数的優位を生かせず、1年でのJ1復帰を逃した大宮に足りなかったもの/編集部コラム2018.11.27 23:10 Tue

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▽来シーズンのJ1昇格を懸けたプレーオフが、今シーズンも開催。25日に行われた1回戦は、昨シーズンJ1最下位で降格した大宮アルディージャ(5位)と11年ぶりのJ1復帰を目指す東京ヴェルディ(6位)のカードで行われた。▽シーズン開幕前にはJ2優勝候補の筆頭にも挙げられていた大宮は、最終節のファジアーノ岡山戦で勝利し、プレーオフ圏外の7位から逆転でのプレーオフ進出を掴んだ。一方の東京Vは、最終節で優勝の可能性を残していたFC町田ゼルビアと対戦し、1-1のドロー。大宮には逆転されたが、アビスパ福岡も引き分けたために6位でシーズンを終えた。

▽そんな両者の対戦は、アウェイの東京Vが0-1で大宮を下し、横浜FC(4位)の待つ2回戦に駒を進めた。試合途中にはMF内田達也が2度目の警告を受けて退場し、10人の数的不利となるも、そこから1点を奪い勝利した。引き分けでも勝ち上がれた大宮だったが、数的優位な状況を生かせずに1年でのJ1復帰を逃す結末に終わった。

◆明暗を分けた“準備”
▽この試合の勝敗を分けた要因は様々ある。指揮官の采配も要因の1つ。しかし、大宮が敗れた要因は、準備不足が大きかったと言えるだろう。

▽この試合、立ち上がりからペースを握ったのは東京Vだった。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の下、積み上げた[3-4-2-1]のシステムを採用。内容で圧倒したホームでの大宮戦と同じやり方で臨んだ。対する大宮は、シーズン終盤で起用したメンバーをピッチに送り出したが、FW富山貴光を[4-4-2]の右サイドハーフに置き、MFマテウスとFW大前元紀を2トップに並べた。

▽勝利が必要な東京Vと引き分けでも良い大宮の一戦。その差が影響したのか、積極的な入りを見せられなかった大宮は、序盤から東京Vの戦いに苦しめられる。残念ながら、アウェイで2-0と敗れた東京V戦の再現となってしまった。

▽東京Vは5レーンを使い、ウイングバックのMF奈良輪雄太、MF香川勇気を両サイドの大外のレーンに、1つ内側にMF佐藤優平、MF渡辺皓太を置いた。中央には1トップのFW林陵平が入り、MF内田達也、MF井上潮音はインサイドのレーンに。味の素スタジアムで大宮を攻略したシステムで臨んだ。

▽リーグ戦でも同じ戦い方に苦しんだはずの大宮だったが、手を加えたのは富山をサイドに置いたことだけ。石井正忠監督は「守備のところを考えて起用した」と試合後に語ったが、「それがなかなかうまくはまらなかった」とコメントしている。守備を重視した事により後ろ重心になり、富山と右サイドバックのDF酒井宣福は、香川と佐藤の立ち位置に苦んだ。時間が経過するごとに、マークの受け渡しや自分たちの立ち位置を見失っていった。

▽一方で、ロティーナ監督、そしてピッチに立つ東京Vの選手たちは、その異変を見逃さない。ボールをポゼッションしながら、大宮の右サイド、つまり香川、佐藤の左サイドからの攻撃を増やしていく。大宮の右サイドは、押し込まれる時間が続き、ほとんど攻撃には参加できなかった。

▽また、守備時には渡辺と佐藤が中間ポジションを取ることで、大宮のボール回しを封じた。試合中に何度も見られたパスカットは、上手くハメた結果と言えるだろう。大前やマテウスが良い形でボールを持つ回数も少なかった。

▽さらには、前線からのプレスを掛けなかったことで、井上を自由にさせたことも苦戦した要因だろう。内田と共にボランチの2人が前を向いてプレーする時間が多く、東京Vは得意のボール回しでジワジワと追い詰めた。

◆シーズンを通した積み上げの差
▽押し込まれながらも何とか耐えていた大宮は、前半の途中でシステムを変更。富山をトップに置き、MF茨田陽生を右サイドに配置。マテウスを左サイドに置くことで5バックにし、東京Vの5レーンを封じに行った。

▽石井監督にとっては、苦肉の策だったのだろう。守備を考えて富山をサイド起用したにも関わらず、決して守備が得意ではないマテウスを左サイドの守備に使う羽目になった。東京Vをはじめ、3バックを採用するチームが多いJ2を1シーズン戦ってきたが、大宮はあまり得意にしていない。[4-4-2]のシステムとの兼ね合いもあり、特に守備面では苦戦する試合が多かった。にも関わらず、東京Vを相手に対策をしてこなかったことが前半で明るみに出てしまった。

▽また、シーズンを通して攻撃の形を作ることができなかった。24得点を決め得点王に輝いた大前が軸となったが、2トップを組むコンビは、FWロビン・シモヴィッチ(先発17試合)、富山(先発21)試合と固定できず。また、大前の24得点も、直接FKから「4」、PKが「7」、直接CKが「1」となっており、セットプレーから半分を記録。大宮にとっては大きな武器だったが、流れの中からの得点が半分とは少し寂しく、チームとして最後まで崩す形を作れなかったとも言えるだろう。そして、プレーの再現性の低さが昨シーズン、今シーズンと大宮のウィークポイントであった。

▽一方の東京Vは、ロティーナ監督の下で構築された攻守に渡る約束事が選手の自信にも繋がっていた。それは後半の数的不利な状況でも動じず、選手たちが任務を遂行し、勝利を掴んだことからも窺えた。

◆退場で優位に立ったのは東京V
▽5枚を最終ラインに並べたことで、なんとか無失点で前半を終えた大宮。しかし、後手に回った戦いは、後半で再び綻びを見せることとなる。

▽後半の立ち上がりも大宮は5枚を並べて守備を構築。前半に比べ、守備面では安定感を取り戻したが、ファウルで止めるシーンが増えるなど苦戦は続いた。一方で、攻撃面もMF大山啓輔やMF三門雄大らボランチの選手も前からプレスを掛け、徐々にペースを握りに行った。

▽そんな中迎えた59分、アクシデントが起こる。相手ゴール前でイーブンのボールを競り合った内田が、マテウスを倒してファール。このプレーにイエローカードが提示され、内田は2度目の警告となり退場処分を受ける。

▽0-0のゴールレスの状況で、勝たなくてはいけない東京Vが数的不利に。それでも「何かを変える必要はありませんでした。点を取るために何ができるか。そこだけ」とキャプテンであるDF井林章がコメント。ロティーナ監督の下で積み上げたものは、退場者を出しても選手たちに動揺を与えなかった。

▽一方で、大宮は数的優位な状況に。しかし、ここで守りを固めるのか、得点を目指すのかが曖昧となり、大宮は勝負に出ることができなかった。その結果が悲劇を生む。

▽守備面では5枚で守り続けるのか、4枚に戻すのかが曖昧となった。さらに、東京Vは渡辺を下げ、MF李栄直を投入。[3-1-4-1]のような変則的なフォーメーションを敷き、大宮を苦しめたサイドからの仕掛けを止めなかった。そして迎えた70分、香川が左サイドを仕掛けると、内に絞っていた酒井が対応。これがファウルとなりFKを与えると、佐藤のクロスに平智広が合わせて、東京Vが先制した。
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▽数的不利の中、ゴールを奪うとすればセットプレーしかなかった東京V。一方で、曖昧なまま試合を進めたことで、大宮は最も与えてはいけないFKをボックス付近で与えてしまった。前述した“準備”とシーズンを通して積み上げ、構築したものの差。それが、東京Vに勝利を呼び込んだ。

◆“理想の形”を目指し分析と反省を
▽その後、ドリブルで局面を打開できるMF奥抜侃志、高さのあるシモヴィッチを投入した大宮は、少ない時間でこの試合最大の決定機を迎えた。しかし、そこでも東京Vの準備が勝る。後半アディショナルタイム1分、大宮はクロスを上げるとGK上福元直人が飛び出し対応。しかし、手前でシモヴィッチが競り勝ち、ボールは無人のゴールへ。しかし、途中出場のDF若狭大志が間一髪クリアし、事なきを得る。

▽若狭はこのシーンに対し「カミ(上福元)がクロスに対して出て行ってくれることは以前から一緒にやってきた中で知っていたので、カミを信頼しつつもディフェンスの基本としてカバーに入ることは大事です」と試合後にコメントした。大分トリニータ時代にチームメイトだった2人だからこそ生まれたプレー。また、若狭としても求められる仕事を短い時間でしっかりと遂行した。

▽アディショナルタイム4分にも、シモヴィッチが胸トラップからシュート。しかし、今度は右ポストに嫌われる。ロティーナ監督は「運に恵まれたこともあり、ゴールを奪われることなく、自分たちにとって非常に大切な勝利を得ることができました」とコメント。さすがの名将も肝を冷やすシーズンが続いた。タラレバにはなるが、終盤の猛攻を見る限り、シモヴィッチをスタートから使い、勝ちに行くサッカーを選択していれば、試合を通して東京Vを押し込めた可能性はある。奇しくも、ホームで2-0と勝利した東京V戦は、シモヴィッチが先発し、ゴールも記録していた。しかし、守備面を考えて選手を起用し、試合に入った。しかし、後手に回る結果となってしまった。

▽大宮は、2014年に昇格後初めてJ2に降格。2015年はJ2優勝で昇格し、翌年はクラブ史上最高のJ1・5位で終えた。しかし、2017年はクラブ最低のJ1最下位で降格。そして、今年はJ1昇格を逃した。短期間で2度のJ2降格は、どうチームを作るかが定まっていないと言わざるを得ない。2015年はMF家長昭博(現川崎フロンターレ)、MF泉澤仁(現東京ヴェルディ)、FWドラガン・ムルジャなど強力な攻撃陣でJ2を制した。翌年もそのユニットが活躍し5位という成績を残したが、現在は誰も在籍していない。

▽今シーズンもチームの形を作り上げられず、不安定な戦いに終始し、目標であったJ2優勝、J1昇格を果たせなかった。「シーズン途中に、理想とする形から修正することで、本来狙っていた自分たちの形を求めていけなくなった」と石井監督はシーズンを振り返り語った。“理想とする形”。その形は、シーズンを通して見ることはなかった。

▽選手の顔ぶれ、そして資金力から「J1に居るべきチーム」と言われる大宮アルディージャ。しかし、真の強さを求め、結果を残せなかったシーズンの分析と反省をし、クラブ・チームとして“理想の形”を目指さなければ、より厳しい状況が待ち受ける来シーズンのJ2リーグでも苦戦することになるだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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【J1クラブ通信簿】得点力不足に一体感の欠如…昨季2冠の尹晶煥体制、2年で終焉《セレッソ大阪》

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【J1クラブ通信簿】若手台頭&助っ人活躍で攻守成長! 踏み出した名門復活への一歩《清水エスパルス》

▽優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2018シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第11弾は8位の清水エスパルスを総括! <span style="font-weight:700;">◆シーズン振り返り</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181217_spulse_2.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD<hr></div>▽5年ぶり1桁順位。J1復帰2年目を迎えたオレンジ軍団が殻を破った。J1復帰初年度となった昨シーズンは、前年のJ2リーグで際立った攻撃力が通用せず、負傷にも悩まされ、残留を決めるのがやっと。しかし、今シーズンは新たに就任したヤン・ヨンソン監督の下、若手の台頭と外国人選手の活躍によって攻守が成長し、名門復活への一歩を踏み出した感がある。 ▽開幕前は昨シーズン同様、降格候補に挙げられていた。しかし、鹿島アントラーズとの開幕戦(0-0△)で改善に着手していた守備に手応えを掴むと、開幕4試合を2勝2分けと好スタート。さらにJ1復帰2年目のFW北川航也とFW金子翔太ら若手たちのパフォーマンスも安定しだし、10位でロシア・ワールドカップによる中断期間に入ることができた。 ▽夏の補強はFWドウグラスのみ。しかし、強力ストライカーががすんなりフィットし、2戦連発で3連勝に貢献すると、連係向上により徐々に攻守がスケールアップ。第28節FC東京戦(2-0◯)を経て迎えた第29節のジュビロ磐田との静岡ダービー(5-1〇)では大きな自信を掴み、北川の日本代表デビューが周囲に刺激を与える好影響をもたらした。チームはJ1でも脅威となりつつあった北川とドウグラスの2トップに引っ張られるように勝ち点を積み重ね、第28節から8年ぶりとなる7戦無敗(4勝3分け)で終わってみれば8位フィニッシュに成功。将来に期待が膨らむシーズンを送った。 <span style="font-weight:700;">◆MVP</span> FW北川航也(22) 明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発28試合)/13得点<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181217_spulse_3.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)J.LEAGUE PHOTO<hr></div>▽GK六反勇治、ファン・ソッコ、金子、ドウグラス…多くの選手たちの活躍によって成し遂げられた躍進だが、やはり今シーズン飛躍を遂げた北川をMVPに選出したい。 ▽プロ4年目を迎えた生え抜きストライカーは、新監督の下、開幕からスタメンの座を奪取し、クリスランやドウグラスという個性の強い相方とのコンビの中で覚醒。自身の特徴である裏への抜け出しを存分に発揮し、キャリアハイの13ゴールを記録した。また、今シーズンは時間を重ねるごとにバイタルエリアでの仕事にも磨きをかけて8アシスト。終盤はドウグラスと生かし生かされの好関係を築いた。 ▽今年はその期待値から代表デビューも飾り、来年1月から開催されるAFCアジアカップのメンバーにも選出。来シーズンは相手DFのマークもきつくなることが予想されるが、そうした劣勢下で勝負を決められるか。名門復活に向けてもエースとしてのさらなる覚醒がカギになる。 <span style="font-weight:700;">◆補強成功度《B》</span>※最低E~最高S<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181217_spulse_4.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)J.LEAGUE PHOTO<hr></div> ▽今シーズンは将来を見据えた補強が多かった中、実力者がしっかりと期待に応えた。クリスランこそ5ゴールと期待以上の結果を残せなかったが、ファン・ソッコは32試合に出場。昨シーズン加入も不完全燃焼に終わったフレイレと共にJ1クラブの攻撃を跳ね返せるだけの守備を構築した。また、レンタルバックのMF石毛秀樹も左サイドで29試合に出場。2ゴールという結果こそ物足りなさが残るが、J2への武者修行を経てJ1でも試合に絡める成長を見せた。 ▽守備強化の方針もあった中で、夏に獲得したのはドウグラスのみとなったが、結果的に大成功。15試合11ゴールと爆発的なストライカーの存在で攻撃の強度を高めたことが、周囲の負担を軽減し、守備の強化にもつながった。守備も厭わない姿勢は若手の手本となり、一時期ゴールから遠ざかっていた北川をも目覚めさせた。結果的に攻守で軸となれる選手の存在が、新進気鋭の若手たちが伸び伸びプレーできる環境を作りあげることできた。 <span style="font-weight:700;">◆総合評価 《B》</span>※最低E~最高S<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181217_spulse_5.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty images<hr></div>▽昨シーズン残留争いに巻き込まれ、今シーズンも降格候補として見られていたことを考えれば、8位で終われたことは成功と言えるだろう。また、数字で見ても昨シーズンの35得点54失点から56得点48失点と攻守両面で成長することができた。 ▽ファン・ソッコやフレイレ、ドウグラスといった外国人選手の活躍も躍進を語る上で欠かせない。そして、何よりファン・サポーターが待ちわびた若手たちの台頭が大きかった。若きストライカーとして飛躍を遂げた北川を筆頭に、金子も右サイドハーフを主戦場とした今シーズンは、豊富な運動量やクロスで10ゴール7アシストと右サイドを活性化し続けた。また、DF松原后と立田の両サイドバックの躍動に加え、左サイドハーフでは石毛と白崎で競争が生まれるなど、J2を戦った選手たちを中心に底上げがされた。 ▽また、新監督の戦術による攻守の安定のほか、開幕直前の立田のサイドバック起用や白崎のボランチ起用など采配も光った。決して厚くない陣容の中で選手の個性を引き出す戦略が、昨シーズンを通じて悩みの種だった負傷離脱による戦力低下を最小限に抑えた。 ▽ただ、今シーズンはJ1で戦うための基礎を築いたに過ぎない。巧者相手には若さ故の勢いを逆手に取られる場面もあり、停滞時を打開する策は少なかった。負傷選手をカバーしたコンバート起用も本職の選手でカバーするだけの選手層がなかったということでもある。 ▽来シーズンはヤン・ヨンソン監督2年目を迎えることが決定。より高みを目指すためには、更なる戦術浸透と負傷時や夏場を乗り切るための選手層が構築したいところ。まずは主力選手たちをどれだけ引き留められるか。そして、今シーズン将来のために獲得された若手選手たちの突き上げが生まれれば、育成クラブとしてもう一段階上に駆け上がることができるだろう。 2018.12.17 22:40 Mon
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【移籍考察】レアンドロ・ダミアン獲得の影響は? 川崎フロンターレが一皮剝ける可能性

▽初タイトルを獲得してから1年、J1を連覇した川崎フロンターレが大型補強を敢行した。2019シーズンからチームに加わるのは、元ブラジル代表FWレアンドロ・ダミアン(29)だ。 ▽ブラジル国内クラブでキャリアの大半をプレーし、国外に出たのは2015-16シーズン後半にスペインへ渡ったのみ。今回の移籍が2度目の国外移籍となる。そんなレアンドロ・ダミアンが川崎Fに入った場合はどのようになるのか、考察していきたい。 <span style="font-weight:700;">◆国外移籍はスペインに次いで2度目</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw5.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽ロンドン・オリンピックの得点王として知られるレアンドロ・ダミアンだが、キャリアの転換期は2010年のインテルナシオナル入団からだ。同年のブラジル・セリエAでは、25試合に出場し7ゴール1アシストを記録。翌シーズンはセリエAで28試合に出場し14ゴール6アシスト、コパ・リベルタドーレスでは8試合に出場し4ゴール4アシストを記録した。 ▽2011年にはブラジル代表に初招集されると、2012年に行われたロンドン・オリンピックに出場。マルセロやオスカル、ネイマールを擁し銀メダルを獲得したチームにおいて、5試合に出場し決勝を除く4試合で6ゴールを記録して大会得点王に輝いた。 ▽2012シーズンはセリエAで19試合に出場し7ゴール2アシスト、コパ・リベルタドーレスで10試合に出場し6ゴール1アシストを記録。2013シーズンはセリエAで26試合に出場し5ゴール5アシストを記録した。 ▽2014年にサントスへ完全移籍を果たすと、セリエAで26試合に出場し6ゴールを記録。しかし、2015年はクルゼイロ、2016年はリーガエスパニョーラのベティス、2016年後半からはフラメンゴへとレンタル移籍でプレー。2018年はインテルナシオナルにレンタル移籍されセリエAで26試合に出場し10ゴール3アシストを記録した。 ▽ベティスでは、わずかに3試合の出場にとどまり、ブラジルでの輝きは見せられず。ベンチ入りも3試合に終わり、大半はメンバー外となっていた。 <span style="font-weight:700;">◆基本は1トップor3トップの中央</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw8.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽レアンドロ・ダミアンのプレーポジションは、センターフォワードだ。キャリア当初のインテルナシオナル、ロンドン・オリンピックでは2トップの一角としてプレーしたものの、ブラジル代表やサントス、クルゼイロ、フランメンゴでは3トップの中央に、今シーズンもインテルナシオナルでは3トップの中央でプレーしていた。 ▽今シーズンの川崎Fは、[4-2-3-1]のシステムで戦い、1トップの位置にはFW小林悠(19試合)、FW知念慶(12試合)が入ってプレー。小林は15ゴール、知念は4ゴールを記録し、チームのJ1連覇に貢献した。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw2.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽鬼木達監督が続投する川崎Fは、来シーズンも[4-2-3-1]のシステムで臨むと考えられる。レアンドロ・ダミアンは1トップのポジションに入る事になり、連覇を達成したチームはシステムに変更を生じさせる必要があるだろう。 <span style="font-weight:700;">◆小林はかつての右サイド起用か?</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw6.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽レアンドロ・ダミアン加入によってポジションを争う事になるのは小林だ。今シーズンのJ1リーグで15ゴールを決め、得点ランキングでもFW興梠慎三(浦和レッズ)とともに日本人最多タイの3位につけたストライカーだが、レアンドロ・ダミアンにポジションを譲る事になるだろう。もちろんチームへのフィットという問題もあるが、元ブラジル代表ストライカーを獲得したということは、1トップを任せる算段であることは間違いない。 ▽1トップから外れることが予想される小林に関しては、2016シーズンまでプレーした右サイドに入る事になるだろう。かつてはFW大久保嘉人(ジュビロ磐田)が1トップに入り、小林は2列目の右でプレーしていた。風間八宏監督(名古屋グランパス)の下では、[4-4-2]を試したこともあったが、シーズンの大半は[4-2-3-1]を採用。しかし、右サイドの起用でも小林はリーグ戦で15ゴールを記録しており、日本代表にも招集されていた。レアンドロ・ダミアンと小林を共存させるのであれば、2トップを組ませるよりも、小林を右サイドに置いた方が得策と考えられる。 <span style="font-weight:700;">◆変化が生まれる2列目の陣容</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw7.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽小林を右サイドで起用するとなると、今シーズンの2列目を務めたMF家長昭博、MF中村憲剛、MF阿部浩之にも変化が生まれる。今シーズンMVP級の活躍を見せた家長は右サイドで27試合に出場。また、中村はトップ下として29試合に、阿部は左サイドで21試合に出場した。小林を右サイドで起用するとなれば、家長のポジションと重なる。 ▽家長は、右サイドだけでなく、トップ下や2トップの一角、左サイドと攻撃的なポジションでのプレー経験は豊富。試合中に流動的にポジションを移すことを考えても、右サイドにこだわって起用する必要はない。また、38歳とベテランながらもフル稼働を続ける中村は、トップ下としてチームの中心に君臨する。ここぞの得点力も含め、チームに欠かせない存在であることは変わらない。来シーズンもトップ下で起用される可能性は高そうだ。 ▽阿部が見せる攻撃性能の高さは目を見張るものがあるが、今シーズンは、前年に比べて結果が伴わないパフォーマンスとなった。今シーズンのパフォーマンスをベースとするならば、家長を左に、中村をトップ下に置き、小林を右に置くことが1stプランとなるだろう。 ▽しかし、一方で課題も多い。川崎Fにとっては、2019シーズンのリーグ優勝はもちろんだが、今シーズン惨敗したAFCチャンピオンズリーグで勝ち上がることも重要だ。レアンドロ・ダミアンの補強はその点も多いに考慮されてのことだろう。前線を4人+知念で回していたことを考えれば、攻撃陣の層を厚くすることも求められる。レアンドロ・ダミアンの加入によって競争が生まれることは、チームの成長にとってもプラスとなるはずだ。 <span style="font-weight:700;">◆レアンドロ・ダミアンを生かすには戦い方の変更も</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw3.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽1トップにレアンドロ・ダミアン、2列目に家長、中村、小林を配置すると仮定した場合、どうやってレアンドロ・ダミアンを生かすかが焦点となる。 ▽若きレアンドロ・ダミアンは、足元の技術を生かしたプレーが多く、ドリブルで相手DFを切り裂くプレーはもちろんのこと、テクニカルな技を見せて局面を打開し、そこからゴールを決めるプレーも見られた。しかし、近年の得点パターンは限られている。 ▽今シーズンのインテルナシオナルで決めた得点は「10」。その大半は、ヘディングでの得点だった。セットプレーやサイドからのクロスを合わせてのゴールが大半を占めていおり、その他のゴールも味方の崩しからラストパスに合わせるという形が多く、独力でゴールを奪うというよりは周囲のお膳立てによりゴールを量産できるタイプだ。 ▽Jリーグ屈指のパスサッカーを披露する川崎Fにとって、1トップの選手にゴールを決めさせる手段は数多くある。レアンドロ・ダミアンにとっても、周りのお膳立てが期待でき、キックやパスの精度が高い選手も多いため、最大限生かされる可能性は高い。さながら、今シーズンのJ1得点王に輝き、近いタイプのストライカーであるFWジョー(名古屋グランパス)の活躍を期待したくなるだろう。 ▽しかし、気になるポイントもある。それは、川崎Fのサッカーと攻撃パターンだ。川崎Fは、中央を崩しての攻撃を特徴としており、細かいパスワークで局面を打開するシーンをよく目にする。中盤の選手を含め、攻撃時のパスワーク、選手の立ち位置、ボールに関わらない選手の動き出しなどが整備されている。そこにレアンドロ・ダミアンがどこまでフィットするのか、どの段階でフィットできるかは、活躍を大きく左右するだろう。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw4.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽また、サイドからのチャンスメイクが少ない川崎Fだが、リーグ屈指の攻撃性能を備えたDFエウシーニョが退団。右サイドバックらしからぬ攻撃参加も1つのパターンであったが、来シーズンはその部分が未知数だ。左サイドバックのDF車屋紳太郎を含め、攻撃的なサイドバックが売りの川崎Fだったが、サイドからゴールに繋がっているプレーは多くない。さらに、右サイドバックを務めるDF武岡優斗も退団し、現時点で右サイドバックは不在。3バックに変更し、[3-4-3]のシステムとする可能性もある。何れにしても、レアンドロ・ダミアンを生かすには、いかにサイドからも攻撃の形を作れるか。鬼木監督にとっては、大型ストライカーを生かす策を見つける必要がありそうだ。 <span style="font-weight:700;">◆華麗なサッカーに力強さを</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181216_frontale_tw9.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>▽川崎Fは華麗なパスワーク、綺麗な崩しが特徴的なチーム。風間体制から積み上げてきたものを、継続して起用される選手が作り上げた完成度の高いサッカーが魅力であり特徴だ。そして、その戦い方を突き詰め、継続してきたことがJ1連覇に繋がったと言える。しかし、アジアの戦いを見ればベスト8止まり。今シーズンはグループステージで未勝利と惨敗を喫した。 ▽国内での複数タイトル、そしてアジアで結果を残すには、華麗なパスサッカーだけでは足りないと痛感したはず。そういった意味で、レアンドロ・ダミアンの補強は理にかなっている。あとは、チームとして華麗なパスワークを捨ててでも勝ちに行くサッカーを見せることができるかだ。 ▽大型ブラジル人ストライカーを生かすことができるようになれば、川崎Fがまた1つ階段を上ったと言えるだろう。華麗なスタイルに加え、勝利を掴みに行く泥臭さを身につけることができるか。1年後にレアンドロ・ダミアンの補強が成功だったと評価できるかは、川崎Fの進化に懸かっているだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.12.16 22:15 Sun
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