▽28日にジャカルタで行われた2018年AFC・U-19選手権(インドネシア)準々決勝。影山雅永監督率いるU-19日本代表は6万人超の大観衆が押し寄せた完全アウェー、しかも視界がおぼつかない豪雨という壮絶な環境の中、2-0で勝利。2大会連続で世界切符を手にした。
▽エースナンバー10をつけるテクニシャン・安部裕葵(鹿島アントラーズ)も大一番に先発出場。[4-4-2]の左ワイドに陣取り、攻守両面で渡って献身的なプレーを見せた。この日ばかりは相手2~3人に囲まれてボールを失うピンチに何度か見舞われ、持ち前の創造性やアイディアを発揮する回数が少なかったものの、「行けるところまで行く」という強い闘争心は後半19分にベンチに退くまで失われることはなかった。
▽「このゲームはホントに我慢勝負になるから、スキがあったら得点を狙うつもりで行こうとハーフタイムにみんなで話し合った。最悪、1-0でもいいから集中してやろうと意思統一しました。あれだけの大歓声でカウンター1本でも雰囲気に飲み込まれちゃいそうな感じだったけど、そうならないように耐えられたのはよかった」とチーム随一のイケメンアタッカーは心底、安堵した様子を見せていた。
▽この試合では30mミドルシュートで先制弾を叩き出した東俊希(サンフレッチェ広島ユース)や2点目に絡んだ久保建英(横浜F・マリノス)、宮代大聖(川崎フロンターレU-18)らに主役の座を譲ることになった安部だが、今年6月のロシア・カザン遠征ではただ1人、2018年ロシア・ワールドカップに挑んでいた日本代表側の一員として紅白戦を戦ったほど、周囲から高く評価を受けている。ルーキーイヤーだった2017年からJ1・13試合出場1得点という実績を残し、今季もJだけでなくAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の大舞台で戦ってきた経験値は同世代の中でも頭抜けている。そこは本人も大いに自信を持っている点。常勝軍団の一員として小笠原満男や内田篤人から帝王学を引き継いだ風格が19歳にして色濃く表れている。
▽「安部君と話してると、小笠原選手や内田選手と話してるような錯覚を受ける? ああ、ホントですか(笑)。鹿島に入ったことで身に着いたものもありますけど、そういうもの(落ち着き)は高校時代から少しはあったと思うんで。平常心を保つ秘訣は何も考えないこと。試合中も試合前も試合後も。何かを想像することで、自分の理想と現実との比較(乖離)が起きて、メンタルの乱れにつながると思う。何も想像や予想しないことで、そういったメンタルの乱れは防げるんじゃないですかね」といった口ぶりはまだ10代の若者と思えない冷静さだ。そこまで熟慮しながら1つ1つのプレーを選択しているあたりが、大物の予感を漂わせるのだ。

