【日本代表コラム】“勝利”を求め、誰よりも勝利を求めたハリルホジッチ監督解任に思うこと2018.04.09 23:45 Mon

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▽「1%でも2%でもW杯で勝つ可能性を追い求めていきたいと考えています」──9日、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任されたことが日本サッカー協会(JFA)から発表された。このコメントは、田嶋幸三会長が会見で話したもの。今回の決断が正しかったのかどうかは、2カ月後にしか分からないが、このコメントはどうにも納得がいかないもの。その他にも、納得のいく理由は出てこなかった。

▽2014年のブラジル・ワールドカップではアルジェリア代表を率いていたハリルホジッチ監督。対戦相手のことを綿密に分析した結果、グループステージの3試合で戦い方を相手に合わせて変え2位通過。ラウンド16では同大会で優勝したドイツ代表を相手に90分間をゴールレスドロー。延長戦で得点を許し、2-1で敗れた。しかし、このドイツ戦の90分間も相手との力の差を考えつつ、アルジェリアの良さを引き出し善戦。その手腕を買われ、2015年3月に日本代表監督に就任した。

▽就任時のJFA会長は大仁邦彌氏であり、技術委員長は霜田正浩氏(現レノファ山口FC監督)であった。協会内部の顔ぶれは当時とは異なるが、ハリルホジッチ監督就任時に霜田氏は「彼は勝利への執着心を要求しますので、そういった部分を日本にもたらしてくれればと思っています」とコメント。勝利にこだわる姿勢は、その後の3年間の振る舞いを見ていればわかるものだった。

▽ハリルホジッチ監督は、ロシア・ワールドカップ アジア最終予選の初戦であるUAE代表戦で逆転負け。最悪の予選スタートとなったが、その後は結果を残しグループ首位で6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めた。

▽予選中は様々な負傷者、主力選手の不調とエクスキューズがあった中、自身初となるアジア諸国との戦いにアジャストさせていくことも難しかっただろう。そんな中でも新たな選手を代表に招集するなど、しっかりと結果を残しながら、選手たちに経験値を積ませていった。

▽何度も行われた代表合宿でも同じだった。初めて招集した選手が試合で使われないことも多かった。そのことに不満を持たれた方も多いだろう。しかし、トレーニングでは各選手に細かく動きを指導。戦術の部分はもちろんのこと、体の向きや距離感など、世界レベルで戦うために必要なことを事細かく選手に植え付けていた。各選手がチームに戻ってパフォーマンスが上がることを目にした方も多いのではないだろうか。少なくとも、ハリルホジッチ監督は日本代表を強くするために全力を注いでおり、それに応えるように成長する選手も多かった。

▽ワールドカップ出場を決めてからの戦いを見ると、確かに結果が残せているとは言えないかもしれない。しかし、予選を戦った主力選手を外し、新たな選手を試していた。選手の調子を見極め、新たな戦い方も求めた。ワールドカップでの対戦国が決定してからはよりその動きが見られた。

▽3月のマリ代表戦、ウクライナ代表戦は1分け1敗だったが、本番を想定してのテストマッチ。確認することが第一の目標だっただけに、結果よりも課題がハッキリすることの方が重要だったように思う。「臭いものに蓋をしない」スタイルのハリルホジッチ監督は、日本サッカーを発展させるには必要だった存在だと思う。

▽勝利を求めた結果、勝利を誰よりも求めていたハリルホジッチ監督を解任させた日本サッカー協会。ワールドカップで結果を残すためにハリルホジッチ監督を解任したことよりも、この3年間積み上げてきたことの確認を放棄したことが、一番残念な決断だった。4年前も本番で真価を発揮してきたハリルホジッチ監督。日本サッカーを誰よりも知ろうとし、多くの選手をしっかりとチェックし続けた指揮官の退任は残念以外の何物でもない。3カ国に対するスカウティングの結果も見れないことは残念だ。

▽西野朗新監督が率いるこの2カ月で、日本代表が何かが大きく変化することはないだろう。次の活動は5月の合宿。実戦は5月30日のガーナ代表戦までない。その後も、スイス代表戦、パラグアイ代表戦の2試合で本番に臨むことになる。勝つ確率が上がるかは不明であり、今回の決断には疑問しか残らない。しかし、監督交代を決断したからには勝算があると願いたい。

▽最後に。この3年間、ハリルホジッチ監督が率いてきた日本代表を見続けてきた者として、ハリルホジッチ監督には心より感謝したい。ロシアの地で、ハリルホジッチ監督が指揮を執る日本代表を見たかったのが正直なところ。そして、ゴール、勝利を誰よりも喜ぶハリルホジッチ監督の姿を見たかった。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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【日本代表コラム】「罠」に陥らず、足りないものをしっかりと認識できたのか

▽「完全に満足することはできないが、ポジティブなものも見られた試合」と試合後の会見で語ったヴァイッド・ハリルホジッチ監督。ベルギー遠征でのテストマッチ2試合は1分け1敗。本大会まで3カ月を切ったタイミングでのこの結果には、不安を抱く方が多いのは致し方ないことだろう。 ▽冒頭のコメントに関しても、「この時期にそれでいいのか」と思われている方も居るに違いない。確かに、その気持ちは理解できないこともない。ただ、それではこれまでと何も変わらないのではないか。個人的にはそう感じてしまう。 <span style="font-weight:700;">◆「幻想」→「罠」</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180328_19_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽危機感がないわけでもなく、現状を楽観視している訳でもない。「幻想を抱いては罠に陥るだけだ」。ハリルホジッチ監督はウクライナ戦後に「罠」という言葉を使った。日本人が陥りやすい「罠」は、逆の意味もあると思う。 ▽マリ代表戦、ウクライナ代表戦と、ワールドカップ本大会を想定し、2戦目のセネガル代表、3戦目のポーランド代表を“仮想”して戦った。試合日程も中3日。結果は1分け1敗。この結果が本大会であれば、グループステージ敗退は確定に近い。 ▽ポジティブに捉えるならば、「本大会じゃなくて良かった」といったところだろう。あくまでもテストマッチ。結果が重要ではないとは言わないが、2カ月半後にピークを持って行くには、必要だったプロセスにも成り得るはずだ。もちろん、この先の改善が重要となる。 ▽しかし、日本サッカーを応援する人の大半の意見は冒頭でも触れた通り「不安」で一杯であり、「不満」も溢れてくるだろう。結果が出ていない以上、当然とも言える。ただ、それが「罠」でもあると考えられる。 ▽「面白いサッカー」、「試合を支配して華麗に勝ち切る」というような“幻想”を抱き、「結果が残らない」という“罠”に陥ることは容易に想像できる。一方で、ワールドカップで結果を残すということをリアルに考えた時、「本大会に影響しない勝ち点」を求めることが最重要なのかと問われれば、それは「イエス」と言い切れない。あくまでも、6月の3試合がメイン。そこで勝ち点を稼ぐための「準備」が今は求められるはずだ。 <span style="font-weight:700;">◆必要なことは“継続”</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180328_19_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽マリ戦と比較すれば、ウクライナ戦はポジティブな部分が多かったと言える。2失点は喫したものの、“仮想”であるポーランド代表の特徴でもあるサイド攻撃は、決定機を作らせることは少なかった。もちろん、その数を減らすことは求められるが、サイドバック、ウイングの縦関係で一定の守備を行えていたことはプラスだ。 ▽トップ下で先発出場したMF柴崎岳(ヘタフェ)は、中央だけでなく、サイドにも顔を出すなど、精力的に動いていた。冷静なプレーも多く、柴崎の良さを出すことはできただろう。DF槙野智章(浦和レッズ)のゴールをアシストしたFKからのクロスも、精度は高かった。 ▽さらに、1-1で迎えた後半の立ち上がり、日本はプレス強度を高め、左サイドでトライアングルを形成してゴールに迫っていた。前半に比べ、左サイドバックのDF長友佑都(インテル)の攻撃参加も増え、良い入りを見せていた。しかし、時間の経過とともにウクライナが盛り返し、日本は単調な攻撃に逆戻りした。 ▽90分間常に100%のパフォーマンスを出すことは当然難しい。ただ、相手が嫌がるプレー、相手を上回るという部分は試合のポイントとなる時間帯では必要だ。この2戦を見ていても、どこかギアを変えるタイミングがなく、単調な攻撃で決定機を作れないまま90分が過ぎていった印象だ。トライしようとしていることが失敗に終わったからといってやめるのではなく、どこまで継続していけるのか。結果を出すための“継続”は必要だろう。 <span style="font-weight:700;">◆攻守でハッキリと出た課題</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180328_19_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽昨年11月のベルギー遠征でのブラジル代表、ベルギー代表との2試合、そして今回のマリ、ウクライナとの2試合では、攻守でハッキリと課題が出た。ブラジル、ベルギー、マリ、ウクライナとワールドカップの出場に関係なく、アジアとは違うレベルでサッカーをするチームとの対戦では、通用しない部分が多かった。本大会に向けて危機感を抱くのもそれが理由だろう。 ▽攻撃面では、圧倒的にシュートが少ない。マリ、ウクライナを相手にしても、決定機と呼べるシーンはわずか。ただ、決定機を多く作ることが目的ではなく、ゴールを奪う事が目的にならなければいけない。ハリルホジッチ監督は「これでも多い」と語ったが、ワールドカップで対戦するコロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表を相手では、決定機を迎える回数は試合中に数えるほどだろう。そこでいかに効率よくゴールを奪うか。何度もハリルホジッチ監督が言う「直接FKからのゴール」もその1つと言える。 ▽シュートチャンスの形をイメージし、どの様に崩すかを考えることは多いだろう。ただ、それではゴールは決まらない。ゴールをどうやって奪うかまで考えた崩しでなければ、ワールドカップで結果を残すのは難しい。相手の守備を崩すことではなく、ゴールをどう奪うかまで見た攻撃を見たいものだ。 ▽そして守備面でもハッキリした課題があった。それは、『デュエル』だ。『デュエル』は一対一の局面に限らず、ピッチ上の様々な部分で起きている。マリ、ウクライナとの対戦では、人数をかけて奪いに行った局面でも、いなされてボールを繋がれていた。相手としては数的優位を作れる状況なだけに、いかにそういったシーンを減らすかが重要となる。 <span style="font-weight:700;">◆良いイメージとメンタルコントロール</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180328_19_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽残り3カ月を切った時点で、フィジカル的に優位に立てる選手を探すことはまずムリだろう。ハリルホジッチ監督が口にしたように「ゴールのところで我々の瞬発力、スピード、リズムの変化、早いボール回し、前に向かう動き」が必要だ。 ▽しかし、これらのプレーがこの2試合にあったかといえば、ほとんど見ることができなかったはず。高いレベルの相手にどこまで、「ストロングポイント」を出せるかが、ワールドカップで結果を残せるかに繋がるはずだ。 ▽各選手のコメントなどを見ていると、選手間でのメンタル面での差が多く出ているように感じる。世界を相手にどの様に戦うのか。恐れてリスクを負わなければ、光が指すことはないだろう。監督と選手の信頼関係が重要にはなるが、まずは選手たちが「ストロングポイント」だと認識しなければ、良い結果は生まれないかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.28 15:00 Wed
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【日本代表コラム】仮想セネガルの“テストマッチ”で見えたもの

▽「現実を直視してトレーニングを続けなければならない」と試合後会見の冒頭で口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。仮想セネガルとして挑んだ試合だったが、課題が散見される結果となった。しかし、テストマッチであることを考えれば、発見できたことはプラスに捉えられるだろう。 <span style="font-weight:700;">◆目を見張る大島の成長も無念の負傷交代</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/cws20180324_1_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽試合前日会見でMF大島僚太(川崎フロンターレ)について「就任した当初から追い掛けているが、当時からはるかに成長している」と語っていたハリルホジッチ監督。昨シーズンは川崎フロンターレの初優勝にも貢献したが、本来の力を発揮したと言える。 ▽ハリルホジッチ監督の下で日本代表デビューを果たした大島の初戦は2016年9月のロシア・ワールドカップ アジア最終予選の初戦、UAE代表戦。その後、日本代表から遠ざかり復帰した、2017年12月のEAFF E-1サッカー選手権では試合中の負傷で大会を後にした。 ▽最後のテストの場である今回のベルギー遠征に大島を招集したハリルホジッチ監督の期待は高く、スターティングメンバーとしてピッチに立った大島は、ダブルボランチの一角としてピッチに立つと、MF長谷部誠ともポジショニングの指示を出し合うなど良い連携を見せた。また、持ち前のテクニックと縦パスでギャップを作り出し、攻撃面でも1つ上のプレーを見せていた。 ▽しかし、今回も試合中に負傷。MF山口蛍と交代を余儀なくされたが、その後の攻撃面の変化を見ると、大島がマリ戦の序盤で見せたパフォーマンスが際立っていたように思う。 ▽Jリーグで結果を残し、大事な最後のテストの場に呼ばれた大島。またしても…と言われてしまうかもしれないが、ケガをしてしまったことは残念でならない。ロシアの地で日本に違いをもたらせることができる可能性を見せただけに、代表発表までの残り約2カ月は好パフォーマンスを維持してもらいたい。 <span style="font-weight:700;">◆ビルドアップの問題をどう解決するか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/cws20180324_1_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽今回は負傷のためにメンバー外となったDF吉田麻也(サウサンプトン)に代わり、DF昌子源(鹿島アントラーズ)、DF槙野智章(浦和レッズ)がセンターバックコンビを組んだ。 ▽吉田の相棒の座を争う国内組のセンターバックがアフリカ勢相手にどれほどの守備を見せられるかという点は注目だったが、大きなミスはなく、フィニッシュの部分でも体を寄せるなど、一定のパフォーマンスを見せていた。ただ、アフリカ勢特有の間合い、懐の深さやしなやかな身のこなしには苦労した部分も見えた。 ▽加えて、ビルドアップの面では課題を感じざるを得なかった。前線の選手の動き出し、中盤の選手のポジショニングも関わる部分ではあるが、コレクティブな守備を見せていたマリの前に、判断の遅さ、リスクを嫌う部分が散見され、後半の停滞につながった。 ▽特にボランチにつけるパス、横へのパスが目立ち、しっかりとブロックを作り、立ち位置がはっきりしていたマリの守備を崩すことに苦慮した。ワールドカップではよりレベルが上がることを考えると、ビルドアップの精度は上げる必要があるだろう。 <span style="font-weight:700;">◆前線の核は大迫。宇佐美、本田、中島は持ち味出す</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/cws20180324_1_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽1トップとして先発したやFW大迫勇也(ケルン)は、前線のターゲットマンとして機能。また、サイドに開いたプレーも、自身のパフォーマンスを見せていた。このままいけば、セネガル戦も大迫が軸となるだろう。 ▽また、途中出場で日本代表デビューを飾ったFW中島翔哉(ポルティモネンセ)は投入当初こそ遠慮する部分も見えたが、最後の同点ゴールまでの流れはさすがだった。ハーフウェイライン付近でパスを受けると、3人に囲まれながらも得意のターンで振り切りフリーに。ドリブルで持ち上がり左サイドへ展開すると、最後は三竿のクロスに合わせて代表デビューゴールを奪った。 ▽仕掛けが特徴でもある中島の色が出たプレー。ポルトガルで身につけた自信を、結果としてピッチで残せたことは大きいだろう。ワールドカップで勝ち上がるチーム特有の“ワンダーボーイ”的な役割を担う可能性もある。 ▽そして、久々の代表復帰となったFW本田圭佑(パチューカ)もパフォーマンスは悪くなかったように思う。ドリブルでの仕掛けなどで相手に防がれてしまう部分はあったが、ボールが収まること、周りを使うプレーに関しては問題なかった。先発という立ち位置を約束されない可能性は高いが、劣勢である試合をコントロールするという点では、経験値を含めて重要な役割を担うだろう。 ▽さらに、先発出場を果たしたFW宇佐美貴史(デュッセルドルフ)も久々の代表戦ながら調子の良さを見せていた。左サイドでコンビを組んだDF長友佑都(ガラタサライ)とのコンビは良好。独特の間合いを持つ宇佐美は、一対一の局面でもアフリカ勢の間合いに負けることはなかった。ゴールという結果は出なかったが周りを使うプレーに磨きがかかった印象。コンビネーションを生かしたプレーこそ宇佐美の真骨頂であり、激戦区である左ウイングのポジションでも新たな可能性を示したと言えるだろう。 <span style="font-weight:700;">◆悲観しすぎることはない</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/cws20180324_1_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽当然のことながら、テストマッチとは言えど勝利することに越したことはない。結果を出すことは1つのプラス材料だが、勝利したことに満足感を得ることもまた危険だ。 ▽不用意なPKで失点することは、ワールドカップでは当然起こりうる。ビハインドの状況で戦う機会も、グループステージの相手を見れば3試合ともあり得る話だ。その中で、どうやって盛り返すかも重要になる。 ▽マリは4年後のワールドカップ出場を目指すこともあり、前半からしっかりと試合に入っていた。若い選手が多かったものの、想定以上に組織立っていた守備を見せ、日本が各局面で苦労したのも事実。アフリカ勢特有のプレー範囲など、多くを体験できたことも大きいだろう。ハリルホジッチ監督としても、セネガル相手にどのような戦いが必要か、どの選手が通用するかもある程度見えたように思う。「今日は深い分析をしたくない」と語ったものの、ヒントは得ているはずだ。 ▽本番は6月の本大会。事前のテストマッチで結果を残した時ほど、日本のワールドカップ本大会での結果は芳しくない。課題をしっかりと把握し、どこまで改善させられるか。ウクライナ戦もポーランドを想定した試合になるが、どこまでのテストができるかに注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.24 15:00 Sat
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【日本代表コラム】惨敗に見えた脆さ…Jリーグでも散見される「受け身」の守備

▽「韓国の方が日本を大きく上回っていた」と試合後の記者会見で最初に口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。その言葉通り、様々な部分で日本は韓国に遅れをとっていた。 ▽結果は1-4で惨敗。韓国相手に4失点を喫したのは38年ぶりの屈辱的な出来事とのこと。その要因は、メンタルコントロールと判断力の欠如だった。 <span style="font-weight:700;">◆絶好の入りも…</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽立ち上がり1分、日本は推進力を持ってプレー。左サイドを突破したDF車屋紳太郎が左足でクロスを上げると、飛び込んだFW小林悠がヘッドで合わせた。ゴールこそならなかったが、川崎フロンターレでも見たことのあるプレー。入りは悪くなった。 ▽そしてちょうど1分を迎えるところ、小林のフリックからMF土居聖真がダイレクトで前につなぐと、右サイドから走り込んだFW伊東純也が倒されPK獲得。小林がしっかりと左隅に決めて、幸先良く先制した。 ▽各選手の良さが出て、結果的にPKで先制。絶好の立ち上がりを見せた日本代表だったが、この試合で良かったのはここまでだった。スイッチが入った韓国に押し込まれると、立て続けに3失点。韓国のインテンシティの高さに後手を踏んでしまった。 <span style="font-weight:700;">◆上がらないインテンシティ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽先制を許した韓国は、ギアを上げてプレー。日本の守備陣は受け身になってしまった。日本としては、インテンシティを上げてきた韓国に対し、ボールを保持して時間を使うこと、そして同じレベルまでインテンシティを上げることが必要だった。 ▽インテンシティが上がらない理由の1つは、「選手のポジショニング」と言えるだろう。先制後、韓国のミスもある中で主導権を握れなかった日本は、推進力に押され最終ラインが下がってしまった。また、アンカーのMF今野泰幸も最終ラインに吸収されてしまうようなシーンが多く、プレス強度が上がらなかった。 ▽相手の攻撃に対し、「受け身」になってしまうことで、人数的に足りていても、インテンシティが保たれない守備となってしまう。その場合、選手が余っているにも関わらず、マークの受け渡しが上手くいかないことが起こりやすい。ボールホルダー、ボールそのものを追ってしまうことになっていた。 ▽プレスをかけ、相手を追い込むことで、パスコースを限定する、または無理なボールを蹴らせるということができる。しかし、受け身になることで相手に主導権を渡し、攻撃陣に自由を与えてしまう。特に、2列目の選手がプレスをかけずに引いてしまったことで、全体的に重心が後ろになっていった。その結果は失点シーンにも表れている。 <span style="font-weight:700;">◆数的有利でも抑えられないクロス</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽例えば1失点目のシーン。日本はボックス内に4人の選手(今野泰幸、三浦弦太、昌子源、車屋紳太郎)がいた。韓国は3人。イ・ジェソンはこぼれ球を狙う位置におり、キム・ミヌは後方からニアに走り込む役回り。ターゲットはキム・シンウクのみだった。しかし、そのキム・シンウクにフリーの状態でヘディングで決められてしまった。 ▽この失点に関しては、1つはクロスを上げたキム・ジンスへの寄せの甘さ、そしてもう1つがマークの受け渡し、つまり選手のポジショニングが問題だった。 ▽マークで言えば、DF植田直通がボックス脇のイ・グノに、キム・シンウクに対しては昌子が付いていた。今野は飛び込もうとしているキム・ミヌを警戒、車屋はイ・ジェソンを見ていたと考えられる。ボックスの外には、MF倉田秋も下がってきていた。 ▽この場面、1つ前のプレーでは伊東のプレスによりサイドのキム・ジンスへパスが出された。しかし、ここはノーマーク。MF井手口陽介はイ・グノへのパスコースを切っていたのかもしれないが、植田がしっかりと付いていたことを考えれば、キム・ジンスへのアプローチを早める必要があっただろう。 ▽そしてクロスへの対応も同様だ。このシーンではDF三浦弦太は数的に余っている状況。三浦も競りに行くことは可能だった。そして、車屋はキム・シンウクの背後にいたことを考えれば、体を寄せることはできたはずだ。しかし、警戒していたキム・シンウクと競り合ったのは昌子のみ。身長差と状況を考えれば、決められてしまうのは必然だった。 <span style="font-weight:700;">◆失点シーンに見えるJリーグの脆さ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽問題点は、クロスを簡単に上げさせてしまうこと、そしてボックス内での競り合いで優位性を保てないことだ。こういったシーンはJリーグでも良く見られる。サイドからのクロスを長身FWが頭で合わせる。数的に勝利していても、決められてしまう。Jリーグを普段見られている方であれば、シーズン中に何度も目にする光景だと思う。 ▽特に、サイドハーフが中に入ってプレーした時のサイドバックの上がりに関しては、脆さを見せる傾向にあるだろう。サイドハーフ、ボランチ、サイドバックと、どの選手が対応するのかが不明確になりやすい。 ▽失点シーンも、伊東、井手口、植田の右サイドの3人の守備に疑問が残る。韓国の左サイドバックに対してのマークは誰が見るべきだったのか。イ・グノに対して植田が付いていたが、三浦でもよかったはずだ。そうなれば、植田がキム・ジンスにつけるだろう。また、もう1つ前のプレーで伊東がプレスに行ったが、伊東がキム・ジンスを追いかけ、井手口がプレスに行くことも可能だったはずだ。しかし、受け身になっていたためにスタートポジションが下がっていたため、伊東がプレスに。キム・ジンスがフリーでクロスを上げられる状況となった。 ▽ゴールにはならなかったが、19分の韓国のカウンターも同様だ。CKからカウンターで逆襲を受けると、右サイドをキム・ジンスが突破。昌子が対応すると、中央へ折り返される。これに対し、遅れて上がってきたボックス手前のキム・シンウクがダイレクトシュートを放った。このシーン、昌子がキム・ジンス、三浦は後方から上がってきたキム・ミヌを警戒。しかし、キム・シンウクは完全にフリーだった。植田は余っており、井手口もキム・ジンスを追うのではなく、キム・シンウクに付くべきだっただろう。 ▽急造チームであること、連携面に不安を抱えていることは事実だ。しかし、普段からできているプレーをすることはできたはず。先制後に自然と「受け身」になってしまい、全体的にどう守るかをピッチ上で判断できなかったことは残念なポイントの1つだ。 <span style="font-weight:700;">◆ピッチ内でのメンタルコントロール</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽守備面にも関わることではあるが、もう1つ気になったのは、メンタルコントロールができなかった点だ。1-1に追いつかれた後、日本は焦りからか攻め急ぐチーンが多く見られた。 ▽韓国も決して良いパフォーマンスとは言えず、パスミスから日本にボールを渡してしまうシーンも少なくなかった。しかし、攻め急ぎ、縦への意識が強いあまり、すぐさま韓国にボールを渡すシーンが散見された。 ▽スピードのある攻撃を求めること自体は悪くないが、試合の展開を読むことができれば、ポゼッションを高め、オープンな展開を止めることもできたはず。しかし、その勢いに身を任せたことで、韓国に押し込まれるだけになってしまった。 ▽経験値が少ない選手が多い中、ピッチ上でコントロールできる選手がいなかったことも残念だ。本来であれば今野がその役割を果たすべきだったかもしれない。しかし、今野もまた韓国の勢いに飲まれていたようにも見えた。メンタルコントロール、そして中国戦でも気になった「判断力」の面では、チーム全体としての未熟さが出てしまったようにも思う。 <span style="font-weight:700;">◆それでもわずかな収穫</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171217_1000_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽4失点での大敗となれば、得られたものは多くはない。それでも、先発した土居聖真や途中出場の阿部浩之といった、自分の普段通りのプレーを出せている選手もいた。土居は前線で競り合うだけでなく、プレスの質や仕掛ける姿勢を見せていた。阿部も出場時間は短いが、周りを使うプレー、そして自分が生きようとするプレーを見せていた。 ▽ワールドカップは日韓戦以上にメンタルコントロールが重要となる。浮き足立たずにプレーできる選手がいるというのは、ポジティブな材料だろう。日本代表デビューとなったMF三竿健斗も、落ち着いたプレーを見せ、繋ぎ役に徹するだけでなく、積極的に前に出て行く場面が見られた。 ▽北朝鮮戦で好パフォーマンスを見せたGK中村航輔は、この日も良いパフォーマンスを見せていた。4失点とはいえ、どれもセーブのチャンスは少なかったと言える。それ以上に、失点を防いだシーンが見受けられた。代表出場2試合目のパフォーマンスとしては申し分ない。 ▽「この大会で2勝できたことは一定の結果」と語るように、北朝鮮戦、中国戦で粘りながら試合を進め、勝利できたことはプラスだ。韓国戦の惨敗が印象強く残るが、3試合を通じての収穫はあった。 ▽ワールドカップに臨むレベルかどうかはさておき、Jリーグ勢である程度戦えること、そして足りないものが多く見えた。そういった点でも、収穫はゼロではない。 ▽次の代表戦は3月。その前にJリーグは開幕する。各選手がクラブに持ち帰り、自身の今後のプレーにどう繋げるかが最も重要だ。東アジアで通用しなかった部分を見つめ直さなければ、ロシア行きの切符も掴めないだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.17 15:00 Sun
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【日本代表コラム】デビュー組が見せた可能性、意識が変化も違いを生む“判断力”

▽北朝鮮戦に続いて、我慢の展開が続いた中国戦。終盤の2ゴールで2-1と勝利し、連勝を飾った。中2日での試合となったが、北朝鮮戦と比べると、選手の意識が格段に向上した一戦だったように思う。 ▽北朝鮮戦では、前線こそ最終ラインの裏を狙う動きを繰り返したが、後方からの縦パス、裏を狙ったパスがほとんど見られることはなかった。しかし、この試合では前線の動きに対し、後方からの積極的なパスが見られた。選手構成を代えたことも、大きく影響したように思う。 <span style="font-weight:700;">◆代表デビュー組が見せた新たな可能性</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw2.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽北朝鮮戦から7選手を入れ替えた日本代表。DF植田直通(鹿島アントラーズ)が右サイドバック起用されるというサプライズに加え、DF三浦弦太(ガンバ大阪)、DF山本脩斗(鹿島アントラーズ)と、最終ラインはDF昌子源(鹿島アントラーズ)以外は代表デビュー戦となった。さらに、左サイドに緊急招集を受けていたMF土居聖真(鹿島アントラーズ)を起用。5名が日本代表デビューを果たした。 ▽この試合で最も驚きだったのは植田だ。鹿島では昌子とセンターバックでコンビを組み、U-23日本代表でもセンターバックでプレー。日本代表合宿では右サイドバックに入ることもあったが、あくまでもトレーニングだと思われていた。しかし、この日は右サイドバックで先発。中国の左サイドの攻撃に対する守備と高さへの対応かと思われたが、植田は攻撃面で力を発揮した。 ▽右サイドからのアーリークロスや、縦パスを意識的に狙うシーンが目立ち、22分には意表をついたクロスからFW小林悠(川崎フロンターレ)が合わせるもゴールならず。65分にはFW伊東純也(柏レイソル)とのワンツーから絶妙な抜け出しを見せ、あわやというクロスを送った。守備面では何度か攻め込まれるシーンはあったが、代表デビュー、右サイドバックということを考えれば及第点以上の活躍だった。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw3.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽そして、センターバックとしてプレーした三浦もまずまずの出来だった。G大阪で見せるフィードは味方につながるシーンは少なかったが、狙いとチャレンジは評価できる。守備面でも冷静な対応や、高さの勝負でも問題ない部分を見せた。繋ごうとしすぎるあまり、終了間際のPK献上のきっかけを作ってしまったが、経験を積めば解消されるだろう。大崩れしなかった点は、プラス材料だ。 ▽左サイドバックの山本は、持ち前の対人守備の強さを披露。最後のPK献上は残念だったが、後半は積極的にボックス付近まで上がってプレー。32歳での代表デビューとなったが、これまでの経験をしっかりと日本代表のピッチで披露した。そして、同サイドでプレーした土居もサイドからカットインするプレーなど、攻撃面で違いを見せた。デビュー戦としては上出来だといえる。 <span style="font-weight:700;">◆意識が変わった攻撃</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw4.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽前述の通り、初戦の北朝鮮戦に比べて、ハリルホジッチ監督が求める裏への動き、スペースを使った動き、縦に早い攻撃を仕掛けるシーンは増えていた。 ▽インサイドハーフに入ったMF大島僚太(川崎フロンターレ)は、相手ディフェンスの間に顔を出し続け、ポジショニングの良さを見せた。ボールに絡む回数を増やし、1トップに入った小林とのコンビも見せていた。大島が入ったことで、攻撃面の前への意識は上がり、縦や裏を狙うシーンは増えた。27分にミドルシュートを放った時に左ハムストリングを負傷し、MF井手口陽介(ガンバ大阪)と交代。残念な交代となったが、自身の持ち味は出せていた。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw5.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽また、大島に代わって入った井手口も、北朝鮮戦以上に攻撃面での持ち味を出せていた。高い位置を取ったこともあり、前からの守備、そして前線に上がっていくシーンが増えた。また、高いシュート意識を見せ、ミドルシュートを連発。相手ディフェンスの意識を自分に向けることができ、周りの攻撃陣は試合が進むごとに動きやすくなった印象を受けた。攻撃面に関しては、最終戦の韓国戦で更なる進化に期待したい。 <span style="font-weight:700;">◆気になる試合運び</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw6.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽攻撃の意識が変わり、終盤まで粘った展開からの勝利。プラス材料は多いといえる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「すごく美しい勝利だった。しっかり良いプレーができたと思う」と試合後に語っていた。確かに、連勝を飾れたこと、そしてプレーが改善されたことはプラスだ。 ▽一方で、気になる部分も北朝鮮戦に続いて見えてきた。それは、「プレーの判断」だ。これもJリーグでプレーしていることが多少影響しているといえる。最後のPKを与える前のプレーもその1つだ。特に守備面では、ライン外に蹴りだすのか、繋ぐのか、ロングボールを蹴るのか、ハッキリしなければいけないシーンでの判断が気になるシーンもあった。Jリーグに比べ、国際舞台では相手のプレスのスピードや強度が変わってくる。そういった場面での判断力のスピードに関しては、さらにレベルアップする必要があるだろう。 ▽そして、攻撃面ではペースを変えられず一辺倒になってしまうことだ。裏を狙う、縦パスを入れるというプランを遂行するために、意識の変化は見られた。しかし、そのために何度も同じ形で攻撃を仕掛けるあまり、相手の守備も対応ができ、前半の30分過ぎからは中国の押し込まれる時間帯が続いてしまった。 ▽また、狙い過ぎるためにセカンドボールへの反応や、プレスの強度が下がる傾向も見られた。試合の流れをスムーズにすることができたものの、まだまだ課題は残されている。何れにしても、ピッチに立っている選手の“判断”が重要となる。 ▽得点シーンは、その“判断”が上手くいった例だろう。1点目は、ルーズボールを拾ったMF倉田秋(ガンバ大阪)がパスを狙う前に、ターンして前を向いた。これにより、FW川又堅碁(ジュビロ磐田)への縦パスが入り、最終的には小林がネットを揺らした。小林も、川又の衛星的な役割を意識していたために、あのゴールが生まれた。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171212_1000_tw7.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽2点目も同様だ。昌子の鮮やかなロングシュートはお見事だったが、その前のボール処理が素晴らしかった。胸トラップし、相手が近くにいたにもかかわらず、1つ前に持ち出した。そのおかげでシュートチャンスが生まれ、右足を一閃。スーパーゴールが誕生した。個々人の良い判断は見えてきたが、チームとして出せるようになるまでは時間がかかるだろう。試合運びでも巧者ぶりを見せることができなければ、最終節の韓国代表戦は、これまで以上の厳しい戦いとなるに違いない。 ▽ワールドカップで戦うということを考えても、判断の選択、判断をするスピードというのは必須の能力となる。Jリーグでは、全体的に判断のスピードが高くなく、多少遅くても対応できてしまう場面が多い。しかし、その能力を身につけることができれば、より自身の特徴をだすことができ、ワンランク上の選手になれるはずだ。韓国戦に勝利すれば、2大会ぶりの優勝となる。2年前は惨敗に終わっているだけに、最後もしっかりと勝利し、タイトルを獲得したいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.13 07:30 Wed
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【日本代表コラム】Jリーグでのプレーによる弱点が見え隠れした北朝鮮戦

▽6月に開幕するロシア・ワールドカップに向けた最後のアピールチャンスとなるEAFF E-1サッカー選手権。日本代表は、初戦の北朝鮮代表戦で薄氷の勝利を収めた。結果だけを見れば、終了間際のラストプレーで挙げたゴールで1-0の勝利と厳しい評価を下すこともできる。 ▽しかし、状況を考えればしっかりと勝利を収めたこと、そしてデビュー戦となった選手における収穫があった試合と言える。Jリーグ勢が世界で戦うために必要なことも明確になっただろう。 <span style="font-weight:700;">◆明暗分かれたデビュー戦</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw2.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽この試合で最もインパクトを残したのは、日本代表初出場となった柏レイソルのGK中村航輔だ。説明の必要もないだろうが、この試合の中村は北朝鮮の決定的なシュートを連続してセーブ。日本のクリーンシートに大きく貢献し、土壇場での勝利を呼び込むプレーを見せていた。 ▽日本代表デビュー戦ということを考えれば、緊張をしてもよかったはず。しかし、中村のプレーぶりは通常運転そのもの。セービングだけでなく、セットプレー時の指示なども、柏で見せるものと変わりなかった。特筆すべきはポジショニングの良さだろう。好セーブを連発したことはポジショニグも関係しており、自身の力を発揮したと言える。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw3.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽そしてもう1人、途中出場となったFW伊東純也(柏レイソル)も持ち味を発揮していた。右サイドに入った伊東は、縦への仕掛け、そして右サイドの守備でも貢献。左サイドで組み立てる時間が多かった前半に比べ、日本が右サイドを使うこともできた。北朝鮮が引いていたこともあり、前半はスペースがあまりなかったが、伊東のプレーの選択も含め、右サイドを活性化できたのはプラス材料だ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw4.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽一方で、DF室屋成(FC東京)、MF阿部浩之(川崎フロンターレ)はもう少し良さを出すこともできただろう。室屋はいきなりの先発デビューとなり、ポジショニングの良さなどを見せていた。しかし「5、6回不要なファールをしています。もちろん、アピールしたいというところでのファールだったのでしょうが、未熟さも出たかと思います」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が試合後に語ったように、不慣れな部分も出ていた。それでも、ポテンシャルの高さは感じさせた場面は随所にあり、連係が上がれば攻撃面でも違いを出せるだろう。 ▽阿部はプレー時間が短かった部分もあるが、左サイドバックのDF車屋紳太郎、トップ下のFW小林悠とは川崎フロンターレでもチームメイト。左サイドを中心にもう少し違いを生み出せることが期待された。決勝点に繋がったシーンでは、FW川又堅碁(ジュビロ磐田)への絶妙なパスを出したが、もう少し長い時間のプレーが見たいところだ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw9.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽久々の代表戦となったDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)はまずまずの出来だった。谷口は対応を誤るシーンも多少はあったが、DF昌子源(鹿島アントラーズ)との補完性は高く、無失点で試合を終えられたことはプラスだ。FW金崎夢生(鹿島アントラーズ)はポストプレー、サイドに流れてスペースを空ける動きと従来のプレーを見せていた。ハリルホジッチ監督の要求とは少し違ったようだが、持ち味は出せていた。 <span style="font-weight:700;">◆Jリーグでのプレーによる弱点</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw5.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽Jリーガーで構成される今回の日本代表。初めて日本代表に招集され、連係がままならないという点も考慮すべき部分はたくさんある。しかし、北朝鮮戦では気になるシーンがあった。1つはリスクを冒すパスを出せないことだ。 ▽この試合では前半、金崎が1トップに、トップ下にMF高萩洋次郎(FC東京)、右サイドに小林、左サイドにMF倉田秋(ガンバ大阪)が入った。[4-5-1]で2列のブロックを敷く北朝鮮に対し、高萩が間に入ってボールを受けようとしていた。そして、金崎もライン間でポストプレーを、小林はラインの裏への動きを繰り返していた。しかし、後方から3名にパスが入るシーンはほとんどなかった。 ▽基本的な攻撃は左サイドから。車屋が高い位置を取り、倉田とともにボールを運んで組み立ててていく。しかし、効果的なボールが入ることは少なく、時間をかけている間に北朝鮮のブロックが形成されていった。「縦に早いサッカー」ということをハリルホジッチ監督は予てから口にしていたが、その部分が見られるシーンは少なかった。前半では15分に今野からの縦パスを金崎がフリック。倉田はオフサイドとなったが、形としては素晴らしかった。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw7.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽鍵を握るのは「ボランチ」に入る選手になるだろう。Jリーグを見ていても、効果的に「縦パス」を入れられる選手は少ない。そして、裏を狙うボール、サイドで作った上での逆サイドへの展開というものも、あまり見られるものではない。北朝鮮戦でも、サイドチェンジなどをする場面は見られたが、パススピードが遅かったり、パスが前に出ないためにスピードダウンしたりと、効果的なプレーにつながるシーンが少なかった。 ▽ワールドカップで戦うことを考えれば、ピッチ上でのスピードアップやリスクを負った仕掛けというのが必要となる。Jリーグでもトップクラスの選手が集まったチーム。連係面が不足しているとはいえ、リスクを冒すプレーがあまりにも少なく感じた。普段から行えていないことは、指示を出されていてもなかなか簡単にできるものではない。中国、韓国との2試合では、イニシアチブを握るという意味でも、リスクを冒したプレーが見たいところだ。 <span style="font-weight:700;">◆即効性はなくとも継続が重要</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171210_1000_tw8.jpg" style="max-width: 100%;" class="yui-img"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽残りは2試合、チームとしての活動も限られたものがある。最大の目標はロシア・ワールドカップで結果を残すこと。しかし、その先も日本サッカーは止まることなく、世界と戦う場で結果を残すことを目標に進んでいく。 ▽そういった面で考えれば、Jリーガーが普段のプレーで足りていない部分を感じること、そして国際舞台でプレーすることで感じるものはプラスに働くはず。ワールドカップに向けたメンバー選考の場であることには変わりないが、日本サッカー、Jリーグの底上げのためにも重要な機会となる。 ▽「次の試合では選手を入れ替えながらやっていきたいと思っています」とハリルホジッチ監督が語っているだけに、次の中国戦では北朝鮮戦とは違うメンバーが名を連ねるだろう。その結果、連係面は上がらない可能性はあるが、積み上げたものは無駄にはならないだろう。選手の能力は高い。あとは、そこにどれだけ対応できるか。今大会を通じて、Jリーガー勢がどこまでアジャストしていけるのか、注目していきたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.10 23:55 Sun
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