【六川亨の日本サッカーの歩み】浦和のジンクス
2018.03.05 17:30 Mon
▽J1リーグはまだ2試合を消化したに過ぎず、現在の順位はあくまで暫定に過ぎない。とはいえ今シーズンはちょっとした“異変”が起きているようだ。まず昨シーズンのアジア王者である浦和が、開幕2試合で1分け1敗の未勝利により13位と出遅れた。
▽昨シーズンのメンバーがほとんど残り、ドリブラーのマルティノスと重量FWの武富を補強して、チームの完成度も高いと思われた。FC東京との開幕戦は後半早々に失点したものの、すぐに槙野が同点ゴールを決めるなど勝負強さを見せた。第2節の広島戦では先制しただけに、勝利は確実かと思われたが、予想外の逆転負け。開幕2戦で未勝利は08年以来10年ぶりで、当時のオジェック監督は前年にACLで優勝しながら、開幕2試合で解任された。
▽浦和以外にも、Jリーグで優勝経験のある磐田とG大阪は2戦2敗で18位と17位に沈んでいる。代わって首位に立っているのが開幕2連勝の名古屋で、同じ勝点6で広島と仙台が続いている。
▽正直、今シーズンの名古屋は降格候補と思っていた。というのも、2月10日に沖縄糸満市で行われたFC東京との練習試合では、DF陣が連係ミスから何度もボールを奪われたからだ。風間監督のスタイルなのだろうが、GKは必ずペナルティーエリアの外にいるDFにパスを出し、DF陣からのビルドアップにトライ。しかしFC東京のプレスに簡単にボールを失い、GKのランゲラックと1対1になるシーンが3回もあった。いずれもGKの好プレーで失点を免れたが、FC東京のGKやDFらのロングパス1本で簡単に裏を取られるシーンも多く、決勝点もそうしたプレーから生まれた。
▽試合後の風間監督は「いまはやろうとしていることにトライしている。成功も失敗もあるが、たくさんトライすることが大事。背後を狙われたのもトライしているから。体のコンディション作りと頭を使うことをやってきたので、整理できて全員が1歩前進した」と収穫を口にした。ただ、川崎Fと比較すると「まだまだ」と風間スタイルの完成は道半ばであることを認めた。
▽その試合のメンバーと第2節の磐田戦では4人が代わっていて、一番の違いは昨シーズンのブラジル・リーグ得点王でMVPのFWジョーの存在だろう。ただ、1人の選手の存在でチームが劇的に変わるとも思えない。ここしばらくは注目したい名古屋である。
▽そこで興味深いのが、開幕戦で浦和と対戦したチームのリーグ制覇が、開幕戦の勝敗に関係なく5回もあることだ。まず06年は浦和が優勝したので当然として(開幕戦は1-1G大阪)、09年は鹿島が浦和と対戦している(2-0浦和)。そして12年からは3年連続して広島(1-0浦和)、広島(1-2浦和)、G大阪(0-1浦和)と、優勝チームはいずれも開幕戦で浦和と対戦しているのだ。
▽この法則でいくと18年はFC東京ということになるのだが、果たして結果はどうなるのか。ちなみに開幕戦で横浜FMは3回も浦和と対戦している(07、08、17年)が、残念ながらタイトルは取れなかった。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽昨シーズンのメンバーがほとんど残り、ドリブラーのマルティノスと重量FWの武富を補強して、チームの完成度も高いと思われた。FC東京との開幕戦は後半早々に失点したものの、すぐに槙野が同点ゴールを決めるなど勝負強さを見せた。第2節の広島戦では先制しただけに、勝利は確実かと思われたが、予想外の逆転負け。開幕2戦で未勝利は08年以来10年ぶりで、当時のオジェック監督は前年にACLで優勝しながら、開幕2試合で解任された。
▽浦和以外にも、Jリーグで優勝経験のある磐田とG大阪は2戦2敗で18位と17位に沈んでいる。代わって首位に立っているのが開幕2連勝の名古屋で、同じ勝点6で広島と仙台が続いている。
▽試合後の風間監督は「いまはやろうとしていることにトライしている。成功も失敗もあるが、たくさんトライすることが大事。背後を狙われたのもトライしているから。体のコンディション作りと頭を使うことをやってきたので、整理できて全員が1歩前進した」と収穫を口にした。ただ、川崎Fと比較すると「まだまだ」と風間スタイルの完成は道半ばであることを認めた。
▽その試合のメンバーと第2節の磐田戦では4人が代わっていて、一番の違いは昨シーズンのブラジル・リーグ得点王でMVPのFWジョーの存在だろう。ただ、1人の選手の存在でチームが劇的に変わるとも思えない。ここしばらくは注目したい名古屋である。
▽話は変わり、J1リーグは2005年より18チームになり、1シーズン制を2014年まで採用した。その後2年間は2シーズン制に戻し、再び17年から1シーズン制になった。その間の優勝チームは鹿島が3回、G大阪と広島が2回、川崎F、柏、名古屋、浦和が各1回となっている。
▽そこで興味深いのが、開幕戦で浦和と対戦したチームのリーグ制覇が、開幕戦の勝敗に関係なく5回もあることだ。まず06年は浦和が優勝したので当然として(開幕戦は1-1G大阪)、09年は鹿島が浦和と対戦している(2-0浦和)。そして12年からは3年連続して広島(1-0浦和)、広島(1-2浦和)、G大阪(0-1浦和)と、優勝チームはいずれも開幕戦で浦和と対戦しているのだ。
▽この法則でいくと18年はFC東京ということになるのだが、果たして結果はどうなるのか。ちなみに開幕戦で横浜FMは3回も浦和と対戦している(07、08、17年)が、残念ながらタイトルは取れなかった。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
|
関連ニュース