイデアを随所に投入。開幕戦では百年構想リーグ王者の仙台を2-0で破り、2得点はいずれもCKから生まれた。

一方、百年構想リーグの21得点は上位進出を考えれば伸ばしたい数字。さらに浅倉廉、矢村健と攻撃を支えた選手が抜けただけに、流れの中から新たな得点源を生み出せるかがポイントになる。

守備の安定感とセットプレーという武器に得点力まで加われば、プレーオフ争いを大きくかき回しても不思議ではない。

「奇跡の残留」から昇格争いへ。急成長を続ける富山

もう一つのダークホースがカターレ富山だ。2025シーズンは最終節まで残留争いに巻き込まれ、最後の最後に17位へ浮上してJ2残留。しかし、百年構想リーグでは一変した。

安達亮監督の下、WEST-Aを18試合で勝点38、37得点24失点、得失点差+13で首位通過。1〜4位決定戦でも宮崎を破って総合優勝決定戦へ進み、仙台とは延長を含む120分を1-1で戦い抜いた。PK戦の末に敗れたものの、総合2位まで駆け上がった。

特に37得点は、18試合で1試合平均2点を超える数字。特定のストライカーだけに依存せず、複数の選手が得点に絡めることも強みだ。一方で24失点を喫しており、攻撃がうまくいかない試合でどう勝点を拾うかは課題となる。

今季は八戸との初戦を0-2で落としたが、第2節では秋田に4-0と大勝し、早くも爆発力を見せた。

2025シーズンの「奇跡の残留」から、わずか数カ月で百年構想リーグの優勝争いへ。その勢いが2026/27シーズンでも続けば、今度は「奇跡の残留」ではなく、J1昇格争いを巡る新たなドラマを生み出すかもしれない。

J2に新風を吹き込む新興クラブ

昇格争いの行方だけでなく、J2という舞台に新たな風を吹き込むクラブにも注目したい。J2初挑戦となるテゲバジャーロ宮崎と、参入2年目を迎えたFC今治。ともにJ2での歴史はまだ浅いが、クラブとして独自の歩みを続けながら、新たなステージに挑んでいる。

35得点11失点の自信を取り戻し、J2残留につなげられるか

J2初挑戦の宮崎は、百年構想リーグで大きなインパクトを残した一方、今季は厳しい戦いを強いられている。

2025シーズンにクラブ史上初のJ2昇格を果たすと、百年構想リーグではWEST-Bを首位通過。18試合で35得点11失点、得失点差+24を記録し、総合3位に入った。コンパクトな陣形と全員のハードワークをベースに、奪ってから素早くゴールへ向かうスタイルで、J2・J3全体でも最少となる11失点を記録した。

しかし今季は開幕5試合で2分3敗と、いまだ勝利がない。さらに9月9日には、百年構想リーグ得点王の土信田悠生がガンバ大阪へ完全移籍。攻撃の中心を失うことになった。

そのなかで期待したいのが、今夏に松本山雅FCから加入した村越凱光だ。百年構想リーグではプレーオフラウンドのプレーヤー・オブ・ザ・マッチと最優秀ゴール賞を獲得。今季もここまで1得点を記録しており、ドリブルや仕掛けで局面を変える存在として、チームを救うヒーローになれるか。

百年構想リーグで示した組織力を取り戻し、厳しい状況からJ2残留にくらいつけるか。新たな攻撃の軸を生み出せるかにも注目したい。

“ピピ”と安部裕葵も加入。浮上のきっかけをつかめるか

J2 2年目を迎えた今治は、開幕5試合で4敗1分と厳しいスタートになった。ここからJ2残留に向けて、チームを立て直せるかが問われている。

地域に根差したクラブづくりを進めてきたのが、岡田武史会長だ。アシックス里山スタジアムも約8900席へ増席が完了し、クラブとしての基盤は着実に広がっている。今季からはアベル・モウレロ監督が指揮を執り、百年構想リーグからチームに加わった駒井善成がキャプテンとしてけん引。さらに新加入の櫛引一紀も、経験豊富なCBとして守備陣を支える。

攻撃面では、“ピピ”こと中井卓大と安部裕葵の加入に注目が集まる。ともに若くしてスペインへ渡った経験を持つ2人が今治で共演が大きな話題を呼んだ一方、開幕5試合では守備面に課題が目立ち、チームとしてもそのカバーができないまま、勝利を逃している。

ただ、まだシーズンは始まったばかり。駒井や櫛引ら経験豊富な選手が周囲を支えながら、中井の技術やゲームメークをチームの武器へと変えられるかが重要になる。

百年構想リーグでは20試合16得点と攻撃面に課題を残したが、今季は昇格候補の大宮から2得点を奪うなど、攻撃の可能性も見せている。厳しいスタートからチームとして噛み合わせを高め、どこまで巻き返せるか。クラブの次なるステップを占うシーズンになりそうだ。

自動昇格を争う本命が力を示すのか、ダークホースがその勢力図を塗り替えるのか。そして新興クラブが未来につながる成長曲線を描くことはできるもか。38試合の長丁場では、まだ誰も予想していない主役が現れる可能性もある。

実績ある強豪から、新たな歴史を刻もうとするクラブまで。それぞれの野心がぶつかり合う2026/27シーズンのJ2から、今年も目が離せない。

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超ワールドサッカー編集部
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