試合もコロナも増えていく…/原ゆみこのマドリッド
2020.11.17 22:30 Tue
「7連戦じゃない!?」そんな風に私が目を瞠っていたのは月曜日、これまでまったく話題に上がってなかったため、ほとんど気にしていなかったコパ・デル・レイ1回戦の組み合わせ抽選会のライブ配信ページをASのサイトで見つけた時のことでした。いやあ、コロナ流行のせいで通常より、シーガが遅く始まった今季は10月のインターナショナルマッチウィークが終わった後にヨーロッパの大会も開幕。おかげでCL、ELのグループリーグに参加しているスペインのチームは地獄の7連戦をこなさないといけなかったんですけどね。11月も代表戦後にグループリーグ後半戦があるため、同じ7連戦リピートと勝手に思っていたところ、何と12月16日前後にコパ1回戦って、それじゃ、10連戦になっちゃうじゃないですか。
それも、おそらく昨季と同じ1月に開催になるだろう、スペイン・スーパーカップのファイナルフォーに出場するレアル・マドリー(リーガ優勝)、バルサ(リーガ準優勝)、レアル・ソシエダ(昨季のコパ・ファイナリスト)、アスレティック(同、昨季のコパ決勝は来年4月4日に延期されている)ら、4チームは1、2回戦が免除。よって、このミッドウィーク、週末の4週間連続ループの苦行に挑むのはアトレティコ、セビージャ、ビジャレアル、グラナダだけなんですけどね。112チームによる1発勝負のコパ1回戦でシメオネ監督のチームが地方リーグ所属のカルダサル(マジョルカ島)と当たったのはともかくお隣さんとバルサのもたつきにより、今季こそリーガ優勝争いに喰い込めかもしれないとファンに期待されている昨今、あまりにハードなスケジュールでは?
大体がして、各国代表に大量14人もの選手を送り込んでいるアトレティコにはすでに不安をかきたてる知らせが届いており、まずはサビッチ(モンテネグロ)がネーションズリーフのアゼルバイジャン戦を筋肉痛により欠場。キプロス戦を待たずに代表を離脱することに。エレーラ(メキシコ)も韓国との親善試合に左太もものケガで出られず、火曜の日本戦を待たずにマドリッドに戻ったんですが、何と言っても一番の懸念はGKオブラク(スロベニア)だったかと。ええ、週末のネーションズリーグ、コソボ戦前に左肩に痛みを覚えたため、その試合には出場せず、検査をしていたんですが、幸い、負傷は発見されなかったため、水曜のギリシャ戦には出られるかもって、いや、温存してくれて全然、構いませんって。
というのもこのparon(リーガの中断期間)明け、アトレティコがワンダ・メトロポリターノに迎えるのがバルサだからで、実は大西洋の向こう側でもウルグアイ代表メンバーにコロナ陽性選手が発生。先日、隔離期間が終わって復帰してきたヒメネスはともかく、ルイス・スアレスとトレイラ、そしてマドリッドの弟分、こちらもコパ1回戦を地方リーグのアナイタスナ(バスク)との対戦が決まったものの、ヨーロッパの大会がないため、連戦にはならないとヘタフェから出向しているダミアンとアランバリにだって、もしものことがあったら、困りますからね。おまけに月曜にはスペインとネーションズリーグで同グループのウクライナで3人、陽性の選手が見つかったため、火曜の最終節、スイス戦が延期になったって、え、そのウクライナと対戦したばかりのドイツと試合するスペインのコケやマルコス・ジョレンテに感染の危険はないの?
いえ、アトレティコだけにかまけず、今はスペイン代表の話をしないといけません。実は土曜のネーションズリーグ5節でスイスとバーゼルで対戦した彼らだったんですが、あまり良くない結果だったんですよ。いやあ、戦前はオランダとの親善試合でいいプレーをしたモラタ(ユベントス)が持ち上げられ、先発CF間違いなしと言われていたにも関わらず、ルイス・エンリケ監督はダニ・オルモ(ライプツィヒ)をfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/仮のCF)として起用。オジャルサバル(レアル・ソシエダ)とフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)の3トップで挑んだんですが、どうにもゴールが入らなくてねえ。
直後にはファビアン・ルイス(ナポリ)に代わってモラタが入り、いよいよ真剣に反撃を開始した彼らの同点のチャンスを作ったのもラモスでした。ええ、12分、CKのボールを彼がヘッドしたところ、それが敵の腕に当たり、VAR(ビデオ審判)はないネーションズリーグながら、主審も見逃さずにペナルティを宣告。もちろん、PKキッカーは当人で、この日、いよいよブッフォン(ユベントス)を抜いて、代表戦177試合出場という、ヨーロッパ最多記録を打ち立てた記念ゴールを挙げるべく、意気揚々と蹴ったところ、まさかGKヤン・ゾマー(メンヘングラッドバッハ)に弾かれてしまうとは!
いやあ、昨季のリーガ最終戦でPKを弾かれ、ヘタフェの2年連続EL出場を逃した戦犯となったマタもそうだったんですが、ラモスもここまで25回連続PK成功中でしたからねえ。おまけにヒザをケガしたブスケツ(バルサ)、オルモ、オジャルサバルが一気にコケ、カナレス(ベティス)、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)に代わった後の34分にもスペインはPKをゲット。今度はコケが昨季までのチームメートにスルーパスを送り、シュートに行ったモラタがゴール前でエルベディ(メンヘングラッドバッハ)に倒されてくれたおかげでしたが、いやあ、前節のバレンシア戦ではソレルが1度、PKをクルトワに弾かれながら、その後、3度連続して決めて、PKハットトリックを達成という光景を目の辺りにしていたせいでしょうかね。
ラモスにもキッカーを代わってもらおうという考えは起きなかったか、リピートしたんですが、今度は緩いパネンカ風をあっさり止められてしまうとはまったく、世も末。ルイス・エンリケ監督など、「Si hubiera habido tres o cuatro los habría tirado él/シー・ウビエラ・アビードー・トレス・オ・クアトロ・ロス・アブリア・ティラードー・エル(もし3度目、4度目のPKがあったとしても彼が蹴っていただろう)」と代表キャプテンを庇っていましたが、試合後記者会見ではその時、エルベディがペナルティのファールで2枚目のイエローカードをもらい、explusion(エクスプルシオン/退場)となっていたことに気がついてなかったことがバレてしまったのはやっぱり、滅多にないことに指揮官も動揺していた?
え、さっきからメンヘングラッドバッハの選手が何人も出てくるけど、もしやそれって、CLグループリーグ2節でマドリーが対戦したチームじゃなかったかって?その通りで、おそらくGKゾマーなどはその際にラモスのPKを研究していたんじゃないかと思うんですが、心配なのはまだアウェイのインテル戦やシャフタール戦があって、突破へ道筋が不確かなジダン監督のチームが最終節、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)にこのドイツ勢を迎えないといけないこと。何せ、アウェイでは2点先行され、土壇場にベンゼマとカセミロのゴールでようやく引き分けた相手ですからね。もし、ギリギリで勝ち抜けを争っている状況でまた、ゾマーとラモスのPK対決になったら、ちょっと怖い気もしないではないんですが、ま、それはそれ。
スイス戦の話に戻すと、ラモスの2度目のPK失敗の直後、ルイス・エンリケ監督は最後の切り札、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)を投入。43分にはレギロン(トッテナム)のラストパスを彼が決めて、何とか同点には持ち込んだんですが、ロスタイムにはウナイ・シモンも参加してのCK全員攻撃も実らず、結局、1-1の引き分けで終わることに。先月最後のウクライナ戦から、これで3試合連続白星なしというのが、スペイン代表では20年ぶりの不名誉というのも困ったもんですが、何よりマズいのは同時刻、ドイツがザネ(バイエルン)とベルナー(チェルシー)の2発でウクライナに3-1の逆転勝利。勝ち点差2を覆してグループ首位に立ち、スペインがファイナルフォーに出場するには火曜の直接対決でドイツを破らないとはちょっと、ハードル高くない?
いえ、今のドイツ代表は、アトレティコがCLグループリーグ1節で4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を浴びた昨季の5冠王者バイエルンとイコールという訳ではありませんけどね。GKノイアーを始め、ゴレツカ、ナブリ、ザネ、ズーレと何人も見知った顔がいるため、コケやジョレンテはまた、アリアンツ・アレンアでの悪夢を思い出してしまうかも。その一方で、出身地セビージャ(スペイン南部)での大一番とあって、前日記者会見に出る予定だったラモスは最近、今季で満了するマドリーとの契約延長交渉の話題ばかりになっている状況がウザかったんでしょうかね。
会見を当日にドタキャンして、サッカー協会のビデオインタビューに答えることにしたようですが、またPKのチャンスが巡って来た際には蹴る気満々だったのはいかにもラモスらしい。いやあ、モウリーニョ監督時代にはバイエルンとのCL準決勝でPK戦の最後のキッカーに。奇しくもノイアー相手にサンティアゴ・ベルナベウの天高く撃ち上げてしまい、当時は悲願だったdecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)達成の道が遠のいたなんていう、若き日の苦い思い出もある彼ですが、さすがにこちらはもう、当人も忘れているかもしれません。
ちなみに前日にはカルトゥハでのスタジアム練習を行ったスペインでは、オランダ戦で額を縫ったガヤ(バレンシア)が回復。ブスケツの方はヒザの靭帯の負傷でスタンド観戦に回ることになったため、ロドリ(マンチェスター・シティ)が代役を務めるようです。ルイス・エンリケ監督は「Tengo decidido el portero que jugará mañana/テンゴ・デシディードー・エル・ポルテーロ・ケ・フガラ・マニャーナ(明日、プレーするGKは決めてある)」と言っていたものの、誰かは明かさなかったため、ウナイ・シモンの続投か、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)になるのかは見てのお楽しみというところでしょうか。
どちらにしろ、この火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのスペインvsドイツ戦でネーションリーグのグループ戦も終わりですからね。うーん、このカルトゥハで10月に女子A代表が2022年女子ユーロ予選のチェコ戦を戦った時には800人程、ファンが入ることができたんですけどね。男子の方が無観客試合なのはちょっと不公平ではありますが、ここは選手たちには気持ちを強く持ってもらって、とにかくケガ人とコロナ陽性者だけは出ないことを祈っています。
というのも、マドリーではノルウェイ代表に行っていたウーデゴーアがチームに陽性選手が出たため、週末のネーションズリーグ、ルーマニア戦遠征ができず、水曜のオーストリア戦も母国の政府の方針で一緒に合宿していたメンバーは隔離期間を設けないといけないということで、1試合もせずにマドリッドに帰還。すでに月曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で汗を流しているのを夜のTVニュースで見て、何せ、あちらはアザールとカセミロも代表戦週間入り直前に自宅隔離になってしまいましたからね。せめて1人でもMFが元気で戻って来てくれて良かったと思った矢先、ルイス・スアレスがW杯予選準備中のウルグアイ代表で陽性発覚という凶報が入ってきたから。
昨今では国ごとに隔離日数や出入国条件が違うため、土曜のバルサ戦出場は絶望としても、彼がいつ、マドリッドに戻って来られるのかすら、わからないとなれば、ただただ、コロナを恨むしかないんですが、まったく。今の時期、選手たちの大量移動を伴う代表戦開催はできれば、避けて欲しいんですが、FIFAもUEFAも予定試合を消化していかないと、あとがまた詰まってしまいますからね。代表に行かなくても感染する選手はいるため、その辺は何とも言えないんですが、今後は先日、レアル・ソシエダ戦でトップチームの選手数が規定未満になったグラナダのように、試合をするのが難しくなるチームがリーガでも結構、出てくるんじゃないでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
それも、おそらく昨季と同じ1月に開催になるだろう、スペイン・スーパーカップのファイナルフォーに出場するレアル・マドリー(リーガ優勝)、バルサ(リーガ準優勝)、レアル・ソシエダ(昨季のコパ・ファイナリスト)、アスレティック(同、昨季のコパ決勝は来年4月4日に延期されている)ら、4チームは1、2回戦が免除。よって、このミッドウィーク、週末の4週間連続ループの苦行に挑むのはアトレティコ、セビージャ、ビジャレアル、グラナダだけなんですけどね。112チームによる1発勝負のコパ1回戦でシメオネ監督のチームが地方リーグ所属のカルダサル(マジョルカ島)と当たったのはともかくお隣さんとバルサのもたつきにより、今季こそリーガ優勝争いに喰い込めかもしれないとファンに期待されている昨今、あまりにハードなスケジュールでは?
というのもこのparon(リーガの中断期間)明け、アトレティコがワンダ・メトロポリターノに迎えるのがバルサだからで、実は大西洋の向こう側でもウルグアイ代表メンバーにコロナ陽性選手が発生。先日、隔離期間が終わって復帰してきたヒメネスはともかく、ルイス・スアレスとトレイラ、そしてマドリッドの弟分、こちらもコパ1回戦を地方リーグのアナイタスナ(バスク)との対戦が決まったものの、ヨーロッパの大会がないため、連戦にはならないとヘタフェから出向しているダミアンとアランバリにだって、もしものことがあったら、困りますからね。おまけに月曜にはスペインとネーションズリーグで同グループのウクライナで3人、陽性の選手が見つかったため、火曜の最終節、スイス戦が延期になったって、え、そのウクライナと対戦したばかりのドイツと試合するスペインのコケやマルコス・ジョレンテに感染の危険はないの?
いえ、アトレティコだけにかまけず、今はスペイン代表の話をしないといけません。実は土曜のネーションズリーグ5節でスイスとバーゼルで対戦した彼らだったんですが、あまり良くない結果だったんですよ。いやあ、戦前はオランダとの親善試合でいいプレーをしたモラタ(ユベントス)が持ち上げられ、先発CF間違いなしと言われていたにも関わらず、ルイス・エンリケ監督はダニ・オルモ(ライプツィヒ)をfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/仮のCF)として起用。オジャルサバル(レアル・ソシエダ)とフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)の3トップで挑んだんですが、どうにもゴールが入らなくてねえ。
そうこうするうち、前半26分、オランダ戦同様、守備陣の乱れを突かれ、エンボロ(メンヘングラッドバッハ)が1人、エリアにドリブル突進。そのラストパスをフロイラー(アタランタ)に決められて、スイスに先制点を奪われてしまったから、呆気に取られたの何のって。いえ、このゴールには、こちらも意表を突いて、オランダ戦からの連続先発となったGKウナイ・シモン(アスレティック)に責任はないんですけどね。1点ビハインドのままだった後半9分、エリア外までクリアに出て、セフェロビッチ(ベンフィカ)にボールを先取りされ、ガラ空きのゴールにシュートを撃たれるとはこれまた如何に。その時は幸い、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)がラインを越える前にクリアしてくれたため、紙一重で更なる失点を逃れたスペインだったんですが…。
直後にはファビアン・ルイス(ナポリ)に代わってモラタが入り、いよいよ真剣に反撃を開始した彼らの同点のチャンスを作ったのもラモスでした。ええ、12分、CKのボールを彼がヘッドしたところ、それが敵の腕に当たり、VAR(ビデオ審判)はないネーションズリーグながら、主審も見逃さずにペナルティを宣告。もちろん、PKキッカーは当人で、この日、いよいよブッフォン(ユベントス)を抜いて、代表戦177試合出場という、ヨーロッパ最多記録を打ち立てた記念ゴールを挙げるべく、意気揚々と蹴ったところ、まさかGKヤン・ゾマー(メンヘングラッドバッハ)に弾かれてしまうとは!
いやあ、昨季のリーガ最終戦でPKを弾かれ、ヘタフェの2年連続EL出場を逃した戦犯となったマタもそうだったんですが、ラモスもここまで25回連続PK成功中でしたからねえ。おまけにヒザをケガしたブスケツ(バルサ)、オルモ、オジャルサバルが一気にコケ、カナレス(ベティス)、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)に代わった後の34分にもスペインはPKをゲット。今度はコケが昨季までのチームメートにスルーパスを送り、シュートに行ったモラタがゴール前でエルベディ(メンヘングラッドバッハ)に倒されてくれたおかげでしたが、いやあ、前節のバレンシア戦ではソレルが1度、PKをクルトワに弾かれながら、その後、3度連続して決めて、PKハットトリックを達成という光景を目の辺りにしていたせいでしょうかね。
ラモスにもキッカーを代わってもらおうという考えは起きなかったか、リピートしたんですが、今度は緩いパネンカ風をあっさり止められてしまうとはまったく、世も末。ルイス・エンリケ監督など、「Si hubiera habido tres o cuatro los habría tirado él/シー・ウビエラ・アビードー・トレス・オ・クアトロ・ロス・アブリア・ティラードー・エル(もし3度目、4度目のPKがあったとしても彼が蹴っていただろう)」と代表キャプテンを庇っていましたが、試合後記者会見ではその時、エルベディがペナルティのファールで2枚目のイエローカードをもらい、explusion(エクスプルシオン/退場)となっていたことに気がついてなかったことがバレてしまったのはやっぱり、滅多にないことに指揮官も動揺していた?
え、さっきからメンヘングラッドバッハの選手が何人も出てくるけど、もしやそれって、CLグループリーグ2節でマドリーが対戦したチームじゃなかったかって?その通りで、おそらくGKゾマーなどはその際にラモスのPKを研究していたんじゃないかと思うんですが、心配なのはまだアウェイのインテル戦やシャフタール戦があって、突破へ道筋が不確かなジダン監督のチームが最終節、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)にこのドイツ勢を迎えないといけないこと。何せ、アウェイでは2点先行され、土壇場にベンゼマとカセミロのゴールでようやく引き分けた相手ですからね。もし、ギリギリで勝ち抜けを争っている状況でまた、ゾマーとラモスのPK対決になったら、ちょっと怖い気もしないではないんですが、ま、それはそれ。
スイス戦の話に戻すと、ラモスの2度目のPK失敗の直後、ルイス・エンリケ監督は最後の切り札、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)を投入。43分にはレギロン(トッテナム)のラストパスを彼が決めて、何とか同点には持ち込んだんですが、ロスタイムにはウナイ・シモンも参加してのCK全員攻撃も実らず、結局、1-1の引き分けで終わることに。先月最後のウクライナ戦から、これで3試合連続白星なしというのが、スペイン代表では20年ぶりの不名誉というのも困ったもんですが、何よりマズいのは同時刻、ドイツがザネ(バイエルン)とベルナー(チェルシー)の2発でウクライナに3-1の逆転勝利。勝ち点差2を覆してグループ首位に立ち、スペインがファイナルフォーに出場するには火曜の直接対決でドイツを破らないとはちょっと、ハードル高くない?
いえ、今のドイツ代表は、アトレティコがCLグループリーグ1節で4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を浴びた昨季の5冠王者バイエルンとイコールという訳ではありませんけどね。GKノイアーを始め、ゴレツカ、ナブリ、ザネ、ズーレと何人も見知った顔がいるため、コケやジョレンテはまた、アリアンツ・アレンアでの悪夢を思い出してしまうかも。その一方で、出身地セビージャ(スペイン南部)での大一番とあって、前日記者会見に出る予定だったラモスは最近、今季で満了するマドリーとの契約延長交渉の話題ばかりになっている状況がウザかったんでしょうかね。
会見を当日にドタキャンして、サッカー協会のビデオインタビューに答えることにしたようですが、またPKのチャンスが巡って来た際には蹴る気満々だったのはいかにもラモスらしい。いやあ、モウリーニョ監督時代にはバイエルンとのCL準決勝でPK戦の最後のキッカーに。奇しくもノイアー相手にサンティアゴ・ベルナベウの天高く撃ち上げてしまい、当時は悲願だったdecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)達成の道が遠のいたなんていう、若き日の苦い思い出もある彼ですが、さすがにこちらはもう、当人も忘れているかもしれません。
ちなみに前日にはカルトゥハでのスタジアム練習を行ったスペインでは、オランダ戦で額を縫ったガヤ(バレンシア)が回復。ブスケツの方はヒザの靭帯の負傷でスタンド観戦に回ることになったため、ロドリ(マンチェスター・シティ)が代役を務めるようです。ルイス・エンリケ監督は「Tengo decidido el portero que jugará mañana/テンゴ・デシディードー・エル・ポルテーロ・ケ・フガラ・マニャーナ(明日、プレーするGKは決めてある)」と言っていたものの、誰かは明かさなかったため、ウナイ・シモンの続投か、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)になるのかは見てのお楽しみというところでしょうか。
どちらにしろ、この火曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのスペインvsドイツ戦でネーションリーグのグループ戦も終わりですからね。うーん、このカルトゥハで10月に女子A代表が2022年女子ユーロ予選のチェコ戦を戦った時には800人程、ファンが入ることができたんですけどね。男子の方が無観客試合なのはちょっと不公平ではありますが、ここは選手たちには気持ちを強く持ってもらって、とにかくケガ人とコロナ陽性者だけは出ないことを祈っています。
というのも、マドリーではノルウェイ代表に行っていたウーデゴーアがチームに陽性選手が出たため、週末のネーションズリーグ、ルーマニア戦遠征ができず、水曜のオーストリア戦も母国の政府の方針で一緒に合宿していたメンバーは隔離期間を設けないといけないということで、1試合もせずにマドリッドに帰還。すでに月曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で汗を流しているのを夜のTVニュースで見て、何せ、あちらはアザールとカセミロも代表戦週間入り直前に自宅隔離になってしまいましたからね。せめて1人でもMFが元気で戻って来てくれて良かったと思った矢先、ルイス・スアレスがW杯予選準備中のウルグアイ代表で陽性発覚という凶報が入ってきたから。
昨今では国ごとに隔離日数や出入国条件が違うため、土曜のバルサ戦出場は絶望としても、彼がいつ、マドリッドに戻って来られるのかすら、わからないとなれば、ただただ、コロナを恨むしかないんですが、まったく。今の時期、選手たちの大量移動を伴う代表戦開催はできれば、避けて欲しいんですが、FIFAもUEFAも予定試合を消化していかないと、あとがまた詰まってしまいますからね。代表に行かなくても感染する選手はいるため、その辺は何とも言えないんですが、今後は先日、レアル・ソシエダ戦でトップチームの選手数が規定未満になったグラナダのように、試合をするのが難しくなるチームがリーガでも結構、出てくるんじゃないでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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