【CL決勝特集②・キーマッチアップ】最注目はソン・フンミンvsアーノルド
2019.06.01 22:00 Sat
2018-19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝、トッテナムvsリバプールが日本時間6月1日28時からスペイン・マドリードのエスタディオ・メトロポリターノで開催される。
2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、運命のファイナルの戦局を左右する3つのマッチアップに焦点を当てて、両チームのキープレーヤーを紹介していく。
◆サイドで優勢を保つのは?
◆FWソン・フンミン(26歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:816分
得点数:4、アシスト数:1
アジアの枠を飛び越えたワールドクラスのアタッカー。爆発的なスピード、緩急自在の仕掛け、両利きと言って遜色ない高精度且つパワフルなシュートを兼備する韓国人アタッカーは、守備面の献身性、勝負強さを含めて現在のヨーロッパで屈指の万能型ストライカーだ。今大会を通じては決勝トーナメントでのドルトムント戦、マンチェスター・シティ戦で異次元の働きをみせ、エースケインの穴を完璧に埋めてみせた。
今回のリバプール戦では2トップ、あるいは左ウイングでの起用が濃厚とみられる。その中で今や相手のキーマンに成長した新進気鋭の右サイドバックを相手に、守備では得意のアーリークロスを封じるタイトな寄せ、攻撃では対人対応やスペースケアに甘さがある若武者に対して積極果敢な仕掛けで翻弄し、押し込んだ攻撃参加を自重させたい。
CL出場試合:10試合(先発10)、出場時間:832分
得点数:0、アシスト数:4
新進気鋭のアシストマシーン。ユース時代は一列前の右サイドハーフやセントラルMFを主戦場にしていたが、名将クロップ監督の下で正式に右サイドバックにコンバート。昨季は中盤仕込みの正確なパスやクロス、プレッシャーを苦にしないキープ力など攻撃面の良さが目立った一方、コンバート組ゆえの守備の緩さが見受けられた。だが、今季は攻守両面でスケールアップを果たしてプレミアリーグではディフェンダーとして歴代最多の12アシストを記録するなど、スーパーな右足のキックでプレミア屈指の攻撃的な右サイドバックに進化を遂げた。今季CLでは準々決勝のポルト戦から出場3試合すべてでアシストを記録。さらに、バルセロナとの2ndレグの意表を突いたクイックリスタートでの決勝アシストは、クラブ史に燦然と輝く好プレーの1つにノミネートされたはずだ。
今回の決勝では攻め残りの傾向が強いサラーを守備面で後方支援しつつ、ソン・フンミン、ルーカスら一線級のドリブラー相手に粘りの対応が求められる。また、空中戦でやや分が悪い中、準々決勝のシティMFデ・ブライネのプレーを参考に高めの相手最終ラインのスペースを突くアーリークロスや斜めのフィードで快速3トップの持ち味を生かしたいところだ。
◆スパーズ司令塔を封じ込められるか
◆MFクリスティアン・エリクセン(27歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:913分
得点数:2、アシスト数:4
巧さ、賢さ、献身性を兼ね備えた世界屈指のチャンスメーカー。今シーズン、オーバーワークの影響で一時期ミスが目立ったものの、その他の攻撃陣が波のあるシーズンを送ってきた中で最も安定したプレーでチームをけん引してきたデンマーク代表MFはこの決勝においてもスパーズ攻撃陣の要だ。起用法に関しては右ウイング、トップ下、3センターハーフの一角のいずれかになるが、求められる役割は相手の猛烈なプレッシャーを浴びるピッチ中央での繋ぎ役、前線のアタッカーを一発で抜け出させるラストパスの配給だ。トッテナムにとっての理想はビルドアップの局面でエリクセンが下がり過ぎることなく、相手陣内のハーフスペースや相手インサイドハーフの裏でボールを受けて味方とのコンビプレーやミドルシュート、ラストパスと複数の選択肢を持ちながら崩しの局面に専念することだ。
ただ、完調のウィンクスが中盤の底に入らない限り、ワニャマやムサ・シソコ、ダイアーあたりでリバプールのプレッシャーを前にスムーズにボールを動かすのは困難だ。したがって、現実的には最終ラインからボールを引き出して的確に散らしつつ、切り替えやロングカウンターの場面で局面を一気に変えるミドルレンジのパスで決定機創出を目指す形になるはずだ。なお、今季リーグ最終戦では自身久々の直接FKからのゴールを記録しており、名手アリソンとの駆け引きにも注目だ。
◆MFファビーニョ(25歳/リバプール)
CL出場試合:10試合(先発6)、出場時間:637分
得点数:0、アシスト数:0
強靭なフィジカルと読みに長けたチーム屈指のボールハンター。今季、守護神アリソン、世界屈指のセンターバックのファン・ダイクと共に大幅な守備力改善に寄与したブラジル代表MF。モナコから加入したシーズン当初はクロップ・スタイルへの順応に苦しんだが、中盤戦以降アンカー、2セントラルMFのポジションで主力に定着。元々、カバーリングに定評があるものの、強靭なフィジカルと長い手足を生かしたボール奪取が特長の同選手にとって、自陣バイタルエリアに留まりスペース、人を管理する通常のアンカーの役割と異なり、3センターがローテーション気味に役割を変えるリバプールではチャンスとあらば、前に出て相手を潰すアグレッシブな守備が可能とチーム戦術との親和性は高い。
今回の決勝では基本的にデレ・アリやエリクセンとのマッチアップが想定される中、インサイドハーフとマークを受け渡しながらその中盤のキーマンに自由を与えないタイトな守備が求められる。とりわけ、ボールロスト、ミスが少ないエリクセンから良い形でボールを奪い切ることができれば、前がかった相手を一気に引っくり返すことも可能だ。
◆マネの突破力かアルデルヴァイレルトの読みか? セインツ元同僚対決
◆DFトビー・アルデルヴァイレルト(30歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発11)、出場時間:990分
得点数:0、アシスト数:0
完全復活でスパーズへの忠誠誓う頼れるディフェンスリーダー。昨季、終盤はケガと契約延長問題、ダビンソン・サンチェスの台頭により3バック採用時以外ベンチを温める機会が多かったベルギー代表DF。しかし、今シーズンは相棒ヴェルトンゲン、D・サンチェスが離脱を強いられることもあった中、リーグ戦とCLの舞台でフル稼働を見せた。今季CLではハイライトとなる印象的な試合こそなかったが、すべての試合を通して平均以上の安定したプレーで最終ラインを締めた。筋骨隆々の屈強なフィジカルに加え、危機察知能力、プレーリードに長けており、総合力では対戦相手のDFファン・ダイクに劣るもののフィード能力で勝るなど世界屈指の万能型センターバックだ。
リーグ戦での直近の対戦で悔しいオウンゴールを献上した因縁の相手に対しては、キーマンのマネとのマッチアップが肝となる。直接マッチアップするDFトリッピアーが圧倒的に分が悪いことは明白であり、カバーリングに長けたシソコと共にいかに同選手をサポートできるかが重要となる。また、ハイラインを採用する以上、被カウンター時にマネやFWフィルミノと一対一の対応を強いられる可能性が高く、そこでの奮闘も求められる。
◆FWサディオ・マネ(27歳/リバプール)
CL出場試合:12試合(先発11)、出場時間:1062分
得点数:4、アシスト数:1
決定力向上で世界最高のアタッカーの1人に成長。相棒のサラー、フィルミノが昨季のゴール数を下回った中、その穴をカバーしたのがマネだ。圧倒的なスプリント能力、驚異のコーディネーション能力を生かしたドリブル突破、スペースへの飛び出し、豊富な攻撃センスと世界屈指のチャンスメーカーとして名を挙げた近年の活躍から今季はゴールスコアラーとしての才能を完全開花させ、プレミアリーグでは相棒サラー、アーセナルFWオーバメヤンと共に22ゴールで自身初の得点王を獲得。今季CLでは4ゴール3アシストと目立った数字を残せていないが、敵地でバイエルンを撃破した2ゴール、ポルト戦での1ゴール1アシストなどきっちり存在感を放っている。
今回の対戦相手トッテナム戦ではリバプール移籍後、5試合の出場で2ゴールとそこまで得意としてはいないが、2017年2月の対戦では2ゴールを奪って勝利に貢献している。相棒2人が本調子ではない中、トリッピアー、アルデルヴァイレルトの壁を破ってチームを勝利に導くゴールを奪いたい。左サイドからの積極果敢なドリブル突破、カウンター時のオープンスペースでの仕掛けに加え、アーノルドからのアーリークロスをファーでワンタッチで仕留める形が期待される。
2007-08シーズンのマンチェスター・ユナイテッドvsチェルシー以来、11年ぶりのイングランド勢対決となったこの大一番を前に、運命のファイナルの戦局を左右する3つのマッチアップに焦点を当てて、両チームのキープレーヤーを紹介していく。
Getty Images
今回のファイナルではスパーズの主力のコンディション、策士ポチェッティーノ監督の多彩な戦術もあって明確なマッチアップの予想は困難だが、今季リーグ戦でチーム最多アシストを記録したリバプールのDFアーノルドと、トッテナムのサイドアタッカーのマッチアップが戦局を大きく左右することになりそうだ。◆FWソン・フンミン(26歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:816分
得点数:4、アシスト数:1
アジアの枠を飛び越えたワールドクラスのアタッカー。爆発的なスピード、緩急自在の仕掛け、両利きと言って遜色ない高精度且つパワフルなシュートを兼備する韓国人アタッカーは、守備面の献身性、勝負強さを含めて現在のヨーロッパで屈指の万能型ストライカーだ。今大会を通じては決勝トーナメントでのドルトムント戦、マンチェスター・シティ戦で異次元の働きをみせ、エースケインの穴を完璧に埋めてみせた。
今回のリバプール戦では2トップ、あるいは左ウイングでの起用が濃厚とみられる。その中で今や相手のキーマンに成長した新進気鋭の右サイドバックを相手に、守備では得意のアーリークロスを封じるタイトな寄せ、攻撃では対人対応やスペースケアに甘さがある若武者に対して積極果敢な仕掛けで翻弄し、押し込んだ攻撃参加を自重させたい。
◆DFトレント・アレキサンダー=アーノルド(20歳/リバプール)
CL出場試合:10試合(先発10)、出場時間:832分
得点数:0、アシスト数:4
新進気鋭のアシストマシーン。ユース時代は一列前の右サイドハーフやセントラルMFを主戦場にしていたが、名将クロップ監督の下で正式に右サイドバックにコンバート。昨季は中盤仕込みの正確なパスやクロス、プレッシャーを苦にしないキープ力など攻撃面の良さが目立った一方、コンバート組ゆえの守備の緩さが見受けられた。だが、今季は攻守両面でスケールアップを果たしてプレミアリーグではディフェンダーとして歴代最多の12アシストを記録するなど、スーパーな右足のキックでプレミア屈指の攻撃的な右サイドバックに進化を遂げた。今季CLでは準々決勝のポルト戦から出場3試合すべてでアシストを記録。さらに、バルセロナとの2ndレグの意表を突いたクイックリスタートでの決勝アシストは、クラブ史に燦然と輝く好プレーの1つにノミネートされたはずだ。
今回の決勝では攻め残りの傾向が強いサラーを守備面で後方支援しつつ、ソン・フンミン、ルーカスら一線級のドリブラー相手に粘りの対応が求められる。また、空中戦でやや分が悪い中、準々決勝のシティMFデ・ブライネのプレーを参考に高めの相手最終ラインのスペースを突くアーリークロスや斜めのフィードで快速3トップの持ち味を生かしたいところだ。
◆スパーズ司令塔を封じ込められるか
Getty Images
トッテナムにとって攻撃の全権を託されたMFエリクセンのパフォーマンスが初優勝の鍵を握る。逆に、リバプールはその司令塔を封じ込められるかが守備面の大きなポイントに。その意味でアンカーを務めるMFファビーニョの出来が重要になるはずだ。◆MFクリスティアン・エリクセン(27歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発10)、出場時間:913分
得点数:2、アシスト数:4
巧さ、賢さ、献身性を兼ね備えた世界屈指のチャンスメーカー。今シーズン、オーバーワークの影響で一時期ミスが目立ったものの、その他の攻撃陣が波のあるシーズンを送ってきた中で最も安定したプレーでチームをけん引してきたデンマーク代表MFはこの決勝においてもスパーズ攻撃陣の要だ。起用法に関しては右ウイング、トップ下、3センターハーフの一角のいずれかになるが、求められる役割は相手の猛烈なプレッシャーを浴びるピッチ中央での繋ぎ役、前線のアタッカーを一発で抜け出させるラストパスの配給だ。トッテナムにとっての理想はビルドアップの局面でエリクセンが下がり過ぎることなく、相手陣内のハーフスペースや相手インサイドハーフの裏でボールを受けて味方とのコンビプレーやミドルシュート、ラストパスと複数の選択肢を持ちながら崩しの局面に専念することだ。
ただ、完調のウィンクスが中盤の底に入らない限り、ワニャマやムサ・シソコ、ダイアーあたりでリバプールのプレッシャーを前にスムーズにボールを動かすのは困難だ。したがって、現実的には最終ラインからボールを引き出して的確に散らしつつ、切り替えやロングカウンターの場面で局面を一気に変えるミドルレンジのパスで決定機創出を目指す形になるはずだ。なお、今季リーグ最終戦では自身久々の直接FKからのゴールを記録しており、名手アリソンとの駆け引きにも注目だ。
◆MFファビーニョ(25歳/リバプール)
CL出場試合:10試合(先発6)、出場時間:637分
得点数:0、アシスト数:0
強靭なフィジカルと読みに長けたチーム屈指のボールハンター。今季、守護神アリソン、世界屈指のセンターバックのファン・ダイクと共に大幅な守備力改善に寄与したブラジル代表MF。モナコから加入したシーズン当初はクロップ・スタイルへの順応に苦しんだが、中盤戦以降アンカー、2セントラルMFのポジションで主力に定着。元々、カバーリングに定評があるものの、強靭なフィジカルと長い手足を生かしたボール奪取が特長の同選手にとって、自陣バイタルエリアに留まりスペース、人を管理する通常のアンカーの役割と異なり、3センターがローテーション気味に役割を変えるリバプールではチャンスとあらば、前に出て相手を潰すアグレッシブな守備が可能とチーム戦術との親和性は高い。
今回の決勝では基本的にデレ・アリやエリクセンとのマッチアップが想定される中、インサイドハーフとマークを受け渡しながらその中盤のキーマンに自由を与えないタイトな守備が求められる。とりわけ、ボールロスト、ミスが少ないエリクセンから良い形でボールを奪い切ることができれば、前がかった相手を一気に引っくり返すことも可能だ。
◆マネの突破力かアルデルヴァイレルトの読みか? セインツ元同僚対決
Getty Images
シーズン後半に入ってFWサラー以上の存在感を放ったFWマネと、シーズンフル稼働で最終ラインを締めたDFアルデルヴァイレルトのセインツ元同僚によるマッチアップも試合の行方を大きく左右することになるはずだ。◆DFトビー・アルデルヴァイレルト(30歳/トッテナム)
CL出場試合:11試合(先発11)、出場時間:990分
得点数:0、アシスト数:0
完全復活でスパーズへの忠誠誓う頼れるディフェンスリーダー。昨季、終盤はケガと契約延長問題、ダビンソン・サンチェスの台頭により3バック採用時以外ベンチを温める機会が多かったベルギー代表DF。しかし、今シーズンは相棒ヴェルトンゲン、D・サンチェスが離脱を強いられることもあった中、リーグ戦とCLの舞台でフル稼働を見せた。今季CLではハイライトとなる印象的な試合こそなかったが、すべての試合を通して平均以上の安定したプレーで最終ラインを締めた。筋骨隆々の屈強なフィジカルに加え、危機察知能力、プレーリードに長けており、総合力では対戦相手のDFファン・ダイクに劣るもののフィード能力で勝るなど世界屈指の万能型センターバックだ。
リーグ戦での直近の対戦で悔しいオウンゴールを献上した因縁の相手に対しては、キーマンのマネとのマッチアップが肝となる。直接マッチアップするDFトリッピアーが圧倒的に分が悪いことは明白であり、カバーリングに長けたシソコと共にいかに同選手をサポートできるかが重要となる。また、ハイラインを採用する以上、被カウンター時にマネやFWフィルミノと一対一の対応を強いられる可能性が高く、そこでの奮闘も求められる。
◆FWサディオ・マネ(27歳/リバプール)
CL出場試合:12試合(先発11)、出場時間:1062分
得点数:4、アシスト数:1
決定力向上で世界最高のアタッカーの1人に成長。相棒のサラー、フィルミノが昨季のゴール数を下回った中、その穴をカバーしたのがマネだ。圧倒的なスプリント能力、驚異のコーディネーション能力を生かしたドリブル突破、スペースへの飛び出し、豊富な攻撃センスと世界屈指のチャンスメーカーとして名を挙げた近年の活躍から今季はゴールスコアラーとしての才能を完全開花させ、プレミアリーグでは相棒サラー、アーセナルFWオーバメヤンと共に22ゴールで自身初の得点王を獲得。今季CLでは4ゴール3アシストと目立った数字を残せていないが、敵地でバイエルンを撃破した2ゴール、ポルト戦での1ゴール1アシストなどきっちり存在感を放っている。
今回の対戦相手トッテナム戦ではリバプール移籍後、5試合の出場で2ゴールとそこまで得意としてはいないが、2017年2月の対戦では2ゴールを奪って勝利に貢献している。相棒2人が本調子ではない中、トリッピアー、アルデルヴァイレルトの壁を破ってチームを勝利に導くゴールを奪いたい。左サイドからの積極果敢なドリブル突破、カウンター時のオープンスペースでの仕掛けに加え、アーノルドからのアーリークロスをファーでワンタッチで仕留める形が期待される。
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