“ハマのダビド・シルバ”、三好康児の相乗効果/編集部コラム
2019.03.08 12:01 Fri
これまでは、強固な守備をベースにチーム作りを進めてきた横浜F・マリノスだったが、2018年に就任したアンジェ・ポステコグルー監督は攻撃に比重を置いたサッカーを標榜。大きな転換期となった2018シーズンは、守備面で不安定な部分を多く露呈したものの、キャンプから準備してきた攻撃が機能した試合は手がつけられない状態に。浮き沈みの激しいシーズンとなったものの、魅了するサッカーには期待せざるを得ない状況でもあった。
そして、ポステコグルー体制2年目が開幕。攻撃サッカーのキーマンとなっていた主軸がチームを去り、不安も残る中シーズンは開幕。開幕戦のガンバ大阪戦では、開始1分にバックパスから失点。いきなり不安は的中し、今年もまた…。悪夢が頭を過ぎるシーンだったが、その不安を見事に払拭した男がいる。それは、新戦力のMF三好康児だ。
◆ポステコグルー戦術を深化させる存在
同じ神奈川県のライバルチームである川崎フロンターレから期限付き移籍で加入した三好。2018シーズンは北海道コンサドーレ札幌へと期限付き移籍し、武者修行に出ていた。
札幌では、[3-4-2-1]の2シャドーの一角を務め、明治安田生命J1リーグでは26試合に出場し3得点を記録。川崎Fや世代別代表でもプレーしてきた得意とするポジションでのプレーだったが、数字という意味では物足りなかったと言わざるを得ない。
そして、今回の期限付き移籍。加入した横浜FMは、[4-3-3]のシステムを採用。キャンプ中から良い動きを見せていた三好は、右のインサイドハーフで開幕スタメンを勝ち取った。
先制を許した直後の3分、ボールを持った三好はマークについた高宇洋を翻弄しスルーパス。見事に抜けたエジガル・ジュニオがボックス内で折り返すと、クリアボールのこぼれ球を最後は仲川輝人が押し込み、同点に追いついた。ボックス付近でのプレーが多かった昨季と違い、インサイドハーフにポジションを下げたことで、三好の技術力と判断力、パスセンスが生きたシーンだ。サイドだけでなく、中央からの攻撃を見せるという点でも、昨年の横浜FMからの変化が見られたシーンだった。
もちろん、その後の強烈なミドルシュートも忘れてはいけない。パンチの効いた左足からのシュートは、開幕節のベストゴールと言っても良いだろう。昨年の札幌以上に、三好の良さが際立った開幕戦。そして、そのパフォーマンスはブラフではないことを第2節でも証明した。
◆周囲を活性化させる三好効果
ホーム開幕戦となった第2節のベガルタ仙台戦。三好は同じポジションで先発出場する。G大阪戦同様に、天野純とのインサイドハーフコンビは局面でポジションを入れ替えながら攻撃を構築。三好は巧みなポジションどりと、正確なパスでチャンスを生み出していく。そして1点リードで迎えた38分、後方からのパスを受けた三好は数的同数と見ると、ドリブルで運び味方を促す。そしてタイミングを見計らいスルーパス。走り込んだ仲川がダイレクトで折り返すと、エジガル・ジュニオが追加点を奪った。
三好がボールを持つことでタメができ、前線の選手は動き出しのタイミングを計ることが可能となる。昨シーズンから流動的に選手が立ち位置を変えるチームにおいて、ボールの落ち着きどころができたことは大きい。昨シーズンまでは、比重の大きかった天野が解放され、自身も自由に動き回ってボールを受けることができ、より攻撃面での貢献が増えている状況だ。
また、仲川、マルコス・ジュニオール、エジガル・ジュニオと裏を狙う選手が多いことも三好効果を増幅させている。裏を狙うことで相手の最終ラインが下がり、バイタルにスペースができればテクニックを生かせる。プレスがかかれば、ポジションを下げてパスでチャンスメイク、または自分が裏に抜けることもできる。ここまでの2試合での三好は、チームメイトをも活性化させている状況だ。
自身の特長を生かせ、チームが標榜するスタイルともマッチしている三好。さながら、マンチェスター・シティのスペイン代表MFダビド・シルバを彷彿とさせるパフォーマンスだ。特に、インサイドハーフでの役回り、立ち回りは同じ左利きということだけでなく、周囲をいかに生かして自分が生きるかという点でも似通っている。インサイドハーフという新たなポジションを得、生きる道を見つけた三好の今季に期待だ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
そして、ポステコグルー体制2年目が開幕。攻撃サッカーのキーマンとなっていた主軸がチームを去り、不安も残る中シーズンは開幕。開幕戦のガンバ大阪戦では、開始1分にバックパスから失点。いきなり不安は的中し、今年もまた…。悪夢が頭を過ぎるシーンだったが、その不安を見事に払拭した男がいる。それは、新戦力のMF三好康児だ。
同じ神奈川県のライバルチームである川崎フロンターレから期限付き移籍で加入した三好。2018シーズンは北海道コンサドーレ札幌へと期限付き移籍し、武者修行に出ていた。
札幌では、[3-4-2-1]の2シャドーの一角を務め、明治安田生命J1リーグでは26試合に出場し3得点を記録。川崎Fや世代別代表でもプレーしてきた得意とするポジションでのプレーだったが、数字という意味では物足りなかったと言わざるを得ない。
都倉賢やジェイ、チャナティップらと攻撃を牽引し、チームのJ1・4位という躍進に貢献した部分は大きかったが、やはり攻撃の選手であることを考えると数字は残したかったところ。試合経験を積めた部分は大きかったが、課題も見つかった。
そして、今回の期限付き移籍。加入した横浜FMは、[4-3-3]のシステムを採用。キャンプ中から良い動きを見せていた三好は、右のインサイドハーフで開幕スタメンを勝ち取った。
先制を許した直後の3分、ボールを持った三好はマークについた高宇洋を翻弄しスルーパス。見事に抜けたエジガル・ジュニオがボックス内で折り返すと、クリアボールのこぼれ球を最後は仲川輝人が押し込み、同点に追いついた。ボックス付近でのプレーが多かった昨季と違い、インサイドハーフにポジションを下げたことで、三好の技術力と判断力、パスセンスが生きたシーンだ。サイドだけでなく、中央からの攻撃を見せるという点でも、昨年の横浜FMからの変化が見られたシーンだった。
もちろん、その後の強烈なミドルシュートも忘れてはいけない。パンチの効いた左足からのシュートは、開幕節のベストゴールと言っても良いだろう。昨年の札幌以上に、三好の良さが際立った開幕戦。そして、そのパフォーマンスはブラフではないことを第2節でも証明した。
◆周囲を活性化させる三好効果
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ホーム開幕戦となった第2節のベガルタ仙台戦。三好は同じポジションで先発出場する。G大阪戦同様に、天野純とのインサイドハーフコンビは局面でポジションを入れ替えながら攻撃を構築。三好は巧みなポジションどりと、正確なパスでチャンスを生み出していく。そして1点リードで迎えた38分、後方からのパスを受けた三好は数的同数と見ると、ドリブルで運び味方を促す。そしてタイミングを見計らいスルーパス。走り込んだ仲川がダイレクトで折り返すと、エジガル・ジュニオが追加点を奪った。
三好がボールを持つことでタメができ、前線の選手は動き出しのタイミングを計ることが可能となる。昨シーズンから流動的に選手が立ち位置を変えるチームにおいて、ボールの落ち着きどころができたことは大きい。昨シーズンまでは、比重の大きかった天野が解放され、自身も自由に動き回ってボールを受けることができ、より攻撃面での貢献が増えている状況だ。
また、仲川、マルコス・ジュニオール、エジガル・ジュニオと裏を狙う選手が多いことも三好効果を増幅させている。裏を狙うことで相手の最終ラインが下がり、バイタルにスペースができればテクニックを生かせる。プレスがかかれば、ポジションを下げてパスでチャンスメイク、または自分が裏に抜けることもできる。ここまでの2試合での三好は、チームメイトをも活性化させている状況だ。
自身の特長を生かせ、チームが標榜するスタイルともマッチしている三好。さながら、マンチェスター・シティのスペイン代表MFダビド・シルバを彷彿とさせるパフォーマンスだ。特に、インサイドハーフでの役回り、立ち回りは同じ左利きということだけでなく、周囲をいかに生かして自分が生きるかという点でも似通っている。インサイドハーフという新たなポジションを得、生きる道を見つけた三好の今季に期待だ。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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