夢を見た分、失望も大きい…/原ゆみこのマドリッド
2019.03.15 13:45 Fri
「確かにその通り!」そんな風に私が感心していたのは木曜日、AS(スポーツ紙)の編集長巻頭コラムの一節に「レアル・マドリーとアトレティコ、どちらもクリスチアーノ・ロナウドのせいでベスト8に届かなかった」という文章を見つけた時のことでした。いやあ、お隣さんの災難は昨年夏に端を発していて、ロナウドをユベントスに売った後、減ったゴール数を補うために満足な補強をせず。おかげでシーズン中に2人も監督が解任されるなど、CL16強敗退以外にも問題は山積みだったんですけどね。
ちなみに一体、どうしてそんなことになったのか、火曜の試合の様子をお伝えしていくことにすると、2月の1stレグが今季1番と言えるぐらいの出来で、ワンダ・メトロポリターノでは2-0を快勝したアトレティコだったため、勇気をもらったファン1800人もユベントス・スタジアムに駆けつけていたんですけどね。開始早々、3分にCKからGKオブラクが弾いたボールをキエッリーニがゴールに蹴り込んだ際もロナウドのファールで得点を認められなかったため、私もその日はツキがあるんじゃないかと錯覚したんですが、とんでもない。
ええ、それからも攻めているのは相手ばかりでアトレティコはほとんどボールを持てず。最初のうちは「0-0でいいんだから」と静観していたものの、26分、ベルナルデスキのクロスをゴール前でファンフランがロナウドに競り負け、ヘッドを叩き込まれてしまったから、さあ大変!おまけに即時の反撃を期待しても全然、プレーが変わらないんですよ。どうやら1月半ばから、試合が週1ペースになったせいか、妙なゆとりサッカーが身についてしまった彼らには弟分のラージョやレガネスからはゴールを奪えても、ユーベの守備陣形を破ることはできず。前半唯一のチャンスがコケのクロスから、モラタのヘッドが外れたぐらいとなれば、後半に向けて不安が増すばかりですって。
実際、ハーフタイム後には再び、今度はカンセロのクロスをロナウドに頭で撃ち込まれてしまい、うーん、最初はオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)に見えたんですけどね。VAR(ビデオ審判)こそ、今季の決勝トーナメントになって初めて導入したUEFAでしたが、前からあるホークアイが起動し、ボールがラインを越えていたことを主審に伝達。これで総合スコアが2-2となり、いよいよアトレティコも本気を出さないといけなくなったんですが…。
それは40分、先発しながらこの日も鬼のようにパスミスを連発し、「本当にモナコに7000万ユーロ(約90億円)を払った価値があったのか」という疑いを常々抱かせていたレマルから代わっていた、こちらも筋金入りのボールロストのスペシャリスト、コレアが自身のミスで奪われたボールを取り戻そうとベルナルデスキを自陣エリアまで追ったのは良かったものの、まさか相手の背中を押して倒してしまうとは! ユーベにPKが与えられ、ここまでのマドリーダービー32試合で19ゴール、ハットトリックも2度挙げているロナウドが当然のごとく決勝点を決めているって、もう開いた口も塞がらないとはまさにこのことだったかと。
結局、「No pudimos encontrar circuito para hacerles dano/ノー・プディモス・エンコントラール・シルクイトー・パラ・アセールレス・ダーニョ(ウチは相手にダメージを与える道筋を見つけられなかった)」(ゴディン)というアトレティコは戦前の予想を大きく裏切って、総合スコア2-3で逆転敗退。ロナウドに1stレグでシメオネ監督がやった”huevo(ウエボ/タマ)”を強調するポーズをロナウドにあまつさえ、アトレティコファンのいるスタンドに向けてされてしまったりしたんですが、この大失態の原因はまず、当人も「No he entrado en juego con diferencia al partido de ida/ノー・エ・エントラードー・エン・フエゴ・コン・ディフェレンシア・アル・パルティードー・デ・イダ(1stレグと違って、ボクはプレーに絡めなかった)」と認めていたように、グリーズマンがピッチで消えていたこと。
うーん、ロナウドが試合後に「La Juve me contrato para esto/ラ・ユーベ・メ・コントラトー・パラ・エスト(ユーベはこのためにボクを獲得したんだ)」と胸を張っていたのと同様に、アトレティコもこういうビッグマッチでチームを牽引してくれるよう、彼の年像を破格の2000万ユーロ(約25億円)にまで増額して、バルサ行きを諦めてもらったんですけどね。もちろんコスタが出場停止でおらず、攻撃に迫力を与えられなかったのも影響しているんでしょうが、そんなのは言い訳にはなりませんって。
もう1つは堅固と言われていたアトレティコの守備陣ながら、この日はフィリペ・ルイスとリュカのケガのせいで左SBの本職がおらず、右SBのファンフラン代役を務めざるを得なかったこと。中盤のトマスも累積警告で、1stレグのcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチのこと)を再現できなかったのも痛かったんでしょうが、そのぐらい根性で何とかならなかった?とはいえ、やはり最大の敗因は「La Juve ha estado mejor tacticamente que nosotros/ラ・ユーベ・ア・エスタードー・メホール・タクティカメンテ・ケ・ノソトロス(ユーベが戦術的にウチより良かった)」と本人も認めていたシメオネ監督のゲームプランニングにあったことは世間の目も一致するところだったかと。
いくら相手がセリエAの万年王者だろうと、ああまで攻撃を放棄することはなかったんじゃないかと言われていますが、はあ。折しも火曜にマドリーに舞い戻ったジダン監督は年棒1200万ユーロ(約15億円)で契約、先日契約延長してヨーロッパで最高給となった2400万ユーロ(約30億円)のシメオネ監督には遠く及ばないなんて記事を後日読むと、片やCL3連覇。後者はEL優勝2回、今季ホームで開催されるCL決勝進出の夢も潰えたとあって、この世界、何か間違っているような気はしますが、こればっかりはねえ。
おまけにこのユーベ戦ではまた負傷者が発生し、アリアス、そしてアップしていただけのサビッチ、そしてビトロもこの土曜のリーガ戦に出られないとなれば、木曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではケガが完治したコスタを入れ、今更ながら、tridente(トリデンテ/3トップのこと)を試しているなんて話を聞いても余計空しくなるばかり。いえ、コケなどは「Hay que seguir/アイ・ケ・セギール(続けていかないといけない)。ボクらにはバルサとの勝ち点を縮めて優勝を争うリーガがあるんだから」と一生懸命、前を向こうとしていましたけどね。
とにかくライバルはスコアレスドローという緊張の残る1stレグの後、水曜の2ndレグではお約束通り、メッシの活躍などで5-1とオリンピック・リヨンに大勝。CL準々決勝スペイン勢唯一の生き残りとなっただけでなく、2009年のグァルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)、2015年のルイス・エンリケ監督(現スペイン代表)に続き、バルベルデ監督もクラブ3度目のtoriplete(トリプレテ/三冠)達成を狙っていますからね。両者の差は勝ち点7ありますし、正直、難しいと思うんですが、さて。まずはアトレティコが土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのアスレティック戦を皮切りに、4月6日の直接対決までの3試合に連勝できたら、ようやく勝負の土俵に上がれるって感じでしょうか。
え、それでその間、コパ、CLに敗退、リーガも首位と勝ち点差12と、アトレティコ以上に今季の目標がなくなってしまったお隣さんはどうしていたのかって?いやあ、月曜にプレゼンがあったジダン監督は翌日から活動を開始。水曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)で最初のセッションを指揮したんですが、21才のCBミリトンの入団が発表されたとて、当人が来るのは準々決勝に進出したポルトでのCL参加を終えた来季のことですからね。今週末土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、サンティアゴ・ベルナベウにセルタを迎える試合も選手たちの顔ぶれは変わらないんですが、イスコやマルセロら、ソラリ監督に冷遇されていたメンバーの機嫌は良くなっていたよう。
とはいえ、ビニシウス、ルーカス・バスケス、カルバハルのケガはまだ治っていませんし、バジャドリー戦を欠場したベイルもウェールズ代表には招集されたものの、先発できるのかは不明。そこへ今回はホセ・ソリージャで2枚イエローカードをもらって退場したカセミロが出場停止、彼の控えのマルコス・ジョレンテもリハビリ最終段階とあって、ジダン監督はボランチの選定に苦労するかも。あとはセルヒオ・ラモスが処分明けで戻るぐらいですが、何せ18位のセルタは同じく降格圏脱出を目指している弟分ラージョのライバル。たとえ、自らの目標がなくなってしまったとはいえ、こういう時には力を貸してもらいたいですよね。
そして土曜の夜にはレガネスがジローナとブタルケで対戦なんですが、現在降格圏とは勝ち点8差、EL出場圏とは7差で13位の彼らはモチベーションを持つのが微妙な位置。前節は兄貴分のアトレティコにサウールがPKを失敗してから、何とか入れたゴールだけで1-0と惜敗してしまったため、オスカル、ジョナタン・シウバ、レシオ、シオバスら、出場停止だった主力選手たちが戻って来られるこの試合ではホームのサポーターを喜ばせてあげられるといいのですが。
一方、日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)に同時に試合をするのが残り2つの弟分チームで、どういう偶然か、双方とも木曜にEL16強対決を勝ち抜いたチームと当たることに。ええ、ミチェル監督の続投が懸かっている19位のラージョはゼニトに総合スコア5-2で勝ったビジャレアルと試合で、何せ相手はリーガでは17位と残留ラインギリギリの不調仲間ですからね。ここ4週間、向こうがミッドウィークにも稼働、疲弊していることを考えれば、ラージョが6連敗を脱出するのも不可能ではないかと。
え、それより今注目はCL出場圏4位に堂々、輝いているヘタフェがコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグで後半ロスタイムにショッキングな逆転敗退を喰らった相手、バレンシアにリベンジするため、メスタジャに乗り込む一戦じゃないかって?そうですね、その時以来、リーガでは6試合黒星なし、おかげで5位のアラベスとは勝ち点差4、ヨーロッパの大会、できればCL参加が目標の7位のバレンシアとも6差としているボルダラス監督のチームなんですが、気をつけたいのは相手が木曜のクラスノダール戦で後半40分に敗退を意味する先制点を挙げられながら、48分にグエデスのゴールで1-1とし、総合スコア2-3で土壇場の勝ち抜けを決めたこと。
実際、彼らはコパでヘタフェを破った後、準決勝ではベティスも倒して、バルサと相まみえる決勝に駒を進めていますしね。どうもこういう劇的な結末はチームを調子づかせてしまう恐れもあるため、たとえ現在、マタとホルヘ・モリーナが絶好調。柴崎岳選手がベンチ入りもできない程、攻撃陣が充実しているヘタフェとはいえ、油断は禁物です。いやあ、今季はもうマドリッド勢にとってリーガ戦しかありませんし、私も4月5月が長く感じられそうなので、せめて週末ぐらいは手に汗握る好ゲームを満喫させてもらえるといいのですが。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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それをどうしたことか、アトレティコまでユベントス戦2ndレグ前日から、話題をジダン監督のマドリー復帰に持っていかれたかと思いきや。翌日もマドリッドで唯一のCL生き残りチームとなってスポットを浴びるチャンスをむざむざ棒に振る始末。こともあろうか、ハットトリックを達成してユベントスを逆転突破に導いたロナウドに一面を飾られてしまうとは、彼らってやっぱり巡り合わせの悪いチームだった?ええ、それからも攻めているのは相手ばかりでアトレティコはほとんどボールを持てず。最初のうちは「0-0でいいんだから」と静観していたものの、26分、ベルナルデスキのクロスをゴール前でファンフランがロナウドに競り負け、ヘッドを叩き込まれてしまったから、さあ大変!おまけに即時の反撃を期待しても全然、プレーが変わらないんですよ。どうやら1月半ばから、試合が週1ペースになったせいか、妙なゆとりサッカーが身についてしまった彼らには弟分のラージョやレガネスからはゴールを奪えても、ユーベの守備陣形を破ることはできず。前半唯一のチャンスがコケのクロスから、モラタのヘッドが外れたぐらいとなれば、後半に向けて不安が増すばかりですって。
実際、ハーフタイム後には再び、今度はカンセロのクロスをロナウドに頭で撃ち込まれてしまい、うーん、最初はオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)に見えたんですけどね。VAR(ビデオ審判)こそ、今季の決勝トーナメントになって初めて導入したUEFAでしたが、前からあるホークアイが起動し、ボールがラインを越えていたことを主審に伝達。これで総合スコアが2-2となり、いよいよアトレティコも本気を出さないといけなくなったんですが…。
もう何なんでしょうね。彼らの攻撃はモラタ目掛けてロングボールを放る一辺倒で大体がして、いくら前日練習でも体にゴムをかけてジャンプといった、敵DFとの競り合いに勝つ練習をさせていたとはいえ、この冬、チェルシーからレンタル移籍した当人はジエゴ・コスタと違いますからね。そうそうボールをキープできるはずもなく、もうその頃にはずっとポゼッションを放棄していたため、チーム全員が伝統の「3回もパスが続かない」状態に陥っていたとなれば、どうしたものやら。それでも延長戦を切り抜ければ、PK戦で何とかなるかもしれないという希望はあったものの、はい、上手くいかない日とはこういうものです。
それは40分、先発しながらこの日も鬼のようにパスミスを連発し、「本当にモナコに7000万ユーロ(約90億円)を払った価値があったのか」という疑いを常々抱かせていたレマルから代わっていた、こちらも筋金入りのボールロストのスペシャリスト、コレアが自身のミスで奪われたボールを取り戻そうとベルナルデスキを自陣エリアまで追ったのは良かったものの、まさか相手の背中を押して倒してしまうとは! ユーベにPKが与えられ、ここまでのマドリーダービー32試合で19ゴール、ハットトリックも2度挙げているロナウドが当然のごとく決勝点を決めているって、もう開いた口も塞がらないとはまさにこのことだったかと。
結局、「No pudimos encontrar circuito para hacerles dano/ノー・プディモス・エンコントラール・シルクイトー・パラ・アセールレス・ダーニョ(ウチは相手にダメージを与える道筋を見つけられなかった)」(ゴディン)というアトレティコは戦前の予想を大きく裏切って、総合スコア2-3で逆転敗退。ロナウドに1stレグでシメオネ監督がやった”huevo(ウエボ/タマ)”を強調するポーズをロナウドにあまつさえ、アトレティコファンのいるスタンドに向けてされてしまったりしたんですが、この大失態の原因はまず、当人も「No he entrado en juego con diferencia al partido de ida/ノー・エ・エントラードー・エン・フエゴ・コン・ディフェレンシア・アル・パルティードー・デ・イダ(1stレグと違って、ボクはプレーに絡めなかった)」と認めていたように、グリーズマンがピッチで消えていたこと。
うーん、ロナウドが試合後に「La Juve me contrato para esto/ラ・ユーベ・メ・コントラトー・パラ・エスト(ユーベはこのためにボクを獲得したんだ)」と胸を張っていたのと同様に、アトレティコもこういうビッグマッチでチームを牽引してくれるよう、彼の年像を破格の2000万ユーロ(約25億円)にまで増額して、バルサ行きを諦めてもらったんですけどね。もちろんコスタが出場停止でおらず、攻撃に迫力を与えられなかったのも影響しているんでしょうが、そんなのは言い訳にはなりませんって。
もう1つは堅固と言われていたアトレティコの守備陣ながら、この日はフィリペ・ルイスとリュカのケガのせいで左SBの本職がおらず、右SBのファンフラン代役を務めざるを得なかったこと。中盤のトマスも累積警告で、1stレグのcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチのこと)を再現できなかったのも痛かったんでしょうが、そのぐらい根性で何とかならなかった?とはいえ、やはり最大の敗因は「La Juve ha estado mejor tacticamente que nosotros/ラ・ユーベ・ア・エスタードー・メホール・タクティカメンテ・ケ・ノソトロス(ユーベが戦術的にウチより良かった)」と本人も認めていたシメオネ監督のゲームプランニングにあったことは世間の目も一致するところだったかと。
いくら相手がセリエAの万年王者だろうと、ああまで攻撃を放棄することはなかったんじゃないかと言われていますが、はあ。折しも火曜にマドリーに舞い戻ったジダン監督は年棒1200万ユーロ(約15億円)で契約、先日契約延長してヨーロッパで最高給となった2400万ユーロ(約30億円)のシメオネ監督には遠く及ばないなんて記事を後日読むと、片やCL3連覇。後者はEL優勝2回、今季ホームで開催されるCL決勝進出の夢も潰えたとあって、この世界、何か間違っているような気はしますが、こればっかりはねえ。
おまけにこのユーベ戦ではまた負傷者が発生し、アリアス、そしてアップしていただけのサビッチ、そしてビトロもこの土曜のリーガ戦に出られないとなれば、木曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではケガが完治したコスタを入れ、今更ながら、tridente(トリデンテ/3トップのこと)を試しているなんて話を聞いても余計空しくなるばかり。いえ、コケなどは「Hay que seguir/アイ・ケ・セギール(続けていかないといけない)。ボクらにはバルサとの勝ち点を縮めて優勝を争うリーガがあるんだから」と一生懸命、前を向こうとしていましたけどね。
とにかくライバルはスコアレスドローという緊張の残る1stレグの後、水曜の2ndレグではお約束通り、メッシの活躍などで5-1とオリンピック・リヨンに大勝。CL準々決勝スペイン勢唯一の生き残りとなっただけでなく、2009年のグァルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)、2015年のルイス・エンリケ監督(現スペイン代表)に続き、バルベルデ監督もクラブ3度目のtoriplete(トリプレテ/三冠)達成を狙っていますからね。両者の差は勝ち点7ありますし、正直、難しいと思うんですが、さて。まずはアトレティコが土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのアスレティック戦を皮切りに、4月6日の直接対決までの3試合に連勝できたら、ようやく勝負の土俵に上がれるって感じでしょうか。
え、それでその間、コパ、CLに敗退、リーガも首位と勝ち点差12と、アトレティコ以上に今季の目標がなくなってしまったお隣さんはどうしていたのかって?いやあ、月曜にプレゼンがあったジダン監督は翌日から活動を開始。水曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)で最初のセッションを指揮したんですが、21才のCBミリトンの入団が発表されたとて、当人が来るのは準々決勝に進出したポルトでのCL参加を終えた来季のことですからね。今週末土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、サンティアゴ・ベルナベウにセルタを迎える試合も選手たちの顔ぶれは変わらないんですが、イスコやマルセロら、ソラリ監督に冷遇されていたメンバーの機嫌は良くなっていたよう。
とはいえ、ビニシウス、ルーカス・バスケス、カルバハルのケガはまだ治っていませんし、バジャドリー戦を欠場したベイルもウェールズ代表には招集されたものの、先発できるのかは不明。そこへ今回はホセ・ソリージャで2枚イエローカードをもらって退場したカセミロが出場停止、彼の控えのマルコス・ジョレンテもリハビリ最終段階とあって、ジダン監督はボランチの選定に苦労するかも。あとはセルヒオ・ラモスが処分明けで戻るぐらいですが、何せ18位のセルタは同じく降格圏脱出を目指している弟分ラージョのライバル。たとえ、自らの目標がなくなってしまったとはいえ、こういう時には力を貸してもらいたいですよね。
そして土曜の夜にはレガネスがジローナとブタルケで対戦なんですが、現在降格圏とは勝ち点8差、EL出場圏とは7差で13位の彼らはモチベーションを持つのが微妙な位置。前節は兄貴分のアトレティコにサウールがPKを失敗してから、何とか入れたゴールだけで1-0と惜敗してしまったため、オスカル、ジョナタン・シウバ、レシオ、シオバスら、出場停止だった主力選手たちが戻って来られるこの試合ではホームのサポーターを喜ばせてあげられるといいのですが。
一方、日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)に同時に試合をするのが残り2つの弟分チームで、どういう偶然か、双方とも木曜にEL16強対決を勝ち抜いたチームと当たることに。ええ、ミチェル監督の続投が懸かっている19位のラージョはゼニトに総合スコア5-2で勝ったビジャレアルと試合で、何せ相手はリーガでは17位と残留ラインギリギリの不調仲間ですからね。ここ4週間、向こうがミッドウィークにも稼働、疲弊していることを考えれば、ラージョが6連敗を脱出するのも不可能ではないかと。
え、それより今注目はCL出場圏4位に堂々、輝いているヘタフェがコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグで後半ロスタイムにショッキングな逆転敗退を喰らった相手、バレンシアにリベンジするため、メスタジャに乗り込む一戦じゃないかって?そうですね、その時以来、リーガでは6試合黒星なし、おかげで5位のアラベスとは勝ち点差4、ヨーロッパの大会、できればCL参加が目標の7位のバレンシアとも6差としているボルダラス監督のチームなんですが、気をつけたいのは相手が木曜のクラスノダール戦で後半40分に敗退を意味する先制点を挙げられながら、48分にグエデスのゴールで1-1とし、総合スコア2-3で土壇場の勝ち抜けを決めたこと。
実際、彼らはコパでヘタフェを破った後、準決勝ではベティスも倒して、バルサと相まみえる決勝に駒を進めていますしね。どうもこういう劇的な結末はチームを調子づかせてしまう恐れもあるため、たとえ現在、マタとホルヘ・モリーナが絶好調。柴崎岳選手がベンチ入りもできない程、攻撃陣が充実しているヘタフェとはいえ、油断は禁物です。いやあ、今季はもうマドリッド勢にとってリーガ戦しかありませんし、私も4月5月が長く感じられそうなので、せめて週末ぐらいは手に汗握る好ゲームを満喫させてもらえるといいのですが。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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