【六川亨の日本サッカー見聞録】別メニュー乾の代役に中島を推薦2018.05.24 15:05 Thu

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▽21日から始まった日本代表のキャンプだが、岡崎慎司が別メニューで調整中なのは月曜のコラムで紹介した。さらに乾も2日間は足首痛のためホテルで調整し、23日からピッチに姿を現したものの、岡崎と同様に別メニューでの調整となった。

▽18日のメンバー発表の際に西野監督は、期待いていた今野泰幸が手術を受けるため、小林悠が当日の朝に全治2週間の負傷のため招集を断念したことを明かした。さらに2人のケガ人が別メニューと、船出から不運が続いている。

▽会見ではポルティモネンセで29試合に出場して10ゴールを上げている中島翔哉に対し、「ポルトガルリーグで結果を出したが、ポリバレントではなかった」と招集外にした理由を語った。しかし、21日の囲み取材では改めて中島を収集しなかった理由を次のように説明した。

▽「先日話したポリバレントとは複数のポジションをこなせることが本大会では必要だが、全員がポリバレントである必要はなく、スペシャリストもいる」として上で、「ポリバレントがないから外した訳ではなく、選択肢として入らなかっただけ。いろんな対応力、システムに対しての対応力も必要になる」からだそうだ。

▽「選択肢として入らなかった」のは、中島が得意とする左MFには攻守に戦闘能力の高い原口元気がいて、ドリブラーの乾貴士が今回はチョイスされた。さらにF・デュッセルドルフでは右MFの宇佐美貴史も本来は左MFでのプレーを得意とする。日本代表で“最激戦区”のポジションと言ってもいい。

▽中島も、ポルティモネンセではトップ下や2トップを務めるなど複数のポジションでプレーしたものの、日本代表で結果を残せるかどうか疑問のため招集外は仕方なかったかもしれない。

▽しかし、乾のケガである。現状では30日のガーナ戦の出場はかなり厳しいだけに、すぐにでも中島を追加招集して“保険”をかけるべきではないだろうか。

▽西野監督はG大阪時代の教え子である宇佐美について「ブンデスリーガ2部で優勝するということは、いろいろと厳しい競争をしていること。彼の魅力はフィニッシャーとしていろんなバリエーションを持っているのが特長ですので、ゲームを作るだけでなく、フィニッシュに絡んで欲しい。意外性のあるプレーに期待したい」と高く評価する。

▽確かにG大阪でブレイクした時は意外性に富んだプレーからゴールを量産した。しかし日本代表では2017年が1試合、2018年も2試合の出場にとどまりノーゴールに終わっている。かつての輝きを日本代表では発揮できていないのが現状だ。それに対し中島は初出場となったマリ戦でゴールを決め、ウクライナ戦でもFKから惜しいシュートを放つなど結果を残した。

▽西野監督はコンディション重視であることを再三口にする。それなら乾の代役に是非とも中島を呼んで欲しかった。果たして乾がNGの場合、どのような選択をするのか。指揮官の最終判断に注目したい。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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多くの名選手が引退した18シーズン/六川亨の日本サッカー見聞録

▽昨日5日は天皇杯の準決勝2試合が行われ、事実上の決勝戦と目された浦和対鹿島戦は右CKからあげた1点を守り切り、浦和が3大会ぶりの決勝戦へコマを進めた。決勝戦は9日に埼玉スタジアムで開催されるが、鹿島戦で興梠、武藤、青木の主力3選手が負傷交代したのは気にかかるところ。果たして決勝戦に間に合うのかどうかも勝敗を左右しそうだ。 ▽そして今シーズンのJリーグも、天皇杯決勝とJ1参入プレーオフの2試合を残すのみ。改めて2018シーズンのJリーグを振り返ると、まず監督交代が多いシーズンだった。まず4月に浦和が2度の監督交代からオリヴェイラ監督が就任。5月は甲府、京都、富山、柏、愛媛の5チームが、6月は鳥取、長野、北九州の3チームが監督交代に踏み切った。 ▽さらにその流れは止まらず、ワールドカップ(W杯)後の7月下旬には秋田、G大坂、藤枝の3チームが、8月は新潟、9月は神戸、10月は鳥栖、11月は柏と開幕直後の2月と3月をのぞいて毎月のように監督が交代した。 ▽交代を断行するにはそれなりの理由があったからだが、功を奏したと言えるのはJ1残留を決めた鳥栖、神戸、G大阪の3チームくらいだろう。特にG大阪の宮本監督は、初のJ1リーグで9連勝を飾り、16位から9位までチームを浮上させた手腕が光る。 ▽そして浦和のオリヴェイラ監督も、それまでのパスをつなぐペトロヴィッチ・スタイルから、堅守を武器にセットプレーからゴールを奪うチームへとモデルチェンジさせながらリーグ戦では5位、天皇杯では決勝に導いた。システムは前任者の3バックスタイルを引き継ぎつつ、今オフに川崎Fの車屋にオファーを出したのは、来シーズンの4バック併用を想定してのことではないかと浦和ウォッチャーは話していた。 ▽ストーブリーグはこれから激化すると思うので別の機会に譲るとして、今シーズンは多くの選手が引退した年でもあった。元日本代表の川口(相模原)を始め、GK山岸(北九州)、MF平川(浦和)、GK高原(町田)、MF森﨑和(広島)、MF兵働(清水)、MF栗澤(柏)、FW難波(岐阜)、MF梶山(FC東京)、DF島村(湘南)、FW田代(元C大阪)、DF久保(岡山)、DF岩政(東京ユナイテッドFC)の13人が現役生活に別れを告げた。 ▽彼ら以外にも、FW前田(FC東京)、MF稲本(札幌)、FW佐藤寿(名古屋)、GK楢崎(同)、FW玉田(同)、MF八反田(同)、MF髙柳(山口)らは、所属チームとの契約は満了したものの、移籍か引退かで揺れている。 ▽GK川口の引退により、96年アトランタ五輪のメンバーで現役は伊東(沼津)1人になったし、MF稲本とGK楢崎が引退となると、98年フランスW杯のメンバーで現役は伊東とMF小野(札幌)の2人だけだ。18年は時代を築いた名手がユニホームに別れを告げた年としても記憶に刻まれることだろう。 ▽12月2日はJ3リーグ最終戦の相模原対鹿児島戦を取材した。GK川口の引退セレモニーでは、岡田元監督、長友、ジーコ、カズ(三浦知良)がビデオで労いのメッセージを贈った。両親と兄、家族からの花束贈呈では、感謝の言葉を述べていると、こらえきれず涙を流した。 ▽しかしサプライズとして楢崎が登場すると川口に笑顔が戻る。楢崎が「最後の最後まで、本当に、代表ではチームメイトとして、リーグではライバルとして、僕の方が年下なので、いつも目標にしていました」と話すと、川口も「僕にとって特別な存在です。ナラがいたからこの歳まで続けることができました。まだ続けてください。僕の分まで頑張ってください」とお互いにエールを贈った。 ▽長年、日本代表として切磋琢磨してきた2人には、2人にしかわからない絆があるのだろう。試合は3度の1対1を川口がブロックして1-0の勝利に貢献した。囲み取材で楢崎は「持っているという、そんな簡単なもんじゃないです。憧れですよね」と正直に心境を吐露した。2人のライバル関係の今後が気になる、濃密な取材のできたJ3最終戦だった。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.12.06 18:30 Thu
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諸刃の剣になりかねない「外国人枠拡大」と「ホームグロウン制度」/六川亨の日本サッカー見聞録

▽Jリーグは11月20日の定例理事会で、来シーズンから1チーム5人以内だった外国籍選手の登録制限を撤廃し、J1は5人、J2とJ3は4人と出場枠の拡大を決めた。これまでの外国籍選手の出場枠は、3人プラスAFC(アジア・サッカー連盟)加盟協会の選手1人が上限で、Jリーグと提携する東南アジア諸国(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール、オーストラリア)の選手は外国籍選手から除外していた。 ▽Jリーグの村井チェアマンは今夏のロシアW杯を観戦し、ヨーロッパでプレーする大半の選手が5大リーグで活躍しているため、「制限の撤廃」を訴えてきた。しかしJFA(日本サッカー協会)やJクラブの反対により、「枠の拡大」で今後の「撤廃」に含みを持たせた。 ▽Jリーグとしては、神戸がポドルスキやイニエスタを獲得して観客動員やSNS等の会員を飛躍的に伸ばしたように、DAZN(ダ・ゾーン)との巨額放映権を原資に、優秀な外国籍選手を招いてチーム間の競争を激化することで、日本人選手のレベル向上により代表チームの強化につながると期待している。 ▽ヨーロッパの5大リーグでプレーするような選手がJ1リーグに増えることは、Jリーグへの注目度も高まり、観客増にもつながるため歓迎したい。しかしながら、今シーズンもGKやCBは190cm超の韓国人選手を始めとする外国籍選手に占められていて、なかなか日本人選手が育っていないという現状もある。 ▽日本人の平均身長はそう簡単に伸びず、身体能力の優れた選手は野球を選択するなど厳しい現実もある。ともすれば、今回の「規制緩和」がその傾向に拍車をかけかねない危惧も残る。 ▽そのためにJリーグは、各クラブに自前の育成選手を保有するよう「ホームグロウン制度」も来シーズンから導入することを決めた。12歳~21歳の間に3シーズンか36ヶ月以上同じクラブに所属するなどの「生え抜き選手」をJ1は2人以上保有しなければならない。そして21年からはその数を増やす方針で、J2とJ3は22年から1人以上となる。 ▽制度そのものは素晴らしいと思うが、こちらにも予想される弊害がある。例えば今年のルヴァン杯で優勝し、MVPも獲得した湘南の杉岡大暉は、中学時代の3年間をFC東京U-15深川でプレーした。しかしボランチやCBには岡崎慎と鈴木喜丈らライバルがいたためU-18への昇格を果たせなかった。そこで杉岡は高校時代の3年間を市立船橋高校で過ごしてプレーに磨きをかけ、湘南では押しも押されもしないレギュラーとなった。これはこれで成功例の1つである。 ▽FC東京は杉岡のU-18への昇格を見送ったものの、もしも「ホームグロウン制度」のために引き続きFC東京が保有したとして、J1でレギュラーを取れていたのかどうか。本来は、クラブとしてプロ契約をする意思のない選手を、「ホームグロウン制度」を守るためだけに登録するようなことがあれば、それは選手本人にとってもクラブにとっても不幸な出来事と言わざるを得ないだろう。 ▽趣旨そのものは素晴らしいが、諸刃の剣となりかねない「外国籍選手の出場枠拡大」であり「ホームグロウン制度」と言えよう。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.22 18:00 Thu
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キルギス戦で望むこと/六川亨の日本サッカー見聞録

▽11月16日に大分で開催されるキリンチャレンジ杯、日本対ベネズエラ戦に臨む日本代表の森保監督が前日会見に臨んだ。会見の冒頭、森保一監督は「明日の試合はウルグアイ戦をベースに戦いたい。今日の練習を見て、練習後に変るかもしれないがベースに考えている」とベネズエラ戦のスタメンを示唆した。 ▽今回の2連戦、ベネズエラとキルギスを比較すればどちらが格上かは明らか。このため合流間もない海外組とはいえ、攻撃陣はベストの布陣を組むものと思われる。GKは東口順昭で決まりだろう。個人的には代表経験のないシュミット・ダニエルを見てみたいが、この日公開された冒頭15分の練習を見ても、手にボールが吸い付くようなキャッチングをしているのは東口だけ。彼の牙城を脅かすのは簡単なことではないかもしれない。 ▽CBは吉田麻也と槙野智章で決まりか。負傷で辞退した左SB長友佑都の代わりは佐々木翔、右は酒井宏樹ということになる。初招集の山中亮輔と、Jリーグで台頭著しい室屋成のコンビも見たいが、経験値で前者が起用される可能性が高い。 ▽ボランチは柴崎岳と遠藤航が濃厚で、ここにどこまで三竿健斗が食い込めるか。2列目は右から堂安律、南野拓実、中島翔哉で決まりか。そして1トップに大迫勇也というメンバーだ。意外性のないメンバーではあるが、これが現状のベストという布陣だ。 ▽ただ、そのぶんキルギス戦は森保監督に思い切った選手起用を期待したい。対戦相手はアジアカップで対戦するウズベキスタン、トルクメニスタンら中央アジアの国を想定してのマッチメイクだろう。最新のFIFAランクでキルギスは90位(日本は54位)に位置しているものの、89位のイラク、94位のウズベキスタン、96位のカタールに日本が確実に勝てるという保証はない。未知の国だからこそ、そうした相手にGKシュミット・ダニエルや山中、室屋、富安健洋、北川航也ら国際舞台の経験の浅い彼らがどんな「対応力」を見せるのか(できればU―21日本代表との対戦を見たかった)。 ▽代表チームに負けてもいい試合はない。だからこそ、代表チームの底上げと若手世代の融合を、シビアな状況(ゲームで)テストして欲しいと思う。彼らが日本代表のプライドを示すことができるのか。それができれば緊迫した好試合になることは間違いないだろう。 ▽会見の最後に森保監督は、アジアカップで対戦相手が「(対日本)対策をしてきても、対応力を持って戦いに臨もうと選手には伝えてある。日本が引いて守ったとしても常に連携、連動の意識を持っていれば相手の嫌がるのではないか。コンセプトを浸透させることをやってきているので、慌てることなく試合を進めるように言っている。相手が意外性のあることをしてきても、選手は自信を持って臨めるようにしたい」と控えめな口調ながらも自信をのぞかせた。 ▽最初の試金石となるアジアカップに向け、残り2試合。あとは選手が内容と結果を残すだけだ。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.16 12:00 Fri
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女性への不適切行為にJFAは素早い対応/六川亨の日本サッカー見聞録

▽今週水曜の7日、JFA(日本サッカー協会)はキリンチャレンジ杯で16日にベネズエ、20日にキルギスと対戦する日本代表23名を発表した。招集メンバーは10月のウルグアイ戦とほぼ同じで、試合中に胸部をボールが痛打し肺気腫となった長友佑都、J1リーグの試合中に相手選手の肘が顔面を強打し眼底骨折した小林悠がメンバーから外れた。 ▽代わりに招集されたのが、レフティーの左サイドバック山中亮輔(横浜FM)と、屈強なフィジカルから対人プレーに強さを発揮する鈴木優磨(鹿島)の2人だった。山中は25歳、鈴木は22歳と、選手として脂の乗り切った年代での選出だけに、どんなプレーを見せてくれるか楽しみである。 ▽そして今回の招集で明らかになったことがある。森保監督は海外組といえども試合に出ていない選手、今回では香川真司、武藤嘉紀、岡崎慎司らロシアW杯組のベテランを招集しないということだ。トップ下の候補が南野拓実しかいないことに不安を覚えるが、アジアカップは今回のメンバーが中心となって臨むことは間違いないだろう。 ▽当日は11月11日から21日にかけて、UAEで開催されるドバイカップU-21日本代表のメンバーも発表された。こちらはU-21世代の板倉滉(仙台)、小川航基(磐田)と、U-19世代の橋岡大樹(浦和)、田川亨介(鳥栖)に加え、U-17世代の久保建英(横浜FM)と3世代の混成チームだ。 ▽そしてA代表の横内昭展コーチがU-21代表の監督代行を務め、逆にA代表のコーチにU-19コーチの秋葉忠宏、U-16コーチの齋藤俊秀を起用したのは、森保監督がテーマに掲げる世代間の融合を意図してのことだろう。こうした試みは初めてのことなので、どのような成果と弊害が出てくるのか興味深い。 ▽さて、翌8日はJFAの定例理事会が開催され、先月31日に女性職員にハグなどの不適切な行為でリトルなでしこ(U-17日本女子代表)の監督を辞任した楠瀬直木監督に代わり、監督代行を務めていた池田太氏の正式な監督就任を承認した。 ▽あわせて監督責任として田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、女子委員会の今井純子委員長、手塚貴子副委員長が役員報酬の10パーセントを3か月間、自主返納することを決めた。 ▽楠木氏の辞任はすでに11月1日で報道されていたが、最初は「強敵に勝ったり、W杯出場を決めたりしたら、思わず近くにいたら女性でもハグしてしまうだろう」と、ちょっと厳しい対応だなと思った。しかし詳細を聞くと、出張先の勤務時間中だったり、JFAハウス内での会議後だったりと、ハグする必要のない場面で同じ女性にハグしたという。 ▽これでは「お疲れ様という意味だった」という言い訳は通用しない。今回は不快に感じた女性職員が上司に相談したことで明らかになり、JFAの対応も素早かった。ここ1年、体操女子や柔道女子ではパワハラが明るみに出たり、8月のアジア大会ではバスケットボール選手の回春行為が明らかになったりした。 ▽バスケットボールの選手がわざわざ「JAPAN」のロゴが入った公式ウェアを着て繁華街に繰り出したことを不審に思うかもしれないが、アジアで開催される大会では「JAPAN」のロゴが入っていればアスリートだとすぐに分かるため、モテるのだ。そうした伝統を彼らは受け継いだのだと推測できる。 ▽そうした意味で、今回のJFAの対応は賞賛していい。他競技の不祥事を「他山の石」としたのだろう。被害女性は、最初の1回くらいはガマンしたのかもしれない。しかし2度目となると確信犯である。もしかしたら楠木氏も1回目のハグで何も抗議されなかったので、自分に好意を抱いていると勘違いしたのかもしれない。一般社会でもよくありそうな事例だが、スポーツ界に携わる関係者は、諺にも「李下に冠を正さず」とあるように、疑われる行為は慎むべきである。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.10 12:00 Sat
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レフェリーブリーフィング/六川亨の日本サッカー見聞録

▽11月1日、今年で第5回となるメディアを対象にしたレフェリーブリーフィングがJFAハウスで開催された。8月21日以来の開催となったが、この間にJクラブと審判委員会の意見交換会(レフェリーのジャッジの正当性をVTRでお互いに確認)は270試合ほどで、そのうち30%はレフェリーの判定が間違っていることが確認されたと、元国際主審の上川氏が報告した。 ▽今回のレフェリーブリーフィングではPK、オフサイド、ハンドリング、FKマネジメント、その他の5項目でVTRの映像をリプレイしながら解説した。ルヴァン杯の決勝、湘南vs横浜FMでは後半34分に湘南のペナルティーエリア内で松田がトラップミス。これをユン・イルロクが奪って突進しようとしたところ、松田の足が引っ掛かってユン・イルロクは倒れた。 ▽木村主審はノーホイッスルだったため、横浜Mの選手は主審を取り囲んで抗議。試合後のポステコグルー監督もPKだったと主張した。上川氏の解説によると、「18番の選手は振り向いただけにも見える。接触はあったが、倒れるほどのファウルか?」と疑問を呈し、木村主審のジャッジは正当だったことを認めた。 ▽難しかったのが、10月20日に行われた第30節の浦和vs鹿島(3-1で浦和の勝利)のプレーだ。鹿島の土居がペナルティーエリア右で浮き球のパスを受けて突進。それを後ろからマークする浦和の長澤が押し倒した。荒木主審はノーホイッスルだったが、長澤は土居に身体を入れられたため押しているが、土居も左手で背後の長澤のユニホームを引っ張っているように見える。 ▽「長澤と土居のプレーは、どちらのファウルか五分五分」と上川氏は語り、「例えVARでプレーを確認したとしても、どちらの反則か判断は難しい」とした上で、「サッカーの判定にはグレーな部分もある」と荒木主審のジャッジを支持した。 ▽こうしたグレーな判定は、もしもVARが導入されたら、最終的には「レフェリーの判断に任せる」(上川氏)しかないそうだ。 ▽J2千葉の試合では、明らかに主審は千葉の選手が手を高く上げてハンドした反則を見逃した。これについては、「他の選手同士が接触プレーの可能性があったため、レフェリーはそちらのプレーに注意が向いていた」(上川氏)ので、ハンドではなくクリアと思い、CKの判断を下したケースも紹介した。 ▽マラドーナの「神の手ゴール」ではないが、どんなに最新の機器が導入されたとしても、最終的にはレフェリーのジャッジが優先される。将来的にFIFA(国際サッカー連盟)はAIの導入も検討しているそうだが、やはりサッカーは人間味がないと味気ない。 ▽この意見交換会は、全てのJクラブが申し込んできているわけではなく、多いクラブと少ないクラブでばらつきがあるそうだ。具体的なクラブ名は明かさなかったが、これもまた各クラブの色が出ていると言えるのではないだろうか。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.11.02 13:30 Fri
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