【日本サッカー見聞録】選手名鑑の思い出

▽J1リーグの開幕を17日後に控え、今年もJリーグ選手名鑑の季節がやってきた。昨日10日にはサッカーダイジェストの増刊が発売された。J1からJ3まで全53クラブを網羅した、290ページにおよぶ“大作”。これで1000円を切る、980円という値段には拍手を贈りたい。

▽この選手名鑑、1993年のJリーグ開幕からダイジェストとサッカーマガジンは本誌の綴じ込み付録として製作していた。当時は10チームだったので、今とは比べ物にならないほど作るのも楽だった(と思う)。そんな選手名鑑で一番苦労したのは、選手の顔写真撮影だった。

▽当時はダイジェストとマガジンのカメラマンが10クラブを訪れ、交互に選手を撮影した。しかし、1人のカメラマンが全チームを撮影するのではなく、複数のカメラマンで手分けして撮影したため、カメラマンによって選手のトリミングがバラバラだった。あるカメラマンはアップ目だったり、別のカメラマンは引き気味だったりと、肩の切れ方やユニホームの胸元の位置に統一感がない。

▽そこでレイアウトでアップ目のチームに統一するのだが、印刷された校正紙を見るとやはりバラバラ。再校、再再校と繰り返して指示を出すのだが、なかなか統一されることはなかった。Jリーグ開幕当時はまだフィルムだったため、拡大縮小も今のデジタルほど簡単ではなかったのも統一を難しくしていたのだろう。

▽そしていつも頭を悩ませたのが、新外国人選手の顔写真だ。開幕直前に獲得した選手は来日していないことも多く、チームに合流していない。何とか前所属チームの顔写真を見つけると、クラブのユニホームと合成して載せたものだ。ライバル誌がそうした選手の顔写真を掲載しているかどうか、発売日には最初にチェックしていた。

▽開幕から数年後、選手の顔写真はJリーグフォト株式会社が代表して撮影し、それをダイジェストなどマスコミ各社は購入するシステムになったため、バック紙(選手の背景にある色紙)の色も統一されるようになった。

▽53クラブのチームデータや選手データだけでなく、過去の記録やレフェリー名鑑、解説者名鑑なども網羅した大作。これほどデータ満載のボリュームある選手名鑑は、世界各国のリーグを見回しても、Jリーグがダントツの充実度だろう。日本人のデータ好きを反映しているのかもしれない。

▽ただ、ネックは1キロという重量で、持ち運びに難点があること。ポケットサイズも発売されるが、こちらは字が細かくて少々見にくい。というわけで、今月の第4木曜に発売される本誌の付録である簡略版も購入することになる。商売上手のダイジェストと言える。

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六川亨
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。 現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。 日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた。
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