【リーグ・アン・シーズンプレビュー】PSGの3連覇は決定的! 注目は混戦見込まれるCL出場権争い
2019.08.09 17:00 Fri
2019-20シーズンのリーグ・アンが8月9日(金)に開幕を迎える。昨シーズンは圧倒的な強さを見せたパリ・サンジェルマン(PSG)の2連覇という、予想通りの結末となったが、迎える新シーズンもその絶対的王者の独走が想定される。
迎えた今シーズンは一時更迭の噂もあったトゥヘル監督の続投も決定し、開幕時点では古巣バルセロナ復帰問題に揺れるエースFWネイマール含め主力の残留も決定的な状況だ。加えて、今夏の移籍市場では選手層に問題を抱えていたセンターバック、守備的MF、中盤のポジションにドルトムントDFディアロ、エバートンMFグイエ、マンチェスター・ユナイテッドMFエレーラ、セビージャMFサラビアと即戦力を確保。DFダニエウ・アウベスが抜けた右サイドバックや正GKとして不安のあるGKアレオラなど幾つかの不安要素はあるが、他クラブとの圧倒的な戦力差を考えれば、国内3冠の可能性は高そうだ。
今月初めに行われたスタッド・レンヌとのトロフェ・デ・シャンピオンではDFマルキーニョスをアンカーに配した[4-3-3]の布陣で早速初タイトルを獲得しているが、変幻自在のドイツ人指揮官は今シーズンも[3-4-3]、[4-2-3-1]、[4-4-2]など複数のシステムを使い分ける見込みだ。
◆スカッド刷新にシウヴィーニョ新監督の手腕は?~リヨン~
懸念材料はトップカテゴリーで初めて指揮を執るシウヴィーニョ新監督の手腕。現役時代にアーセナルやバルセロナ、ブラジル代表で活躍した名左サイドバックだが、指導者としてはインテルでのアシスタントコーチやブラジルの世代別代表を率いた経験しかない。ここまでのプレーシーズンマッチを見ると、[4-3-3]の布陣で後方から繋ぐポゼッションスタイルを志向しているが、その戦術の落とし込みや対戦相手の対策など未知数な部分も多い。
◆昨季躍進支えた主力が大量流出…後釜の出来が重要に~リール~
今夏の移籍市場では大エースのFWニコラ・ペペ、FWレオンと、MFイコネと共に攻撃を牽引した若き三銃士のうち、ペペとレオンが国外のビッグクラブに流出。さらに、ライバルのリヨンに中盤と左サイドバックのレギュラー2選手を引き抜かれている。一方、その後釜に関してはレンヌの主将MFアンドレを除き、MFヤズジュ、FWオシムヘン、FWウェア、DFブラダリッチと未知数な若手タレントの補強に留まっている。昨季のように若手逸材が大ブレイクを果たすか、移籍市場閉幕までに実績十分のタレントの獲得に成功しなければ、難しいシーズンになる可能性がある。とりわけ、CLとの二足の草鞋を履く前半戦の出来がシーズン全体を左右することになるはずだ。
◆名門2クラブは復権なるか?~モナコ、マルセイユ~
昨シーズン、有力タレントをビッグクラブに売却し、その売却益で新たなタレントを獲得するという、近年完璧に機能していた補強プランが崩壊したモナコは、アンリ監督を挟んでジャルディム監督が解任、再登板と混迷極まるシーズンを過ごし17位での残留という、リーグ・アン復帰後最も困難な1年を過ごした。
迎えた今季は名門復活に向けて積極補強が期待されるところだが、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の問題もあって極めて動きの少ない移籍市場となっている。現スカッドにおいて高額な売却益を見込めるタレントはおらず、補強資金を得られていないこともあり、開幕前時点ではモンペリエから新守護神候補のGKルコント、右サイドのスペシャリスト、DFアギラールの2選手を引き抜いた以外、目立った補強はない。したがって、ジャルディム監督としてはレンタルバック組やアカデミーの若手の育成という自身の真骨頂を発揮し、巻き返しのシーズンに臨む必要がありそうだ。
一方、アメリカ人オーナーへの移行後、CL出場権獲得を目標としてきたマルセイユだが、昨シーズンはヨーロッパリーグ(EL)出場圏外の5位という厳しい1年を過ごした。この成績不振を受けて、ガルシア監督の退任と共に、ビラス=ボアス新監督の招へいが決定。ポルトガル人新指揮官の下で巻き返しのシーズンに臨む。
ただ、モナコ同様にFFPの問題を抱えるクラブは今夏の移籍市場で緊縮財政を強いられている。昨季のエースストライカーFWバロテッリとの契約延長交渉がうまくいかず、長らく主力を担ったFWオカンポスもセビージャに旅立つことに。逆に、新戦力はビジャレアルDFアルバロ・ゴンサレス、ボカ・ジュニアーズFWベネデットの2選手にとどまっており、フランスリーグ初挑戦のビラス=ボアス監督を後押しするような補強は行われていない。
その他、上位を窺うサンテチェンヌやモンペリエ、ニース、レンヌなどの中堅クラブも今夏の移籍市場ではプレミアリーグなどを中心に資金力のある国外のリーグに主力を引き抜かれており、戦力的に突き抜けたクラブはなく今季も混戦模様が予想される。なお、昨シーズンにスタッド・ランス、ニームの2チームが躍進を見せた昇格組に関しては1年での復帰を果たしたメスと、2010-11シーズン以来のブレストが昇格を果たしており、台風の目としての躍進が期待されるところだ。
◆昨季に続き酒井、昌子、川島がプレー~日本人選手~
2016年のマルセイユ加入以降、本職の右サイドバックを主戦場に3バックのストッパーや左サイドバックも任されるなど、最終ラインの絶対的なレギュラーに定着している酒井。昨シーズンもケガによる離脱期間を除き27試合に出場し1ゴール4アシストの数字を残した29歳は、今夏の移籍市場でトッテナムなど国外への移籍の可能性も囁かれていたが、今シーズンもマルセイユでプレーすることが濃厚だ。ビラス=ボアス新監督の就任によってチーム内に序列の変化が想定されるが、攻守両面で貢献可能なリーグ屈指のサイドバックは今季も不動のレギュラーとして重宝されるはずだ。
今年1月に鹿島アントラーズからトゥールーズに加入した昌子は、チームが残留争いを強いられた中で後半戦の18試合でフル出場。まさに助っ人という安定感溢れる活躍でチームの残留に大きく貢献した。プレシーズンをチームと共に過ごし、ディフェンスリーダーとしての活躍が期待される今季も個の力を全面に押し出す逸材アタッカーたちを相手にトゥールーズの防波堤として活躍してくれるはずだ。
昨シーズン、公式戦出場ゼロに終わった川島だが、チームの一員としてクープ・ドゥ・ラ・リーグ優勝を経験。契約満了に伴い、Jリーグ復帰の可能性も伝えられたが、そのプロフェッショナリズムと経験を買われてストラスブールと新たな2年契約を結ぶことになった。昨季と変わらず第3GKの立ち位置は変わらないが、日本代表としてコパ・アメリカで安定したパフォーマンスを披露するなど、その力に衰えは見えない。有事に備えて忍耐強くチャンスを待ちたい。
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◆ネイマール問題燻るも的確補強で死角なし~パリ・サンジェルマン~Getty Images
絶対的な本命は3連覇を目指すPSGだ。昨シーズン、チャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16でマンチェスター・ユナイテッド相手に喫した衝撃的な逆転負けのショックによってシーズン終盤に予想外の低迷、2つの国内カップ戦で優勝を逃す失態を演じたものの、その強さはやはり別格だった。今月初めに行われたスタッド・レンヌとのトロフェ・デ・シャンピオンではDFマルキーニョスをアンカーに配した[4-3-3]の布陣で早速初タイトルを獲得しているが、変幻自在のドイツ人指揮官は今シーズンも[3-4-3]、[4-2-3-1]、[4-4-2]など複数のシステムを使い分ける見込みだ。
◆スカッド刷新にシウヴィーニョ新監督の手腕は?~リヨン~
Getty Images
対抗は、PSGに次ぐ戦力値を誇る昨季3位のリヨンだ。昨シーズン、序盤戦で低迷もシーズンを経るごとに安定感を取り戻し、最終的にCL出場権獲得に成功したリヨン。今夏には3年半指揮を執ってきたジェネジオ前監督の退任と共に、7連覇を達成した黄金時代の主力ジュニーニョ・ペルナンブカーノの新SD就任と、元ブラジル代表DFのシウヴィーニョ新監督の就任を発表。元セレソンコンビの下で新たな時代を迎えている。移籍市場においてはMFエンドンベレ、DFフェルラン・メンディ、キャプテンでエースのFWフェキルがそれぞれ国外に新天地を求めることになった。その一方で、移籍が噂されたFWデパイやMFアワール、FWムサ・デンベレの残留は濃厚となっており、主力の流出を最低限に留められた印象だ。さらに、ここまで前線に目立った補強は行われていないが、前述の主力売却資金を元手にライバルのリールからMFチアゴ・メンデス、DFユスフ・コネの2選手を後釜として確保。また、補強ポイントだったセンターバックにビッグクラブ注目のサンプドリアDFアンデルセンの獲得に成功。世界屈指の育成組織から輩出される若手の伸びしろを考えれば、昨季と同等のスカッドを構築できている。
懸念材料はトップカテゴリーで初めて指揮を執るシウヴィーニョ新監督の手腕。現役時代にアーセナルやバルセロナ、ブラジル代表で活躍した名左サイドバックだが、指導者としてはインテルでのアシスタントコーチやブラジルの世代別代表を率いた経験しかない。ここまでのプレーシーズンマッチを見ると、[4-3-3]の布陣で後方から繋ぐポゼッションスタイルを志向しているが、その戦術の落とし込みや対戦相手の対策など未知数な部分も多い。
◆昨季躍進支えた主力が大量流出…後釜の出来が重要に~リール~
Getty Images
3番手は、一昨季の17位から昨季2位に大躍進を遂げたリールだ。昨季は、実質就任2年目となったガルティエ監督の下、堅実な守備と前線の圧倒的な個を生かしたアタッキングフットボールが完璧に機能し、望外のCL出場権を獲得した。しかし、その躍進の代償に今夏は主力の大量流出が目立っており、その後釜として獲得した新戦力たちの働きが重要となる。今夏の移籍市場では大エースのFWニコラ・ペペ、FWレオンと、MFイコネと共に攻撃を牽引した若き三銃士のうち、ペペとレオンが国外のビッグクラブに流出。さらに、ライバルのリヨンに中盤と左サイドバックのレギュラー2選手を引き抜かれている。一方、その後釜に関してはレンヌの主将MFアンドレを除き、MFヤズジュ、FWオシムヘン、FWウェア、DFブラダリッチと未知数な若手タレントの補強に留まっている。昨季のように若手逸材が大ブレイクを果たすか、移籍市場閉幕までに実績十分のタレントの獲得に成功しなければ、難しいシーズンになる可能性がある。とりわけ、CLとの二足の草鞋を履く前半戦の出来がシーズン全体を左右することになるはずだ。
◆名門2クラブは復権なるか?~モナコ、マルセイユ~
Getty Images
昨シーズン、共に屈辱のシーズンを過ごしたモナコ、マルセイユの名門2クラブは2人のポルトガル人指揮官の下で捲土重来のシーズンに挑む。昨シーズン、有力タレントをビッグクラブに売却し、その売却益で新たなタレントを獲得するという、近年完璧に機能していた補強プランが崩壊したモナコは、アンリ監督を挟んでジャルディム監督が解任、再登板と混迷極まるシーズンを過ごし17位での残留という、リーグ・アン復帰後最も困難な1年を過ごした。
迎えた今季は名門復活に向けて積極補強が期待されるところだが、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の問題もあって極めて動きの少ない移籍市場となっている。現スカッドにおいて高額な売却益を見込めるタレントはおらず、補強資金を得られていないこともあり、開幕前時点ではモンペリエから新守護神候補のGKルコント、右サイドのスペシャリスト、DFアギラールの2選手を引き抜いた以外、目立った補強はない。したがって、ジャルディム監督としてはレンタルバック組やアカデミーの若手の育成という自身の真骨頂を発揮し、巻き返しのシーズンに臨む必要がありそうだ。
一方、アメリカ人オーナーへの移行後、CL出場権獲得を目標としてきたマルセイユだが、昨シーズンはヨーロッパリーグ(EL)出場圏外の5位という厳しい1年を過ごした。この成績不振を受けて、ガルシア監督の退任と共に、ビラス=ボアス新監督の招へいが決定。ポルトガル人新指揮官の下で巻き返しのシーズンに臨む。
ただ、モナコ同様にFFPの問題を抱えるクラブは今夏の移籍市場で緊縮財政を強いられている。昨季のエースストライカーFWバロテッリとの契約延長交渉がうまくいかず、長らく主力を担ったFWオカンポスもセビージャに旅立つことに。逆に、新戦力はビジャレアルDFアルバロ・ゴンサレス、ボカ・ジュニアーズFWベネデットの2選手にとどまっており、フランスリーグ初挑戦のビラス=ボアス監督を後押しするような補強は行われていない。
その他、上位を窺うサンテチェンヌやモンペリエ、ニース、レンヌなどの中堅クラブも今夏の移籍市場ではプレミアリーグなどを中心に資金力のある国外のリーグに主力を引き抜かれており、戦力的に突き抜けたクラブはなく今季も混戦模様が予想される。なお、昨シーズンにスタッド・ランス、ニームの2チームが躍進を見せた昇格組に関しては1年での復帰を果たしたメスと、2010-11シーズン以来のブレストが昇格を果たしており、台風の目としての躍進が期待されるところだ。
◆昨季に続き酒井、昌子、川島がプレー~日本人選手~
Getty Images
開幕時点で今シーズンのリーグ・アンでプレーするのは、マルセイユDF酒井宏樹、トゥールーズDF昌子源、ストラスブールGK川島永嗣の3選手だ。2016年のマルセイユ加入以降、本職の右サイドバックを主戦場に3バックのストッパーや左サイドバックも任されるなど、最終ラインの絶対的なレギュラーに定着している酒井。昨シーズンもケガによる離脱期間を除き27試合に出場し1ゴール4アシストの数字を残した29歳は、今夏の移籍市場でトッテナムなど国外への移籍の可能性も囁かれていたが、今シーズンもマルセイユでプレーすることが濃厚だ。ビラス=ボアス新監督の就任によってチーム内に序列の変化が想定されるが、攻守両面で貢献可能なリーグ屈指のサイドバックは今季も不動のレギュラーとして重宝されるはずだ。
今年1月に鹿島アントラーズからトゥールーズに加入した昌子は、チームが残留争いを強いられた中で後半戦の18試合でフル出場。まさに助っ人という安定感溢れる活躍でチームの残留に大きく貢献した。プレシーズンをチームと共に過ごし、ディフェンスリーダーとしての活躍が期待される今季も個の力を全面に押し出す逸材アタッカーたちを相手にトゥールーズの防波堤として活躍してくれるはずだ。
昨シーズン、公式戦出場ゼロに終わった川島だが、チームの一員としてクープ・ドゥ・ラ・リーグ優勝を経験。契約満了に伴い、Jリーグ復帰の可能性も伝えられたが、そのプロフェッショナリズムと経験を買われてストラスブールと新たな2年契約を結ぶことになった。昨季と変わらず第3GKの立ち位置は変わらないが、日本代表としてコパ・アメリカで安定したパフォーマンスを披露するなど、その力に衰えは見えない。有事に備えて忍耐強くチャンスを待ちたい。
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