【六川亨の日本サッカーの歩み】岡田元監督のトークセッション② 岡田武史さんの哲学2018.06.04 19:30 Mon

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▽今週は先週に引き続き、スカパー!「サッカーおやじ会」でのトークイベントに出演した岡田武史・元日本代表監督のエピソードを紹介しよう。西野ジャパンのメンバー選考について問われると、自身の経験を踏まえ「めちゃくちゃ苦しみますよ。日本人監督はチーム作りに苦労する」と話し、「日本の指導者はチーム作りと采配を比べると、チーム作りに執着する。相手を研究して采配で勝つことは邪道だと思っている人が多い。チーム作りで勝つのが美学と思っている」と苦言を呈した。

▽岡田さん自身、監督としては前者のタイプだ。そして南アW杯ではベスト16に進出したものの、阿部勇樹をアンカーに、本田圭佑の0トップによる“采配”を批判されたのかもしれない。続けて「僕の場合はあらゆることをシミュレーションしている。メンバーを決める時も試合の展開をずっと妄想する」とし、南アのメンバー選考についてはこんなエピソードを紹介した。

▽「2010年のW杯で矢野貴章を入れたら“えっ”という人がけっこういた。もし試合に勝っていて、残り10分くらいを守りたい。でもセットプレーでやられたら背の高い選手が欲しい。でもDFを代えるのはリスクがある。前線で追い回せて、セットプレーの時にヘディングで競れる奴が欲しい。そうなったら“貴章”だなとなった。そして本当にカメルーン戦で想定していた場面が来た」

▽このため「メンバーを決める時も上から23人、上手い奴を選べばいいわけじゃない」と選考の難しさを語った。

▽さらに岡田さんは日本人指導者の傾向として「美学を持つのはいいが、それを勝負への言い訳にしている。例えばクライフが言った“美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つことを恥と思え”。この言葉を一番好きなのが日本人。オランダ人は負けるのが嫌。これを言う人は勝ったときには絶対に言わない。負けた時の言い訳として使う。ところが日本人は好き。例えば点が入らない。あとは決定力だけ。“決定力さえあれば”とよく言うが、それは“そこまでのサッカーは素晴らしい”といった美学を持って言っている。点を入れなかったら勝てないのに、そこまでの美学で満足している。あとは決定力と言うけど、そこが一番大事」と持論を展開した。

▽リアリストの監督だった岡田さんらしいサッカー哲学だ。もうS級ライセンスは返上したため監督復帰の可能性がないのが残念でもある。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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