【日本代表プレビュー】サウジ攻略は中盤の守備、今出せる最適解で難敵を乗り越える《AFCアジアカップ2019》

2019.01.21 13:00 Mon
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日本代表は21日(月)、UAEで行われているアジアカップ2019のラウンド16でサウジアラビア代表戦と対戦する。

グループステージの3試合を3連勝で終え、首位通過を果たした日本。初戦から不安の残る内容ではあったものの、結果を残し、ラウンド16に駒を進めた。
ここからは一発勝負のトーナメント戦。2大会ぶりの優勝を目指す日本にとっては、さらなる厳しい戦いが待ち構えている。

◆復活を遂げつつあるサウジアラビア
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対戦相手は、“中東の雄”と称されるサウジアラビア。2018年のロシア・ワールドカップにも出場している。

アジア最終予選では日本と同じグループBに入っており、最終戦では日本と対戦。1-0でサウジアラビアが勝利し、W杯出場権を獲得した。
しかし、予選を勝ち抜き、W杯の出場権を獲得したベルト・ファン・マルバイク監督が協会との問題で退任。その後、アルゼンチン代表を率いたこともあるエドガルド・バウサ監督が就任するも、わずか2カ月で退任。そして、現在も指揮を執るフアン・アントニオ・ピッツィ監督が就任した。

ロシアW杯では、開催国のロシア、ウルグアイ、エジプトと同居。開幕戦で5-0の大敗を喫するなど、グループステージ敗退となったが、ウルグアイ相手には1-0と善戦。エジプトには、終了間際のゴールで2-1とW杯で24年ぶりの勝利を記録するなど、ピッツィ監督の下でチーム力を上げてきている。

W杯後は、アジアの国を中心に親善試合を実施。ブラジルにこそ0-2で敗れたものの、ボリビア、イラク、ヨルダン、韓国にはドロー。イエメンには勝利と、チームとしての成熟度が増している印象だ。

今大会もグループステージでは北朝鮮(4-0)、レバノン(2-0)と連勝しグループステージを突破。カタールとの首位決戦には敗れたものの、トーナメントの山を考慮しての可能性もあり、決して力がないわけではない。


◆またしても立ちはだかる名将
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サウジアラビア代表の注目は、ピッツィ監督だ。

ロサリオ・セントラルやサン・ロレンソなど母国のクラブを率いたほか、バレンシアやレオン(メキシコ)といった国外クラブの指揮も経験。また、2016年2月から2017年10月までチリ代表を率いており、2016年のコパ・アメリカ・センテナリオでは優勝と結果を残したい名将だ。

前述の通り、ロシア・ワールドカップ前からサウジアラビアを率い、スピードを生かしたカウンター攻撃を特徴にボールポゼッションを高める戦いで結果を残してきた。日本は対戦成績で優っているものの、これまでのチームとは異なると考えて良いだろう。直近の対戦ではアウェイで敗れていることを考えても、日本にとっては厳しい相手となる。
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また、その日本戦でゴールを決めたファハド・アル・ムワラッドは今大会で2ゴールを記録。さらに、チームの中心的存在であり、中盤のアンカーとして活躍するアブドゥラー・オタイフも躍動。ピッツィ監督のサッカーを見事に体現している。

これまで、10番を背負いエースとして活躍してきたアル・サハラフィは、国内リーグでの不振が影響してメンバー外となっているが、ピッツィ監督が求めるテクニカルでスピードのあるサッカーを体現する選手は揃っている状況だ。

◆大迫の復活は? 「総合力」で勝負
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3連勝でグループステージを勝ち抜いた日本だが、課題は山積。しかし、3戦目のウズベキスタン戦で主力メンバーを休ませることができたことは大きなプラス要素。さらに、起用した新たな選手が活躍して勝利できたことも、チームを後押ししている。

森保一監督は「勝利を目指して戦うために選手を決めていきたい」と、サウジアラビア戦のメンバーについてコメント。「チームとして最善の準備をして、明日の試合は持てる力を発揮してもらえればと思う」とし、コンディションを含めてのベストメンバーで臨む意向を明かした。

また、ケガの状態が心配される大迫については「状態は上がってきている」とし、「メディカルと話して考えていきたい」と起用には慎重な姿勢を見せていた。

何れにしても、目的はサウジアラビアに勝利してベスト8に進むこと。その目的を達成するための答えを導き出すのは森保監督だ。GK東口順昭(ガンバ大阪)以外の22人を3試合で起用した森保監督が導き出す答えには注目だ。

★予想フォーメーション[4-2-3-1]
(C)CWS Brains,LTD.
◆日本代表
GK:権田修一
DF:酒井宏樹冨安健洋吉田麻也長友佑都
MF:柴崎岳遠藤航
MF:堂安律南野拓実原口元気
FW:武藤嘉紀
サウジアラビア戦は、2戦目のオマーン戦のメンバーが中心になると予想する。GKに関しては、これまで2試合で起用された権田修一(サガン鳥栖)と予想する。日本代表の守護神を掴むチャンスを得ている権田にとっては、今大会のパフォーマンスがかなり影響するはずだ。

最終ラインは右からDF酒井宏樹(マルセイユ)、冨安健洋(シント=トロイデン)、吉田麻也(サウサンプトン)、長友佑都(ガラタサライ)となるだろう。経験値を考えれば、この4名が並ぶことが予想される。サウジアラビアの個の対応、スピードあるカウンターへの対応を考えると最終ラインの安定感がこの試合のカギとなる。

中盤のボランチは、MF柴崎岳(ヘタフェ)とMF遠藤航(シント=トロイデン)になると予想する。MF青山敏弘(サンフレッチェ広島)は前日練習を欠席したために起用はないと予想。また、ウズベキスタン戦で出色の出来を見せたMF塩谷司(アル・アイン)の起用も考えられるが、コンビ間の連携という点で柴崎と遠藤と予想する。それでも、塩谷の危機管理能力と攻撃へのトランジションは良く、途中からの起用は考えられるだろう。

2列目は右からMF堂安律(フローニンヘン)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF原口元気(ハノーファー)と予想する。堂安と南野は、3戦目を休めたことで、休養に加えて、ピッチ外から学ぶこともできたはずだ。2018年に見せた結果はここまで残せていないが、この決勝トーナメントでは2人の攻撃力に期待がかかる。また、原口はここまでチームへの献身的なプレーで貢献。初戦では大迫のゴールをアシスト、2戦目ではPKを獲得してからのゴールと結果も残している。原口と長友の左サイドの関係が上手くいけば、サウジアラビアに風穴を開けられるはずだ。

そして1トップにはFW武藤嘉紀(ニューカッスル)を予想する。ウズベキスタン戦で久々の代表ゴールを記録した武藤。2戦目に比べて動きが改善され、感覚を取り戻している感じが見て取れた。裏を狙う姿勢とともに、高さも期待できる武藤。ケガの大迫は、戦況によって後半投入されると予想。FW北川航也(清水エスパルス)は一旦ベンチに戻るだろう。

◆今こそ「総合力」が求められる

グループステージを首位通過したことにより、決勝トーナメントの山は比較的強豪国が少ない方に入ることができた。とはいえ、この初戦のサウジアラビアは非常に難敵であり、厳しい戦いが待っていることは間違いない。

日本戦に向けて「生きるか死ぬかの試合になる」と会見で語ったピッツィ監督。負ければすぐに大会から去ることになるため、何としても勝利を目指すことはサウジアラビアも同じだ。

ポイントとなるのは、中盤の守備だろう。ポゼッションを高めるであろうサウジアラビアの攻撃に対し、守備のポイントをどこに置くのか。アンカーのアブドゥラー・オタイフへのプレスをどのタイミングで、誰がかけるのかはカギとなるだろう。

負ければ即終了のラウンド16。ピッツィ監督率いるサウジアラビア代表戦は、21日(月)の20時にキックオフを迎える。
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日本代表の背番号11/六川亨の日本サッカー見聞録

アジアカップはカタール代表の初優勝で終わり、5度目の戴冠を期待された日本代表は残念ながら準優勝に終わった。準決勝のイラン代表戦では今大会でベストのパフォーマンスから3-0の快勝を収めただけに、後手に回った決勝戦での前半の戦いぶりが悔やまれる。 そのカタール戦、ハーフタイムに控えの選手がピッチでボールを蹴っていたが、乾貴士と遠藤航の姿がなかった。0-2とリードされていただけに、「後半から乾と遠藤の2枚替えか。遠藤がボランチに戻れば守備を立て直すことができるが、体調は大丈夫なのか?」と期待したものの、森保一監督は動かなかった。 最初の交代カードは後半16分、原口元気に代えて武藤嘉紀を起用した。すると19分と21分に武藤が立て続けにヘッドでゴールを狙ったものの、シュートはクロスバーを越え、同点のチャンスを逃してしまった。決めていれば2011年カタール大会決勝の李忠成のようなヒーローになれただけに、武藤にとっては悔いの残るシュートだっただろう。 ただ、最初の交代カードで武藤を抜擢したが、彼の武器であるスピードはスペースがあってこと生きるタイプだ。カタールは自陣のゴール前を固めてカウンター狙いだったため、ゴールをこじ開けるにはクロスに対しガムシャラに飛び込む北川航也の方が効果的ではなかったかと疑問が残る。 それまで5試合に起用し、サブ組のFWでは最長の出場時間だっただけに、なぜ最後までベンチに温存したのか。北川が森保監督の期待に応えることができなかったと言われればそれまでだし、結果論にすぎないという反論もあることは百も承知だ。 そして改めて思うのは、北川は運がないということ。それは北川だけに限らず、今回彼が背負った日本代表の「背番号11」はなぜか結果に恵まれないということだ。 北川の前に「背番号11」を背負っていた選手が誰かと聞かれても、即答できるファンは数少ないのではないだろうか。ロシアW杯での「背番号11」は宇佐美貴史だったが、ほとんど活躍できなかった。 その前は豊田陽平であり、その前はというと柿谷曜一朗、原口元気、ハーフナー・マイク、前田遼一、玉田圭司、播戸竜二、佐藤寿人、巻誠一郎、鈴木隆行、黒部光昭、松井大輔、鈴木隆行、中山雅史、三浦淳寛、呂比須ワグナー、小野伸二、三浦知良らが「背番号11」を背負ってきた。 彼らの中で記憶に残るゴールを決めた選手となると、2002年日韓W杯の初戦ベルギー代表戦(2-2)で同点ゴールを決め、W杯で初めて勝点1をもたらした鈴木くらいではないだろうか。あとは“キング・カズ”の存在感が圧倒的だった。 もともと「背番号11」は左ウイングに与えられるナンバーだったものの、ポジションが流動化した現代サッカーでは9番と10番と同様に攻撃的な選手、ストライカーに与えられる番号でもある。にもかかわらず、日本代表の歴代「11番」は、カズ以降ストライカーとしての輝きを放てていない。 果たして3月に再招集される森保ジャパンにおいて、誰が「背番号11」を受け継ぐのか。そしてゴールという結果を出すことができるのか。23人のメンバーとともに注目したいと思っている。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2019.02.05 16:45 Tue
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