【プレミアリーグ移籍総括】GK移籍最高額が2度更新! ビッグクラブ停滞も中堅が積極補強2018.08.10 14:45 Fri

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▽現地時間8月9日17時(日本時間9日25時)に今夏のプレミアリーグ移籍市場が閉幕した。例年、8月末までに移籍期限が設けられた中、初めてリーグ開幕前に前倒しとなった今夏のトランスファーウィンドウではビッグクラブが守備陣を中心に比較的静かな夏を過ごした一方、ウェストハムやエバートンら中堅、フルアム、ウォルバーハンプトンの昇格組がとりわけデッドライン・デイに派手な動きを見せた。なお、選手の獲得は前述の日時に締め切られたものの、放出に関しては国外の移籍市場が開いている9月初旬まで認められるため、ここから主力が国外に流出する可能性も十分にある。◆トップ3は難しい夏に
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▽初めての前倒し日程とロシア・ワールドカップ(W杯)開催の影響でリバプール、アーセナルを除きトップ6のチームは難しい夏を過ごすことになった。昨季、圧倒的な強さでリーグ制覇を成し遂げたマンチェスター・シティは昨年から獲得候補に挙がっていたMFリヤド・マフレズを6000万ポンドでレスター・シティから引き抜くことに成功も、もう1つの補強ポイントだったMFフェルナンジーニョのバックアップに関してはMFフレッジやMFジョルジーニョ、MFヴァイグル、MFピャニッチらの獲得にことごとく失敗。現時点で十分な選手層を確保しているもののやや不安を残す形となった。

▽さらにシティを追う立場にある2位マンチェスター・ユナイテッド、3位トッテナムは失敗の夏に。ユナイテッドはシティとの争奪戦を制してシャフタールからフレッジの獲得に成功したものの、モウリーニョ監督が獲得を臨んだ右ウイング、センターバックの補強に関してMFウィリアン、MFベイル、FWペリシッチ、DFアルデルヴァイレルト、DFマグワイアらの獲得が難航。最終的に主力クラスの補強はフレッジのみにとどまり、補強方針を巡ってクラブと対立するポルトガル人指揮官の早期退団の噂も出ている。

▽例年、スロースターターのトッテナムに関してはプレミアリーグ史上初めて補強選手ゼロという不名誉な夏に。もちろん、エースFWケインやMFエリクセンら移籍市場の人気株の残留に成功した点は評価されるべきだが、新スタジアム建設による資金不足やレヴィ会長の財布の紐の堅さもあり、MFグリーリッシュやFWザハなど高額な移籍金を要求する相手との交渉で譲歩することなく、今夏の補強を断念する結果となった。

◆リバプールは積極補強で優勝候補に
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▽今夏の移籍市場における勝ち組筆頭は的確な補強でウィークポイントを潰した昨季4位のリバプールだ。今夏の移籍市場では最重要補強ポイントのGKにローマとセレソンの正GKアリソンを当時のGK歴代最高額の6700万ポンドで獲得すると、昨夏に内定させていたMFナビ・ケイタやモナコの実力派MFファビーニョ、ストーク・シティの降格に伴い安価な金額で獲得可能となったFWシャキリの4選手を確保。加えて、エースFWサラーらの慰留にも成功と完璧な立ち回りを見せた。

▽共にトップ4返り咲きを目指し新指揮官を迎えたチェルシーとアーセナルでは共にまずまずの補強に成功した。チェルシーに関しては守護神クルトワのレアル・マドリー流出に伴い、前述のアリソンの移籍金を上回る7200万ポンドでビルバオGKケパを獲得する拙いオペレーションはあったものの、サッリ新監督のナポリ時代の教え子ジョルジーニョ、クルトワのオペレーションの一環でMFコバチッチと2人の逸材MFを確保。守備陣の補強失敗は痛恨だが、予断を許さないMFアザールやMFカンテの慰留に成功すれば、まずまずの陣容となる。

▽アーセナルに関しては新リクルート部門主導でDFパパスタソプーロス、GKレノらの獲得に成功した一方、新指揮官エメリ監督の望む中盤の逸材MFトレイラの獲得など、課題の守備陣のテコ入れに成功。前線に関しては個で打開できるアタッカーの獲得に失敗したものの、主力に離脱者が出なければ現有戦力で補えるはずだ。

◆中堅&昇格組が躍動
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▽リバプールを除く今夏の勝ち組はそれぞれ新指揮官を迎えたエバートン、ウェストハムの中堅2クラブとウォルバーハンプトンとフルアムの昇格組2チームだ。マルコ・シウバ監督を迎えたエバートンは教え子のワトフォードFWリシャルリソンの獲得に成功すると、バルセロナからDFディーニュ、DFミナ、MFアンドレ・ゴメス、今夏フリー選手の中で大物と評されたMFベルナールを移籍市場最終盤に獲得した。

▽また、今夏最も積極補強を行ったペジェグリーニ新監督率いるウェストハムは目玉補強となったMFウィルシャー、FWフェリペ・アンデルソン、FWヤルモレンコに加え、GKファビアンスキ、DFディオプ、MFカルロス・サンチェスと各ポジションに的確な補強を敢行した。

▽昇格組2チームに関しては世界最高の代理人、ジョルジュ・メンデス氏が経営に参画するウルブスがGKルイ・パトリシオ、MFモウティーニョのポルトガル代表コンビ、FWラウール・ヒメネスやMFデンドンカーとW杯出場選手を獲得することに成功。一方、フルアムはMFセリ、MFザンボ=アンギッサのリーグ・アン屈指のMFの完全移籍に加え、GKセルヒオ・リコやFWビエット、FWシュールレなどビッグクラブで戦力外の実力派をレンタルで獲得する巧さを見せた。

◆GK移籍最高額が2度更新
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▽なお、プレミアリーグの今夏の移籍金トップは7200万ポンドでビルバオからチェルシーに加入したケパ、次点にはローマからボーナス含め総額6700万ポンドでリバプールに加入となったアリソンと、いずれもGK移籍金最高額を更新した2人のGKに。3番手にはレスターから待望のシティ加入を決めたマフレズの6000万ポンド、4位にナポリからチェルシーに加入したジョルジーニョの5300万ポンド、5位にRBライプツィヒからリバプール加入のナビ・ケイタの5275万ポンドとなった。

▽今夏プレミアリーグ主な移籍の一覧は以下の通り。

【今夏のプレミアリーグ主な移籍】

◆マンチェスター・シティ
【IN】
DFフィリップ・サンドレル←ズウォレ(オランダ)
MFダニエル・アルザニ←メルボルン・シティ(オーストラリア)
MFリヤド・マフレズ←レスター・シティ

【OUT】
GKジョー・ハート→バーンリー
MFヤヤ・トゥーレ→無所属

◆マンチェスター・ユナイテッド
【IN】
MFフレッジ←シャフタール(ウクライナ)
DFジオゴ・ダロト←ポルト(ポルトガル)
GKリー・グラント←ストーク・シティ

【OUT】
DFダレイ・ブリント→アヤックス(オランダ)
DFティモシー・フォス=メンサー→フルアム※
MFマイケル・キャリック→引退

◆トッテナム
【IN】
なし

【OUT】
なし

◆リバプール
【IN】
GKアリソン・ベッカー←ローマ(イタリア)
MFナビ・ケイタ←ライプツィヒ(ドイツ)
MFファビーニョ←モナコ(フランス)
FWジェルダン・シャキリ←ストーク・シティ

【OUT】
GKダニー・ウォード→レスター・シティ
DFジョン・フラナガン→レンジャーズ(スコットランド)
MFエムレ・ジャン→ユベントス(イタリア)
FWダニー・イングス→サウサンプトン※
FWベン・ウッドバーン→シェフィールド・ユナイテッド※

◆チェルシー
【IN】
GKケパ・アリサバラガ←ビルバオ(スペイン)
GKロバート・グリーン←ハダースフィールド
MFジョルジーニョ←ナポリ(イタリア)
MFマテオ・コバチッチ←レアル・マドリー(スペイン)※

【OUT】
GKティボー・クルトワ→レアル・マドリー(スペイン)
MFマリオ・パシャリッチ→アタランタ(イタリア)

◆アーセナル
【IN】
GKベルント・レノ←レバークーゼン
DFソクラティス・パパスタソプーロス←ドルトムント(ドイツ)
DFシュテファン・リヒトシュタイナー←ユベントス(イタリア)
MFルーカス・トレイラ←サンプドリア(イタリア)
MFマッテオ・グエンドウジ←ロリアン(フランス)

【OUT】
DFペア・メルテザッカー→引退
DFカラム・チャンバース→フルアム※
MFジャック・ウィルシャー→ウェストハム
MFサンティ・カソルラ→ビジャレアル
FWルーカス・ペレス→ウェストハム
FWチューバ・アクポム→PAOK

◆バーンリー
【IN】
GKジョー・ハート←マンチェスター・シティ
DFベン・ギブソン←ミドルズブラ
FWマテイ・ヴィドラ←ダービー

【OUT】
MFスコット・アルフィールド→レンジャーズ(スコットランド)

◆エバートン
【IN】
DFジェリー・ミナ←バルセロナ(スペイン)
DFリュカ・ディーニュ←バルセロナ(スペイン)
MFアンドレ・ゴメス←バルセロナ(スペイン)※
MFベルナール←シャフタール(ウクライナ)
FWリシャルリソン←ワトフォード

【OUT】
DFラミロ・フネス・モリ→ビジャレアル(スペイン)
DFアシュリー・ウィリアムズ→ストーク・シティ
MFデビー・クラーセン→ブレーメン(ドイツ)
FWケビン・ミララス→フィオレンティーナ(イタリア)※
FWウェイン・ルーニー→DCユナイテッド(アメリカ)

◆レスター・シティ
【IN】
GKダニー・ウォード←リバプール
DFリカルド・ペレイラ←ポルト(ポルトガル)
DFフィリップ・ベンコビッチ←ディナモ・ザグレブ(クロアチア)
DFチャグラル・ソユンク←フライブルク(ドイツ)
DFジョニー・エバンス←WBA
MFジェームズ・マディソン←ノリッジ
FWラシド・ゲザル←モナコ(フランス)

【OUT】
GKベン・ハマー→ハダースフィールド
DFロベルト・フート→無所属
MFリヤド・マフレズ→マンチェスター・シティ
FWアーメド・ムサ→アル・ナスル(サウジアラビア)

◆ニューカッスル
【IN】
DFファビアン・シェア←デポルティボ(スペイン)
DFフェデリコ・フェルナンデス←スウォンジー
MFキ・ソンヨン←スウォンジー
FW武藤嘉紀←マインツ(ドイツ)
FWサロモン・ロンドン←WBA※

【OUT】
MFミケル・メリーノ→ソシエダ(スペイン)
FWアレクサンダル・ミトロビッチ→フルアム
FWドワイト・ゲイル→WBA※

◆クリスタル・パレス
【IN】
GKビセンテ・グアイタ←ヘタフェ(スペイン)
MFシェイフ・クヤテ←ウェストハム
MFマックス・マイヤー←シャルケ(ドイツ)
FWジョルダン・アイェウ←スウォンジー※

【OUT】
MFヨアン・キャバイエ→アル・ナスル(UAE)
MFバカリ・サコ→無所属

◆ボーンマス
【IN】
DFディエゴ・リコ←レガネス(スペイン)
MFジェフェルソン・レルマ←レバンテ(スペイン)

【OUT】
MFマックス・グラデル→トゥールーズ(フランス)
MFハリー・アーター→カーディフ※

◆ウェストハム
【IN】
GKウカシュ・ファビアンスキ←スウォンジー
DFイサ・ディオプ←トゥールーズ(フランス)
MFカルロス・サンチェス←フィオレンティーナ(イタリア)
MFジャック・ウィルシャー←アーセナル
MFフェリペ・アンデルソン←ラツィオ(イタリア)
FWアンドリー・ヤルモレンコ←ドルトムント(ドイツ)
FWルーカス・ペレス←アーセナル

【OUT】
DFパトリス・エブラ→無所属
MFシェイフ・クヤテ→クリスタル・パレス
MFドミンゴス・クイナ→ワトフォード

◆ワトフォード
【IN】
DFアダム・マジーナ←ボローニャ(イタリア)
MFケン・セマ←エステルンド(スウェーデン)
MFドミンゴス・クイナ←ウェストハム
FWジェラール・デウロフェウ←バルセロナ(スペイン)

【OUT】
GKコステル・パンティリモン→ノッティング・フォレスト
FWリシャルリソン→エバートン


◆ブライトン&ホーヴ・アルビオン
【IN】
DFベルナルド←ライプツィヒ(ドイツ)
DFマルティン・モントーヤ←バレンシア(スペイン)
DFレオン・バログン←マインツ(ドイツ)
MFイヴ・ビスマ←リール(フランス)
FWアリレザ・ヤハンバクフシュ←AZ(オランダ)

【OUT】
GKティム・クルル→ノリッジ
FWジェイミー・マーフィー→レンジャーズ(スコットランド)

◆ハダースフィールド
【IN】
DFテレンス・コンゴロ←モナコ(フランス)
DFエリク・ドゥルム←ドルトムント(ドイツ)
MFラマダン・ソブヒ←ストーク・シティ
FWイサーク・ムベンザ←モンペリエ(フランス)※
FWアダマ・ディアカビ←モナコ(フランス)

【OUT】
GKロバート・グリーン→チェルシー
FWトム・インス→ストーク・シティ

◆サウサンプトン
【IN】
GKアレックス・ガン←マンチェエスター・シティ
DFヤニク・ヴェステルゴーア←ボルシアMG(ドイツ)
FWモハメド・エルヨナッシ←バーゼル(スイス)
FWダニー・イングス←リバプール※

【OUT】
MFドゥシャン・タディッチ→アヤックス(オランダ)
MFジョルディ・クラジー→フェイエノールト(オランダ)※
MFソフィアン・ブファル→セルタ(スペイン)
FWギド・カリージョ→レガネス(スペイン)※

◆ウォルバーハンプトン
【IN】
GKルイ・パトリシオ←スポルティング・リスボン(ポルトガル)
DFジョニー・カストロ←アトレティコ・マドリー(スペイン)※
MFジョアン・モウティーニョ←モナコ(フランス)
MFリーンデル・デンドンカー←アンデルレヒト(ベルギー)※
FWラウール・ヒメネス←ベンフィカ(ポルトガル)※
FWアダマ・トラオレ←ミドルズブラ

【OUT】
なし

◆カーディフ
【IN】
MFジョシュ・マーフィー←ノリッジ
MFハリー・アーター←ボーンマス※
MFビクトル・カマラサ←ベティス(スペイン)※

【OUT】
なし

◆フルアム
【IN】
GKセルヒオ・リコ←セビージャ(スペイン)※
DFティム・フォス=メンサー←マンチェスター・ユナイテッド※
DFカラム・チャンバース←アーセナル※
DFアルフィ・モーソン←スウォンジー
MFアンドレ・ザンボ=アンギッサ←マルセイユ(フランス)
MFジャン・ミシェル・セリ←ニース(フランス)
MFアンドレ・シュールレ←ドルトムント(ドイツ)※
FWアレクサンダル・ミトロビッチ←ニューカッスル
FWルシアーノ・ビエット←アトレティコ・マドリー(スペイン)※

【OUT】
DFライアン・フレデリックス→ウェストハム

※はレンタル移籍
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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑦~ソラーリ体制プレイバック~

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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑤~第一次ジダン体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ジネディーヌ・ジダン体制/2016-2018</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>現役時代に当代一の名選手としてあらゆる栄光を手にしていたジダン監督は、マドリーの下部組織から指導者生活をスタート。2013-14シーズンからのカルロ・アンチェロッティ体制下ではトップチームのアシスタントコーチも務め、経験を積んだ。しかし、当時はレアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)でしか監督経験がなく、その手腕の程は全くの未知数だった。 そして、ジダン監督就任時のマドリーは、規約違反によりコパ・デル・レイを失格となっており、リーガでも3位。チャンピオンズリーグ(CL)こそベスト16進出を決めていたものの、悲観的なムードが漂っていた。その混迷度合いは、本拠地サンティアゴ・ベルナベウで自チームにブーイングが飛び、前任者のラファエル・ベニテス前監督がわずか半年での解任を言い渡される程。このタイミングでのレジェンド登用には悲観的な意見も少なくなかった。就任当初、目指すべきものとしてはチーム再建やタイトルが掲げられていたが、周囲からのハードルはそれほど高く設定されていなかったのが実情だ。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>ジダン監督が就任してからのマドリーは、移籍市場において明確に方針を転換。FWアルバロ・モラタの復帰がビッグディールとなったが、これまでの様に世界的なスター選手に手は伸ばさず。MFダニ・セバージョスを獲得し、レンタルで経験を積んでいたMFアセンシオにトップチームでの機会を与えるなど、未来を見据えたオペレーションを目立たせた。同時に、既存のスタープレーヤーを不良債権化させることもなく、バランスの良いチーム作りを試みている。 基本となった布陣は守備的MFカゼミロをアンカーに据えた[4-3-3]だが、対戦相手によって複数のフォーメーションを使い分け。イスコをトップ下に配した[4-3-1-2]や、MFルーカス・バスケスとMFアセンシオを両サイドに置き安定感を重視した[4-4-2]など、多くのパターンを有した。特に、C・ロナウドをサイドでなく中央で起用するアイデアは、多くの得点をもたらしている。 さらに、2年目の2016-17シーズンにはAチーム、Bチームと言われる2つのチームを組み、ローテーション。主力のコンディション、若手を含む全選手の試合勘を保ち、あらゆる大会を勝ち抜く総力を培った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~ヴォルフスブルク戦の大逆転~</span> 就任時こそ悲観的な見方も多かったジダン政権だが、その声は半年後にはかき消え、2年半が経つ頃には大音量の声援へと変わっていた。言わずもがな、わずか半年でCLのタイトルを獲得し、前人未到の3連覇を達成したためだ。 さらに、初年度からリーガエスパニョーラでも凄まじいスピードで巻き返し、優勝したバルセロナとの勝ち点差はわずか「1」。ベニテス政権時のリーグ前半戦で0-4の大敗を喫していた“エル・クラシコ”でも、後半戦では2-1でリベンジを果たした。また、2年目には5年ぶりのリーガ奪還を成し遂げている。 指導者としても伝説的な成績を収めているジダン監督だが、その道程の中では2015-16シーズンのCL準々決勝ヴォルフスブルク戦がターニングポイントに挙げられる。マドリーはアウェイでの1stレグを0-2で落とし、絶体絶命となっていた。しかし、2ndレグではFWクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを記録し、3-0で終えて逆転突破。それから3年後、ユベントスに移籍したC・ロナウドが同様の偉業を成し遂げ、時を同じくしてジダン監督も再びマドリー指揮官に復帰したのは、何の因果か…。 ともあれ、ヴォルフスブルクを劇的な形で破ったマドリーは、勢いそのままに欧州制覇。その後も一切チャンピオンの座を渡すことなく、3連覇を果たした。 そして、2017-18シーズン終了と当時にジダン監督は電撃辞任。「今こそ変えなければ」、「勝てる気がしないときは何か変化が必要だ」と語り、マドリーでは稀有なことに好印象だけを残してクラブを去っていった。<hr>▽ジネディーヌ・ジダン 【在任期間】 2.5シーズン(2016/1/4~2018) 【戦績】 [2015-16シーズン]※半シーズン 公式戦27試合22勝3分け2敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点90) コパ・デル・レイ:-※規約違反により就任前に失格 [2016-17シーズン] 公式戦60試合44勝11分け5敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:優勝(勝ち点93) コパ・デル・レイ:ベスト8 [2017-18シーズン] 公式戦62試合39勝14分け9敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点76) コパ・デル・レイ:ベスト8 [合計] 公式戦149試合115勝28分け16敗 【主な獲得選手】 FWアルバロ・モラタ、DFテオ・エルナンデス、MFダニ・セバージョス 【主な放出選手】 FWアルバロ・モラタ、FWヘセ・ロドリゲス、FWデニス・チェリシェフ、MFハメス・ロドリゲス、DFアルバロ・アルベロア、DFダニーロ、DFペペ 2019.03.13 18:00 Wed
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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル④~ベニテス体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ラファエル・ベニテス体制/2015</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>選手としてマドリーの下部組織で育ったベニテス監督は、指導者としてのキャリアもマドリーのコーチからスタートさせた。その後、バレンシアで2度のリーガエスパニョーラ制覇を成し遂げて頭角を現すと、リバプールではチャンピオンズリーグ(CL)も獲得。しかし、リバプール以降はなかなかファンが求めているタイトルには手が届かず、戦術家としての手腕を評価される反面、人心掌握に関しては懐疑的な目が向けられていた。 マドリーは、前年を主要無冠で終えていたものの、前任者のカルロ・アンチェロッティ前監督が選手やファンから高い評価を得ており、ベニテス監督は強い逆風の中で到着。監督交代の必要性に関してフロレンティーノ・ペレス会長への批判も聞こえる中、ベニテス監督には主要タイトルの獲得だけでなく、クラシコやダービーなど重要な試合で手腕をアピールする必要があった。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>夏の移籍市場では、MFマテオ・コバチッチ、DFダニーロが大型補強となったほか、MFカゼミロをポルトからレンタルバック。反対に、MFサミ・ケディラやレジェンドGKイケル・カシージャスが退団し、左SBのバックアップを務めていたDFファビオ・コエントランもレンタルで放出された。 シーズン当初はMFイスコやMFベイルをトップ下に置き、MFトニ・クロースとMFルカ・モドリッチがボランチを務める攻撃的な[4-2-3-1]を多用していたが、次第に[4-3-3]にシフト。MFカゼミロをアンカーに配すバランス重視の形に落ち着き、内容に応じてMFコバチッチやMFハメス・ロドリゲス、FWヘセ・ロドリゲスといったバリエーション豊かなカードの投入で変化を付けた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~国王杯での恥辱~</span> 開幕戦こそスポルティング・ヒホンと0-0で引き分けたものの、その後のベティス戦を5-0、エスパニョール戦を6-0で進むなど、ベニテス監督の船出は順調だった。しかし、11月に入ってリーガでセビージャに2-3で敗北すると、翌節で宿敵バルセロナにも0-4で完敗。アンチェロッティ前監督解任で燻っていた不満が表面化し始めた。 さらに、ベニテス・マドリーはコパ・デル・レイ4回戦のカディス戦で出場停止処分中だったMFデニス・チェリシェフを起用してしまい、屈辱の失格処分。年末には、ベニテス監督の名前がコールされた際にホームスタンドからブーイングが飛ぶ状態となり、監督交代を行ったペレス会長の解任も叫ばれた。 そして、クラシコ大敗後にペレス会長が緊急記者会見でベニテス監督の続投を表明していたのも空しく、2016年1月4日に解任が発表されている。<hr>▽ラファエル・ベニテス 【在任期間】 0.5シーズン(2015/6/3~2016/1/4) 【戦績】 公式戦25試合17勝5分け3敗 チャンピオンズリーグ:グループステージ突破※解任時点 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点37)※第18節終了時点 コパ・デル・レイ:ベスト32※規約違反により失格 【主な獲得選手】 MFマテオ・コバチッチ、MFルーカス・バスケス、DFダニーロ 【主な放出選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFサミ・ケディラ、MFアシエル・イジャラメンディ、DFファビオ・コエントラン、GKイケル・カシージャス 2019.03.12 18:00 Tue
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終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル③~アンチェロッティ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆カルロ・アンチェロッティ体制/2013-15</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>ミラン長期政権時代にチャンピオンズリーグ(CL)を制し、チェルシーでも欧州の頂に立った経験を持つアンチェロッティ監督は、マドリー指揮官就任前年までパリ・サンジェルマン(PSG)を指揮。ビッグクラブで築いた輝かしい実績が評価され、ジョゼ・モウリーニョ前監督の後任としてチームの再建を託された。 前年までのマドリーでは、モウリーニョ前監督とGKイケル・カシージャスらの確執が各紙から噴出。穏やかで真摯な人柄で知られるアンチェロッティ監督には、ロッカールームの規律を取り戻すことが期待され、同時に当人が就任会見で宣言した通り“デシマ”(10度目の欧州制覇)達成が切望された。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>アンチェロッティ政権では、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲスといった強力なアタッカーのほか、退団間近となっていたMFシャビ・アロンソの穴にはMFトニ・クロースを獲得。負傷により度々欠けるDFマルセロのバックアップ問題は残されたものの、DFダニエル・カルバハルやGKケイロル・ナバスも加えたことで概ねの心配事は取り除かれた。 アーセナルに去ったMFメスト・エジルの代役は見つからなかったものの、2013-14シーズンからのマドリーはMFルカ・モドリッチを中心に据えた[4-3-3]にシフト。3トップの並びは“BBC”と呼ばれるユニットが固定されていたが、中盤の組み合わせに関しては2014-15シーズンからはMFトニ・クロースが欠かせない選手となり、MFハメス・ロドリゲス、MFイスコ、MFアシエル・イジャラメンディといった豊富な選択肢が用意されていた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~アトレティコとのダービーマッチ~</span> 見事に選手たちのポテンシャルを引き出したアンチェロッティ監督は、初年度から主要二冠を達成。コパ・デル・レイ決勝でバルセロナを破り、CL決勝でアトレティコ・マドリーを破ったとなれば、その喜びは尚更だ。リーガエスパニョーラでは両クラブの後塵を拝したものの、それをかき消すほどに、悲願の“デシマ”達成への称賛は止まなかった。 そして、2014-15シーズンの前半戦では前年の好調を引き継ぎ、公式戦22連勝を記録。しかし、そのシーズンにはスーペル・コパ、コパ・デル・レイでアトレティコに敗退に追い込まれ、リーガでの“マドリッド・ダービー”でも2敗を喫した。優勝したバルセロナ(勝ち点94)と勝ち点2差でタイトルを逃しており、ユベントスに敗れたCL以外の大会で、隣のクラブとの直接対決で失っている。 結局、2015年夏に解任されたアンチェロッティ監督に問われた責は、主要大会を無冠で終えたことだ。しかし、いずれの大会も惜しい所までは進んでおり、解任報道噴出時には選手たちがSNSを通じて慰留を呼び掛け。前年にクラブの悲願を達成した監督を追い出すにはあまりにもな状況だったが、だからこそアンチェロッティ政権からは、ペレス会長が長を務めるマドリーのシビアさが読み取れる。<hr>▽カルロ・アンチェロッティ 【在任期間】 2シーズン(2013-15) 【戦績】 [2013-14] 公式戦60試合46勝8分け6敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点87) コパ・デル・レイ:優勝 [2014-15] 公式戦59試合43勝6分け10敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点92) コパ・デル・レイ:ベスト16 [合計] 公式戦119試合89勝14分け16敗 【主な獲得選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲス、MFトニ・クロース、DFダニエル・カルバハル、GKケイロル・ナバス 【主な放出選手】 FWゴンサロ・イグアイン、FWアルバロ・モラタ、MFメスト・エジル、MFカカ、MFアンヘル・ディ・マリア、MFシャビ・アロンソ、DFラウール・アルビオル 2019.03.11 18:00 Mon
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