【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】今季ブンデス出場機会大幅減もW杯では何かをやりそうな予感。2002年の稲本を目指せ! 浅野拓磨2018.05.28 14:00 Mon

twitterfacebookhatenalinegplus
photo
Getty Images
▽2018年ロシアワールドカップ本大会に挑む日本代表の直前合宿が21日からスタート。初日は欧州組10人が参加する形で西野朗新監督率いる新生ジャパンが船出した。

▽3度目の本大会出場を目指す本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター・シティ)ら実績ある面々に交じって、2016年リオデジャネイロ五輪世代の浅野拓磨(ハノーファー)が精力的な走りを見せていた。

▽今季の浅野はドイツ・ブンデスリーガ1部で15試合出場(うち先発7試合)という低調な結果に終わった。その数字も全てシーズン前半のもので、2018年に入ってからはリーグ戦出場ゼロ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指揮を執っていた3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)はクラブでの実情を理由にメンバーからも外された。

▽だが、西野監督は爆発的スピードと推進力を誇る快足FWを「必要な存在」だと捉え、あえて抜擢に踏み切った。

▽「ここで代表に入ることができなかったら、アピールする場がそもそもないという考え方だった。チャンスを与えてもらった分、僕は持っているものをこの期間で出すだけかなと。今年に入ってアピールは1つもできていないので、クラブでできなかったことを全部出し切る感じですかね」と浅野は初練習後に力強くコメントしていた。

▽今回の代表は彼や井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)のように所属クラブで出番を得られなかった選手、香川真司(ドルトムント)や岡崎のようにケガの不安を抱えている選手も招集されていて、選考自体を否定的に見る向きも根強い。

▽浅野が入るであろう右FWも、今季ベルギー1部で11得点を挙げた久保裕也(ヘント)やオランダ1部で9得点の堂安律(フローニンヘン)、Jリーグで活躍中のスピードスター・伊東純也(柏レイソル)がリスト外になったこともあって、「なぜ試合に出ていない浅野なのか」という声は聞こえてくる。

▽そこを本人も認識したうえで、「自分のプレーを出せる自信はありますし、ゴールという結果を残せる自信もある。そんなにコンディションが悪いとも思ってないです」と改めて語気を強めたのだ。そう発言した以上、今の浅野がやるべきなのはゴールに直結する仕事。そこに集中するしかないのだ。予選突破を決めた昨年8月31日のオーストラリア戦(埼玉)で先制弾を挙げたように、30日のガーナ戦(日産)でその再現を見せ、さらにロシア本番でも抜群のスピードで世界一線級の相手をかく乱することができれば、彼の選出に誰もが納得するはずだ。

▽過去のワールドカップでも、大会直前に何らかの問題を抱えながら活躍した選手はいる。その筆頭が2002年日韓ワールドカップで2ゴールを挙げた稲本潤一(北海道コンサドーレ札幌)だ。当時所属のアーセナルで1年間公式戦出場から遠ざかっていた彼は初戦・ベルギー戦(埼玉)と第2戦・ロシア戦(横浜)で連発。一躍、時の人となった。その稲本と同じアーセン・ヴェンゲル監督に才能を買われ、アーセナルに引っ張られた浅野としては、偉大な先輩と同じ道を歩みたいところだ。

▽「短期決戦のワールドカップは何も考えない『野性児タイプ』の方が意外と活躍できたりする傾向が大きい」と2010年南アフリカワールドカップ16強戦士の松井大輔(横浜FC)も冗談交じりに語ったことがあったが、確かに当時の稲本も、今の浅野もそのカテゴリーに属する。1つ1つのことを深く考える繊細さと緻密さは、時としてプレーの足かせになってしまうが、大胆不敵なスピードスターの浅野にその心配はなさそうだ。むしろ半年間試合に出ていない分、「ロシアで思い切り暴れまわってやる」といい意味で割り切って走り回れるのではないか。それが浅野の魅力でもある。

▽今回からサンフレッチェ広島時代の恩師・森保一コーチも代表スタッフ入り。彼にはよりやりやすい環境が用意されたと言ってもいい。

▽「森保さんも僕への理解は他の指導者より多いと思いますし、僕も森保さんに対する信頼は強い。代表というピッチで一緒にやれるのは、僕にとってすごく大きなプラスかなと思います」と本人も広島時代に積み上げてきたものを積極的に活用して、虎視眈々と生き残りを図っていくつもりだ。

▽いずれにしても、FW陣で圧倒的なスピードと裏への飛び出しの鋭さを前面に押し出せるのは浅野だけ。そこは足元の技術に優れた本田や香川真司(ドルトムント)、ポリバレント型の宇佐美貴史や原口元気(ともにデュッセルドルフ)らとの違いだ。彼にしかない武器を日本躍進のためにどうやって有効活用するのか。そこにフォーカスして、浅野にはまずガーナ戦までの期間をしっかりと過ごし、23人滑り込みを果たしてほしいものだ。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。

コメント

関連ニュース

thumb

【2022年カタールへ期待の選手④】アジア大会で判断力と冷静さを身に着けつつある韋駄天。優勝を手土産にJ1昇格を!/前田大然(松本山雅FC)

▽森保一監督がA代表とU-21日本代表を兼務して最初の国際大会ということで、注目された2018年アジア大会(インドネシア)。指揮官が戦前に掲げた「ベスト4」の目標を突破するためにも、27日の準々決勝・サウジアラビア戦は絶対に負けられない一戦だった。 ▽そこでひと際まばゆい輝きを放ったのが、2得点に絡んだ岩崎悠人(京都サンガF.C.)と前田大然(松本山雅FC)のJ2コンビだった。前半31分の先制点は左を駆け上がった杉岡大暉(湘南ベルマーレ)のクロスを前田が落とし、ペナルティエリア外側から岩崎が右足で蹴り込む形だった。そして1-1の終盤、残り15分を切ったところで奪った2点目は右の遠藤渓太(横浜F・マリノス)のサイドチェンジを受けた前田が左からスピードあるドリブルで中へ侵入。マイナスの折り返しを岩崎が仕留める理想的なゴールだった。 ▽「1点目のアシストのところは自分のところにうまくこぼれてきて、悠人が見えたんで、落とすだけという感じ。あいつ狙ってるんですかね…。分かんないけど、入ってよかったんじゃないですか。2点目は渓太からいいボールが来たので仕掛けるだけだった。ファーに打とうとしたけど、どうしても悠人が見えてしまった。よりいい方を選んだって感じです」と坊主頭の1トップはお膳立てした2つゴールをしっかりと分析してみせた。 ▽わずか3週間前、4日のジェフユナイテッド千葉戦では、自ら奪った1点目の場面でゴール前にいた永井龍が見えず、「冷静さが足りなかった。もっときちんと周りが見えるようになりたい」と反省しきりだった前田が、重圧のかかるアジア大会でこれだけの判断力を見せるとは…。短期間の成長ぶりに森保監督も驚いていることだろう。 ▽そもそもこの男は1トップの選手ではない。50mを5秒7で走る爆発的スピードを買われ、松本では2シャドウの一角に入っている。高崎寛之や永井龍ら最前線が収めたボールに反応して背後に抜けたり、ドリブル突破からチャンスを作ったりという前向きな仕事がメインである。その韋駄天を森保監督はあえて1トップで起用。DFを背負いながらタメを作ったり、ターゲットマンになるような新たな役割を課しているのだ。 「全然やったことのないポジションなので、難しい部分はありますけど、試合をやるにつれてよくはなってきていると思う。もっと試合を重ねていけば、自分もシャドウだけじゃなく、FWでもやれると思う。僕は監督から言われたことを真面目になるのが持ち味。ここ(五輪代表)でもそういうことをしっかりやっていきたい」と本人はプレーの幅を広げようとガムシャラに取り組んでいる。 ▽8年前の2010年南アフリカワールドカップでも、本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)が経験のない最前線で起用されながら、結果を出してブレイクしたことがあった。あの時の本田は「見える景色が違う」とコメントしたが、前田大然の現在の心境はまさにそんな感じだろう。確かにハードルは高いかもしれないが、当時の本田のように、1段階上のステージに飛躍する絶好のチャンスでもある。 ▽ただ単に速さだけを前面に押し出すだけでは、いつか限界が来る。そこで壁を乗り越えるためにも、臨機応変にプレーを変化させていく力は必要だ。ひいてはそれが武器のスピードを輝かせることにもつながる…。森保監督はかつてサンフレッチェ広島で指導した同タイプの浅野拓磨(ハノーファー)をイメージしながら、前田にアプローチしている可能性が少なからずある。五輪代表で生き残り、A代表へステップアップしようと思うなら、彼は指揮官の厳しい要求に応えていく必要がある。 ▽そのうえで、もっと得点という結果を残すべき。それは本人が一番痛感している点だ。 「やっぱりゴールを取って勝負を決めたいなっていうのは一番ありますね。チームとして勝つことは大事ですけど、個人としてゴールを取らないと正直、喜べないというのは素直にある。悠人が2点取ったんでなおさらですね」と20歳の点取り屋は悔しさをストレートに口にした。 ▽この負けん気の強さこそ、彼の大きな魅力に他ならない。山梨学院大学付属高校から松本山雅入りした時点ではまだ無名だっただけに、雑草魂がなければ日の丸をつけるレベルまで這い上がることはできなかったはず。東京五輪世代は板倉滉(ベガルタ仙台)や三好康児(北海道コンサドーレ札幌)のようにJリーグアカデミー出身者が主流だが、前田のような回り道してきた人間がいることは森保監督も心強いだろう。泥臭く戦うFWが技術と戦術眼、多彩なプレーを身に着けていけば、チームにとっても間違いなくプラスと言っていい。 ▽それはU-21日本代表のみならず、松本山雅にとってもいいことだ。前田が離脱して以降、FC町田ゼルビアと横浜FCに連敗した彼らはまさかのJ2首位陥落を余儀なくされた。ここから再び右肩上がりの軌跡を描くためにも、アジア大会で頂点に立って、自信をつけて戻ってきた韋駄天がチームを活性化することが重要だ。彼自身にとっても、J1昇格請負人としてインパクトを残すことで、新たな道も開けてくる。この夏には海外移籍の噂もちらほら出たが、それも近い将来現実になるかもしれない。 ▽今大会をそんな輝かしいキャリアの布石にすべく、まずは29日の準決勝・UAE代表戦でゴールという結果を残すこと。そこに集中してほしいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.08.29 13:00 Wed
twitterfacebook
thumb

【2022年カタールへ期待の選手③】U-21日本代表の流れを変えた献身的FW。A代表昇格の条件は低迷する京都での結果/岩崎悠人(京都サンガF.C.)

▽14日の初戦・U-23ネパール代表戦を1-0で勝利したものの、単調なサッカーに終始し、停滞感が色濃く漂ったアジア競技大会参戦中のU-21日本代表。そのネガティブな空気を一掃したのが、16日の第2戦・U-23パキスタン代表戦の開始2分に電光石火の先制弾を奪った岩崎悠人(京都サンガF.C.)だった。凄まじいタテへの推進力を見せて1点を叩き込むと、前半10分の前田大然(松本山雅FC)の3点目の起点になり、さらに35分の4点目も巧みな個人技からゲットした。京都橘高校時代からスピードとハードワークの姿勢には定評があったが、久しぶりに招集された年代別代表の舞台で、その強みを思い切り発揮しようという強い意思は大いに光った。 ▽2017年5月のU-20ワールドカップ(韓国)で全4試合に出場した通り、岩崎はこれまで東京五輪世代の先頭を走ってきた選手だった。昨年末から東京五輪世代を率いる森保一監督も彼の能力を高く評価し、今年1月のAFC・U-23選手権(中国)にも抜擢。0-4で完敗を喫したU-23ウズベキスタン代表戦でもスタメン起用したほどの期待を寄せていた。 ▽ところが、プロ2年目の今シーズンが始まると所属の京都が低迷。J2で最下位争いを余儀なくされる苦境に陥った。28試合終了時点でも勝ち点25の21位で、このままではJ3降格が現実になる。岩崎自身もここまで25試合に出場しているが、ゴールはわずか1と持ち前のゴールセンスを発揮し切れていない。京都橘の先輩である仙頭啓矢、小屋松知哉とのトリオで地元クラブの救世主になろうとしているが、思うように結果が出ていない。本職のFWではなくサイドで起用されていることも一因と見られるが、森保監督もクラブでの現状を少なからず危惧しているはずだ。 ▽加えて言うと、岩崎がU-21日本代表で担っている2列目のポジションはライバルが非常に多い。北海道コンサドーレ札幌で主軸を担っている三好康児や大学生の三苫薫(筑波大)、年下の安部裕葵(鹿島アントラーズ)、久保建英(横浜F・マリノス)らに加え、欧州組の堂安律(フローニンヘン)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)らもいる。その競争を勝ち抜いて東京五輪代表へと生き残らなければ、A代表昇格への道は開けてこない。仮に首尾よくA代表入りできたとしても、年長者の香川真司(ドルトムント)や原口元気(ハノーファー)、久保裕也(ニュルンベルク)らが控えているため、そう簡単に試合には出られないだろう。 ▽ただ、今回の2018年ロシア・ワールドカップで大迫勇也(ブレーメン)や柴崎岳(ヘタフェ)、昌子源(鹿島)が活躍したように、高体連出身の選手はここ一番での勝負強さと闘争心を秘めている。岩崎も中学時代にJFAアカデミー福島で2年の途中まで過ごしながら、地元の滋賀県彦根市の中央中学校に転校した経緯があり、さらにユース年代も高校を選んでいる。それだけに闘争心や泥臭さ、守備意識の高さ、オフ・ザ・ボールの時の運動量などは頭抜けたものがある。技術的に優れているエリート選手と一味違うのも、こうした経歴によるところが大なのだ。 ▽岩崎には同世代のライバルたちにはない魅力があるだけに、伸び代はまだまだある。それは今回のアジア競技大会でも随所に感じられる点だ。その評価をさらに高め、五輪代表、A代表入りのルートに乗るためにも、まずはアジア競技大会での残りゲームでの活躍が不可欠だ。19日のUー23ベトナム代表戦では後半途中からの出場となったが、ビハインドを背負ったチームの救世主になりきれず、悔しい敗戦を喫してしまった。グループ1位通過も叶わず、後味の悪さも残った。ただ、韓国との直接対決を免れたという意味では2位通過でよかったという考え方もある。いずれにしても24日の対峙する次なる敵・マレーシアを倒すために、岩崎にはゴールに直結する仕事をしてもらわなければならない。 ▽さらに大会後には、所属する京都での目に見える結果が絶対に必要だ。残り10試合強で名門クラブのJ2残留請負人としての大役を果たせば、彼の評価は自ずと上がる。来シーズンは違った環境にステップアップすることも可能ではないか。本人もJ1、あるいは海外でプレーすることを希望しているはず。そうなれば彼自身のキャリアも様変わりするに違いない。 ▽同い年の堂安がすでにオランダ2年目に突入していることは気になるだろうが、「1つ1つステップを踏んで成長していきたい」と考えるのが岩崎だ。ロシアで戦ったメンバーを見ても、乾貴士(ベティス)のように年代別世界大会には全く出ていないのに、紆余曲折の末にワールドカップでの活躍を手にした選手はいる。同郷の先輩の姿は岩崎の大きな刺激になっているはず。そうやって時間をかけてじっくり自分の課題を克服し、どんな敵と対峙しても点の取れる献身的かつアグレッシブなストライカーになれれば、世界舞台は必ずついてくる。岩崎にはそんな可能性が大いに感じられる。 ▽アジア競技大会でベスト4以上を目指している森保監督の期待に応えるべく、ここからゴールを量産し、アジア中を驚かせるようなパフォーマンスを見せること。それを今の彼に強く求めたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.08.24 21:00 Fri
twitterfacebook
thumb

【2022年カタールへ期待の選手②】ロシア出番なしの中で感じた「個のレベルアップの必要性」。リベンジを期す4年後/遠藤航(浦和レッズ)

▽フランスがクロアチアを下して2度目の優勝を飾った2018年ロシアワールドカップ決勝から3日。約2カ月間中断されていた2018年J1が再開され、浦和レッズは名古屋グランパスをホーム・埼玉スタジアムに迎えた。この一戦で大いなる輝きを放ったのが、日本代表の一員としてロシアに参戦しながら出番なしに終わった遠藤航だった。 ▽3-4-3の右DFに陣取った背番号6はマウリシオ、槙野智章と連携しながら元ブラジル代表FWジョーを確実にマーク。まず守備の仕事をしっかりとやり切った。そして前半40分、柏木陽介の左CKに鋭く反応し、ゴール正面で相手に競り勝ってヘディングシュートを決め、チームに大きな先制点をもたらすことに成功する。 ▽浦和はその後1点を返されたものの、後半もしっかりとした守備組織を構築し続ける。そういう中で槙野の2点目が生まれ、勝利に大きく近づいた後半33分、再び遠藤航の決定力が炸裂する。1点目と同じ柏木からの左CKに対して今度はニアサイドに侵入。相手のマークを振り切って1試合2ゴールをマークし、3-1の勝利の原動力となったのだ。 ▽「1点目はどっちかというと陽介さんのキックに合わせて自分が動いた形。2点目は僕主導というか、あのニアの部分はチームとして狙いがあった。その1本前に陽介さんが蹴って前に引っかかったところがあったんで、もう1回来るからってイメージをしていた。しっかりいいボールを蹴ってくれたんで、うまく決められましたね」と本人もしてやったりの表情を浮かべていた。 ▽ロシアワールドカップでは総得点の約4割がリスタートから生まれた。現代サッカーにおけるセットプレーの重要性がより一層高まったことが実証された。そういう意味でも遠藤のようにリスタートから得点できる選手は今後の日本代表に必要不可欠と言っていい。今回は出番なしに終わったものの、4年後の2022年カタールワールドカップは何としてもピッチに立ちたいという強い思いが今、彼の中にはあるはずだ。 ▽「ロシアで試合に出れてれば自分の世界も少しは変わったのかなと思うけど、やっぱりワールドカップに行くのと行かないのでは大きく違った。それは確かです。日本には相手を上回る組織力があると思ったし、実際、グループリーグでそれを体現していた。 ▽ただ、ベルギー戦の最後のカウンターでやられた場面では『個の部分』を強く感じました。試合の最後の最後であれだけのスプリントができるっていうのは日本には足りないところだし、世界との差なのかもしれない。あのカウンターに自分の見えきたものが集約された感がある。やっぱり個を伸ばせば、組織力も上がる。最終的にはそこかなと。4年後のメンバーがどうなるか分かんないけど、やっていくことは整理されてると思いますね」と遠藤は神妙な面持ちで語っていた。 ▽リスタートの得点力という強みを前面に押し出すことは代表生き残りのためにも重要だ。ただ、その前段階として、どのポジションで勝負していくかをある程度、ハッキリさせなければいけないところはあるだろう。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督体制ではボランチ、西野朗監督体制では右サイドバックとして位置づけられてきた遠藤だが、浦和では3バックの右や中央を担うことが多い。そのユーリティリティ性は大きな魅力なのだが、代表ではどっちつかずになってしまいがちだ。現に同じような位置づけだった酒井高徳(HSV)が「代表ではどの役割をやっても自分の中で納得いく仕事ができなかった」と語り、27歳の若さで一線を退く決断をしている。遠藤には、2つ年上の先輩が歩んだ軌跡をいい教訓にしてほしいのだ。 ▽さしあたって、近未来の代表の中で人材不足が顕著なのは、ボランチとサイドバックだ。ボランチは絶対的柱だった長谷部誠(フランクフルト)が代表引退を表明。今後は柴崎岳(ヘタフェ)が軸を担うと見られるが、守備的な遠藤がパートナーになれる可能性は少なくない。サイドバックにしても酒井高徳が去った今、酒井宏樹(マルセイユ)と長友佑都(ガラタサライ)をサポートできる人材がいなくなってしまう。新体制になれば遠藤と同じリオデジャネイロ五輪世代の室屋成(FC東京)らの抜擢が有力されるものの、彼にも実績はほどんどない。遠藤がそこに割って入り、徐々に出場機会を増やしていくことは十分、考えられるシナリオなのだ。 ▽そうやって代表で何らかのスペシャリティを見出し、強固な立場を築いていくことが、4年後のカタールでのリベンジにつながる。リオ世代でずっとキャプテンを務めてきた通り、彼の人間力と統率力は全く問題ない。次の代表を森保一率いようが、別の指揮官が就任しようがその評価は不変のはずだ。20代前半以下の世代にはなかなかそういう信頼のおける人物が見当たらないだけに、この男の存在価値は大きい。それをまずは浦和でしっかりと示し続け、日本代表にとって必要不可欠な人間だと認めさせること。ロシアでピッチに立てなかった遠藤航の逆襲はそこから始まる。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.07.21 13:00 Sat
twitterfacebook
thumb

【2022年カタールへ期待の選手①】吉田麻也とともにファルカオ、ニアン、ルカク封じに奔走。次世代の日本の守備の要へ/昌子源(鹿島アントラーズ)

▽わずか10秒足らずの電光石火のカウンターからナセル・シャドリ(WBA)の逆転弾が決まり、直後にタイムアップの笛が空しく鳴り響いた瞬間、日本代表スタメン最年少であり、唯一の国内組として奮闘した昌子源(鹿島)がピッチに倒れ込んで号泣した。時間が経っても立ち上がれず、長友佑都(ガラタサライ)に抱きかかえられるように起き上がったが、それほどまでに8強の壁を破れなかった悔しさを誰よりも強く感じていたのだろう。 ▽「相手のすごいカウンターってこういうのかなと。僕の全速力で追いかけたけど、追いつけないスピードっていうか、加速していくし、スピードが落ちることなく、気付けば僕らのゴール前にいるしね。最後のスライディングも僕やったし、なんで追いつけんのやろっていう悔しさと…。なんか不甲斐なかったですね、いろいろと」と背番号3を背負って、吉田麻也(サウサンプトン)とともにロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)封じに全身全霊を注いだ男は、最後の砦になり切れなかったことを悔やんだ。 ▽それでも今回の2018ロシアワールドカップで昌子が果たした役割は大いに目を引くものがあった。大会前の予想では、吉田の相棒は槙野智章(浦和)だと見られていたが、最後のテストマッチだった6月12日のパラグアイ戦(インスブルック)での安定感あるパフォーマンスが西野朗監督の琴線に触れ、13日にベースキャンプ地・カザン入りしてからはずっとレギュラー組に入っていたという。 ▽迎えた19日の初戦・コロンビア戦(サランスク)。背番号3に課せられた仕事は相手エースFWラダメル・ファルカオ(モナコ)封じ。開始早々の3分に相手に退場者が出て、香川真司(ドルトムント)のPKで1点をリードするという追い風が吹いたことも大きかったが、昌子はファルカオに徹底マークを見せ、仕事らしい仕事をさせない。その冷静さと落ち着きはワールドカップ初参戦とは思えないほどだった。ファン・フェルナンド・キンテーロ(リーベル・プレート)に直接FKを決められ、無失点試合ができなかったことはチームとして悔やまれるところだったが、昌子の守備は高評価を与えられるべきものだった。 ▽「『国内組唯一』とか『俺がJリーグを背負ってる』というのは全くなかった。むしろワールドカップ出場を決めたオーストラリア戦(2017年8月=埼玉)の方が緊張しましたね。今回はそれに比べたらそんなに緊張することなく落ち着いてやれたかな」と本人は大舞台にめっぽう強い自分に胸を張った。 ▽首尾よく初戦で勝ち点3を得た日本は、続く24日のセネガル戦(エカテリンブルク)でも勝ち点1を手に入れる。この試合も2度のリードを許す苦戦を余儀なくされたが、乾貴士(ベティス)と本田圭佑(パチューカ)が同点弾を決めるという劇的な展開だった。昌子の今大会2度目の大仕事はエムバイェ・ニアン(トリノ)封じ。体格的に大きく下回るだけに体をぶつけ、相手の自由を奪うことに徹する。今大会はVAR判定が導入されているから、不用意に手を使ったり、体当たりをするようなことがあれば、即座にPKやレッドカードの対象になりかねない。細心の注意を払いながら相手エースFWの失点を許さなかったことで、彼の地位は確固たるものになった。 ▽28日の3戦目・ポーランド戦(ボルゴグラード)は先輩・槙野に先発の座を譲ったが、何とか2位通過したことで、待望の決勝トーナメントの舞台に立つことができた。その相手・ベルギーはFIFAランキング3位の優勝候補に挙げられる強豪。ルカク筆頭に、エデン・アザール(チェルシー)、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)らイングランド・プレミアリーグで華々しい活躍を見せるタレント集団だ。前日会見に出席したアザールは「もうブラジル戦のことを考えているのではないか?」と問われて「日本に勝てるかどうか分からない」と謙虚な物言いを見せたが、本音の部分では「昨年11月の親善試合(ブルージュ)でアッサリ倒した相手に負けるはずがない」という余裕が見て取れた。 ▽そんな彼らの鼻をへし折ることが日本に求められたが、前半から一方的に押し込まれる。そこで体を張ったのが吉田と昌子。彼らのルカク封じは確かに見る者の心を打った。「僕のルカク選手のイメージは、とてつもないところにあった。それで実際にやってみて、その通りかそれ以下だった方が楽じゃないですか。でもルカク選手はイメージと同等、もしくは上に来たから、すごいいっぱいいっぱいでしたね」と背番号3は述懐したが、それでも結果的にルカクにゴールを許していない。そこは誇れる点だろう。 ▽ただ、日本としては4試合7失点。守備陣としてはその現実を受け止めなければならない。「日本を守れる男になりたい」と昌子は痛感したというが、だったら本当にそういう存在になってもらうしかない。今大会を最後に長谷部と本田という10年以上、代表で戦ってきたベテランが去り、吉田を中心とした新たな陣容で4年後に向かっていくことになるが、昌子が担う仕事も少なくない。これからは「スタメン最年少」ではなく、「日本の大黒柱の1人」としてチームを引っ張らなければならない。それを強く自覚して、彼にはさらなる高みを目指してほしい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.07.07 19:00 Sat
twitterfacebook
thumb

【ロシア注目選手②】「半端ない男」の真の実力が試されるセネガル戦。2戦連発で日本を16強へ導けるか?/大迫勇也

▽「(香川真司=ドルトムントがPKを取る起点となるプレーは)個人的に決めたかったけど、あそこでDFに勝てたことは4年間ドイツでやってきた積み重ねだと思います。2点目はホントに夢だった。ワールドカップのゴールを取れた嬉しさはあります」 ▽19日の2018年ロシアワールドカップ初戦・コロンビア戦(サランスク)で2得点に絡んだ大迫勇也(ブレーメン)は心からの安堵感をのぞかせた。4年前の2018年ブラジルワールドカップでは初戦・コートジボワール戦(レシフェ)と第2戦・ギリシャ戦(ナタル)に続けて先発しながら世界の高い壁に阻まれた。その失望感と悔しさを糧に4年間力を蓄えてきただけに、あまり普段は感情を表に出さない彼も思わず喜びが前面に出た。 ▽そもそも大迫が今回のロシアワールドカップへの挑戦権を得たのは、2016年11月の最終予選・サウジアラビア戦(埼玉)で圧倒的な存在感を示したからだった。2015年のヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任当初は代表に呼ばれていた彼だが、格下・シンガポールにまさかのスコアレスドローを余儀なくされた6月の2次予選初戦の後、1年5カ月も日の丸をつける機会から遠ざかった。 ▽前指揮官は1トップ要員として岡崎慎司(レスター)、浅野拓磨(シュツットガルト)、武藤嘉紀(マインツ)らを次々と起用。2016年10月のオーストラリア戦(メルボルン)では本田圭佑(パチューカ)をトライするほど、これという人材が見つけられずに苦しんでいた。が、ドイツ・ブンデスリーガ1部で地道に自己研鑽に励んでいた大迫はその誰よりもボールが収まり、前線で起点を作れる。タテに速い攻撃を志向したハリル監督にとって、時間を作れる大迫の存在はすぐさま必要不可欠となり、最終予選終盤も、その後のテストマッチでも絶対的1トップに君臨し続けた。 ▽だが、その大迫も西野朗監督体制では他のFWと横一線の立場に置かれた。そういう環境の変化と2度目のワールドカップを前にした重圧もあったのか、5月21日の国内合宿からしばらくの間は「今はまだ話したくない」とメディアに口を閉ざし続けた。5月30日のガーナ戦(日産)を経て、オーストリア・ゼーフェルト合宿に入った直後も「試合があるんで、そこでしっかりとチームとしてやるべきことを見せればいいと思います。何を言っても説得力がないし、納得してもらえないと思うから、ホントにピッチの中でやるだけだから」と手短にコメントして日々のトレーニングに集中した。もともと饒舌なタイプではなかったが、そこまで外部をシャットアウトするのは初めて。大迫の中では「ロシアで結果を残すことが全て」という悲壮な決意があったのだろう。 ▽その覚悟がコロンビア戦で見事に結実し、背番号15は4年前とは別人のような勇敢なパフォーマンスを示した。8日のスイス戦(ルガーノ)ではハイプレスに行き過ぎて前半35分過ぎにエネルギー切れになり、負傷もあって早々とベンチに下がったが、今回は最後までペースダウンすることはなかった。90分間の走行距離は8・6kmしかなかったが、スプリント回数の38回は原口元気(ハノーファー)の56回、乾貴士(ベティス)の48回、長友佑都(ガラタサライ)の45回に続く数字。大迫がどれだけ前から献身的にプレスをしていたか、機を見てゴール前に走っていたかが、このデータからよく分かるはずだ。 ▽コロンビア戦での大活躍によって、日本国内では2009年高校サッカー選手権で対戦相手の滝川第二の主将が語った「大迫半端ないって」という名言が再び沸騰しているという。大迫勇也の知名度も一気に上がり、本田、岡崎、香川の「ビッグ3」に迫る勢いとも言われている。この過熱感を一時的なもので終わらないためにも、24日のセネガル戦(エカテリンブルク)でも継続的にインパクトを残すことが肝要だ。日本は過去5回のワールドカップのうち、2002年日韓、2010年南アフリカの2大会でベスト16入りしているが、そのいずれも3戦目に突破が決まった。仮に今回2戦目で勝ち上がりが決まるようなら偉業に他ならないし、今後の戦いを考えても非常に有利になる。それを決めるゴールを大迫が奪ったとしたら、この男の存在は未来永劫、人々に語り継がれるようになるはずだ。 ▽「今はストライカーとしていい感覚を持っていますし、みんなの雰囲気もすごくいいんでね、ロッカールームに帰ったら笑顔が見れたことですごくジーンと来ましたし、まだまだ試合は続くんで、頑張っていきます」とコロンビア戦後にしみじみと語った大迫。その感動を次も、またその次も味わえたら最高だ。その方向へとチームをけん引するのは、もはや「ビッグ3」ではない。そういう強い自覚を胸に、大迫勇也は日本の絶対的点取り屋への道をひた走るべきだ。さしあたって次戦では、カリドゥ・クリバリ(ナポリ)とサリフ・サネ(ハノーファー)の両センターバックがコントロールするセネガル守備陣の綻びを虎視眈々と突くプレーが求められる。それを泥臭く粘り強く実行して、2戦連続ゴールをもぎ取ってほしいものである。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.06.23 17:00 Sat
twitterfacebook


ACL

欧州移籍情報
hikari

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース