非は現場か、自滅感の否めない柏のJ2降格/編集部コラム
2018.11.29 17:30 Thu
▽混迷に混迷を極めた柏レイソル。結果、毎試合でJリーグ屈指の熱い声援を送り続けたファンやサポーターの「奇跡の残留を」という願いは成就しなかった。9年ぶり3度目のJ2降格。残念過ぎる。
▽24日に行われた明治安田生命J1リーグ33節のセレッソ大阪戦。負ければ即降格決定という厳しい条件でのアウェイゲームだったが、ピッチに立った選手は堂々たる戦いぶりで本来の力を見せつけ、3-0の快勝した。
▽シーズン3人目の指揮官として、10日に加藤望前監督から急きょバトンを受けた岩瀬健監督。C大阪戦までの猶予はわずか2週間しかなかったが、見事に立て直してみせた。しかも、チームをあるべき姿に戻して、だ。
「アイデア、スピード、パワーをピッチの中で表現できるようにサッカーの部分でちょっと整理した。その整理したことをとにかく一切の無駄もなくトレーニングしてきて、それが今日のゲームになったと思う」
▽試合前に選手のプレーの迷いを察した岩瀬監督は、決して新しいことにチャレンジさせたわけではない。元々のチームにある力をどうやって結果に結びつけるか。そして、どう自信を取り戻させるか。視線はそこにあった。
▽自分たちの力を信じて戦う。それこそコーチとしてトップチームを見守ってきた岩瀬監督が求めた、蘇生の一手として講じた策だったのだろう。その岩瀬監督の手腕は見事だったが、快勝劇の余韻は“ツケ”により、そう長く続かなかった。
▽試合終了のホイッスルが鳴り響いたピッチ上、柏の選手は勝利の喜びに浸る時間をほどほどに他会場の結果を気にするような仕草が散見。一部選手はスタッフが手に持つスマートフォンに群がり、降格という現実を直視した。
▽異様な光景。昨シーズンに4位躍進を遂げ、さらなる期待を胸に今年の戦いに入った当初の柏はそこになかった。果たして、この低迷の要因はどこにあるのか。一体感やビジョンを欠いた上層部にあるように感じてならない。
▽柏は今冬、J1とACLの二兎を追うべく、FW江坂任やFW瀬川祐輔、MF小泉慶ら実力者を積極補強。強化部の見事な立ち回りにより、2チーム分の戦力を整備した。だが、シーズンに入り、上層部の一挙手一投足が鈍り始めた。
▽それを象徴する1つが、プロで指導者経験なしだった加藤望ヘッドコーチの監督昇格による下平隆宏監督の強化チームダイレクター就任。そこまでして下平氏をクラブに留めておく理由はなんだったのか。疑問しかない。
▽ことが終わったあとだけに、全てがたらればになるが、加藤監督の就任以降はチーム状態がより悪化。より「縦に速い仕掛け」に特化したスタイルは奏功せず、困ったときに拠り所になる原点への回帰もままならなくなった。
▽そういった低迷の背景には、脳しんとうのGK中村航輔やDF中山雄太といった主力の故障離脱や、ACLプレーオフ参戦による例年以上に早いシーズン始動も挙げられる。だが、降格が決まった今となれば、言い訳でしかない。
▽岩崎監督が初采配を振るったC大阪戦は、シーズンベストに匹敵するほどの戦いだった。それだけに、自滅感の否めない今回の降格は悔やまれる。高過ぎる授業料を払った格好の柏は、クラブの向かうべき方向性を改める必要があるだろう。
▽今年のJ2は全体的なレベルアップにより、ヴァンフォーレ甲府やアルビレックス新潟、大宮アルディージャが軒並みに1年でのJ1復帰を逃した。柏とて今年のように不透明なビジョンでJ2の戦いに挑めば、浪人生活を強いられる可能性がある。
▽柏全体として、問題にしっかりと向き合わなければ、また最悪の結末を引き起こしかねない。応援するクラブを乗り換えかねるファンやサポーターのためにも透明感溢れるチームを作り上げ、再びJ1の舞台に戻ってきてもらいたいと感じる。
《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》
▽24日に行われた明治安田生命J1リーグ33節のセレッソ大阪戦。負ければ即降格決定という厳しい条件でのアウェイゲームだったが、ピッチに立った選手は堂々たる戦いぶりで本来の力を見せつけ、3-0の快勝した。
「アイデア、スピード、パワーをピッチの中で表現できるようにサッカーの部分でちょっと整理した。その整理したことをとにかく一切の無駄もなくトレーニングしてきて、それが今日のゲームになったと思う」
▽試合前に選手のプレーの迷いを察した岩瀬監督は、決して新しいことにチャレンジさせたわけではない。元々のチームにある力をどうやって結果に結びつけるか。そして、どう自信を取り戻させるか。視線はそこにあった。
▽大まかな修正ポイントは攻守の切り替えと各エリアのプレー明確化。それが初陣のC大阪戦で確かに表れた。実際、柏は序盤から攻守の切り替えで優位に。そして、全3得点はいずれも鋭い寄せが起点だった。
▽自分たちの力を信じて戦う。それこそコーチとしてトップチームを見守ってきた岩瀬監督が求めた、蘇生の一手として講じた策だったのだろう。その岩瀬監督の手腕は見事だったが、快勝劇の余韻は“ツケ”により、そう長く続かなかった。
▽試合終了のホイッスルが鳴り響いたピッチ上、柏の選手は勝利の喜びに浸る時間をほどほどに他会場の結果を気にするような仕草が散見。一部選手はスタッフが手に持つスマートフォンに群がり、降格という現実を直視した。
▽異様な光景。昨シーズンに4位躍進を遂げ、さらなる期待を胸に今年の戦いに入った当初の柏はそこになかった。果たして、この低迷の要因はどこにあるのか。一体感やビジョンを欠いた上層部にあるように感じてならない。
▽柏は今冬、J1とACLの二兎を追うべく、FW江坂任やFW瀬川祐輔、MF小泉慶ら実力者を積極補強。強化部の見事な立ち回りにより、2チーム分の戦力を整備した。だが、シーズンに入り、上層部の一挙手一投足が鈍り始めた。
▽それを象徴する1つが、プロで指導者経験なしだった加藤望ヘッドコーチの監督昇格による下平隆宏監督の強化チームダイレクター就任。そこまでして下平氏をクラブに留めておく理由はなんだったのか。疑問しかない。
▽ことが終わったあとだけに、全てがたらればになるが、加藤監督の就任以降はチーム状態がより悪化。より「縦に速い仕掛け」に特化したスタイルは奏功せず、困ったときに拠り所になる原点への回帰もままならなくなった。
▽そういった低迷の背景には、脳しんとうのGK中村航輔やDF中山雄太といった主力の故障離脱や、ACLプレーオフ参戦による例年以上に早いシーズン始動も挙げられる。だが、降格が決まった今となれば、言い訳でしかない。
▽岩崎監督が初采配を振るったC大阪戦は、シーズンベストに匹敵するほどの戦いだった。それだけに、自滅感の否めない今回の降格は悔やまれる。高過ぎる授業料を払った格好の柏は、クラブの向かうべき方向性を改める必要があるだろう。
▽今年のJ2は全体的なレベルアップにより、ヴァンフォーレ甲府やアルビレックス新潟、大宮アルディージャが軒並みに1年でのJ1復帰を逃した。柏とて今年のように不透明なビジョンでJ2の戦いに挑めば、浪人生活を強いられる可能性がある。
▽柏全体として、問題にしっかりと向き合わなければ、また最悪の結末を引き起こしかねない。応援するクラブを乗り換えかねるファンやサポーターのためにも透明感溢れるチームを作り上げ、再びJ1の舞台に戻ってきてもらいたいと感じる。
《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》
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