【質疑応答】選手の思いの強さを語る西野朗監督、ベルギー戦は「あのシナリオは自分の中では全く考えられない状況」《日本代表帰国会見》

2018.07.05 15:10 Thu
©超ワールドサッカー
▽ロシア・ワールドカップを終え、5日に帰国した日本代表。帰国会見が行われ、日本サッカー協会の田嶋幸三会長や西野朗監督、キャプテンの長谷部誠が出席した。

▽会見に出席した西野朗監督が報道陣の質問に応対。監督としての思いや、最後の試合となったベルギー戦について、さらには今後の日本代表、日本サッカーについての思いを語った。
◆西野朗監督(日本代表)
──お疲れ様でした。成田空港に到着して、多くのファン・サポーターが出迎えてくれたと思います。率直な感想を

「代表チームが海外で大会を終えて帰ってきます。これはサッカーだけでなく、個人的なスポーツもそうですが、成果を上げた中で、国民にそのスポーツ、競技の素晴らしさ、たくさんの方に感動や喜びを与えられた選手たちを迎えてくれる瞬間というのは、他のスポーツを見ても感じることですし、スポーツほどそれほどの感動を与えられるものは無いと思います」

「我々も日本を出るときに、ワールドカップで強いチャレンジをして、成果を上げて戻れれば、ああいった歓迎を受けられるんだろうなという思いもありましたし、必ずその期待に応えたいなという思いでチャレンジしてきました」
「ただ、今日たくさんの方に出迎えられましたけども、十分な大きな成果を上げてきたわけでも無いと思います。ワールドカップの厳しいところもご存知の上で、こうやって迎えてくれたと思います。本当に、最大の最高のチャレンジを出し尽くした選手たちの姿がおそらくロシアにあったと思います。結果だけではない戦いぶりが、皆さんに伝わって、今日空港に来られた方だけではないですが、多くの方にそういった部分は伝えられたのかなと思います」

「もっと高み、目標をサッカー界は2050年に(ワールドカップで)優勝するという目標を掲げています。次に繋がる1ページを、下のカテゴリーの世界に繋がる1ページ、半ページぐらいは示せたチーム力を出しきった気持ちがあります。私は素直に半分申し訳ないと主ながらも、今日の出迎えに対してはありがたいと思いますし、心から感謝したいと思いますし、次への力と思いたいところもあります。本当に嬉しい限りです」

──46日という数字が出てきましたが、この46日間はどのようなものだったか

「準備期間も自分の役割も短い間ということで、ハッキリしていました。まず、大きな財産があるわけです。ブラジルでの敗戦から選手たち、日本サッカー界が色々試行錯誤しながら活動し、強化し、ロシア(・ワールドカップ)の切符を取った。その後も強化をし、ロシアへ向かっている。わずかに私はその中で帯同し、チームを客観的に見る中で、5月21日に選手と会った時に、それだけではロシアでは戦えないなと感じました」

「今までのチーム力、力だけではと素直に思いました。それに向けて何かを劇的に変えられること。それは代表チームは叶うと思います。選手たちの能力も高いですし、培ってきたことプラス、わずかな期間で足していけば、何かチャレンジできるのではないか。対抗できるものんもあるのではないかということで、アプローチを選手やコーチたちにしてきました」

「選手たちが、まず今まで培ってきた財産プラス、何かを私以上に感じて、短い中で、体制が変わって、選手たちがそういった力を見つけてきた。自分はそのサポートをしてきたという感じです。選手たちが危機感があったのかもしれないですし、自分たちがやれることはまだあると感じながら、国内でのピッチから始まったのかなと。選手たちの意欲、遡ったらブラジル、その前の大会を経験した選手たちもそうかもしれません」

「ロシアでの強いチャレンジということに対して、選手たちがそういった気持ちでやってくれたこと。自分やコーチングスタッフがサポートした良いチームの中で、賭けであったという部分もあります。選手たちにも私にもありました。リスクを負って進む必要はありましたが、そういったことが意欲の中で好転していったということです。ガムシャラに自分がいて、選手たちに引っ張られたところもあります。本当に素晴らしい選手たちでした」

──ベルギー戦が終わってから、選手たちと話す機会があったと思いますがどの様な言葉をかけたか
(C)CWS Brains,LTD.

「ある選手が、グループステージを突破した翌日のミーティングでいきなり発言して、小さい選手なんですが。ブラジル(W杯)の話をしたかったんでしょうが、ブラジルという言葉を言った瞬間に言葉を詰まらせました。泣きじゃくりながら、なんとかブラジルからの思いを。グループステージをなんとか突破した翌日の話なので、おそらく回想しながら言葉が詰まった瞬間がミーティングルームでありました」

「僕も選手たちにロストフのベルギー戦が終わった後の倒れこんで背中で感じた芝生の感触、見上げた空の色だか感じだかを忘れるな。ベンチで座っていた居心地の悪いベンチのお尻の感触を忘れるな。そういった思いで、僕が言わなくても、恐らくその小さい選手がグループステージを突破した翌日に話してくれたことは、これからの4年、もっと早い段階で世界に追いつけるそういった姿勢というか、与えてくれた選手が居ました」

「私自身もそういった話をさせてもらいましたが、あの悔しさというのは、僕自身も感じたことが無いです。残り30分、自分の判断も猶予もない中で、ピッチ上の選手たちも3点目がいけるんじゃないかという思いで戦えて、あのベルギーに対していけた。ただ、残り30分であのような状況になって、何も修正できなかった。あれが世界だと思いますし、あれに対抗していくのがこれからですので、とにかく前へという中の日々鍛えて、成長していかないといけないねという話でした」

──監督人事は白紙とのことだが、自身として今後にういてはどう考えているか

「契約が今月の末日までですので、この任を受けた瞬間から、ワールドカップ終了までという気持ちだけでやってこさせてもらいました。今は、(大会の)途中でこういった形になりましたが、任期を全うしたという気持ちでおります」

──ベルギー戦直後に「何が足りないんでしょうね」と振り返っていました。足りないものは何と感じていますか。また、4年後に向けて協会に伝えたいことは

「あの言葉を発するまでに少し時間を頂いたと思いますが、ゲームが日本にとって好転していっている中で、あのシナリオは自分の中では全く考えられない状況でした。あの30分間で、判断できるスピード感が自分の中になかった。その中での判断や選手へのメッセージ、まさかあの状況になるということが考えられませんでした」

「このベルギーに対して、3点目を行けるというチーム力に自信がありました。実際にそういったチャンスもありました。ただ、紙一重の所で流れが変わってしまう。私だけではなく、選手もまさかという30分だったと思います」

「それに対して、選手がというよりは、何が足りないかというのは自問していたことで、こういった時にどういった感覚が働けば良いのかなとか。グループステージ3試合目の10分というのもあるんですが、チームが1つになっていく方向性を出せる瞬間というのは、その瞬間なので、それができなかったベルギー戦の残り時間。そこに対して「何が足りないなだろうな」という思いです。自分に対してです」

「これからですが、A代表が爆発的に成長していくことは、各国ないと思います。今は日本のアンダーカテゴリーの代表チームは、本当に期待できます。U-20、U-17、本当に世界と渡り合える力があると思います。着実に育成に対して協会が働きかけてきた状態だと思いますし、単純に4年後のカタールにと漠然と言っているわけではなく、着実に下のカテゴリーの選手の底上げ。A代表もU-20の選手が取って代わるような状況であるとも感じています」

「本当にスケールの大きいダイナミックかつ、日本人らしいボールを使ったサッカーができる。そういった、期待できる育成に対して、さらにというところを掛けていかないと、一朝一夕にA代表というわけには行きません」

「海外組、国内組というそういった選手たちが融合していかなければいけない難しさがあります。これは、シーズンが違うからです。ヨーロッパと日本の中で。これを合わせていく。9、10、11月の代表戦が、毎年毎年強化にならないという状況は、シーズンが違うからです。選手たちのステージがそれぞれ違うということ。個は成長していくものの、チームとして、A代表として、各カテゴリもU-20でも海外でやっている選手もいるので、そういった選手たちの融合、チームとしてどう持って行くことを改善はなかなか難しいですが、考える必要はあると思います」

──最後にメッセージ

「自分のキャリアがU-20の監督をやり、オリンピックの監督を経験させてもらい、長くJリーグで16シーズン続けてやってきました。その上で、サッカー協会から技術委員長として2年、そしてワールドカップ直前に監督ということで、自分とすれば全てのカテゴリー、クラブで経験させてもらいました。本当に大きな最後のミッションだったと思いますが、7月末で契約満了という中では、精一杯貢献したいです」

「ワールドカップを総括ということでは、私は行きません。4年かけてきた長谷部以下選手たちが、切磋琢磨してロシアを目指した。そのアプローチに自分が最後の46日間だけ一緒に居させてもらっただけで、全てを振り返ることはできません」

「現場の選手たちの思いというのは、想像以上に強く、そういった選手たちのリーダーとして長谷部が心の中を前日の夜中に来て、代表引退を自分に伝えてくれました。心の中は「えっ、まだだろ」というのはありますが、これも想像以上の長谷部の気持ちがある。そこも計り知れないところがあります。長谷部が決断したことなので、尊重したいと思いました」

「そういったリーダーに導かれた代表チームの力も計り知れないと思います。次代のリーダーがどういった形になるか、大変なポジションですし、そういった選手が長谷部を超える選手がリーダーに立たないといけないと思います。チームはリーダーに支えられ、たくさんのスタッフに支えられてできていることを感じました。大切さを感じました。ありがたく思っています」

「根底にあるのは、国民のサッカーに対する関心、興味というのがもっともっと増えていくための活動を、代表チームは絶対にしなくてはいけないと強く感じていますし、間違いなく未来はアンダーカテゴリーを含めて、素晴らしい世界での活動があると思うので、みなさんもたくさん応援してあげて欲しいなと思います。本当にありがとうございました」
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U-23日本代表は25日、AFC U-23アジアカップ準々決勝でU-23カタール代表と対戦し、2-2のスコアで90分の戦いが終了。延長戦に突入することになった。 3.5枠のパリ・オリンピック出場権を懸けたアジア最終予選となる今大会。上位3チームがストレートイン、4位チームがアフリカ予選4位のU-23ギニア代表との大陸間プレーオフに臨む。 グループステージ最終節でU-23韓国代表に0-1と競り負けてグループB2位通過となった日本は、この準々決勝でグループA首位通過で開催国のカタールと対峙した。 大岩剛監督は引き続き[4-3-3]の布陣を採用した中、韓国戦から高井幸大を除く先発10人を変更。GKに小久保玲央ブライアン、4バックは右から関根大輝、高井幸大、木村誠二、大畑歩夢。中盤は藤田譲瑠チマをアンカーに配し、インサイドハーフに山本理仁、松木玖生。3トップは右から山田楓喜、細谷真大、佐藤恵允が並んだ。 試合は開始早々に日本が動かす。開始2分、自陣右サイドで関根が縦に蹴り込んだロングフィードは相手に渡るが、バックパスを狙っていた山田楓がボックス手前右でカット。そのまま内側に切り込んで得意の左足を振り抜くと、ほぼ回転のない鋭いシュートがゴール右に突き刺さった。 今大会好調のレフティーの鮮烈な一撃によって電光石火の先制点を挙げた日本。以降はカタールの反応を窺いつつ、前から圧力をかけて主導権掌握を目指す。10分にはボックス付近で藤田が果敢にドリブルで仕掛け、ボックス右のライン際から浮き球クロス。これをゴール前の細谷が頭で合わすが、DFの寄せもあって枠を捉え切れない。 立ち上がりの攻防でペースを掴んだ日本は、早い時間帯の追加点を奪うべく松木のミドルシュートや山田楓の直接FKで相手ゴールを脅かしていく。だが、前半半ばには一瞬の隙を突かれて同点に追いつかれる。 24分、左から中央を経由したボールが意図せずに流れると、アル・ヤジディが早いタイミングで正確なクロスを供給。これをボックス中央でDF関根を振り切ったアル・ラウィに打点の高いヘディングで合わされると、GK小久保が一歩も動けずにゴール右上隅に突き刺さった。 ここまで良い戦いを見せながらも一発の怖さを改めて実感させられた日本。この失点によって相手に流れを持っていかれる形となったが、時間の経過と共に押し返していく。37分には左サイドでのスローインからボックス左で収めた松木がゴールライン際から鋭いクロス。これにファーの細谷が反応したが、懸命に伸ばした右足のワンタッチシュートは枠の右に外れる。 だが、この直後の38分には松木が背後に入れた縦パスに反応した細谷がボックスギリギリの位置でGKユセフと交錯。ユセフは先にヘディングでボールをクリアしたが、その際に右足裏で細谷の腹部を蹴っており、レッドカードに値する危険なプレーの可能性があるとしてオンフィールド・レビューの対象に。結果的に主審は意図的な悪質なプレーと判断し、ユセフにレッドカードを掲示した。 これで数的優位を手にした日本は相手が10人で守り慣れる前に、10分が加えられたアディショナルタイムで攻勢を仕掛けたが、割り切って後ろを固めたカタールの守備をこじ開けるまでには至らず。1-1のイーブンで試合を折り返した。 迎えた後半、大岩監督はカードトラブルも意識してか、松木を下げて藤尾翔太をハーフタイム明けに投入。[4-4-2]の形で10人のカタール守備攻略を目指す。 だが、立ち上がりの49分には自陣中央左で与えたFKの場面で、キッカーのモスタファ・タレクに左足の正確なボールを入れられると、藤尾の背後に走り込んだジャッセム・ガベルにドンピシャのヘディングシュートを叩き込まれ、痛恨の逆転ゴールを奪われた。 日本はすぐさま反撃を開始。55分にはFKの二次攻撃から右サイドでこぼれ球を回収した山田楓がそのままボックス内に侵入し、グラウンダーの正確な折り返しを供給。これをゴール前の高井が右足ダイレクトで狙うが、うまくミートできない。 アル・ラウィを起点としたカウンターに、狡猾に時計を進めるカタールの戦いを前に焦れる展開が続く日本だが、再三獲得してきたセットプレーでスコアをタイに戻す。 67分、右CKの場面でキッカーの山本が左足インスウィングの正確なクロスを上げると、ゴール前にタイミング良く走り込んだ木村がゴール左隅へヘディングシュートを流し込んだ。 木村の今大会2点目で良い時間帯に追いついた日本は、勝ち越しを目指して攻勢を強める。だが、接触プレーのたびに痛がって時計を止めるカタールの徹底したスタイルの影響もあり、なかなかリズムを掴み切れない。その中で右サイドの関根が再三効果的なクロスボールで決定機を演出するが、藤尾らが仕留め切れない。 その後、83分には佐藤を下げて平河悠を2枚目のカードとして投入。90分で決着を付けるべく攻め続ける。さらに、9分が加えられたアディショナルタイムには山田楓を下げて荒木遼太郎を投入したが、最後までゴールをこじ開けることはできず。ベスト4の行方は延長戦へと委ねられることになった。 U-23カタール代表 2-2 U-23日本代表 【カタール】 アル・ラウィ(前24) ジャッセム・ガベル(後4) 【日本】 山田楓喜(前2) 木村誠二(後22) ◆U-23日本代表出場メンバー GK 小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル) DF 関根大輝(柏レイソル) 高井幸大(川崎フロンターレ) 木村誠二(サガン鳥栖) 大畑歩夢(浦和レッズ) MF 山本理仁(シント=トロイデン/ベルギー) 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー) 松木玖生(FC東京) →HT 藤尾翔太(FC町田ゼルビア) FW 山田楓喜(東京ヴェルディ) →90分+6 荒木遼太郎(FC東京) 細谷真大(柏レイソル) 佐藤恵允(ブレーメン/ドイツ) →83分 平河悠(FC町田ゼルビア) 2024.04.26 01:13 Fri

山田楓喜の鮮烈ミドルで開始早々先制も1-1で前半終了…カタール守護神退場で数的優位生かせるか【AFC U-23アジアカップ】

U-23日本代表は25日、AFC U-23アジアカップ準々決勝でU-23カタール代表と対戦し、前半を1-1のスコアで終えた。 3.5枠のパリ・オリンピック出場権を懸けたアジア最終予選となる今大会。上位3チームがストレートイン、4位チームがアフリカ予選4位のU-23ギニア代表との大陸間プレーオフに臨む。 グループステージ最終節でU-23韓国代表に0-1と競り負けてグループB2位通過となった日本は、この準々決勝でグループA首位通過で開催国のカタールと対峙した。 大岩剛監督は引き続き[4-3-3]の布陣を採用した中、韓国戦から高井幸大を除く先発10人を変更。GKに小久保玲央ブライアン、4バックは右から関根大輝、高井幸大、木村誠二、大畑歩夢。中盤は藤田譲瑠チマをアンカーに配し、インサイドハーフに山本理仁、松木玖生。3トップは右から山田楓喜、細谷真大、佐藤恵允が並んだ。 試合は開始早々に日本が動かす。開始2分、自陣右サイドで関根が縦に蹴り込んだロングフィードは相手に渡るが、バックパスを狙っていた山田楓がボックス手前右でカット。そのまま内側に切り込んで得意の左足を振り抜くと、ほぼ回転のない鋭いシュートがゴール右に突き刺さった。 今大会好調のレフティーの鮮烈な一撃によって電光石火の先制点を挙げた日本。以降はカタールの反応を窺いつつ、前から圧力をかけて主導権掌握を目指す。10分にはボックス付近で藤田が果敢にドリブルで仕掛け、ボックス右のライン際から浮き球クロス。これをゴール前の細谷が頭で合わすが、DFの寄せもあって枠を捉え切れない。 立ち上がりの攻防でペースを掴んだ日本は、早い時間帯の追加点を奪うべく松木のミドルシュートや山田楓の直接FKで相手ゴールを脅かしていく。だが、前半半ばには一瞬の隙を突かれて同点に追いつかれる。 24分、左から中央を経由したボールが意図せずに流れると、アル・ヤジディが早いタイミングで正確なクロスを供給。これをボックス中央でDF関根を振り切ったアル・ラウィに打点の高いヘディングで合わされると、GK小久保が一歩も動けずにゴール右上隅に突き刺さった。 ここまで良い戦いを見せながらも一発の怖さを改めて実感させられた日本。この失点によって相手に流れを持っていかれる形となったが、時間の経過と共に押し返していく。37分には左サイドでのスローインからボックス左で収めた松木がゴールライン際から鋭いクロス。これにファーの細谷が反応したが、懸命に伸ばした右足のワンタッチシュートは枠の右に外れる。 だが、この直後の38分には松木が背後に入れた縦パスに反応した細谷がボックスギリギリの位置でGKユセフと交錯。ユセフは先にヘディングでボールをクリアしたが、その際に右足裏で細谷の腹部を蹴っており、レッドカードに値する危険なプレーの可能性があるとしてオンフィールド・レビューの対象に。結果的に主審は意図的な悪質なプレーと判断し、ユセフにレッドカードを掲示した。 これで数的優位を手にした日本は相手が10人で守り慣れる前に、10分が加えられたアディショナルタイムで攻勢を仕掛けたが、割り切って後ろを固めたカタールの守備をこじ開けるまでには至らず。1-1のイーブンで試合を折り返した。 U-23カタール代表 1-1 U-23日本代表 【カタール】 アル・ラウィ(前24) 【日本】 山田楓喜(前2) ◆U-23日本代表出場メンバー GK 小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル) DF 関根大輝(柏レイソル) 高井幸大(川崎フロンターレ) 木村誠二(サガン鳥栖) 大畑歩夢(浦和レッズ) MF 山本理仁(シント=トロイデン/ベルギー) 藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー) 松木玖生(FC東京) FW 山田楓喜(東京ヴェルディ) 細谷真大(柏レイソル) 佐藤恵允(ブレーメン/ドイツ) 2024.04.25 23:58 Thu

U-23日本代表、パリ五輪へ勝利必須のカタール戦のスタメン発表! 韓国戦から10名変更で、ベストメンバーで臨む

25日、AFC U23アジアカップの準々決勝のU-23カタール代表vsU-23日本代表が行われる。 3.5枠のパリ・オリンピック出場権をかけるアジア最終予選となる大会。ここが最も大きな山場のステージとなる。 ここで敗れた国はパリ行きの切符を手放すことが確定。逆に勝利すれば、大陸間プレーオフを含めて切符獲得の可能性が残る。 初戦のU-23中国代表戦で退場となったDF西尾隆矢(セレッソ大阪)は3試合の出場停止の3試合目。ここまで起用ができないという状況となっている。 大岩剛監督は韓国戦から10名を変更。DF高井幸大(川崎フロンターレ)のみが継続して先発出場。GKは小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル)が戻り、右サイドバックに関根大輝(柏レイソル)、左サイドバックに大畑歩夢(浦和レッズ)、センターバックの一角に木村誠二(サガン鳥栖)がはいる。 中盤は藤田譲瑠チマ、山本理仁(シント=トロイデン)に松木玖生(FC東京)と盤石の3人に。3トップも左に佐藤恵允(ブレーメン)、右に山田楓喜(東京ヴェルディ)、トップに細谷真大(柏レイソル)となった。 U-23カタール代表戦は25日の23時00分キックオフ。NHKとDAZNで中継される。 ◆日本代表スターティングメンバー GK 1.小久保玲央ブライアン(ベンフィカ/ポルトガル) DF 4.関根大輝(柏レイソル) 5.木村誠二(サガン鳥栖) 21.大畑歩夢(浦和レッズ) 22.高井幸大(川崎フロンターレ) MF 7.山本理仁(シント=トロイデン/ベルギー) 8.藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー) 17.松木玖生(FC東京) FW 10.佐藤恵允(ブレーメン/ドイツ) 11.山田楓喜(東京ヴェルディ) 19.細谷真大(柏レイソル) ◆サブ GK 12.野澤大志ブランドン(FC東京) 23.山田大樹(鹿島アントラーズ) DF 2.半田陸(ガンバ大阪) 15.鈴木海音(ジュビロ磐田) 16.内野貴史(デュッセルドルフ/ドイツ) MF 6.川崎颯太(京都サンガF.C.) 13.荒木遼太郎(FC東京) 14.田中聡(湘南ベルマーレ) FW 9.藤尾翔太(FC町田ゼルビア) 18.内野航太郎(筑波大学) 20.平河悠(FC町田ゼルビア) ◆出場停止 3.西尾隆矢(セレッソ大阪) 2024.04.25 21:48 Thu
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