

Getty Images
[未成年選手の移籍を指摘されたバルセロナは1年間の補強禁止処分に]
▽近年、移籍市場の若年化傾向が目立つヨーロッパでは、悪徳ブローカーの暗躍によって人身売買に近い、違法な形での10代の若手選手の移籍が目立っている。この影響で10代半ばにして右も左もわからぬ外国で路頭に迷う若者が増加しており、FIFAは“未成年の保護”を目的とした移籍条項19条で未成年者の国際移籍を禁止する規定を設けている。▽この19条では原則として18歳未満の若手選手の国際移籍を禁止している。ただ、両親がサッカー以外の理由で移住した場合。EU加盟国内に住んでいる16歳以上18歳未満の選手が、EU内で移籍する場合。自宅が国境から50km以内にあり、かつ隣国のクラブも国境から50km以内にあり、両国のサッカー連盟が許可を出した場合。この3つのケースのみ例外として移籍が認められる。
▽以前は上記の3つの例外のうち、「両親がサッカー以外の理由で移住した場合」というケースに関して、かなりグレーな部分が多かった。例えば、息子の移籍を前提に移籍先のクラブの近辺で職を見つける。(場合によっては、クラブがサッカー関係以外の仕事の斡旋を行う) または、父親が元選手の場合、アカデミーのコーチやクラブスタッフとして雇い、お目当ての息子を自然な形で下部組織に入れるなど、抜け道的な手法が認められていた。
▽だが、未成年者の人権保護が重視される時勢を受け、FIFAは2014年4月に再三是正を勧告してきたバルセロナに対して、今後1年間(2015年冬と2015年夏)の選手移籍禁止という厳しい処分を科した。さらに、今後の状況次第では同じく違反が疑われているアトレティコ・マドリーやレアル・マドリーにも同様の処分が科される可能性がある。
【目次】