南野拓実に問われる9番の責、二度目のイラン戦で“自己紹介”を/編集部コラム
2019.01.28 10:30 Mon
森保一監督体制初の公式大会に臨んでいる日本代表。2大会ぶりの優勝を目指すAFCアジアカップUAE 2019では、グループステージを3戦全勝で首位通過し、24日にはベスト4進出も決めた。一方で貧弱な攻撃への疑問も生じており、その責の一端を問われるのが9番を背負うMF南野拓実だ。
南野のフル代表デビューは2015年10月13日の親善試合まで遡る。その相手は、因縁めいたことに28日の準決勝で激突するイラン代表だ。1-1で終えたデビュー戦では、得点を記録していたFW武藤嘉紀に代わり、終盤3分間のみをプレーするに留まった。
それから約3年間を経て、南野は昨年9月11日のコスタリカ代表戦で鮮烈な“再デビュー”を果たす。MF中島翔也やMF堂安律ら新戦力組と共に素早くテクニカルな2列目を形成すると、森保ジャパンにおける得点者第一号に。その後、背番号9を託され、ウルグアイ代表戦ではDFディエゴ・ゴディンら世界的な選手を相手に2ゴールを決め切った。
その試合の日本代表は、西野朗前監督がロシア・ワールドカップ(W杯)で披露した好パフォーマンスからの更なる飛躍を、確かに感じさせてくれた。実際に親善試合5試合を4勝1分け15得点4失点の好成績で駆け抜けている。そして、その中心――主に得点部分を担ったのが南野だ。
そして、南野もここまで0得点。前線からのチェイスやボールを持ち出せる点での貢献は見て取れるが、スコアラーとしての活躍は鳴りを潜めている。また、ベトナム代表戦ではFW北川航也とのリズムが噛み合わないシーンが散見された。アジア杯累計でMF堂安律の11本に次ぐ10本のシュートを放ちながら1度も試合を決定付けられていないことから、球離れの悪さが指摘されるのも無理はない。
しかし、南野は森保体制発足以来では最多26本のシュート(2番目に多い堂安が19本)を放っており、与えられている役割は明白だ。ゴール前でボールを集められているはずのストライカーが他の選手にボールを“譲って”しまえば、チームは完全な機能不全に陥るだろう。
したがって、南野が問われるべき責は“決め切れていない”という一点のみ。局面によっての違いはあれど、チームの勝利を追及する(さらには優勝する)ということは結局、自らの得点に拘ることに他ならない。
26日の練習後にもチームへの献身を語っていた南野は、インタビュアーの追求を受けて最後には「チャンスがあれば狙っていきたい。常にゴールを意識してやっていこうと思っている」とも口にしている。その言葉こそが本心だと信じたい
「期待の若手」だった3年前から「中核を担うスコアラー」に変貌を遂げ、28日に再び相まみえるイラン代表。前回は時間が足りなかったが、これからアジアの強豪として付き合っていく相手に改めて“自己紹介”といって欲しい所だ。
《超ワールドサッカー編集部・上村迪助》
南野のフル代表デビューは2015年10月13日の親善試合まで遡る。その相手は、因縁めいたことに28日の準決勝で激突するイラン代表だ。1-1で終えたデビュー戦では、得点を記録していたFW武藤嘉紀に代わり、終盤3分間のみをプレーするに留まった。
その試合の日本代表は、西野朗前監督がロシア・ワールドカップ(W杯)で披露した好パフォーマンスからの更なる飛躍を、確かに感じさせてくれた。実際に親善試合5試合を4勝1分け15得点4失点の好成績で駆け抜けている。そして、その中心――主に得点部分を担ったのが南野だ。
Getty Images
しかし、アジア杯が開幕してみれば日本代表の攻撃陣は沈黙。負傷による休養を繰り返しているFW大迫勇也や大会に参加していない中島の重要性が高まる一方、あまりにも守備的なスタンスに批判が沸いている。全試合を1点差で切り抜けている結果には一定の評価が下せるが、親善試合での闘いぶりから期待されたパフォーマンスには程遠い。そして、南野もここまで0得点。前線からのチェイスやボールを持ち出せる点での貢献は見て取れるが、スコアラーとしての活躍は鳴りを潜めている。また、ベトナム代表戦ではFW北川航也とのリズムが噛み合わないシーンが散見された。アジア杯累計でMF堂安律の11本に次ぐ10本のシュートを放ちながら1度も試合を決定付けられていないことから、球離れの悪さが指摘されるのも無理はない。
しかし、現状でこそ南野がエゴイズムを強めるべきだと主張したい。もちろん決定機を逸すれば心象は悪くなるが、シュートを放てているということはそれだけ「チャンスに絡めている」ということだからだ。今大会では、日本代表全体でも決定的なシーンが数回しか訪れていない点に留意する必要がある。
Getty Images
当人は自身の不発について「気にしていない」と語り、チームとしての勝利こそが重要だと強調している。もちろん、その発言にも間違いはない。しかし、南野は森保体制発足以来では最多26本のシュート(2番目に多い堂安が19本)を放っており、与えられている役割は明白だ。ゴール前でボールを集められているはずのストライカーが他の選手にボールを“譲って”しまえば、チームは完全な機能不全に陥るだろう。
したがって、南野が問われるべき責は“決め切れていない”という一点のみ。局面によっての違いはあれど、チームの勝利を追及する(さらには優勝する)ということは結局、自らの得点に拘ることに他ならない。
26日の練習後にもチームへの献身を語っていた南野は、インタビュアーの追求を受けて最後には「チャンスがあれば狙っていきたい。常にゴールを意識してやっていこうと思っている」とも口にしている。その言葉こそが本心だと信じたい
「期待の若手」だった3年前から「中核を担うスコアラー」に変貌を遂げ、28日に再び相まみえるイラン代表。前回は時間が足りなかったが、これからアジアの強豪として付き合っていく相手に改めて“自己紹介”といって欲しい所だ。
《超ワールドサッカー編集部・上村迪助》
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