【原ゆみこのマドリッド】勝ってもまだ安心はできない…
2018.06.23 13:00 Sat
▽「マドリッドより暑いとは」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、スペイン代表がW杯中のベースキャンプにしているクラスノダール(ロシア南西部)の気温が37度もあると、現地からの生中継で聞いた時のことでした。いやあ、今年はちょっと遅めだったんですが、1週間程前からようやくマドリッドも真夏モードに突入。30度を超えるようになったため、冷房のない部屋で試合を見ているのが自分も辛くなってきたとはいえ、あの涼しそうなイメージのあるロシアでまさか、プレシーズンキャンプ並の猛暑に選手たちが耐えているとは!
▽いえ、イラン戦のあったカザンから戻った翌日、セルヒオ・ラモスとルーカス・バスケス(レアル・マドリー)がマイナス100度近い小部屋に入って凍結療法を受けていたのは、別に暑さでバテたせいじゃないと思いますけどね(http://www.sefutbol.com/dentro-soportaran-sergio-ramos-y-lucas-vazquez-temperaturas-100o)。午前中、先発組はジムでのリハビリトレ、控え組はグラウンドでの練習を終えた後、イアゴ・アスパス(セルタ)、アスピリクエタ(チェルシー)、ナチョ、アセンシオ(マドリー)、サウール(アトレティコ)、オディオソラ(レアル・ソシエダ)らなどは合宿先のFCクラスノダールのユース施設で日光浴(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/06/21/5b2bd3bb268e3e312e8b45bd.html)と24時間のフリータイムを満喫していたようですが、こんなノンビリしていられるのもグループリーグ2戦目で勝利を掴めたおかげだったかと。
▽4年前、オランダとチリに連敗して、2試合ですでに敗退が決まってしまったブラジル大会からすれば、天と地の差ですが、幸いキャンプ地のクリチバが低気温でサルバドールやリオ・デジャネイロで暑さに苦しんだ当時とは気候も真逆。来週月曜に決勝トーンナメント進出の懸かった最終戦が行われるカリニングラード(ロシア北西部)など、13度とプレーしやすい気温のようですし、おまけに相手は初戦で終盤のオウンゴールでイランに、2戦目も開始早々、クリスチアーノ・ロナウド(マドリー)がCKからヘッドで今大会4得点目を挙げたポルトガルに、どちらも1-0で連敗してすでにグループ敗退が決定。となれば、引き分けぐらいには何とか、持ち込めるんじゃないかと思うんですが…。
▽え、あまりマドリッドがW杯で盛り上がっていないようなのは今回もスペインが、あの国際メジャータイトル3連覇を果たした黄金期、2008~2012年程の強さを見せてくれていないからじゃないのかって?うーん、バルセロナや他の都市ではあるようですが、オープンエアに大型スクリーンを設置してのバプビックビューイングゾーンがグループリーグ中、市内にないのはおそらく、たった3試合で終わった前大会の苦い経験からなのかもしれませんけどね。今回は中継がオープン放送で皆、自宅で試合を見られてしまうため、スペイン戦以外の時間帯はセントロ(市内中心部)のバル(喫茶店兼バー)も静かなものでしたが、まあそれは置いておいて。
▽というのも水曜のイラン戦、彼らはケイロス監督率いるイランの超守備的プレーに大苦戦。その対策は一応お、イエロ監督も考えて、ポルトガル戦の先発からコケ(アトレティコ)とナチョを外し、「左サイドはイスコ(マドリー)で優位になるようにして、右サイドはルーカス・バスケスとカルバハル(マドリー)でオープンにプレーさせる」というスタメン変更をしたんですけどね。相手は10人全員が自陣で守っている上、前半のうちから次から次へと選手がピッチに倒れ、スローインにもGKキックにも延々と時間かけているって、サンティアゴ・ベルナベウやワンダ・メトロポリターノに来た下位チームじゃあるまいし、世界中に放送されるW杯ではかなり珍しい光景だったかと。
▽そんな状態でしたから、後半も辛抱して敵エリアを囲みながら、チャンスを伺うしかないのかと、私もハーフタイム中はあまり楽観的になれなかったんですが、スペインにツキが回ったのは再開して間もなく、9分のこと。いえ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が送ったスルーパスを受けたコスタは2人のDFに挟まれて、シュートを撃つスペースがなかったんですけどね。レザエイアンがクリアしようとしたボールが彼のヒザに当たり、ゴールを割ってしまったから、これをラッキーと言わず何と言う?
▽ただねえ、これでようやく先制点を奪った彼らでしたが、そこからイランの猛反撃が始まったんですよ。初戦でのミスもあり、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が忙しくなるのも怖かったんですが、16分など、FKからエザトラヒのシュートがゴールに入ってしまったから、さあ大変!イランの選手たちはもちろん、団子になって喜んでいましたが、ちょっと待って。「El asistente ha pitado el fuera de juego, el VAR lo ha confirmado/エル・アシステンテ・ア・ピタードー・エル・フエラ・デ・フエゴ、エル・バル・ロ・ア・コンフィルマードー(線審がオフサイドを取っていて、VARがそれを確認した)」と後でピケ(バルサ)も説明していたようにフラッグが上がっていたため、その場は追いつかれずに済んだんですが…。
▽いやあ、どうも最近のスペインはボールをキープして守ることが昔のように上手くできなくなったようで、ええ、初戦も最後にロナウドにFKを決められて、3-3のドローに持ち込まれていましたしね。この日もイニエスタをコケにして中盤を固めようとしたんですが、それまで羊の皮をかぶっていたイランにいつゴールを奪われるか、試合終了の笛が鳴るまでどんなにヒヤヒヤしたことか。実際、リフレッシュにアセンシオ(マドリー)やロドリゴ(バレンシア)が入っても追加点には繋がらなかったんですが、0-1でも勝ちは勝ち。これでその日、先にモロッコを下して勝ち点4としたポルトガルと並び、得失点差、総得点でも同じだったため、イエローカードが1枚少ないというフェアプレー基準差とはいえ、グループ首位に立てたのは良かったかと。
▽まあそのフェアプレーは試合後、「Iran practica el antifutbol/イイラン・プラクティカ・エル・アンティフトボル(イランのサッカーはアンチサッカーだ)」と批判していたカルバハルにケイロス監督が、「Que Carvajal le diga eso a Ramos, que dejo a Salah sin Mundial/ケ・カルバハル・レ・ディガ・エソ・ア・ラモス、ケ・デホ・ア・サラ・シン・ムンディアル(カルバハルはそれをラモスに言ったらいい。彼はサラ(リバプール)からW杯を奪った)」と反論していたのとはまったく関係ないんですけどね。実は1位で勝ち抜けた方がいいのかどうかは微妙で、というのも16強対決で当たるグループAではすでに進出2チームが決定。
▽サウジアラビアに5-0と大勝した後、サラのいるエジプトも3-1で下した開催国ロシアが1位、ルイス・スアレス(バルサ)のゴールでサウジアラビアを破って2連勝したウルグアイが2位なんですが、両者が最終節で対戦するため、あちらもどちらが首位になるのか。ウルグアイにはキャプテンのゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビがいるため、チームメートのコスタが苦労しそうというのもありますし、ルイス・スアレスやカバーイ(PSG)を擁する相手の前線とデ・ヘアが対戦するのはちょっとお勧めできないかも。
▽まあ、それも月曜午後8時(日本時間翌午前3時)キックオフのモロッコ戦、同じ時刻に行われるイランvsポルトガル戦の結果次第。勝ち点3のイランにもまだ突破の可能性があるため、ポルトガルも簡単には勝てないかと思いますが、アシャフ(マドリー)やアムラバット(レガネス)、ファジル(ヘタフェ)ら、マドリッド勢が大会を去る前にここまで見せてきたいいサッカーを結果に結びつけたいと張り切っているモロッコに、まだ先発見直し中のスペインが足元をすくわれたりしないといいんですが。
▽そして翌木曜はグリーズマンとリュカ(アトレティコ)、そしてバラン(マドリー)のいるフランスがエムバペ(PSG)のゴールでペルーに1-0で勝利、2連勝で決勝トーナメント進出を決めるのをネットでチェックしながら、私は久々に遠出。というのもマドリッド勢弟分のレガネスが珍しいことに、メトロ(地下鉄)で行けるcentro commercial(セントロ・コメルシアル/ショッピングセンター)、Sambil Outlet(サンビル・アウトレット)にあるオフィシャルショップで2018-19シーズン用ユニフォーム(54.99ユーロ/約7150円と85~140ユーロ/1万1000~1万8000円のマドリーやアトレティコよりかなり安い))のプレゼンをすると聞いたからですが、シマノフスキとレガネスBのカンテラーノ、女子ユースの選手がモデルで登場し、イベントが行われている間も近くにあるキッズスペースでは子供たちが走り回っていたのはご愛敬だったかと。
▽ちなみに「Me ha tocado porque no había otro en Madrid estos días/メ・ア・トカードー・ポルケ・ノー・アビア・オトロ・エン・マドリッド・エストス・ディアス(ボクがやることになったのは今の時期、マドリッドには他の選手がいなかったから)」とジョークを言っていたシマノフスキは昨季、ケガで半年を棒に振り、手術後の今もなるたけ早くチームのプレシーズンに合流できるようリハビリ中。休暇もイビサ(地中海にあるリゾートアイランド)に5日間行っただけだったそうですが、何せ毎年、多数入れ替わるレガネスには現在、13人しか選手がいないそうですからね。レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督の後任、ペジェグリーノ監督の到着も7月とあって、彼も早く家に帰って、クロアチアに挑む母国アルゼンチンを応援したかったのでは?
▽ええ、それは私も同じ気持ちで近所のバルに寄って試合の後半を見ることにしたんですが、いやあ、まさかクロアチアがあんなに強いとは!GKカバジェーロ(マンチェスター・シティ)のゴールキックミスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだラビッチ(アイントラハト・フランクフルト)はともかく、やはりお店にはマドリーファンが多かったんでしょうね。モドリッチ(マドリー)のミドルシュートが決まった時には歓声が上がっていましたし、逆にメッシがラキティッチ(バルサ)にゴール前でボールをクリアされてしまった際には拍手も出ていたって、いえ、どちらもバルサなんですけどね。ロスタイムにはそのラキティッチも決めて、とうとう0-3で1位突破してしまうんですから、何とも恐ろしい。
▽逆にグループリーグ敗退の危機に陥ったアルゼンチンでは、先制点をプレゼントしてしまったカバジェーロを始め、「Nosotros trabajamos todo el tiempo para que la pelota le llegue a Messi/ノソトロス・トラバハモス・トードー・エウ・ティエンポー・パラ・ケ・ラ・ペロータ・レ・ジェゲ・ア・メッシ(ウチはボールをメッシに届けるため、常に努力している)」というサンパオリ監督の偏った戦術の失敗や、そのメッシ本人の無気力にも見えるプレーぶりに批判が集まっていたんですけどね。「彼は凄い選手だけど、en el futbol hay que tener ayuda/エン・エル・フトボル・アイ・ケ・テネール・アジュダ(サッカーでは助けがないといけない)」(モドリッチ)というのは本当ですから、この日は上手く彼をボールから遠ざけた相手の作戦勝ちだったかと。
▽ただ驚かされたのはこの試合の後、次男のジャンルカ君がプロデビューする試合を見るため、現在チリに滞在中のシメオネ監督と”モノ”・ブルゴス第2監督の私的な会話がマスコミに漏れたことで、曰く、「メッシはいい選手だが、素晴らしい選手たちと一緒にプレーするからいいんだ。Si tenés que elegir entre Messi y Ronaldo para un equipo normal, ¿a quién elegirías?/シー・テネス・ケ・エレヒル・エントレ・メッシ・イ・ロナウド・パラ・ウン・エキポ・ノルマル、ア・キエン・エレヒリアス(普通のチームのために選ぶとしたら、メッシとロナウド、どちらを選ぶ?)」って、うーん、アトレティコにはロナウドでしょうか。
▽もちろん、そんなお金もありませんし、グリーズマンの契約延長も決まったため、別に来なくていいんですが、確かにスペイン戦のハットトリックもモロッコ戦の決勝点もロナウドには1人でやり遂げてしまった感がなきにしろあらず。ただ、そうは言ってもメッシも昨年のW杯南米予選最終節で3得点を挙げ、アルゼンチンを本大会にねじ込んでしまったという実績がありますしね。来週火曜のナイジェリア戦は何が起こるか要注目。
▽大まかに言うと、彼らが勝って、アイスランドがクロアチアに引き分け以下なら突破できるそうですが、何せ、日曜には乾貴士選手(ベティス)や柴崎岳選手(ヘタフェ)の再度の活躍が期待される日本vsセネガル戦も控えていますしね。グループリーグが終わるまであと1週間、私がTVをつけっぱなしにしている日々もしばらく続きそうです。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
▽いえ、イラン戦のあったカザンから戻った翌日、セルヒオ・ラモスとルーカス・バスケス(レアル・マドリー)がマイナス100度近い小部屋に入って凍結療法を受けていたのは、別に暑さでバテたせいじゃないと思いますけどね(http://www.sefutbol.com/dentro-soportaran-sergio-ramos-y-lucas-vazquez-temperaturas-100o)。午前中、先発組はジムでのリハビリトレ、控え組はグラウンドでの練習を終えた後、イアゴ・アスパス(セルタ)、アスピリクエタ(チェルシー)、ナチョ、アセンシオ(マドリー)、サウール(アトレティコ)、オディオソラ(レアル・ソシエダ)らなどは合宿先のFCクラスノダールのユース施設で日光浴(http://www.marca.com/futbol/seleccion/2018/06/21/5b2bd3bb268e3e312e8b45bd.html)と24時間のフリータイムを満喫していたようですが、こんなノンビリしていられるのもグループリーグ2戦目で勝利を掴めたおかげだったかと。
▽え、あまりマドリッドがW杯で盛り上がっていないようなのは今回もスペインが、あの国際メジャータイトル3連覇を果たした黄金期、2008~2012年程の強さを見せてくれていないからじゃないのかって?うーん、バルセロナや他の都市ではあるようですが、オープンエアに大型スクリーンを設置してのバプビックビューイングゾーンがグループリーグ中、市内にないのはおそらく、たった3試合で終わった前大会の苦い経験からなのかもしれませんけどね。今回は中継がオープン放送で皆、自宅で試合を見られてしまうため、スペイン戦以外の時間帯はセントロ(市内中心部)のバル(喫茶店兼バー)も静かなものでしたが、まあそれは置いておいて。
▽というのも水曜のイラン戦、彼らはケイロス監督率いるイランの超守備的プレーに大苦戦。その対策は一応お、イエロ監督も考えて、ポルトガル戦の先発からコケ(アトレティコ)とナチョを外し、「左サイドはイスコ(マドリー)で優位になるようにして、右サイドはルーカス・バスケスとカルバハル(マドリー)でオープンにプレーさせる」というスタメン変更をしたんですけどね。相手は10人全員が自陣で守っている上、前半のうちから次から次へと選手がピッチに倒れ、スローインにもGKキックにも延々と時間かけているって、サンティアゴ・ベルナベウやワンダ・メトロポリターノに来た下位チームじゃあるまいし、世界中に放送されるW杯ではかなり珍しい光景だったかと。
▽おかげでイラついたジエゴ・コスタ(アトレティコ)など、なかなかボールを蹴らないGKベイランバンドに詰め寄り、つま先を踏みかけて相手が転倒。VAR(ビデオ審判)による退場勧告が主審に入るんじゃないかとドキドキしたものでしたが、当人も後で「Hay tantas camaras que no puedes hacer el tonto/アイ・タンタス・カマラス・ケ・ノー・プエデス・アセール・エル・トント(あれだけTVカメラがあるんだから、バカな真似はできないよ)」と言っていた通りセーフ。事なきを得ましたが、何せカザン・アレーナ(ルビン・カザンのホーム)のスタンドは相手サポーター1万5000人に対し、決勝トーナメントまで出控えているのか、スペイン人1000人という大劣勢でしたからね。スコアレスドロー狙いの時間稼ぎにpito(ピト/ブーイング)が出る訳もなく、場内にはイラン人たちが持ち込んだ南アフリカ大会を思い出させるブブセラが響き渡るばかりでしたっけ。
▽そんな状態でしたから、後半も辛抱して敵エリアを囲みながら、チャンスを伺うしかないのかと、私もハーフタイム中はあまり楽観的になれなかったんですが、スペインにツキが回ったのは再開して間もなく、9分のこと。いえ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が送ったスルーパスを受けたコスタは2人のDFに挟まれて、シュートを撃つスペースがなかったんですけどね。レザエイアンがクリアしようとしたボールが彼のヒザに当たり、ゴールを割ってしまったから、これをラッキーと言わず何と言う?
▽ただねえ、これでようやく先制点を奪った彼らでしたが、そこからイランの猛反撃が始まったんですよ。初戦でのミスもあり、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が忙しくなるのも怖かったんですが、16分など、FKからエザトラヒのシュートがゴールに入ってしまったから、さあ大変!イランの選手たちはもちろん、団子になって喜んでいましたが、ちょっと待って。「El asistente ha pitado el fuera de juego, el VAR lo ha confirmado/エル・アシステンテ・ア・ピタードー・エル・フエラ・デ・フエゴ、エル・バル・ロ・ア・コンフィルマードー(線審がオフサイドを取っていて、VARがそれを確認した)」と後でピケ(バルサ)も説明していたようにフラッグが上がっていたため、その場は追いつかれずに済んだんですが…。
▽いやあ、どうも最近のスペインはボールをキープして守ることが昔のように上手くできなくなったようで、ええ、初戦も最後にロナウドにFKを決められて、3-3のドローに持ち込まれていましたしね。この日もイニエスタをコケにして中盤を固めようとしたんですが、それまで羊の皮をかぶっていたイランにいつゴールを奪われるか、試合終了の笛が鳴るまでどんなにヒヤヒヤしたことか。実際、リフレッシュにアセンシオ(マドリー)やロドリゴ(バレンシア)が入っても追加点には繋がらなかったんですが、0-1でも勝ちは勝ち。これでその日、先にモロッコを下して勝ち点4としたポルトガルと並び、得失点差、総得点でも同じだったため、イエローカードが1枚少ないというフェアプレー基準差とはいえ、グループ首位に立てたのは良かったかと。
▽まあそのフェアプレーは試合後、「Iran practica el antifutbol/イイラン・プラクティカ・エル・アンティフトボル(イランのサッカーはアンチサッカーだ)」と批判していたカルバハルにケイロス監督が、「Que Carvajal le diga eso a Ramos, que dejo a Salah sin Mundial/ケ・カルバハル・レ・ディガ・エソ・ア・ラモス、ケ・デホ・ア・サラ・シン・ムンディアル(カルバハルはそれをラモスに言ったらいい。彼はサラ(リバプール)からW杯を奪った)」と反論していたのとはまったく関係ないんですけどね。実は1位で勝ち抜けた方がいいのかどうかは微妙で、というのも16強対決で当たるグループAではすでに進出2チームが決定。
▽サウジアラビアに5-0と大勝した後、サラのいるエジプトも3-1で下した開催国ロシアが1位、ルイス・スアレス(バルサ)のゴールでサウジアラビアを破って2連勝したウルグアイが2位なんですが、両者が最終節で対戦するため、あちらもどちらが首位になるのか。ウルグアイにはキャプテンのゴディンとヒメネスのアトレティコCBコンビがいるため、チームメートのコスタが苦労しそうというのもありますし、ルイス・スアレスやカバーイ(PSG)を擁する相手の前線とデ・ヘアが対戦するのはちょっとお勧めできないかも。
▽まあ、それも月曜午後8時(日本時間翌午前3時)キックオフのモロッコ戦、同じ時刻に行われるイランvsポルトガル戦の結果次第。勝ち点3のイランにもまだ突破の可能性があるため、ポルトガルも簡単には勝てないかと思いますが、アシャフ(マドリー)やアムラバット(レガネス)、ファジル(ヘタフェ)ら、マドリッド勢が大会を去る前にここまで見せてきたいいサッカーを結果に結びつけたいと張り切っているモロッコに、まだ先発見直し中のスペインが足元をすくわれたりしないといいんですが。
▽そして翌木曜はグリーズマンとリュカ(アトレティコ)、そしてバラン(マドリー)のいるフランスがエムバペ(PSG)のゴールでペルーに1-0で勝利、2連勝で決勝トーナメント進出を決めるのをネットでチェックしながら、私は久々に遠出。というのもマドリッド勢弟分のレガネスが珍しいことに、メトロ(地下鉄)で行けるcentro commercial(セントロ・コメルシアル/ショッピングセンター)、Sambil Outlet(サンビル・アウトレット)にあるオフィシャルショップで2018-19シーズン用ユニフォーム(54.99ユーロ/約7150円と85~140ユーロ/1万1000~1万8000円のマドリーやアトレティコよりかなり安い))のプレゼンをすると聞いたからですが、シマノフスキとレガネスBのカンテラーノ、女子ユースの選手がモデルで登場し、イベントが行われている間も近くにあるキッズスペースでは子供たちが走り回っていたのはご愛敬だったかと。
▽ちなみに「Me ha tocado porque no había otro en Madrid estos días/メ・ア・トカードー・ポルケ・ノー・アビア・オトロ・エン・マドリッド・エストス・ディアス(ボクがやることになったのは今の時期、マドリッドには他の選手がいなかったから)」とジョークを言っていたシマノフスキは昨季、ケガで半年を棒に振り、手術後の今もなるたけ早くチームのプレシーズンに合流できるようリハビリ中。休暇もイビサ(地中海にあるリゾートアイランド)に5日間行っただけだったそうですが、何せ毎年、多数入れ替わるレガネスには現在、13人しか選手がいないそうですからね。レアル・ソシエダへ行ってしまったガリターノ監督の後任、ペジェグリーノ監督の到着も7月とあって、彼も早く家に帰って、クロアチアに挑む母国アルゼンチンを応援したかったのでは?
▽ええ、それは私も同じ気持ちで近所のバルに寄って試合の後半を見ることにしたんですが、いやあ、まさかクロアチアがあんなに強いとは!GKカバジェーロ(マンチェスター・シティ)のゴールキックミスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んだラビッチ(アイントラハト・フランクフルト)はともかく、やはりお店にはマドリーファンが多かったんでしょうね。モドリッチ(マドリー)のミドルシュートが決まった時には歓声が上がっていましたし、逆にメッシがラキティッチ(バルサ)にゴール前でボールをクリアされてしまった際には拍手も出ていたって、いえ、どちらもバルサなんですけどね。ロスタイムにはそのラキティッチも決めて、とうとう0-3で1位突破してしまうんですから、何とも恐ろしい。
▽逆にグループリーグ敗退の危機に陥ったアルゼンチンでは、先制点をプレゼントしてしまったカバジェーロを始め、「Nosotros trabajamos todo el tiempo para que la pelota le llegue a Messi/ノソトロス・トラバハモス・トードー・エウ・ティエンポー・パラ・ケ・ラ・ペロータ・レ・ジェゲ・ア・メッシ(ウチはボールをメッシに届けるため、常に努力している)」というサンパオリ監督の偏った戦術の失敗や、そのメッシ本人の無気力にも見えるプレーぶりに批判が集まっていたんですけどね。「彼は凄い選手だけど、en el futbol hay que tener ayuda/エン・エル・フトボル・アイ・ケ・テネール・アジュダ(サッカーでは助けがないといけない)」(モドリッチ)というのは本当ですから、この日は上手く彼をボールから遠ざけた相手の作戦勝ちだったかと。
▽ただ驚かされたのはこの試合の後、次男のジャンルカ君がプロデビューする試合を見るため、現在チリに滞在中のシメオネ監督と”モノ”・ブルゴス第2監督の私的な会話がマスコミに漏れたことで、曰く、「メッシはいい選手だが、素晴らしい選手たちと一緒にプレーするからいいんだ。Si tenés que elegir entre Messi y Ronaldo para un equipo normal, ¿a quién elegirías?/シー・テネス・ケ・エレヒル・エントレ・メッシ・イ・ロナウド・パラ・ウン・エキポ・ノルマル、ア・キエン・エレヒリアス(普通のチームのために選ぶとしたら、メッシとロナウド、どちらを選ぶ?)」って、うーん、アトレティコにはロナウドでしょうか。
▽もちろん、そんなお金もありませんし、グリーズマンの契約延長も決まったため、別に来なくていいんですが、確かにスペイン戦のハットトリックもモロッコ戦の決勝点もロナウドには1人でやり遂げてしまった感がなきにしろあらず。ただ、そうは言ってもメッシも昨年のW杯南米予選最終節で3得点を挙げ、アルゼンチンを本大会にねじ込んでしまったという実績がありますしね。来週火曜のナイジェリア戦は何が起こるか要注目。
▽大まかに言うと、彼らが勝って、アイスランドがクロアチアに引き分け以下なら突破できるそうですが、何せ、日曜には乾貴士選手(ベティス)や柴崎岳選手(ヘタフェ)の再度の活躍が期待される日本vsセネガル戦も控えていますしね。グループリーグが終わるまであと1週間、私がTVをつけっぱなしにしている日々もしばらく続きそうです。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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