ガクポデビューに主力起用のリバプール、ウルブスに薄氷ドローで再試合に《FAカップ》

2023.01.08 07:02 Sun
Getty Images
FAカップ3回戦のリバプールvsウォルバーハンプトンが7日にアンフィールドで行われ、2-2のドローに終わった。

前大会王者リバプールは、今大会初戦でプレミアリーグ降格圏に沈むウルブスと対戦した。直近のブレントフォード戦に1-3で敗れて2023年黒星スタートとなったクロップ率いるチームは、次節からブライトン、チェルシーと難敵とのリーグ連戦を控える中、ホームで白星を狙った。
例年、カップ戦の序盤戦では若手や控え選手を中心に戦うクロップ監督だが、ここ最近の不振やリーグ次節へ日程面の余裕があることを受け、守護神アリソンの起用を含め負傷者を除くベストメンバーを起用。PSVから新加入のガクポは左ウイングで新天地デビューを果たした。

これまでの布陣とは異なる[4-4-2]で臨んだウルブスに対して、序盤から攻勢を仕掛けていくリバプール。開始5分にはボックス左でサラーからパスを受けたガクポが早速シュートを放った。

以降はボールを保持して押し込むリバプール、自陣にコンパクトなブロックを敷いてアダマ・トラオレとアイ=ヌーリの両サイドハーフとゴンサロ・ゲデスのスピードを生かしたロングカウンターで応戦するウルブスという構図の下で一進一退の攻防が続く。
すると、前半半ばにはリバプール守護神の信じがたいミスからアウェイチームに先制点が生まれた。26分、ボックス内でチアゴからバックパスを受けたGKアリソンが不用意に右サイドのアレクサンダー=アーノルドへショートパスを出すと、これを目の前にいたゲデスが難なくカットし、無人のゴールへ流し込んだ。

守護神のボーンヘッドでビハインドを背負ったリバプールは、ここから反撃に打って出る。だが、アタッキングサードでプレー精度の問題、連携ミスが目立って攻め切れない。逆に、相手が狙うカウンターに晒され、ゲデスのパワフルなミドルシュートであわや2失点目というピンチを招く。

それでも、本拠地で圧倒的な勝負強さを誇るクロップのチームは、前半終了間際に圧巻のコンビプレーから同点に追いついた。

45分、相手DFの不用意なクリアを回収したアレクサンダー=アーノルド相手陣内に運んで狙いすましたフィードをボックス左のスペースへ落とす。これに快足を飛ばして追いついたヌニェスが後方からのボールを柔らかな左足のワンタッチでゴール右隅へ流し込んだ。

クラブ通算250試合出場達成の生え抜きDFの見事なお膳立てから悩める新加入ストライカーがゴールを奪い、1-1のイーブンで試合を折り返したリバプール。

後半も勢いを持って入ると、今度はエースが決定的な仕事を果たす。52分、左サイドから内側へ運んだガクポが右足インスウィングのクロスを上げると、DFトチ・ゴメスがクリアミス。浮き球の形でゴール前にこぼれたところを見事なファーストタッチで収めたサラーが、GKのポジションを見極めて冷静に左隅へ蹴り込んだ。

自分たちのミスで逆転を許したウルブスは、以降も勢いづいたホームチームに守勢を強いられる。56分にはネヴェスの浮き球スルーパスにアイ=ヌーリが完璧に抜け出したが、この一対一はGKアリソンの好守に阻まれた。

何とか流れを変えたいロペテギ監督は63分、ヒメネスとネヴェス、ゲデスを下げてマテウス・ヌネス、ファン・ヒチャン、新戦力のクーニャを投入する3枚替えを敢行。すると、スペイン人指揮官の勝負手が見事に嵌った。

66分、ボックス手前中央で縦に仕掛けたファン・ヒチャンがボックス左に走り込むクーニャに預けてゴール前に飛び込む。そして、絶妙なリターンの折り返しにスライディングシュートの形で合わせると、DFコナテにブロックされたものの撥ね返りが自身の身体に当たってそのままゴールネットに吸い込まれた。

ここ最近の不振を表すようにゲームをコントロールしながらも追いつかれたリバプール。徐々に中盤に疲れが見え始めた中、ヘンダーソンとファビーニョを下げてナビ・ケイタ、エリオットとフレッシュな選手をピッチへ送り込んでいく。

後半半ばから終盤にかけてもイーブンな攻防が続くも、82分にはウルブスに大きな見せ場が訪れる。81分、左CKの流れからマテウス・ヌネスが入れたクロスのこぼれに反応したファン・ヒチャンがボックス中央でシュート。これをゴール前のトチ・ゴメスがワンタッチでコースを変えてゴールネットを揺らす。だが、勝ち越しゴールかに思われたこのプレーはマテウス・ヌネスの戻りオフサイド判定で認められず。

微妙なオフサイド判定に救われて辛くもイーブンを維持したリバプールは、この直後にサラーとガクポ、アレクサンダー=アーノルドを下げてドーク、オックスレイド=チェンバレン、ジョー・ゴメスを投入。

引き分け再試合を避けたいホームチームはここから猛攻を仕掛けていくが、割り切って後ろに重心を置くウルブスの守備を三度こじ開けることはできなかった。

そして、ほぼベストメンバーを揃えながらもターンオーバーを行ったウルブスに勝ち切れなかったリバプールは、2023年の公式戦初勝利を逃した。なお、再試合はウルブスのホームで開催される予定だ。
関連ニュース

遠藤航は「脱出ゲーム」が得意? シント=トロイデンの元コーチが明かす過去の姿、現在の姿を称賛「最大の特徴はバランスをもたらすこと」

シント=トロイデンでアシスタントコーチを務めていたイサム・シャライ氏が、リバプールの日本代表MF遠藤航について語った。イギリス『スカイ・スポーツ』が伝えた。 湘南ベルマーレの下部組織で育った遠藤航。2011年2月にトップチームに昇格すると、2016年1月に浦和レッズへと完全移籍。2018年7月に海を渡り、シント=トロイデンに完全移籍で加入した。 2019年8月にシュツットガルトへとレンタル移籍すると、2020年7月に完全移籍。その後キャプテンを務め、チームをブンデスリーガ昇格に導くなど活躍。2023年8月にリバプールへと完全移籍を果たした。 大きなステップアップをした遠藤だが、獲得当初は大きな批判にさらされることに。期待値は低く、ファンからも疑問視する声があがったが、パフォーマンスで沈黙させることに。今ではアンカーとして欠かせない存在となっている。 そんな中、シント=トロイデンに加入した当初にアシスタントコーチを務めていたシャライ氏が遠藤について言及。「彼はとても内気で、英語もあまり上手ではなかったので、大変だった」とあかし、「彼に画像を見せたり、我々が期待していたものを見せたりすることがたくさんあった」と語った。 コミュニケーションで苦しむ可能性がありそうなスタートだったが、遠藤が違いを見せたのが「脱出ゲーム」だったという。 グループでパズルを解いて密室から抜け出す「脱出ゲーム」だが、シント=トロイデンではチームの結束を高める訓練として採用されていたという。 シャライ氏は「彼らはいくつかの暗号を見つける必要があった。選手たちが何をしているのかを確認できるように、いくつかのカメラを設置した」と説明。そこで遠藤が活躍したという。「多くの暗号を自ら発見したのは遠藤だということがわかった。彼はピッチ上ではとても賢い。しかし、ピッチ外でも賢い男だった。そのことが多くの選手から信頼を得ることとなった」とエピソードを明かした。 実に遠藤らしいエピソード。問題解決能力と状況把握、頭の回転のはやさがなければ、簡単に解くことができないの「脱出ゲーム」だ。 それから6年が経過。今やプレミアリーグで優勝を争うチームにおいて欠かせない存在となり、ユルゲン・クロップ監督も信頼を寄せる選手の1人にまで成長した。 遠藤は今シーズンのプレミアリーグにおいて、ピッチ上での90分間当たりの失点が最も少ない選手になっている。クロップ監督も以前「彼の守備頭脳は傑出している」と称えており、「彼はチームに何か違うものを与えている。それは明らかだと言わざるを得ない」と、期待を寄せていた。 シャライ氏は 「彼の最大の特徴は、チームにバランスをもたらすこと」と語り、「彼は試合をよく読む男だ。チームがボールを失ったときに何をしなければならないかを常に考えている。彼はワンタッチやツータッチでプレーするのが好きなので、試合をあまり複雑にしない」と特徴を紹介。「そして、テクニックは上手いし、メンタルもとても強い」と、全てを備えている選手だと称賛した。 そしてまだ見せていない能力もあるという。「おそらく、イングランドでは、彼が頭でゴールを決めることができ、長距離の良いシュートを打てるということはまだ知られていないはずだ」とコメント。シュツットガルト時代はチームの窮地を何度も救い、名前とかけて「LEGENDO」とも言われる遠藤のまだ見せぬ能力を見たときの反応は気になるところだ。 <span class="paragraph-title">【動画】遠藤航もフル出場でハイパフォーマンス!リバプールvsシティ</span> <span data-other-div="movie"></span> <script>var video_id ="obM9WhCHFd0";var video_start = 259;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.03.29 13:15 Fri

代表戦で負傷のロバートソン、重傷にあらずか…今週末のブライトン戦微妙も

リバプールのスコットランド代表DFアンドリュー・ロバートソンは重傷を回避したそうだ。 この3月の代表活動に呼ばれ、2つの国際親善試合に出場したロバートソンだが、26日の北アイルランド代表戦で足首を痛め、37分にピッチを後に。イギリス『デイリー・メール』によると、27日にリバプール復帰を果たし、検査を受けたという。 そこでの診断結果では長期離脱を免れ、当初の見込みよりも軽いものだった模様。ただ、再開後初戦となる今週末の31日にブライトン&ホーヴ・アルビオンをホームに迎え撃ってのプレミアリーグ第30節に出られるかどうか微妙なようだ。 今季のロバートソンはシーズン序盤に肩の手術を受けた影響もあって、今年2月に復帰。ここまで公式戦20試合で1得点1アシストをマークしている。 ユルゲン・クロップ体制のラストイヤーとなるリバプールはこの終盤戦でプレミアリーグ、そしてヨーロッパリーグ(EL)のタイトルチャンス。再開後は再び連戦とあって、ロバートソンにも万全の状態で戻ってきてもらいたいところだ。 2024.03.29 11:05 Fri

バイエルン名誉会長もシャビ・アロンソ招へいに諦めムード 「非常に難しいだろう」

バイエルンが思い描くレバークーゼンからシャビ・アロンソ監督(42)を招へいするプランは崩れそうだ。イギリス『スカイ・スポーツ』が報じた。 トーマス・トゥヘル監督の今季退任が決定済みのバイエルンでは長らくクラブOBのシャビ・アロンソ監督がトップターゲットに。同じく古巣のリバプールも今季限りで退任するユルゲン・クロップ監督の後任として目を光らせ、引き抜き合戦が大方の予想を占めたが、ここにきてレバークーゼン残留の見通しが浮上している。 両チームからすれば再考を余儀なくされ、バイエルンも断念となるなか、名誉会長のウリ・ヘーネス氏がドイツ『ARD』で「非常に難しいだろう。おそらく不可能とまでは言わないがね。彼がレバークーゼンに残るのは確かにイメージできる」と語り、実現しなさそうな状況を認めた。 「彼のことを知っていくにつれ、彼のなかでレバークーゼンに残りたいという気持ちが強くなった。今の彼らを置き去りにしたくないからだ」 「彼は今、ドイツチャンピオンを目指すクラブで働いている。彼にはあのクラブで感謝すべきことがたくさんあって、クラブも然りだ。彼が2、3年にわたって成功していたら、引き抜くのは容易いものだっただろう」 「我々は彼と契約したいが、それがうまくいかないようであれば、代わりを探して、見つけるのがクラブ首脳陣の仕事になるだろう」 2024.03.29 10:50 Fri

引く手数多のシャビ・アロンソ監督にレバークーゼン残留予想! リバプールにもバイエルンにも行かず

今季終了後の動向を巡り、大いに注目されるレバークーゼンのシャビ・アロンソ監督(42)だが、動かなさそうだ。 レバークーゼン指揮2年目のシャビ・アロンソ監督はその今季も佳境に差しかかるが、ここまでの公式戦38試合でいまだ負け知らず。ブンデスリーガではバイエルンを10ポイント差で抑え込み、初制覇に迫る。 そうした手腕は今季をもって監督交代が決定済みのリバプールとバイエルンの古巣勢を筆頭に他クラブの関心をも集めるが、イギリス『The Athletic』によると、レバークーゼン残留で決着する様相を呈しているという。 リバプールとバイエルンもシャビ・アロンソ監督の残留を見込み、すでにほかのターゲットを模索。リバプールに至っては以前から今夏のレバークーゼンを去る可能性が低いとの認識だったそうだ。 また、移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ記者もイギリス『タイムズ』のポール・ジョイス記者に呼応する形でもう1年の残留見通しを主張。近く最終決断が下され、発表に至るとのことだ。 リバプールはシャビ・アロンソ監督を待つつもりなく、スポルティングCPのルベン・アモリム監督(39)も選択肢の1つとして内部で協議。一方のバイエルンの方はひとまず正式決定を待つ模様だ。 なお、シャビ・アロンソ監督とレバークーゼンの契約は2026年夏までだが、2025年に有効なリリース条項があるとみられる。 2024.03.29 09:45 Fri

次期監督巡って綱引きのバイエルンとリバプール、プランBもデ・ゼルビで被る?

次期監督を巡って綱引きのバイエルンとリバプールだが、プランBも被るようだ。 バイエルンではトーマス・トゥヘル監督が今季限りが決まり、リバプールの方もユルゲン・クロップ監督がラストイヤーに。両軍ともタイトルの行方を左右する終盤戦の真っ只中だが、来季の指揮官が誰になるのかも注目どころだ。 そんな両チームはそれぞれのクラブOBであり、今季のレバークーゼンで指揮官としての評判を上げるシャビ・アロンソ監督(42)を本命のターゲットにするが、ドイツ『ビルト』によると、失敗時のプランBでも重複しているという。 そのプランBに挙がるのがブライトン&ホーヴ・アルビオンのロベルト・デ・ゼルビ監督(44)。チャビ・エルナンデス監督が今季限りで退任するバルセロナも興味を抱くなど、こちらも人気銘柄であり、一本釣りとはいかなさそうだ。 なお、イギリス『テレグラフ』によると、デ・ゼルビ監督とブライトンの契約は2026年夏まであるが、1400万ユーロ(約22億8000万円)のリリース条項が存在するとみられる。 2024.03.28 08:55 Thu
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly