老若男女がみんなで一緒に。女子サッカークラブと地域企業が創造する“サッカーのまち”韮崎の情熱的な大会|ふじざくらダイバシティフットボールカップ潜入レポート

山梨県韮崎市は、全国にいくつか存在する「サッカーのまち」の一つ。元日本代表・中田英寿氏を輩出した韮崎高校は、全国的に名前が知られる名門でもある。

そんな街で今、新しいフットボール熱が生まれている。

6月6日に開催された「ふじざくらダイバシティフットボールカップ」だ。2026年で3回目を迎えるこのイベントは、山梨県を本拠地とする女子サッカークラブ、FCふじざくら山梨と、そのパートナー企業2社によって企画されたもの。翌7日になでしこリーグ2部のホームゲームを控えた韮崎市中央公園陸上競技場には、パートナー企業の社員や家族、友人・知人など約230名が集まり、各チームに分かれて熱い戦いを繰り広げた。

超WORLDサッカー! 老若男女がみんなで一緒に。女子サッカークラブと地域企業が創造する“サッカーのまち”韮崎の情熱的な大会|ふじざくらダイバシティフットボールカップ潜入レポート

このイベントが“新しい”のは、「多様性を力に変える」というテーマにある。企画段階から「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)」という価値観をキーワードに据え、参加者が多様性をこれまで以上に尊重するきっかけとなることを目指している。

こう記すとやや堅苦しいが、参加して、ボールを蹴れば “わかる”。参加者が「ああ、多様性ってこういうことだよね」と感じながら、本気で楽しみ、勝利を目指せる場所なのだ。

FCふじざくら山梨がハブとなり、企業とクラブ、企業と企業をつなぎ、人と人との交流を促し、参加者の心を豊かにしていく。サッカーを通して新しい価値を創造するイベントは笑顔と情熱にあふれ、地域企業とクラブの可能性に満ちたものだった──。

取材・写真・文=本田好伸

FCふじざくら山梨/パートナー企業対談/女子サッカークラブと協賛企業が“共創”でイベント開催するワケ

目次

自然と多様性が生まれる空間づくり

イベントには随所にFCふじざくら山梨“らしい仕掛け”が散りばめられていた。

まずは開会式だ。参加企業の代表者が一人ずつ登壇し、自社企業の紹介や今大会への意気込みを口にしていく。まるで選手宣誓のように、「サッカーを楽しみながら親睦を深めたい」と語る女性参加者や、「皆様のおかげで来年150周年を迎えます」と地域に根付く企業ならではのコメントで感謝を伝える男性参加者の姿もあった。

日頃、サッカークラブの協賛企業同士が“横のつながり”を意識する機会は少ない。しかし、同じクラブを応援する企業だからこそ、“馬が合う”に違いない。今年で3回目を迎えるイベントは、すっかり“顔馴染みの他企業さんたち”が交流し、親睦を深めている。さらに、試合前に「代表者同士が名刺交換」というルールもあるため、必然的に他企業とのつながりができる。それに、顔を知っていれば相手をより気遣えることも魅力の一つだ。

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この日、集まったのは16チーム。9社が参加し、中には2、3チームを結成して出場する企業もあった。8人制のソサイチのサイズで行われ、成人男性はピッチに最大5名まで、残りは子どもか女性、50歳以上のシニアがプレーし、交代は自由というオリジナルルールが設けられている。そのため、各チームの陣容はまさに十人十色。会社の同僚、上司・部下、お子さんを含む家族、友人など、老若男女が同じピッチを走り回った。

クラブと企業の共創というカタチ

言うなればこれは、スポンサーアクティベーションの一種だ。クラブに協賛する企業に対して、日頃の感謝を形にする場所。それでいて、このイベントは、それ自体が共創パートナー企業2社と一緒に内容を考えて開催してきたという、稀有なものでもある。クラブと企業をつなぎ、絆を深めるためのこれ以上ないアクティベーションなのだ。

堅苦しい背景を記すよりも、写真でその空気感を味わってもらえればわかるだろう。

試合が始まると、どのチームも「勝利」を目指してボールを追いかける。多くのチームはサッカー経験者数名を軸にしながらも、「女性と子どもは2点」というルールも生かしたフォーメーションを組んで戦う。ただし、勝利以上に、日常の社内では見せることのない姿にみんなが一喜一憂し、声を挙げて仲間を応援し、ゴールやナイスプレーには大歓声で賛辞を送る。非日常の空間が、無意識のうちにその場に出来上がっていた。

参加者にカメラを向けると、みんな照れくさそうな笑顔を見せ、次第にそのカメラの存在も忘れてピッチに目を戻す。聞けば、出張で遠方から来ていたという、この場で初めて会った社員の姿を思わず目で追ってしまっていたという参加者もいた。

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そんな様子を、ピッチ横でうれしそうに眺めていたのは、FCふじざくら山梨の五十嵐雅彦GMだ。「どうですか?イベントの様子は」と聞かれ、思わず「なんですかこの最高の大会は!」と答えた。その場にいるみんなが自然と熱くなっていることを感じていた。

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年齢も性別も関係なく、一つのボールを追いかけ、その姿をみんなで応援し、試合が終わればあれこれと振り返り話に花を咲かせ、知り合った他チームの参加者を応援し、そしてみんながキラキラとした表情になっていく──。

なるほど、これが多様性か、と。多様性とはこういうことだと実感した。

大会にはFCふじざくら山梨OBチームも参加し、現チームの平山茶久美監督を含め、クラブにゆかりのある男女メンバーも一緒に汗を流した。勝ったチームだけでなく、負けたチームに敗者復活の機会があったり、活躍した女性やシニアの選手に賞品が用意されていたり、参加者全員が楽しめて、笑顔の絶えない盛大なイベントとなった。

しかも、表彰式には、翌日のホームゲーム設営のために到着したFCふじざくら山梨の選手たちが整列して、賞品を渡し、日頃の感謝を直接伝えるサプライズも。最後の最後まで、クラブと企業、企業と選手、企業と企業同士の交流が続いたことは言うまでもない。クラブの熱量が、そこにいる全員に広がるような時間だった。

今年は、連覇を目指した企業が決勝で敗れ、新王者が誕生する歴史が刻まれた。

「サッカーのまち」韮崎で、女子サッカークラブができることを模索した結果生まれたのが、「ふじざくらダイバシティフットボールカップ」だった。多様性をテーマにした新しいサッカー大会がこの地に息づき始めたのは、きっと偶然ではないはずだ。

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「サッカーがあるこの街に貢献したい」という地域企業と、FCふじざくら山梨の想いが共鳴して誕生したイベントは今回で3回目を迎え、この先もきっと、この街で新たな歴史を築き、唯一無二の価値と未来を創造していくだろう。

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超ワールドサッカー編集部
海外リーグ、Jリーグを中心に日本代表、なでしこなど、幅広いファン層が訪問するサッカー情報サイト「超WORLDサッカー!」。 記事数はサッカーメディアで圧倒的トップで移籍情報は、国内ではJ1からJ3まで、海外では欧州5大リーグにとどまらずフリークが求めるリーグやチームまで網羅。 ピッチ外の出来事も豊富に取り揃え、24時間365日、最新のサッカー情報を配信中。
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