余計なことは言ってはいけない…/原ゆみこのマドリッド
2019.02.16 09:00 Sat
「あまり気に病んでいる訳ではないみたい」そんな風な印象を私が受けたのは金曜日、先日のCL16強対決1stレグで次戦出場停止となるため、わざとイエローカードをもらったのではないかという容疑でUEFAがセルヒオ・ラモスの調査を開始。もしクロとされれば、最近は1試合余分に処分を課されるのが慣例になっているため、2ndレグのみならず、下手したら、バルサと当たることもある準々決勝1stレグにも出られなくなるとあって、当人も自分の口の軽さを大いに反省していると思っていたんですけどね。翌日には新しいタトゥーを入れてもらっているご機嫌な姿をインスタグラムで公開って(https://www.instagram.com/p/Bt4GM4YFHnI/)、もしやこれって、一種の現実逃避?
いやあ、2011年にモウリーニョ監督の指示を受け、やはり同じアヤックス戦でシャビ・アロンソと共に彼もあからさまなファールで累積警告となるイエローカードを誘発し、突破決定済みのグループリーグ最終節で出場停止処分、懸念を残さず決勝トーナメントに挑もうと画策した際には監督に2試合のベンチ入り禁止処分、2選手は罰金2000ユーロ(約25万円)だけで済んだものでしたけどね。今回は敵の危険なカウンター攻撃を断ち切るためのファールとあって、黙っていれば、UEFAもスルーしたはずだったんですが、予想外のことが起こったのはヨハン・クライフ・スタジアムのミックスゾーン。
ええ、TVのマイクの前でラモスが「viendo el resultado mentiria si dijera que no la he forzado/ビエンドー・エル・レスルタードー・メンティリア・シー・ディヘラ・ケ・ノー・ラ・エ・フォルサードー(結果を見ながら、わざとやらなかったと言ったらウソになるだろう)」なんて言うとは、レアル・マドリー600試合出場達成のベテランにあるまじき不手際だったかと。その後すぐクラブの人に注意されたか、ツイッターで「Quiero dejar claro que me duele mas que a nadie, que no he forzado la tarjeta/キエロ・デハール・クラーロ・ケ・メ・ドゥエレ・マス・ケ・ア・ナディエ、ケ・ノー・エ・フォルサードー・ラ・タルヘタ(誰よりも辛いのはボクだよ。イエローカードをわざともらったりはしていない)」と否定。更に後日、「わざとやったというのはファールのことで、出場停止処分になろうとした訳じゃない」とマルカ(スポーツ紙)のインタビューで説明していましたが、いやいや。
彼がベンチに向かって、イエローカードをもらった方がいいかどうか訊いている映像も出回っていますしね。実際、本当のところはわかりませんが、UEFAの処分が出るのは2月末。それまでヤキモキしていないといけないのも何ですし、本当に2試合の処分になった場合、3月5日、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグが無事終わっても落ち着いて準々決勝の抽選会を待てないというのはどうしたものかと思いますが…まずは水曜のアヤックス戦1stレグの様子をお伝えしていくことにすると。
いやあ、バランが風邪でお休みだったのはあまり関係ないかと思いますが、実は序盤からアヤックスの猛攻に遭い、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていた私もただただ、呆気に取られるばかり。相手の強いプレスにボールが持てず、自陣に閉じ込められている姿は全然、マドリーらしくなかったんですが、なかなかラストパスが通らないことに助けられます。それでも前半36分にはCKから、デ・リフトがシュートしたボールをGKクルトワがうっかり弾き、タグリフィコのヘッドでゴールを入れられてしまったんですが、この決勝トーナメントから導入されたVAR(ビデオ審判)が味方。ええ、マドリーの選手たちは抗議していなかったものの、イヤホンで連絡を受けたスコミナ主審がピッチ脇のモニターで確認し、テディッチがオフサイド、更にクルトワの邪魔をしていたと見なされ、このゴールは認められないことに。
ええ、またビニシウスがやってくれました!左サイドから切り込むと敵DF3人をかわし、ベンゼマにパス。そのシュートが決まってマドリーが貴重なアウェイゴールをゲットしたから、助かったの何のって。その後は試合の序盤に腰を打撲していたベンゼマがアセンシオに、ベイルがルーカス・バスケスに代わったんですが、29分にはアヤックスも意地を見せます。ネレスのクロスをツィエクがエリア内から撃ち込んで同点に持ち込まれたものの、大丈夫。41分、11才の時、亡くなったオランダ人の母方の親族がスタンドに駆けつけ、応援してくれていたアセンシオがカルバハルの入れたボールを押し込み、1-2となったとなれば、早速、ラモスがイエローカード獲得作戦を始めたのも無理はなかった?
結局は相手に押されながらもしっかり先勝した彼らでしたが、まあアヤックスのテン・ハグ監督も「ウチは正確さに欠けていた。マドリーは1つチャンスがあれば、逃さないんだから」と言っていたように、いくら優勢に攻めていてもサッカーはゴールが入らないとどうしようもありませんからね。もちろん2ndレグでは昨季も0-3で負けていたユベントスがサンティアゴ・ベルナベウで1-3と逆転突破に迫ったり、過去にはドルトムントやシャルケに危ういところまで追い詰められた記憶はあるものの、このスコアなら、準々決勝進出はほぼ安泰と思っていいんじゃないでしょうか。
そんなマドリーはコパ・レル・レイ準決勝1stレグのクラシコ、先週末のマドリーダービー、そしてCLアヤックス戦のハードなアウェイ連戦を満足いく結果で終え、今週末は日曜正午(日本時間午後8時)から、ホームにジローナを迎えるんですが、何せ相手は先日もコパ準々決勝で総合スコア7-3と圧勝し、リーガでもここ9試合、白星から見放されているチームですからね。まだイスコは個人メニューで背筋痛からのリハビリをしているものの、他にはケガ人のいないソラリ監督が先発ローテーションを実施するには願ってもないチャンスかと。ええ、ここずっと出ずっぱりのベンゼマやビニシウスなど、再来週にやって来るコパ準々決勝2ndレグ、リーガと続くクラシコ祭りに備え、ちょっと休養した方がいいかもしれませんし、調子を上げてきたアセンシオや復調が望まれるマルセロといった辺りにはチャンスをあげたいところですが、何とも先が読めないのはベイル。
というのも先日のマドリーダービーでチームの3点目を入れた際、一瞬ですが、corte de mangas/コルテ・デ・マンガス(前腕を直角に立て、二の腕をもう1つの手で叩くという挑戦ポーズ)をしている映像が見咎められ、リーガ協会がアンチ暴力委員会に訴えたため、複数試合の出場停止処分が下る可能性があるから。まあ、審判は試合公式記録に書いていませんし、そんな大ごとにはならないような気はしますけどね。いよいよリーガでもお隣さんを抜き、首位のバルサまで勝ち点6の2位となったマドリーだけに油断はせずにまた、勝利を重ねていけるといいんですが。
そして木曜はヨーロッパリーグでベティス(レンヌと3-3)、セビージャ(ラツィオに0-1で勝利)、バレンシア(セルティックに0-2で勝利)、ビジャレアル(スポルティングCPに0-1で勝利)が32強対決1stレグをアウェイで戦い、揃っていい結果を持ち帰って来たんですが、今年はCL決勝トーナメントに進出している昨季のEL王者は今週、どうしていたかというと。いやあ、フランスではベティスのウルトラ(過激なファン)同士での殴り合いがあったり、ローマではセビージャのウルトラ4人がラツィオのウルトラに刺されたりとELの試合が開催された各地では暴力沙汰が相次いだため、2ndレグが全てスペイン国内に集中する来週木曜(セビージャだけ水曜)はちょっと恐怖。そういう意味ではアトレティコがCLにいてくれるのは嬉しいんですけどね。
それでも来週水曜のユベントスとの1stレグで立ち直れない結果が出たら、ヨーロッパの試合はここで詰みですし、折しもダービーでお隣さんに負け、リーガ優勝の目も遠ざかってしまったばかりですからね。いきなり今季が終わってしまい、逆風が吹くかもしれないのを心配したか、クラブは先手を打って、この木曜にはシメオネ監督の契約を2020年から2022年へと延長したことを発表。年棒も1500万ユーロ(約19億円)から、チェルシー時代のモウリーニョ監督、マンチェスター・シティのグアルディオラ監督を超える2000万ユーロ(約25億円)にアップし、世界で最も稼いでいる監督となったんですが、その価値があるかどうか、まずはこの土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)、エスタディオ・バジェカスで行われる弟分ラージョとのミニダービーで試されることに。
一応、チームには朗報もあって、シメオネ監督も「Está bárbaro, está que se sale, con ambición y como es él, es un guerrero/エスタ・バルバロ、エスタ・ケ・セ・サレ、コン・アンビシオン・イ・コモ・エス・エル、エス・ウン・ゲレロ(凄いよ、際立っている。野心があって、根っからの戦士だ)」とその状態を褒めていたようにとうとう、12月に左足の第5中足骨に入れていたボルトを変える手術をしたジエゴ・コスタが招集リストに復帰。先発するかどうかはわかりませんが、ユベントス戦への足慣らしとなってくれれば、ファンも少しは心強いかと。DF陣ではリュカがまたヒザを痛めてしまったものの、1月中旬に太ももをケガしたサビッチが戻って来ましたしね。中盤はトマスが出場停止ですが、ヒザの痛みでダービーに先発できなかったロドリゴは回復、あとはコケだけで、こちらは来週のCL戦で復帰する予定だとか。
一方、アトレティコ同様にここ2連敗で、また降格圏に戻ってしまったラージョではベラスケスが累積警告で出場停止。ボランチのインブラもケガで出られないようですが、何せ17位のジローナとは勝ち点差1ですし、向こうはマドリー戦。ちょっと頑張れば、順位を上げられる可能性が高いとなれば、選手たちもかなり気合が入るはずかと。うーん、3位になってしまったとはいえ、アトレティコもお隣さんとは勝ち点差1ですから、今回はあまりミチェル監督のチームにハッスルされても困ってしまうんですけどね。マドリッドに5チームあると、しばしばこういう葛藤が起きるのは避けられないんですよね。
そして同じ土曜、続く時間帯にレアル・ソシエダとのアウェイ戦に挑むのがレガネスなんですが、この試合は彼らにとって、リーガ1部100試合目ということで、アノエタでは青白ストライプの第1ユニフォームでプレーさせてもらえるそう。これは昨季、ソシエダがブタルケを訪れた際、スポンサーとの関係で第1ユニを着用、ホームチームが第2ユニでプレーしてあげたんですが、シーズン後半の対戦で逆にすることを約束しながら、丁度それがクラブの顔だったシャビ・プリエトとカルロス・マルティネスのお別れ試合に当たったため、こちらでもレガネスは第2ユニを使用。そのお返しということで、ちょっと珍しいケースかも。11位のレガネスも9位のソシエダとは勝ち点差がたった2しかありませんしね。前節はエン・ネシリのハットトリックでベティスを見事、3-0と粉砕してしますし、最近のレガネスはただ守るだけでなく、いいプレーも時折見られるようになってきたため、更なる順位上昇を期待していてもいいかと。
え、それでボルダラス監督は「No pensamos en la posibilidad de dormir en Champions/ノー・ペンサモス・エン・ラ・ポシビリダッド・デ・ドルミル・エン・チャンピオンズ(CL出場圏に入って眠ることは考えていない)」とは言っていたものの、金曜に24節の先陣を切ってエイバル戦に挑んだヘタフェはどうしたのかって?いやあ、前半にはマタ、後半7分にもフルキエルがゴールを挙げ、一時は勝ち点差2で4位にいるセビージャを抜いたんですけどね。その後、柴崎岳選手は遠征に参加していなかったものの、この冬、ベティスからエイバルに近いビトリア(スペイン北部)のアラベスにレンタル移籍、月曜にはデビューも飾って余裕ができたか、古巣の試合を観戦に来ていた乾貴士選手が見守る中、ジェネのハンドからチャルレスにPKを決められ、残り10分にはカブレラのクリアミスから再びチャルレスにゴールを許し、最後は2-2で引き分けてしまうことに。
おかげで差は1ポイントに縮まったものの、4位の座を奪い取ることはできずに終わってしまいましたが、まだ試合は沢山ありますからね。来週末、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにラージョを迎えての弟分ダービーでの楽しみが増えたと思えば、ファンもそんなにガッカリすることはない?とりわけここ1カ月はEL出場組がミッドウィークの試合で忙しいため、週1ペースのヘタフェにとっては差をつけるいいチャンスになると思いますよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
いやあ、2011年にモウリーニョ監督の指示を受け、やはり同じアヤックス戦でシャビ・アロンソと共に彼もあからさまなファールで累積警告となるイエローカードを誘発し、突破決定済みのグループリーグ最終節で出場停止処分、懸念を残さず決勝トーナメントに挑もうと画策した際には監督に2試合のベンチ入り禁止処分、2選手は罰金2000ユーロ(約25万円)だけで済んだものでしたけどね。今回は敵の危険なカウンター攻撃を断ち切るためのファールとあって、黙っていれば、UEFAもスルーしたはずだったんですが、予想外のことが起こったのはヨハン・クライフ・スタジアムのミックスゾーン。
彼がベンチに向かって、イエローカードをもらった方がいいかどうか訊いている映像も出回っていますしね。実際、本当のところはわかりませんが、UEFAの処分が出るのは2月末。それまでヤキモキしていないといけないのも何ですし、本当に2試合の処分になった場合、3月5日、サンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグが無事終わっても落ち着いて準々決勝の抽選会を待てないというのはどうしたものかと思いますが…まずは水曜のアヤックス戦1stレグの様子をお伝えしていくことにすると。
いやあ、バランが風邪でお休みだったのはあまり関係ないかと思いますが、実は序盤からアヤックスの猛攻に遭い、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていた私もただただ、呆気に取られるばかり。相手の強いプレスにボールが持てず、自陣に閉じ込められている姿は全然、マドリーらしくなかったんですが、なかなかラストパスが通らないことに助けられます。それでも前半36分にはCKから、デ・リフトがシュートしたボールをGKクルトワがうっかり弾き、タグリフィコのヘッドでゴールを入れられてしまったんですが、この決勝トーナメントから導入されたVAR(ビデオ審判)が味方。ええ、マドリーの選手たちは抗議していなかったものの、イヤホンで連絡を受けたスコミナ主審がピッチ脇のモニターで確認し、テディッチがオフサイド、更にクルトワの邪魔をしていたと見なされ、このゴールは認められないことに。
おかげで前半を0-0で終えることができたんですが、やはりこのままではマズいとソラリ監督も悟ったんでしょうかね。マルカの暴露記事によると、ロッカールームで選手たちに「Estamos dejando que nos caguen y eso no lo podemos consentir/エスタモス・デハンドー・ケ・ノス・カゲン・イ・エソー・ノー・ロ・ポデモス・コンセンティル(ウチは脅かされるままになっていて、そんなのには同意できない)」と活を入れたのだとか。「2つ3つだけの感覚でプレーすることはできない。五感、そして自分の中の第六感を探すんだ。中盤のラインを上げて、各自があと一歩、前に出る。やられたらやり返せ。短いパスを繋いでサイドへ開く。根性を見せずにここから帰ることはできない」とまあ、こんな調子でハッパをかけたようですが、後半14分にはその効果が表れたんですよ。
ええ、またビニシウスがやってくれました!左サイドから切り込むと敵DF3人をかわし、ベンゼマにパス。そのシュートが決まってマドリーが貴重なアウェイゴールをゲットしたから、助かったの何のって。その後は試合の序盤に腰を打撲していたベンゼマがアセンシオに、ベイルがルーカス・バスケスに代わったんですが、29分にはアヤックスも意地を見せます。ネレスのクロスをツィエクがエリア内から撃ち込んで同点に持ち込まれたものの、大丈夫。41分、11才の時、亡くなったオランダ人の母方の親族がスタンドに駆けつけ、応援してくれていたアセンシオがカルバハルの入れたボールを押し込み、1-2となったとなれば、早速、ラモスがイエローカード獲得作戦を始めたのも無理はなかった?
結局は相手に押されながらもしっかり先勝した彼らでしたが、まあアヤックスのテン・ハグ監督も「ウチは正確さに欠けていた。マドリーは1つチャンスがあれば、逃さないんだから」と言っていたように、いくら優勢に攻めていてもサッカーはゴールが入らないとどうしようもありませんからね。もちろん2ndレグでは昨季も0-3で負けていたユベントスがサンティアゴ・ベルナベウで1-3と逆転突破に迫ったり、過去にはドルトムントやシャルケに危ういところまで追い詰められた記憶はあるものの、このスコアなら、準々決勝進出はほぼ安泰と思っていいんじゃないでしょうか。
そんなマドリーはコパ・レル・レイ準決勝1stレグのクラシコ、先週末のマドリーダービー、そしてCLアヤックス戦のハードなアウェイ連戦を満足いく結果で終え、今週末は日曜正午(日本時間午後8時)から、ホームにジローナを迎えるんですが、何せ相手は先日もコパ準々決勝で総合スコア7-3と圧勝し、リーガでもここ9試合、白星から見放されているチームですからね。まだイスコは個人メニューで背筋痛からのリハビリをしているものの、他にはケガ人のいないソラリ監督が先発ローテーションを実施するには願ってもないチャンスかと。ええ、ここずっと出ずっぱりのベンゼマやビニシウスなど、再来週にやって来るコパ準々決勝2ndレグ、リーガと続くクラシコ祭りに備え、ちょっと休養した方がいいかもしれませんし、調子を上げてきたアセンシオや復調が望まれるマルセロといった辺りにはチャンスをあげたいところですが、何とも先が読めないのはベイル。
というのも先日のマドリーダービーでチームの3点目を入れた際、一瞬ですが、corte de mangas/コルテ・デ・マンガス(前腕を直角に立て、二の腕をもう1つの手で叩くという挑戦ポーズ)をしている映像が見咎められ、リーガ協会がアンチ暴力委員会に訴えたため、複数試合の出場停止処分が下る可能性があるから。まあ、審判は試合公式記録に書いていませんし、そんな大ごとにはならないような気はしますけどね。いよいよリーガでもお隣さんを抜き、首位のバルサまで勝ち点6の2位となったマドリーだけに油断はせずにまた、勝利を重ねていけるといいんですが。
そして木曜はヨーロッパリーグでベティス(レンヌと3-3)、セビージャ(ラツィオに0-1で勝利)、バレンシア(セルティックに0-2で勝利)、ビジャレアル(スポルティングCPに0-1で勝利)が32強対決1stレグをアウェイで戦い、揃っていい結果を持ち帰って来たんですが、今年はCL決勝トーナメントに進出している昨季のEL王者は今週、どうしていたかというと。いやあ、フランスではベティスのウルトラ(過激なファン)同士での殴り合いがあったり、ローマではセビージャのウルトラ4人がラツィオのウルトラに刺されたりとELの試合が開催された各地では暴力沙汰が相次いだため、2ndレグが全てスペイン国内に集中する来週木曜(セビージャだけ水曜)はちょっと恐怖。そういう意味ではアトレティコがCLにいてくれるのは嬉しいんですけどね。
それでも来週水曜のユベントスとの1stレグで立ち直れない結果が出たら、ヨーロッパの試合はここで詰みですし、折しもダービーでお隣さんに負け、リーガ優勝の目も遠ざかってしまったばかりですからね。いきなり今季が終わってしまい、逆風が吹くかもしれないのを心配したか、クラブは先手を打って、この木曜にはシメオネ監督の契約を2020年から2022年へと延長したことを発表。年棒も1500万ユーロ(約19億円)から、チェルシー時代のモウリーニョ監督、マンチェスター・シティのグアルディオラ監督を超える2000万ユーロ(約25億円)にアップし、世界で最も稼いでいる監督となったんですが、その価値があるかどうか、まずはこの土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)、エスタディオ・バジェカスで行われる弟分ラージョとのミニダービーで試されることに。
一応、チームには朗報もあって、シメオネ監督も「Está bárbaro, está que se sale, con ambición y como es él, es un guerrero/エスタ・バルバロ、エスタ・ケ・セ・サレ、コン・アンビシオン・イ・コモ・エス・エル、エス・ウン・ゲレロ(凄いよ、際立っている。野心があって、根っからの戦士だ)」とその状態を褒めていたようにとうとう、12月に左足の第5中足骨に入れていたボルトを変える手術をしたジエゴ・コスタが招集リストに復帰。先発するかどうかはわかりませんが、ユベントス戦への足慣らしとなってくれれば、ファンも少しは心強いかと。DF陣ではリュカがまたヒザを痛めてしまったものの、1月中旬に太ももをケガしたサビッチが戻って来ましたしね。中盤はトマスが出場停止ですが、ヒザの痛みでダービーに先発できなかったロドリゴは回復、あとはコケだけで、こちらは来週のCL戦で復帰する予定だとか。
一方、アトレティコ同様にここ2連敗で、また降格圏に戻ってしまったラージョではベラスケスが累積警告で出場停止。ボランチのインブラもケガで出られないようですが、何せ17位のジローナとは勝ち点差1ですし、向こうはマドリー戦。ちょっと頑張れば、順位を上げられる可能性が高いとなれば、選手たちもかなり気合が入るはずかと。うーん、3位になってしまったとはいえ、アトレティコもお隣さんとは勝ち点差1ですから、今回はあまりミチェル監督のチームにハッスルされても困ってしまうんですけどね。マドリッドに5チームあると、しばしばこういう葛藤が起きるのは避けられないんですよね。
そして同じ土曜、続く時間帯にレアル・ソシエダとのアウェイ戦に挑むのがレガネスなんですが、この試合は彼らにとって、リーガ1部100試合目ということで、アノエタでは青白ストライプの第1ユニフォームでプレーさせてもらえるそう。これは昨季、ソシエダがブタルケを訪れた際、スポンサーとの関係で第1ユニを着用、ホームチームが第2ユニでプレーしてあげたんですが、シーズン後半の対戦で逆にすることを約束しながら、丁度それがクラブの顔だったシャビ・プリエトとカルロス・マルティネスのお別れ試合に当たったため、こちらでもレガネスは第2ユニを使用。そのお返しということで、ちょっと珍しいケースかも。11位のレガネスも9位のソシエダとは勝ち点差がたった2しかありませんしね。前節はエン・ネシリのハットトリックでベティスを見事、3-0と粉砕してしますし、最近のレガネスはただ守るだけでなく、いいプレーも時折見られるようになってきたため、更なる順位上昇を期待していてもいいかと。
え、それでボルダラス監督は「No pensamos en la posibilidad de dormir en Champions/ノー・ペンサモス・エン・ラ・ポシビリダッド・デ・ドルミル・エン・チャンピオンズ(CL出場圏に入って眠ることは考えていない)」とは言っていたものの、金曜に24節の先陣を切ってエイバル戦に挑んだヘタフェはどうしたのかって?いやあ、前半にはマタ、後半7分にもフルキエルがゴールを挙げ、一時は勝ち点差2で4位にいるセビージャを抜いたんですけどね。その後、柴崎岳選手は遠征に参加していなかったものの、この冬、ベティスからエイバルに近いビトリア(スペイン北部)のアラベスにレンタル移籍、月曜にはデビューも飾って余裕ができたか、古巣の試合を観戦に来ていた乾貴士選手が見守る中、ジェネのハンドからチャルレスにPKを決められ、残り10分にはカブレラのクリアミスから再びチャルレスにゴールを許し、最後は2-2で引き分けてしまうことに。
おかげで差は1ポイントに縮まったものの、4位の座を奪い取ることはできずに終わってしまいましたが、まだ試合は沢山ありますからね。来週末、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにラージョを迎えての弟分ダービーでの楽しみが増えたと思えば、ファンもそんなにガッカリすることはない?とりわけここ1カ月はEL出場組がミッドウィークの試合で忙しいため、週1ペースのヘタフェにとっては差をつけるいいチャンスになると思いますよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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