2022年のカタールワールドカップ終了後、初の代表活動でA代表デビューを飾り、瞬く間に主力の座をつかんだ中村敬斗。北中米ワールドカップでの経験を経て、今度は周囲から“追われる側”へと立場が変わる中、次の4年後を見据えたアップデートが始まっている。
「まずは一番遠くを見る」ランスで培った判断が生きたアシスト
2026年の6月から7月にかけて行われた北中米ワールドカップ終了後、初の代表活動に臨んでいる森保ジャパン。4連戦の親善試合の初戦となった9月24日のウルグアイ戦で、左ウイングバックとして先発した中村敬斗は、立ち上がりから違いを見せる。
前半11分、左サイドでスローインからのリターンを受け取ると、素早く中に持ち運び、右ウイングバックの松木玖生に、鋭いサイドチェンジのボールを供給。この日A代表デビューを飾った期待の新星の初ゴールをアシストしてみせた。
「中にドリブルしたあとに、まずは一番遠くを見るっていうのは心がけています。それはスタッドランスで伊東純也選手がいた時に、やってよかったなというのがあったので。そういうふうにサイドチェンジで空いているところを狙って、もし空いてなかったらセンターバックに下げるということもしますけど、選択肢としてはまずサイドチェンジを一番に考えていました」
一方で、対人強度が高く、守備の堅いウルグアイを相手にしても、最大の武器であるドリブルからのカットインをためらわない。強く寄せられても果敢に仕掛け、奪われかけても懸命に足を伸ばしてもう一度前を向く姿勢に、観客席からは何度も歓声が沸き上がった。
「新しく移籍したリヨンは、ボールを持つチームなんで、(ランス)とは本当に違う。そういった意味ではボール持ってたら簡単に失わないことを、チームとしても大事にしている。そこは個人としても成長していっているなと感じています」
「もっと良くなる」4年後へ向けた新たな引き出し
ただ、北中米ワールドカップでゴールを決めた中村への警戒は、これからさらに強くなる。これまで以上に相手から意識される中で、どうやってゴールへ迫っていくか。その一つの鍵となるのが、周囲の選手とのコンビネーションだ。
縦に速くカウンター志向の強かったランスと比べ、ボールを保持しながら攻撃を組み立てる時間が長いリヨンは、アタッキングサードで相手の守備をどう切り崩すかのアイデアを増やすには、もってこいのチーム。周りの選手を生かしながらスペースを生み出す力が高まれば、得意の仕掛けもより生きてくるはずだ。
ウルグアイ戦では、北中米ワールドカップのメンバーに選ばれながら出場機会の少なかった鈴木唯人が、左シャドーで先発。2人で立ち位置を入れ替えながら相手のマークをずらし、ゴール前ではワンツーからシュートへ持ち込むなど、連動したプレーを見せた。
来年のアジアカップをもって森保一監督の退任が決まっており、後任の大岩剛監督就任後はシステムやメンバーの大幅な変更も予想される。ただ、まずはアジア王者を目指し、個人としても目に見える結果を残すためには、左シャドーでプレーする選手と関係性は、日本代表にとっても中村にとっても一つのポイントになっていく。
「唯人とは何回かうまくコンビネーションを作った自信もあったので、それがもうちょっと形を作れれば、もっとチャンスにもなるはず。今回初めて組んだので、これから組む機会が多くなるとなったら、もっともっと良くなっていくと思いますし、お互いの良さを引き出していければ」
長年磨いてきた突破力に、ランスで培った判断力、そして新たに取り組む、味方選手とのコンビネーション。いくつもの武器を重ねた先で、中村敬斗がどんな姿へと進化していくのか。4年後を見据えたその歩みから、目が離せない。
▪︎取材・文=青木ひかる

