【六川亨の日本サッカーの歩み】岡田元監督のトークセッション① W杯は化ける選手が必要2018.05.28 22:30 Mon

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▽5月21日から千葉県内で始まった日本代表の合宿。西野監督は27日まで練習を公開したため、日に日に観戦するファンが増え、27日は日曜日とあってメインスタンドは立錐の余地もない大盛況。ゴール裏やタッチライン際にも鈴なりの人だかりとなった。

▽オシム・ジャパン以降、歴代の代表監督は非公開にすることが多く、ファンと代表チームの距離感に温度差を感じていただけに、今回の練習公開は大いに歓迎したい。ちびっ子ファンから声をかけられた長友や乾が手を上げて応えていた。これが本来あるべき代表選手とファンの間柄だろう。

▽戦術練習やセットプレーなどは非公開にすることもやむを得ないだろう。しかし日本でサッカーは、マイナーからは脱却したかもしれないが、欧州や南米のようにまだまだナンバー1スポーツではない。こうしたファンサービスは今後も継続すべきだろう。

▽さて先週はイニエスタの来日会見でサッカー界は沸いた。その同じ日に、スカパーが会見を開いて来シーズンのブンデスリーガとポルトガルリーグ、ベルギーリーグなどの独占放映権・配信権を獲得したことを発表。そのイベントとして「サッカーおやじ会」に岡田武史元日本代表監督が番組MCの八塚氏とトークセッションを行った。

▽冒頭、ロシアW杯の監督オファーがあったかどうか聞かれた岡田氏は「ない、ない。考えたこともない」と即座に否定。話題になったS級ライセンスの返上についても、「前々からS級は返上するつもりだった。お金を払わなければ自動的に失効すると思っていたが、自分の場合は引き落としだったので返上の手続きが必要だった。返上して1ヶ月後に親しい記者が聞きに来て答えたところ、翌日の新聞で1面になっていたのは驚いた。ハリルの解任とたまたまタイミングがあって騒動になった」と真相を語っていた。

▽ロシアW杯に関しては、ポーランドやセネガルを警戒しつつ「どっちしても初戦が大事。客観的に見るとコロンビアの方が日本より実力は上。そうすると力をそのまま出し合ってぶつかるんじゃなくて、自分たちの力以上のものを出すような勢いが必要になる。勢いをつける方法は色々とあるし、人それぞれ。それは精神的なものかもしれない。そこで、“えっ、こんなことまでしちゃうの?”というような化ける選手が出てくることが必要かなと思う」と10年南アW杯での自身の経験を振り返った。

▽ここで言う“化ける選手”とは、本田圭佑であり長友佑都のことを指していると感じた。岡田氏は「僕は代えることに悩んで、最後の1試合で決断した」とも語った。おそらくキャンプ地であるジョージでのテストマッチで、中村俊輔の起用を断念し、ゼロトップに本田を起用し、中盤のアンカーに阿部勇樹を置く4-1-4-1のシステムを採用したことを指しているのだろう。

▽そんな“化ける選手”の1人である長友に、代表キャンプ中に岡田氏の話を伝えたところ、「僕も岡田さんに化けさせてもらって、成長させてもらいましたし、まだまだ化けないといけないと思っています」と爽やかな笑顔で答えてくれた。

▽果たしてロシアで“化ける”選手が出てくるのか。ブラジルW杯では香川真司や大迫勇也が化け損ねただけに、彼らの奮起にも期待したい。

▽ちなみに早稲田大学の先輩である西野監督については、「(時間がないのは)分かっているから監督を引き受けた。時間があろうがなかろうが、結果を出さないといけないのは西野さんもハリルも同じこと。相談されたことはない」とリアリストの岡田さんらしい見解を述べていた。

▽その他にも岡田さんは日本人指導者の陥りやすいサッカー哲学を、ヨハン・クライフを例に出して話したり、試合へのアプローチの違いを自身の経験を元に解説したりしたが、それは次週のコラムで紹介したい。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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