【日本代表コラム】上々の船出

▽ハリルホジッチ監督の言葉どおり「本当に素晴らしい出発になった」。青山のスーパーボレーにはじまり、最後は宇佐美と川又の“らしい”代表初ゴールで大量5得点を奪取。最高の形で新体制の2試合を終えたようにも思えるが、試合をトータルで評価すると、課題も多く見つかった。ただ、前回のコラムでも触れたように、それは当然のこと。試合後のコメントを聞く限り、新指揮官にとっても想定の範囲内だったようだ。

▽キックオフ直後、岡崎が猛然とプレスをかけると、それに呼応するようにチーム全体でボールを奪いにかかる。チュニジア戦でも見られた姿勢であり、前半6分には、ボックス付近で前線の4選手が連動し、ワンタッチ、ツータッチでボックス内に侵入。そして、その一連の流れで得たCKのクリアボールを、青山が豪快且つ繊細なボレーでゴール右上に突き刺した。

▽その直後にも、トップ下の香川にボールが収まると、乾のダイアゴナルランに合わせてプルアウェイした岡崎に絶好のパスが届くが、これを決めきれない。さらに乾や本田がミドルレンジから積極的にゴールを狙っていった。また、今回の合宿を通して練習していた3~4人が絡んでの《クサビ⇒落とし⇒展開》という流れからもゴールに迫っていった。

▽しかし、“縦”と“速さ”を意識するあまりボールロストも多く、前と後ろが間延びする場面が散見。10番のラシドフを筆頭に、ウズベキスタンにも技術のある選手が揃っていたため、プレスをはがされ、マークにズレが生じてゴールを脅かされる場面も多かった。終盤のゴールラッシュに関しては、相手の集中力が切れていたことや、6人という交代枠によって前線の運動量が増えたことも影響したはずだ。

▽ただ、ハリルホジッチ監督も、準備期間が短かったため、「仕方のない部分もある。そういったウィークポイントを修正していけばいい」と語り、改善点が出てくることは織り込み済み。現時点で大事なのは、“何ができて、何ができていないか”を把握することに他ならない。だからこそ、徹底的に“縦”と“速さ”の意識を刷り込み、自身のスタイルを示しつつ、そこまでの道のりを逆算したかったのだろう。

▽また、新戦力の活躍にケチをつけるような言い方をしたが、彼らが結果を残したことは事実であり、大きな自信を手にしたはずだ。何より、太田や宇佐美、川又など、途中から出場した選手の多くが、自身の特徴を生かしてゴールに絡んでいる。香川もトップ下の位置で以前よりも軽快な動きを見せていた。そして青山はゴールだけでなく、自身の持ち味である展開力も発揮。特に、奪ったボールをダイレクトで前線の選手に供給するパスは、奪ってからの素早い展開を目指す現代表にもマッチするだろう。監督が「何人か気になる選手がいた」と語った「何人か」の一人は、青山のような気がしている。

▽先のチュニジア戦に比べると悪い部分も目に付いたウズベキスタン戦だったが、ハリルホジッチ監督は「私が思っていたよりも早く、より良いチームになると思う」との見通しを語るなど、今回の代表合宿、そして2つの国際親善試合に手応えを感じていることは間違いない。見ている側にも、監督がどのようなチームを目指しているのかは伝わってきた。ここから2カ月余りは、そのチームに適した人材を発掘する時間ができる。指揮官がどのようなリストを用意するのか――約2カ月に及ぶ“視察”の中で、ハリルホジッチ監督の導き出す答えを楽しみに待ちたい。
《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》

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超ワールドサッカー編集部
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