【2019-20ラ・リーガ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はメッシ

2020.01.08 18:00 Wed
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◆3強が上位独占も近年稀に見る混戦模様

順位表だけを見れば、2連覇中のバルセロナとレアル・マドリー、アトレティコ・マドリーの3強が3位までを独占する、いつも通りの状況となったが、3チームともに少なくない問題点が露呈。その一方で、バスク勢やセビージャ、バレンシア、ヘタフェといった第2グループが躍進を見せており、後半戦も混戦模様が予想される。
同じ勝ち点40で2位のレアル・マドリーに並ばれるも首位で前半戦を終えることになったバルセロナ。昨夏、FWグリーズマンとMFデ・ヨングを中心に積極補強を行ったチームだが、エースFWメッシの序盤戦欠場の影響もあって、開幕5戦で2敗を喫する低調スタートを強いられた。それでも、以降はきっちり勝ち点3を積み上げていき首位に浮上。2019年末にはエル・クラシコを含め3試合でドローと取りこぼしが目立ったが、ライバルの取りこぼしもあって何とか首位ターンを決めた。

そのバルセロナから覇権奪還を目指すマドリーはMFアザールやDFメンディ、DFミリトンら大型補強を敢行。バルセロナほどの低調スタートではなかったが、序盤戦から下位相手の取りこぼしが目立つと、チャンピオンズリーグ(CL)の不振も重なって一時はジダン監督の進退問題に発展。それでも、完全覚醒のMFバルベルデ、18歳FWロドリゴなど若き力の台頭、公式戦5試合連続クリーンシートなど守備の安定を追い風に復調。敵地で好内容を見せながらも勝ち切れなかったクラシコの結果によって首位ターンは逃すも、3年ぶりの覇権奪還に十分なチャンスを残して前半戦を終えた。

2強から勝ち点5差の3位で前半戦を終えたアトレティコは、闘将ゴディンやDFフィリペ・ルイス、グリーズマンなどシメオネ体制を支えてきた主力の相次ぐ退団によって大幅にスカッドを刷新。それが吉と出るか、凶と出るかというシーズンの入りとなったが、ここまではマイナスへの振り幅が大きい印象だ。新エース候補フェリックスが才能の片りんをみせ、リーグ最少タイの失点数はポジティブな要素だが得点力不足は深刻だ。
その3強にやや水をあけられているものの、今後の巻き返しを感じさせるのが、アトレティコと同勝ち点で並ぶ4位セビージャと5位と8位に躍進するレアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオのバスク勢。

ロペテギ新監督を迎えたセビージャは10人以上の新戦力を獲得したこともあり、連係面や組み合わせの最適解を見出すのに苦労している印象も、リーグ4位の堅守を生かして好位置につける。一方、ソシエダは若きタレントによる魅力的なアタッキングフットボール、アスレティックはスペイン代表にも名を連ねる守備陣の奮闘光るリーグ3位の堅守を武器に躍進をみせ、ポジティブな前半戦を過ごした。

その他では10位のグラナダ、12位のオサスナと昇格組2チームの奮闘、昨季7位から最下位での折り返しとなったエスパニョールの大不振も前半戦のトピックとなった。

最後にエイバルのMF乾貴士、マジョルカのFW久保建英の日本人選手2人に関しては乾が14試合1ゴール2アシスト、久保が16試合1ゴール2アシストの数字を残している。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWリオネル・メッシ(バルセロナ)
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同勝ち点で2位のマドリーを牽引したMFカゼミロやFWベンゼマの活躍も見事だったが、得点ランキングトップに立つなど別次元のパフォーマンスを見せたメッシを前半戦MVPに選出。開幕数試合はケガの影響で欠場が続きリーグ初ゴールは第8節セビージャとなったが、そこから5戦連続を含む8ゴールと一気に量産態勢に。セルタ戦、マジョルカ戦ではハットトリックを達成し、アトレティコとのビッグマッチでは圧巻の個人技でチームを勝利に導く千両役者の活躍を見せた。前半戦は13ゴール6アシストの数字に留まったが、グリーズマンらとの連携も徐々に深まっており、後半戦は更なる爆発が期待される。

★最優秀監督
◆イマノル・アルグアシル(レアル・ソシエダ)
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前半戦で最もサプライズを起こした“ラ・レアル”を率いる48歳のスペイン人指揮官を最優秀監督に選出。現役時代にソシエダで活躍したDFは2011年から古巣のアカデミーを指導。また、直近2シーズンは監督交代に伴い、暫定指揮官としてトップチームを指揮してきた。今シーズンはクラブ生え抜きの若手、昨夏獲得した新戦力をうまく融合させ、[4-2-3-1]の布陣を基本にアグレッシブなトランジションスタイルを展開し、トップ4に迫る5位フィニッシュに導いた。

【期待以上】
★チーム
◆レアル・ソシエダ
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前述のアルグアシル監督の下、5位に躍進したソシエダはローカルライバルのアスレティック、序盤戦の主役・グラナダと共に前半戦を盛り上げた。昨季、9位フィニッシュのチームをベースに、今季はMFウーデゴール、FWイサク、GKレミロ、トップ昇格のMFゲバラといった若手、MFポルトゥ、DFモンレアルと経験のあるベテランを新たに補強。すると、その新戦力が軒並み好パフォーマンスを披露。とりわけ、ウーデゴールとポルトゥ、FWウィリアン・ジョゼ、エースFWオヤルサバルのアタッキングカルテットは抜群の補完性、連携を見せてバルセロナ、マドリーに次ぐリーグ3位タイの33ゴールを叩き出した。

★選手
◆MFフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリー)
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ポグバ獲得失敗を払しょくするセンセーショナルな活躍を披露。10代前半からウルグアイの将来を担う大器と目された21歳は、デポルティボから復帰した昨季に公式戦25試合出場とブレイクの兆しを見せた。そして、迎えた今シーズンは第6節オサスナ戦での初先発以降、ジダン監督の信頼を勝ち取り、ここまで15試合2ゴール3アシストを記録。トップ下出身らしい攻撃センスと戦術眼に加え、ウルグアイ人らしい球際の強度をみせ、攻守両面で抜群の存在感を披露。今や昨季バロンドーラーのMFモドリッチを完全に食う勢いでカゼミロと共にエル・ブランコの中盤に君臨し始めている。

【期待外れ】
★チーム
◆エスパニョール
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昨季、大逆転でのヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得からまさかの最下位転落。昨季は最終節での逆転7位フィニッシュでEL出場権を手にしたエスパニョールだが、今季はルビ監督、主砲ボルハ・イグレシアスのベティス流出が響き開幕から低迷。そして、内部昇格のガジェゴ監督が10月上旬に更迭され、マチン監督を招へい。同監督の下ではELグループステージ首位通過も、リーグ戦では10試合で1勝2分け7敗と立て直しに失敗。そして、先月末には今季3人目の指揮官としてアベラルド新監督が招へいされる異例の事態に。前半戦ではいずれもリーグワーストとなる14得点36失点でわずかに2勝に終わっている。それでも、アベラルド新体制の初陣となったバルセロナ・ダービーでは首位相手に引き分けに持ち込む上々のスタートを切っており、今後の巻き返しに期待したいところだ。

★選手
◆FWルカ・ヨビッチ(レアル・マドリー)
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移籍金6000万ユーロでの鳴り物入りの加入も12試合1ゴールの期待外れの前半戦に。昨シーズン、フランクフルトで公式戦48試合27ゴールと大ブレイクを果たした22歳のセルビア代表FWだが、プレシーズンから低調なパフォーマンスに終始。早くもマドリディスタからその才能に疑問符をつけられると、肝心のシーズンでは第11節のレガネス戦でようやく初ゴールを記録するが、ポストワークや純粋なテクニック、戦術面で粗が目立ったうえ、売りとしていた決定力でもフランクフルト時代の好調時が嘘のようにイージーミスを連発。一部ではバルセロナが移籍金を釣り上げるため競合を装う一芝居打ったとの噂話が出るなど、散々な前半戦に。後半戦では自身の真価を証明してほしいところだ。

【後半戦展望】
◆混戦抜け出すカギは課題克服

後半戦では引き続きバルセロナとレアル・マドリーが優勝争いをリードしていくと思われるが、勝ち点9差の6位バレンシアあたりまでは十分に巻き返しのチャンスがあるはずだ。

現時点で優勝に最も近いバルセロナだが、今季は19試合で23失点と守備面に大きな課題を抱えており、最終ラインやコンディションがなかなか上がらないMFブスケッツらの奮起が求められるところだ。また、攻撃ではメッシとFWスアレスへの依存が顕著となっており、グリーズマンのフィットと共に負傷明けのMFデンベレやFWファティとFWカルレス・ペレスのカンテラーノコンビら控えメンバーの活躍にも期待したい。

一方、対抗筆頭のマドリーはバルセロナに比べて明確な課題はないが、得点力に関しては試合ごとに大きなムラがあり、攻撃が停滞した試合においていかに勝ち点1を勝ち点3に繋げていけるかがカギとなる。また、ここまでフル稼働のベンゼマやカゼミロら一部替えが利かない選手たちのコンディション調整にも気を配りたい。

両チームに追いつくためこれ以上の取りこぼしが許されないアトレティコに関しては得点力向上あるのみだ。負傷から戻ってくるFWジエゴ・コスタら既存戦力と共に、前線に関しては決定力に優れる超一流の獲得あるいはタイプが異なるアタッカーの補強が必要かもしれない。

セビージャやソシエダ、バレンシアに関しては今冬の補強や主力の慰留と共に、より対戦相手からの分析が進む中でプランBやプランCを準備できるかが重要となる。

日本人選手2人も巻き込まれている残留争いに関しては最下位のエスパニョールから12位のオサスナ付近までの8チームの争いとなる見込みだ。今季、下位に低迷するチームに関しては得失点に大きな偏りがあるチームは少なく、単純に攻守両面のクオリティが足りておらず、戦術や連係面で問題を解決するのか、今冬の移籍市場で資金を投下するのか、適切な見極めが求められる。
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2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、柏レイソルを紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:17位(6勝15分け13敗) 2022シーズン:7位(13勝8分け13敗) 2021シーズン:15位(12勝5分け21敗) 【昨季チーム得点王】 細谷真大 14ゴール 【今季ノルマ】 残留 【編集部イチオシ】 FW細谷真大 昨季J1:34試合出場/14ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆ギリギリの残留</span> 昨季は天皇杯で11年ぶりの決勝進出とタイトルにもう一歩のところまで迫ったが、リーグ戦はというと、前年の7位から大きく落としての17位に。ネルシーニョ監督の後任として井原正巳監督が指揮するようになってからも課題が少なかったわけではなかったが、最下位のみが降格というレギュレーションにも希望を見いだしつつ、犬飼智也の夏加入や守備整備で勝ち点を着実に積み上げ、残留を決めた。 <span class="paragraph-subtitle">◆補強は…</span> J1優勝の過去を持つチームであるのを考えると、到底満足できるものではなく、この冬のチーム整備から力を入れていきたいところだったが、補強はレンタルバックとJ2からのステップアップが中心に。昨年もJ1クラブでプレーした新戦力は木下康介に限られており、ほかの新顔では野田裕喜や白井永地、島村拓弥といった個人昇格者が占める。 <span class="paragraph-subtitle">◆細谷真大の残留は朗報だが</span> 一方、主力からの退団者では椎橋慧也、仙頭啓矢、山田康太がそれぞれ新たなチャレンジを選択。武者修行先の徳島ヴォルティスで昨季13ゴールとブレイクの森海渡は横浜FCによもやの完全移籍を決断した。昨季14ゴールのエース、細谷真大に冬の海外移籍がなさそうな情勢というのは朗報だが、チーム力は現時点でIN&OUTの動向からしてダウン感が強い。 <span class="paragraph-subtitle">◆若手の成長度合いでチーム力が変化も</span> ほかでは守備の立て直しにひと役を買った犬飼の完全移籍移行も良い知らせではあったが、現時点ではJ1経験の乏しい選手がどこまで戦力として独り立ちしていけるかどうかといったところ。修行でひと回り大きくなって戻った鵜木郁哉をはじめ、ポテンシャルを秘めた若手も多く、そこから何選手が台頭を遂げるかでチーム力も変わってくる。 <span class="paragraph-subtitle">◆シーズンを通じて天皇杯決勝の戦いを</span> 攻守にわたって多くの課題を持ち越しての今季だが、天皇杯決勝では川崎フロンターレを相手に前線からのプレッシングと組織としての守りで相手のパスワークに制限をかけ、PK戦にもつれる死闘。川崎Fを大いに苦しめたあのスタイルは可能性を感じさせ、今季の初めから打ち出していければ楽しみだ。井原監督も続投。17位に沈んだ昨季からの巻き返しを期す。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 DF野田裕喜(26)←モンテディオ山形/完全移籍 DF関根大輝(21)←拓殖大学/新加入 DF犬飼智也(30)←浦和レッズ/完全移籍移行 MF島村拓弥(24)←ロアッソ熊本/完全移籍 MF白井永地(28)←徳島ヴォルティス/完全移籍 MF熊坂光希(22)←東京国際大学/新加入 MF鵜木郁哉(22)←水戸ホーリーホック/期限付きより復帰 FW木下康介(29)←京都サンガF.C./完全移籍 FW升掛友護(20)←愛媛FC/期限付きより復帰 【OUT】 DFブエノ(28)→未定 DF岩下航(24)→期限付き移籍 DF田中隼人(20)→V・ファーレン長崎/期限付き移籍 DF大嶽拓馬(21)→EDO ALL UNITED/完全移籍 DFエメルソン・サントス(28)→インテルナシオナウ(ブラジル)/完全移籍 MF三原雅俊(35)→未定 MF椎橋慧也(26)→名古屋グランパス/完全移籍 MF山田康太(24)→ガンバ大阪/完全移籍 MF仙頭啓矢(29)→FC町田ゼルビア/完全移籍 MF落合陸(24)→水戸ホーリーホック/期限付き移籍 MF加藤匠人(24)→福島ユナイテッドFC/期限付き移籍 FWドウグラス(36)→未定 FWアンジェロッティ(25)→FC今治/完全移籍 FW森海渡(23)→横浜FC/完全移籍 2024.02.15 18:15 Thu

攻撃陣は多士済々、2年目のクラモフスキー体制は真価を発揮できるか【J1開幕直前ガイド|FC東京】

2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、FC東京を紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:11位(12勝7分け15敗) 2022シーズン:6位(14勝7分け13敗) 2021シーズン:9位(15勝8分け15敗) 【昨季チーム得点王】 ディエゴ・オリヴェイラ 15ゴール 【今季ノルマ】 上位 【編集部イチオシ】 MF松木玖生 昨季J1:22試合出場/1ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆不完全燃焼に終わった昨シーズン</span> アルベル監督の下で2年目を迎えた2023シーズン。タイトル争いを目標としながら開幕から成績が安定せず、6月にリーグ戦3連敗を喫して12位にまで沈み、アルベル監督解任の決断を下した。後任にピーター・クラモフスキー監督が就任してからも劇的な改善はなく、パフォーマンスも低調に。最終的にはリーグ11位、3シーズン無冠の結果に終わり、誰にとっても不満の残る1年となった。 <span class="paragraph-subtitle">◆即戦力を補強し攻撃陣は多士済々</span> 思うような結果を残せなかった昨シーズンからの巻き返しを目指し、即戦力の補強に成功した。主だったところでは北海道コンサドーレ札幌から小柏剛、アルビレックス新潟から高宇洋、鹿島アントラーズから荒木遼太郎を獲得。さらに、ウニオン・ベルリンからは遠藤渓太が加わり、アタッカーの選択肢が豊富になったことは頼もしい。一方で、守備陣についてはユースからの昇格や大卒の加入など、最小限にとどまった。 <span class="paragraph-subtitle">◆クラモフスキー監督にとって勝負の年に</span> 即戦力の補強に成功し、渡邊凌磨こそ去ったもののディエゴ・オリヴェイラ、松木玖生、小泉慶ら多くの主力は残留。上位を争える戦力は十分揃っているだけに、就任2シーズン目を迎えるクラモフスキー監督の手腕が問われることになるだろう。昨シーズンは途中就任の難しさもあり、最後まで説得力のあるサッカーは見せられず。前クラブのモンテディオ山形でも2シーズン目に成績を上げJ1参入プレーオフにチームを導いているだけに、指揮官がどのような采配を振るうかは注目だ。 <span class="paragraph-subtitle">◆新時代に向けた第一歩を踏み出せるか</span> ここ最近はタイトル争いに絡めず、もどかしい想いを抱くファンも少なくない。そんな中で、クラブは創設25周年を契機にエンブレムを一新。ここから新しい歴史を築いていく決意を新たにした。今シーズンは東京ヴェルディやFC町田ゼルビアの昇格により、にわかに首都が熱気を帯びているが、そんな中で長年J1を戦ってきた矜持を示し、ファンを熱狂させるサッカーが見せられるか、クラブの真価が問われる。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 GK小林将天(18)←FC東京U-18/昇格 GK波多野豪(25)←V・ファーレン長崎/期限付き移籍より復帰 DF岡哲平(22)←明治大学/新加入 DFペク・インファン(18)←チョナンジェイル高校(韓国)/新加入 DF東廉太(19)←SC相模原/期限付き移籍より復帰 MF高宇洋(25)←アルビレックス新潟/完全移籍 MF安斎颯馬(21)←早稲田大学/新加入 MF荒木遼太郎(22)←鹿島アントラーズ/期限付き移籍 MF遠藤渓太(26)←ウニオン・ベルリン(ドイツ)/期限付き移籍 MF安田虎士朗(20)←栃木SC/期限付き移籍より復帰 MF品田愛斗(24)←ヴァンフォーレ甲府/期限付き移籍より復帰 MF原川力(30)←セレッソ大阪/完全移籍移行 FW小柏剛(25)←北海道コンサドーレ札幌/完全移籍 FW野澤零温(20)←松本山雅FC/期限付き移籍より復帰 【OUT】 GKヤクブ・スウォビィク(32)→コンヤスポル(トルコ)/完全移籍 DF木村誠二(22)→サガン鳥栖/期限付き移籍 DFペク・インファン(18)→ツエーゲン金沢/期限付き移籍 DF大森理生(21)→いわきFC/期限付き移籍 DF蓮川壮大(25)→清水エスパルス/期限付き移籍 DF岡庭愁人(24)→ジェフユナイテッド千葉/期限付き移籍 MF渡邊凌磨(27)→浦和レッズ/完全移籍 MF青木拓矢(34)→未定/契約満了 MF塚川孝輝(29)→京都サンガF.C./期限付き移籍 MFアルトゥール・シルバ(28)→大宮アルディージャ/完全移籍 MF西堂久俊(22)→鹿児島ユナイテッドFC/期限付き移籍 MF梶浦勇輝(20)→ツエーゲン金沢/育成型期限付き移籍延長 MF内田宅哉(25)→名古屋グランパス/完全移籍移行 FWアダイウトン(33)→ヴァンフォーレ甲府/完全移籍 FW熊田直紀(19)→ヘンク(ベルギー)/期限付き移籍 FWペロッチ(26)→シャペコエンセ(ブラジル)/期限付き移籍満了 2024.02.14 19:00 Wed
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