【ELグループステージ総括】強豪が順当突破もラツィオ&ボルシアMG敗退…日本人所属クラブは4チーム突破!
2019.12.14 20:00 Sat
2019-20シーズンのヨーロッパリーグ(EL)・グループステージ全日程が12日に終了した。昨シーズンと同様、優勝チームに翌シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権が与えられるELに、今シーズンは8人の日本人選手がグループステージから参加。また、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッド、セビージャ、ローマ、ラツィオなどの優勝候補も参戦した。
◆強豪順当突破もラツィオとボルシアMGが涙呑む
今季のCLでは史上初めて5大リーグ所属チームだけでベスト16チームが独占された中、ELグループステージにおいても5大リーグ所属の強豪チームが順当に勝ち抜けを決めることになった。
昨季、準優勝チームにして優勝候補の一角に挙がるアーセナルは、エメリ監督の解任、主将交代という大きな混乱に見舞われながらも最終的にはフランクフルトやスタンダール・リエージュと同居したグループFで順当に首位通過を果たした。不振に陥ったリーグ戦を最優先とする戦いの中でFWマルティネッリとFWブカヨ・サカの18歳コンビ、リーグ戦では湿りがちだったFWペペら若きアタッカー陣が台頭し、ラウンド32以降の戦いに向けて戦力的な上積みも果たした。
また、同じイングランド勢のマンチェスター・ユナイテッドはパルチザン、アスタナと長距離移動こそネックも対戦相手に恵まれたグループLを危なげなく首位通過。アーセナル同様に大幅なターンオーバーを行った中、18歳の新星FWグリーンウッドやDFブランドン・ウィリアムズなどリーグ戦でもチャンスを得始めている若手が台頭した。
共に永遠の都に本拠地を置くローマとラツィオのセリエA勢は大きく明暗が分かれることに。フォンセカ新監督の下で大幅なスカッド刷新に動いたローマはグループステージを通して多くの負傷者に悩まされ、第3節のボルシアMG戦では試合後に審判団が誤審を認め公式に謝罪を行う不運もあって土壇場で勝ち点2を失う不運にも見舞われた中、曲者揃いのグループJを2位通過。一方、セリエAでユベントスに今季初黒星を与えるなど3位に躍進するラツィオはセルティック、クルージュ、スタッド・レンヌと同居したグループEでまさかの4敗を喫するなど、低調な戦績で3位敗退となった。
また、今季のブンデスリーガで首位に立つなどローゼ新監督の下で躍進を見せるボルシアMGはオーストリアの伏兵ヴォルフスベルガーに屈辱的な0-4の惨敗を喫するなど振るわない内容でまさかの敗退となった。
◆鎌田&長谷部に菅原が突破に貢献
今シーズンのELグループステージでは、8人の日本人選手が参戦。その中で無事グループステージ突破を果たしたのはMF長谷部誠とMF鎌田大地を擁するフランクフルト、DF菅原由勢を擁するAZ、FW中島翔哉の所属するポルト、FW久保裕也の所属するヘントの4チーム。
昨季、ベスト4のフランクフルトでは鎌田が全6試合、長谷部が5試合に出場しグループFをアーセナルに次ぐ2位で突破。その中で鎌田は強豪アーセナルを敵地で破る2ゴール、スタンダール・リエージュ戦での2アシスト、惜しくも敗れたものの最終節のヴィトーリア・ギマランエス戦でも1ゴールを挙げる華々しい活躍を披露した。
また、EL初参戦となったAZの菅原は右サイドバックと右ウイングのポジションで全6試合に出場。第2節ではホームで強豪ユナイテッドを完封する守備面での貢献を見せると、同じくホーム開催となった第3節のアスタナ戦では待望のEL初ゴールまで奪ってみせ、グループL2位通過の立役者となった。
一方、中島と久保の2選手はチームが共に首位通過を果たしたものの、個人として不完全燃焼のグループステージに。中島は今グループステージで先発1試合を含む2試合の出場にとどまり、久保は第2節オレクサンドリーヤ戦の試合終了間際にわずか1分間プレーしただけだった。共にチーム内で苦しい立場にいるが、ラウンド32以降の巻き返しに期待したい。
◆浅野や堂安奮闘も敗退…
いずれもEL初出場ながらグループステージ敗退となったのはパルチザンのFW浅野拓磨と、PSVのFW堂安律、CSKAモスクワのFW西村拓真の3選手。
ユナイテッド、菅原のAZと同じグループLに入った浅野は全6試合に出場。第4節までは幾つかの決定機を逸するなど、チームと共に苦しい戦いを強いられたが、第5節のAZ戦で待望のEL初ゴールを挙げると、すでに敗退が決定していた中で戦った最終節のアスタナ戦では1ゴール1アシストの活躍をみせ、初参戦となった今大会を4-1の快勝で終えている。
リーグ戦で13試合3ゴール1アシストと上々の数字を残している堂安は今グループステージで4試合に出場。4-1で圧勝した第2節のローゼンボリ戦では2アシストを記録する活躍を見せたが、初ゴールは来季以降にお預けに。チームもスポルティング・リスボン、伏兵リンツの後塵を拝して厳しい3位敗退となった。
昨季、CSKAモスクワ加入1年目でCLデビューを果たした西村だが、加入2年目も厳しいポジション争いで劣勢を強いられており、今大会の出場は1-5で大敗したルドゴレツとの第1節の先発1試合のみとなっている。
◆ELグループステージ最終順位
【グループA】
1.セビージャ(スペイン)
2.アポエル(キプロス)
――決勝T進出――
3.カラバフ(アゼルバイジャン)
4.デュドランジュ(ルクセンブルク)
【グループB】
1.マルメ(スウェーデン)
2.コペンハーゲン(デンマーク)
――決勝T進出――
3.ディナモ・キエフ(ウクライナ)
4.ルガーノ(スイス)
【グループC】
1.バーゼル(スイス)
2.ヘタフェ(スペイン)
――決勝T進出――
3.FCクラスノダール(ロシア)
4.トラブゾンシュポル(トルコ)
【グループD】
1.リンツ(オーストリア)
2.スポルティング・リスボン(ポルトガル)
――決勝T進出――
3.PSV(オランダ)※堂安律
4.ローゼンボリ(ノルウェー)
【グループE】
1.セルティック(スコットランド)
2.クルージュ(ルーマニア)
――決勝T進出――
3.ラツィオ(イタリア)
4.スタッド・レンヌ(フランス)
【グループF】
1.アーセナル(イングランド)
2.フランクフルト(ドイツ)※長谷部誠&鎌田大地
――決勝T進出――
3.スタンダール・リエージュ(ベルギー)
4.ヴィトーリア・ギマランエス(ポルトガル)
【グループG】
1.ポルト(ポルトガル)※中島翔哉
2.レンジャーズ(スコットランド)
――決勝T進出――
3.ヤング・ボーイズ(スイス)
4.フェイエノールト(オランダ)
【グループH】
1.エスパニョール(スペイン)
2.ルドゴレツ(ベラルーシ)
――決勝T進出――
3.フェレンツヴァーロシュ(ハンガリー)
4.CSKAモスクワ(ロシア)※西村拓真
【グループI】
1.ヘント(ベルギー)※久保裕也
2.ヴォルフスブルク(ドイツ)
――決勝T進出――
3.サンテチェンヌ(フランス)
4.オレクサンドリーヤ(ウクライナ)
【グループJ】
1.イスタンブール・バシャクシェヒル(トルコ)
2.ローマ(イタリア)
――決勝T進出――
3.ボルシアMG(ドイツ)
4.ヴォルフスベルガー(オーストリア)
【グループK】
1.ブラガ(ポルトガル)
2.ウォルバーハンプトン(イングランド)
――決勝T進出――
3.スロヴァン・ブラチスラヴァ(スロバキア)
4.ベシクタシュ(トルコ)
【グループL】
1.マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
2.AZ(オランダ)※菅原由勢
――決勝T進出――
3.パルチザン(セルビア)※浅野拓磨
4.アスタナ(カザフスタン)
PR
ここでは、注目クラブや日本人選手の所属するチームを中心にグループステージを総括していきたい。Getty Images
今季のCLでは史上初めて5大リーグ所属チームだけでベスト16チームが独占された中、ELグループステージにおいても5大リーグ所属の強豪チームが順当に勝ち抜けを決めることになった。
昨季、準優勝チームにして優勝候補の一角に挙がるアーセナルは、エメリ監督の解任、主将交代という大きな混乱に見舞われながらも最終的にはフランクフルトやスタンダール・リエージュと同居したグループFで順当に首位通過を果たした。不振に陥ったリーグ戦を最優先とする戦いの中でFWマルティネッリとFWブカヨ・サカの18歳コンビ、リーグ戦では湿りがちだったFWペペら若きアタッカー陣が台頭し、ラウンド32以降の戦いに向けて戦力的な上積みも果たした。
また、同じイングランド勢のマンチェスター・ユナイテッドはパルチザン、アスタナと長距離移動こそネックも対戦相手に恵まれたグループLを危なげなく首位通過。アーセナル同様に大幅なターンオーバーを行った中、18歳の新星FWグリーンウッドやDFブランドン・ウィリアムズなどリーグ戦でもチャンスを得始めている若手が台頭した。
さらに、今大会最多優勝を誇り、このコンペティションで圧倒的な強さを見せるセビージャは、ロペテギ新監督の下でアポエル、カラバフ、デュドランジュという小国のクラブが揃ったグループAを5勝1敗の戦績で首位通過。こちらも10人以上の新戦力を迎え入れた中、今グループステージを連係面の構築などに当てて結果と共にチーム熟成に有効活用した。
共に永遠の都に本拠地を置くローマとラツィオのセリエA勢は大きく明暗が分かれることに。フォンセカ新監督の下で大幅なスカッド刷新に動いたローマはグループステージを通して多くの負傷者に悩まされ、第3節のボルシアMG戦では試合後に審判団が誤審を認め公式に謝罪を行う不運もあって土壇場で勝ち点2を失う不運にも見舞われた中、曲者揃いのグループJを2位通過。一方、セリエAでユベントスに今季初黒星を与えるなど3位に躍進するラツィオはセルティック、クルージュ、スタッド・レンヌと同居したグループEでまさかの4敗を喫するなど、低調な戦績で3位敗退となった。
また、今季のブンデスリーガで首位に立つなどローゼ新監督の下で躍進を見せるボルシアMGはオーストリアの伏兵ヴォルフスベルガーに屈辱的な0-4の惨敗を喫するなど振るわない内容でまさかの敗退となった。
◆鎌田&長谷部に菅原が突破に貢献
Getty Images
今シーズンのELグループステージでは、8人の日本人選手が参戦。その中で無事グループステージ突破を果たしたのはMF長谷部誠とMF鎌田大地を擁するフランクフルト、DF菅原由勢を擁するAZ、FW中島翔哉の所属するポルト、FW久保裕也の所属するヘントの4チーム。
昨季、ベスト4のフランクフルトでは鎌田が全6試合、長谷部が5試合に出場しグループFをアーセナルに次ぐ2位で突破。その中で鎌田は強豪アーセナルを敵地で破る2ゴール、スタンダール・リエージュ戦での2アシスト、惜しくも敗れたものの最終節のヴィトーリア・ギマランエス戦でも1ゴールを挙げる華々しい活躍を披露した。
また、EL初参戦となったAZの菅原は右サイドバックと右ウイングのポジションで全6試合に出場。第2節ではホームで強豪ユナイテッドを完封する守備面での貢献を見せると、同じくホーム開催となった第3節のアスタナ戦では待望のEL初ゴールまで奪ってみせ、グループL2位通過の立役者となった。
一方、中島と久保の2選手はチームが共に首位通過を果たしたものの、個人として不完全燃焼のグループステージに。中島は今グループステージで先発1試合を含む2試合の出場にとどまり、久保は第2節オレクサンドリーヤ戦の試合終了間際にわずか1分間プレーしただけだった。共にチーム内で苦しい立場にいるが、ラウンド32以降の巻き返しに期待したい。
◆浅野や堂安奮闘も敗退…
Getty Images
いずれもEL初出場ながらグループステージ敗退となったのはパルチザンのFW浅野拓磨と、PSVのFW堂安律、CSKAモスクワのFW西村拓真の3選手。
ユナイテッド、菅原のAZと同じグループLに入った浅野は全6試合に出場。第4節までは幾つかの決定機を逸するなど、チームと共に苦しい戦いを強いられたが、第5節のAZ戦で待望のEL初ゴールを挙げると、すでに敗退が決定していた中で戦った最終節のアスタナ戦では1ゴール1アシストの活躍をみせ、初参戦となった今大会を4-1の快勝で終えている。
リーグ戦で13試合3ゴール1アシストと上々の数字を残している堂安は今グループステージで4試合に出場。4-1で圧勝した第2節のローゼンボリ戦では2アシストを記録する活躍を見せたが、初ゴールは来季以降にお預けに。チームもスポルティング・リスボン、伏兵リンツの後塵を拝して厳しい3位敗退となった。
昨季、CSKAモスクワ加入1年目でCLデビューを果たした西村だが、加入2年目も厳しいポジション争いで劣勢を強いられており、今大会の出場は1-5で大敗したルドゴレツとの第1節の先発1試合のみとなっている。
◆ELグループステージ最終順位
【グループA】
1.セビージャ(スペイン)
2.アポエル(キプロス)
――決勝T進出――
3.カラバフ(アゼルバイジャン)
4.デュドランジュ(ルクセンブルク)
【グループB】
1.マルメ(スウェーデン)
2.コペンハーゲン(デンマーク)
――決勝T進出――
3.ディナモ・キエフ(ウクライナ)
4.ルガーノ(スイス)
【グループC】
1.バーゼル(スイス)
2.ヘタフェ(スペイン)
――決勝T進出――
3.FCクラスノダール(ロシア)
4.トラブゾンシュポル(トルコ)
【グループD】
1.リンツ(オーストリア)
2.スポルティング・リスボン(ポルトガル)
――決勝T進出――
3.PSV(オランダ)※堂安律
4.ローゼンボリ(ノルウェー)
【グループE】
1.セルティック(スコットランド)
2.クルージュ(ルーマニア)
――決勝T進出――
3.ラツィオ(イタリア)
4.スタッド・レンヌ(フランス)
【グループF】
1.アーセナル(イングランド)
2.フランクフルト(ドイツ)※長谷部誠&鎌田大地
――決勝T進出――
3.スタンダール・リエージュ(ベルギー)
4.ヴィトーリア・ギマランエス(ポルトガル)
【グループG】
1.ポルト(ポルトガル)※中島翔哉
2.レンジャーズ(スコットランド)
――決勝T進出――
3.ヤング・ボーイズ(スイス)
4.フェイエノールト(オランダ)
【グループH】
1.エスパニョール(スペイン)
2.ルドゴレツ(ベラルーシ)
――決勝T進出――
3.フェレンツヴァーロシュ(ハンガリー)
4.CSKAモスクワ(ロシア)※西村拓真
【グループI】
1.ヘント(ベルギー)※久保裕也
2.ヴォルフスブルク(ドイツ)
――決勝T進出――
3.サンテチェンヌ(フランス)
4.オレクサンドリーヤ(ウクライナ)
【グループJ】
1.イスタンブール・バシャクシェヒル(トルコ)
2.ローマ(イタリア)
――決勝T進出――
3.ボルシアMG(ドイツ)
4.ヴォルフスベルガー(オーストリア)
【グループK】
1.ブラガ(ポルトガル)
2.ウォルバーハンプトン(イングランド)
――決勝T進出――
3.スロヴァン・ブラチスラヴァ(スロバキア)
4.ベシクタシュ(トルコ)
【グループL】
1.マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
2.AZ(オランダ)※菅原由勢
――決勝T進出――
3.パルチザン(セルビア)※浅野拓磨
4.アスタナ(カザフスタン)
PR
|
関連ニュース