★アトレティコ・マドリー〜ユニフォーム編〜
▽今週の「Never Ending History」は、スペイン屈指の名門アトレティコ・マドリーをピックアップします。今シーズンのリーガエスパニョーラでは、スペインの首都マドリッドが置かれているマドリッド州に、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、ヘタフェ、そして、2部から昇格したラージョ・バジェカーノの4クラブが在籍することになりました。その中でもアトレティコ・マドリーは、レアル・マドリーやバルセロナに次ぐ3番目の名門クラブとしてスペインの人々に認知されている有名クラブです。今シーズンこそリーガエスパニョーラで7位に甘んじていますが、これまでリーグ優勝9回、コパ・デル・レイ(国王杯)優勝9回、そして国際大会では、インターコンチネンタルカップ、UEFAカップウィナーズ杯、ELでそれぞれ1回ずつタイトルを手にしています。超WSで連載されているコラム、『原ゆみこのマドリッド』でも頻繁に登場しているアトレティコ・マドリーに注目しているユーザーの方も多いかと思います。今回は、そんなアトレティコ・マドリーのユニフォームを紹介しましょう。

◆ロヒブランコスの始まり
▽アトレティコ・マドリーといえば、クラブカラーの赤と白を基調としたストライプ柄のホームユニフォームが最も有名。そしてアウェイユニフォームは、これまでに黒や青、白といった色を使い、色々なデザインが施されてきた。しかし、アトレティコ・マドリーが創設された当初は、主に青と白を基調としたユニフォームを使用していたようで、現在の赤と白のストライプは1911年ごろから使われるようになったという。その後は、このストライプ柄が由来となり、『ロヒブランコス』(Rojiblancos、スペイン語で赤がRojo、白がBlancoの意味)と呼ばれて人々に定着していった。

▽スペインでは、アトレティコ・マドリーの赤と白のストライプ柄ユニフォームを使用しているクラブがもう1つ存在している。それは、“バスクの雄”とも呼ばれ、バスク人純血主義を貫くビルバオだ。最初に赤と白のストライプ柄ユニフォームを使用し始めたのはビルバオで、彼らはクラブ創立後にマドリッド州にも姉妹チームを設立しようとした。その際に設立されたのがアトレティコ・マドリーなのである。なお、『アトレティコ』とは、スペイン語で総合スポーツの意味であり、ビルバオの正式名称であるアスレティック・クラブから由来している(ビルバオはイギリス人労働者とイギリス留学帰りのバスク人によってつくられたため、ルーツである英語の表記になっている)。

▽ビルバオは当初、アトレティコ・マドリーと同様に青と白のストライプ柄のユニフォームを着用していた。しかし、当時のスペインではベッド柄が赤と白のストライプ柄を多く使用されており、クラブ側もより安価に手に入れることができた赤と白の生地を使用することを決め、現在の配色になったというユニークな説が残っている。それが影響してか、アトレティコ・マドリーはロヒブランコスの他に『コロチョロ』(Colchonero、スペイン語でマットレス製造人の意味)という愛称が付けられている。

▽アトレティコ・マドリーでは、昨シーズンまで6シーズンにわたって胸のスポンサーロゴを務めていた韓国の自動車企業『KIA』との契約が満了している。そのため、今シーズンのチームユニフォームの胸部分にはスポンサーロゴが記されていないのだ。胸のスポンサーロゴというのは、クラブを運営する上で多くの資金を獲得できる非常に重要なもの。チェルシーであれば韓国の電子メーカー『サムスン』、レアル・マドリー、ミラン、アーセナルは、UAEの『エミレーツ航空』とスポンサー契約を結び巨額の資金を得ている。

▽もちろん、巨額の資金を得るために、アトレティコ・マドリー側もスポンサー契約を結びたかったはず。しかし、昨シーズンはCL出場権を逃すと、チームの看板選手であったアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロ(現マンチェスター・シティ)やU-21スペイン代表GKダビド・デ・ヘア(現マンチェスター・ユナイテッド)、ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルラン(現インテル)を相次いで放出。そのため一部スペインメディアは、クラブの価値が下がったと判断されたアトレティコ・マドリーと、スポンサー契約を結ぶのをためらった企業が多いと報じていた。アトレティコ・マドリーのスポンサー契約の背景には、選手移籍で発生する問題は単にチーム力が変動するだけではなく、それ以外の複雑な利害関係が含まれていたのである。さらに、現在のスペインで長く続いている経済危機も大きな理由の1つとなっている。

▽余談ではあるが、アトレティコ・マドリーにスポンサー契約を申し入れていた企業が全くなかったわけではない。その1つとして紹介するのが、アメリカの『アシュリー・マディソン』(Ashley Madison)という企業。しかし、この企業はなんと浮気を促進する出会い系サイトであったのだ。もちろん、アトレティコ・マドリー側はクラブのイメージを損なうとしてこのオファーを拒否している。クラブの面子を保つためもあるが、アトレティコ・マドリーという伝統あるクラブのスポンサーになる企業は非常に限られているのである。

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