堂安初ゴールに南野2Gで3戦連発! 若手躍動で強豪ウルグアイとの打ち合い制す《キリンチャレンジカップ》

2018.10.16 21:35 Tue
Getty Images
▽日本代表は16日、埼玉スタジアム2002で行われたキリンチャレンジカップ2018のウルグアイ代表戦に臨み、4-3で勝利した。

▽先月行われた初陣のコスタリカ代表戦、12日に行われたキリンチャレンジカップのパナマ代表戦をいずれも3-0で制し、無傷の森保ジャパン。FIFAランキング5位の強豪、ウルグアイ戦に向けてはパナマ戦からスタメンを9名変更。最後尾にGK東口、ディフェンスラインに酒井宏、三浦、吉田、長友。中盤に堂安、遠藤、南野、柴崎、中島、1トップに大迫を配置した。
▽対するウルグアイも、主力メンバーを起用。DFゴディン、MFベンタンクール、FWカバーニらを起用した。

▽高いテンションの入りを見せたウルグアイが試合の立ち上がりから日本ゴールに向かっていく。6分には左サイドバックのラクサールが最終ラインの裏にまで飛び出していくが、精度を欠いたスルーパスはDF三浦が処理する。

▽しかし10分、絶好調の日本の9番が華麗な身のこなしで世界レベルのセンターバックを翻弄する。左サイドでボールを持った中島は、ボックス内へのスルーパスを選択。これを受けた南野がボックス内でマークに付いていたDFゴディンをワンタッチで剥がし、鋭くターン。右足でネットを揺らした。
▽17分、反撃に出るウルグアイが右CKを獲得。高い弾道のクロスが供給されると、ボックス内中央で飛び上がったゴディンが強烈なヘディングシュートを放つ。しかし、これをGK東口が好守で阻みリードを守った。

▽ウルグアイが前がかりになった20分、右サイドの酒井が低い位置からフィードを入れると、ウルグアイ陣内中央付近の遠藤がダイレクトで前線にスルーパスを送る。しかし、抜け出した大迫が一対一の場面でボックス右から放ったシュートは右に逸れ、追加点とはならない。柴崎との良い距離を保ちつつ頻繁に高い位置まで上がる遠藤がアクセントとなり、前線に起点を作り始める。

▽それでも28分、ウルグアイが怖さをみせる。右サイドでのFKからデ・アラスカエタがファーサイドにクロスを上げると、DFコアテスが頭で中央に折り返す。ゴール目前でフリーになっていたG・ペレイロが、ワントラップして冷静に押し込んだ。

▽セットプレーから初失点を喫してしまった森保ジャパンだが、不動の1トップがすぐにストライカーとしての仕事を果たす。ボックス手前左でボールを持った中島がミドルシュートを放つと、GKムスレラがボックス内に弾く。いち早く反応した大迫がムスレラの股を抜くシュートを決め、スコアを2-1とした。

▽徐々に日本が支配力を高めていくと、ウルグアイのエースFWカバーニが中盤まで降りてきてボールに触る回数を増加させる。だが、そこからはチャンスにつなげることはできず。日本がリードしたまま試合を折り返した。

▽巻き返しを図るウルグアイはハーフタイム中に2名を入れ替え。ベンタンクール、デ・アラスカエタに代えてバルベルデ、ホナタン・ロドリゲスを投入した。

▽後半開始早々、ウルグアイがいきなりチャンスを迎える。左サイドからクロスが上がると飛び込んだのはペレイロ。しかし、ゴール上端を捉えたヘディングシュートにはまたしてもGK東口が立ちはだかる。さらに51分にもカバーニのヘディングシュートが日本ゴールを脅かすが、これは枠を外れ事なきを得た。

▽しかし57分、痛恨のミスから同点弾を許してしまう。ディフェンスラインでボールを持った三浦がGK東口へのバックパスを送る。すると、前に残っていたカバーニにボールをカットされ、難なくネットを揺らされた。

▽それでも、直後の59分に期待の若手がチームを救う働きをする。ウルグアイがカウンターに移ろうかという瞬間に堂安が相手陣内中央でボールをカット。酒井と連携してボックス内に侵攻すると、キレのあるフェイントでチェックに来たウルグアイDFをかわし、ゴール左隅に流し込み、待望の代表初ゴールを奪う。

▽さらに66分、勢いに乗る日本の若手は止まらない。ボックス手前で相手の連係のミスを突いた堂安が、迷わず左足を振り抜き強烈なミドルシュートを放つ。GKムスレラが弾いたところ、南野がたたみ掛けるようにシュートを放ち自身のこの日2得点目とした。

▽日本が4-2でリードする展開。このままでは終われないウルグアイが75分に一瞬の隙を突く。柴崎に代わり青山が投入された直後、やや守備が緩慢になったところを見逃さなかったカバーニが、ボックス手前中央からボックス左に浮き球のスルーパスを送る。待ち構えていたホナタン・ロドリゲスがトラップから、右足で流し込み、点差を1点に縮める。

▽その後は一進一退の攻防が続く中、日本は比較的優位に試合を進行。ウルグアイに引き分けるチャンスを与えず。FIFAランキング5位の強豪との打ち合いを制し、森保体制での連勝記録を「3」に伸ばした。
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8大会連続五輪出場危機の日本。難敵・カタール戦の勝敗を託されるメンタルモンスター・松木玖生(FC東京)【新しい景色へ導く期待の選手/vol.39】

4月22日のU-23韓国戦を0-1で落とし、AFC・U-23アジアカップ・グループBで2位となってしまったU-23日本代表。まさかの敗戦によって、25日の準々決勝はホスト国・カタールとの真っ向勝負を余儀なくされることになった。 もちろんグループA・2位のインドネシアも難敵は難敵だが、カタールの強さはA代表がアジア2連覇を達成した1〜2月のアジアカップでも実証済み。スタジアムの熱狂的サポーターも味方にして、彼らは凄まじい迫力で日本に向かって来るはずだ。 この関門を突破しなければ、8大会連続五輪出場権獲得の道は途絶えてしまう。日本サッカー界としてはそれだけは絶対に避けなければいけない。 大岩剛監督もキャプテン・藤田譲瑠チマ、山本理仁(ともにシント=トロイデン)ら主力級をズラリと並べて勝負を賭けるはずだが、こういう時こそ頼りになるのは、メンタルモンスターの松木玖生(FC東京)。青森山田高校時代から数々の修羅場をくぐり、2023年U-20ワールドカップ(W杯=アルゼンチン)にも参戦した男のタフさと精神力は折り紙付きだ。 年齢的には下から3番目だが、FC東京でキャプテンマークを巻き、年長の選手を激しく鼓舞する姿を見れば、チーム内の序列や20歳という若さは一切関係ない。崖っぷちに追い込まれた今、カタール相手に猛然と突き進めるのは、やはりこういう選手だろう。 改めて韓国戦を見ても、後半18分から藤田、佐藤恵允(ブレーメン)とともにピッチに立つや否やアグレッシブさと激しさを前面に押し出した。後半20分には相手選手2人に囲まれながらボールをキープし、そのまま抜け出して内野航太郎(筑波大学)の決定機を演出するスルーパスを供給。その直後にも左サイドを突破し、ゴール前の高井幸太(川崎フロンターレ)目がけて決定的なクロスを上げている。 これらのチャンスは惜しくも得点には至らなかったが、「松木なら得点に直結する仕事ができる」という印象を見る者に強烈に残した。その底力を大一番で遺憾なく発揮し、日本をベスト4へと導くこと。それが背番号17に託されたタスクなのだ。 「やっぱり一発勝負なんで、中2日の疲労とかもあるとは思うんですけど、そういうのは言い訳にできない。つねに1試合1試合を大切に戦っていけたらいいかなというふうに思います」と日本を出発する前にも目をぎらつかせていた松木。ある意味、次のカタール戦は彼のサッカーキャリアを左右するビッグマッチになるかもしれない。 ここで今大会最強とも言われる敵を倒し、準決勝でイラクとベトナムの勝者を撃破できれば、彼は堂々とパリ五輪へ行くことができる。そうすれば、前々からの念願である海外移籍も実現できるだろうし、A代表へのステップアップ、9月からスタートする2026年北中米W杯アジア最終予選参戦も見えてくるはずだ。 近未来の森保ジャパンでボランチの座を争うと目される遠藤航(リバプール)、田中碧(デュッセルドルフ)らも五輪を足がかりに飛躍し、A代表、海外でのプレーを勝ち取っている。遠藤などはご存じの通り、30歳を過ぎてリバプールという名門クラブ行きを勝ち取り、主力級の地位まで上り詰めた。そう考えると、20歳の松木にはまだまだ無限のチャンスが広がっているが、1つ1つステージを上がっていかなければ、彼らに勝負を挑めない。だからこそ、カタールには絶対に勝たなければいけないのである。 今大会の大岩ジャパンは細谷真大(柏)、藤尾翔太(町田)、内野航太郎、佐藤といったFW陣にゴールが生まれていない。特にエース・細谷の不振は際立っている。彼らは彼らなりにゴールへの意欲を燃やし、感覚を研ぎ澄ませていくだろうが、松木はすでに16日の初戦・U-23中国戦で1点をマークしている。 ゆえに、彼がより高い位置でプレーした方が日本は得点に近づくはず。本人もバランスを見ながらプレーするだろうが、ここ一番の状況でが思い切って前に突っ込んでいってもいい。敵の意表を突く攻めが上がりで日本に足りないゴールをもたらすこと。それもこの男には大いに期待したい。 とにかく、日本最大の危機的状況を打開できるのは、強靭なメンタルと勝負強さのある人間だけ。今のチームでは松木をおいて他にいないと言っても過言でないくらい、彼はそういった部分で突き抜けている。そのストロングを出すべき時はまさに今しかない。 25日の大一番は背番号17の一挙手一投足から目が離せない。 <hr>【文・元川悦子】<br/><div id="cws_ad">長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2024.04.24 12:45 Wed
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