【原ゆみこのマドリッド】勝てば何でも微笑ましく見える…2018.02.17 14:30 Sat

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「可愛いと言えばそうかもしれないけど」そんな風に私が首を傾げていたのは金曜日、チャイニーズ・ニューイヤーを祝うアトレティコのビデオを見た時のことでした。いやあ、昨今はどこのクラブも中国人ファンを増やそうと熱心で、この時期は選手たちが中国語で新年おめでとうと言っている映像が沢山出るんですけどね。今回のアトレティコ版は、いえ、先日、大連万達(ワンダ)グループがスタジアムのスポンサー契約は続けるものの、持ち株をイスラエルの企業に売却。そのせいで制作費が減ったなんてことはないと思いますが、戌年にちなんだ企画として、サウール、カラスコ、ヒメネスがペットのワンちゃんたちを紹介って、あまりに安易すぎる企画な気がしたから。

▽え、今週はヨーロッパの大会が再開したせいで、選手たちに中国語を覚えてもらう時間がなかったんじゃないかって?そうですね、お隣さんなども現在、解説者をしているロベルト・カルロスが主役。さり気にCLトロフィーが神々しく12個並んだクラブ博物館内の風景も入れ、こういうのを見て駆けつけたファンがまた、サンティアゴ・ベルナベウ前のツアーチケット売り場の行列を長くするんだなと思いましたが、まあそれはそれ。まずはレアル・マドリーの今季全てが懸かった水曜のCL16強対決PSG戦1stレグがどうだったか、お伝えすると。
▽セルヒオ・ラモスの呼びかけにファンが応え、その日はチームバスがスタジアム入りする午後7時15分頃には周辺の道路が人で溢れんばかりに。予想通り、bengala(ベンガラ/発煙筒)が何本も赤々と燃え上がっている光景を近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で眺めてから、観戦に向かった私でしたが、何せフランスからPSGの応援に来るサポーター4000人中、1割ぐらいウルトラ(過激なファン)が混じっていると聞いていましたからね。ビジターファン区画に繋がるTorre D(タワーD)の入り口もボディチェックが厳しいせいか、物凄い渋滞ぶりでしたが、幸い大きな騒ぎはなかったよう。私も無事にスタンドの席に着くことができたんですが…。

▽fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)に巨大垂れ幕がかかり、ビッグマッチ特有の華々しさで幕を開けた試合の方は、いえ、ジダン監督の「Jugamos cuatro en el medio contra tres de ellos/フガモス・クアトロ・エン・エル・メディオ・コントラ・トレス・デ・エジョス(相手の3人に対し、ウチは4人を中盤に入れてプレーした)」という作戦でイスコがトップ下を務めたため、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)対MCN(ムバッペ、カバーニ、ネイマール)のガチンコ対決にならなかったせいではないんでしょうけどね。最初のゴールが決まったのは前半33分と遅めで、しかも今季のベルナベウでは珍しいことではないんですが、ムバッペのクロスをネイマールが戻し、フリーだったラビオが撃ち込んで先制されてしまったから、さあ大変!

▽でも大丈夫。ハーフタイムに入る前にクロースがロ・セルソにエリア内で倒されてPKをゲットすると、ロナウドがしっかり決めて、1-1の同点で折り返したんですが、後半、両チームの明暗を分けたのはそれぞれの交代策でした。そう、アウェイゴール付きの引き分けを良しとしたか、PSGのエメリ監督が20分にはカバーニをムニエに代え、ダニエウ・アウベルとの右サイドダブルSB制を敷いたのとは違い、ジダン監督はまずはベンゼマをベイルに。とはいえ、最後の最後にモノを言ったのは30分過ぎ、カセミロとイスコを引き上げ、ルーカス・バスケスとアセンシオをサイドに投入したことで38分、後者のラストパスをGKアレオラが弾いたところ、詰めていたロナウドのヒザに当たり、勝ち越しゴールが入るとは何てラッキーなんでしょう。

▽つまりこういうことがあるから、「Esto es la Champions y el Madrid tiene experiencia/エストー・エス・ラ・チャンポンズ・イ・エル・マドリッド・ティエネ・エクスペリエンシア(これはCLでマドリーには経験がある)」(ロナウド)と威張れるんだと思いますが、これで当人はマドリーに来てからのCL得点記録を101ゴールに更新。その3分後にも再びアセンシオが違いを見せつけ、今度はマルセロにアシストすると、とうとう3-1という、かなり安全なスコアで勝利したとなれば、私も含め、もしやこの日で今季のCLナイトは終わりかもしれないと恐れていたマドリーファンたちがどんなに喜んだことか。
▽いえ、後で帽子をかぶった粋な姿でミックスゾーンに現れたラモスは、「Al Real Madrid no se le puede dar por muerto/アル・レアル・マドリッド・ノー・セ・レ・プエデ・ダール・ポル・ムエルトー(レアル・マドリーは死んだものと見なすことはできない)」と言ってはいたものの、この手の終盤のremontada(レモンターダ/逆手劇)は今季、珍しいんですけどね。やはり「Este club tiene 12 Champions por algo/エステクルブ・ティエネ・ドセ・チャンピオンズ・ポル・アルゴ(このクラブがCLに12回優勝しているには理由がある)」(ジダン監督)ということなのか、前評判は高かったPSGですが、ここぞという時のマドリーの強さには私も感心するばかりだったかと。

▽ただ、エメリ監督を始め、相手側からはクロースへのペナルティや、逆にエリア内でラモスの腕にボールが当たったプレーでPKをもらえなかったことなど、ジャッジに対する文句が山積みで、いえ、結局、せっかくこの冬獲ったラス・ディアラではなく、若いロ・セルソを先発させたり、今年になって絶好調のディ・マリアを最後まで投入せず、交代枠を余らせたりした采配が災いした面もあると思うんですけどね。時折、個人技で光っただけのネイマールなど、3月6日の2ndレグで逆転突破を期して、「El ano pasado tuvimos una situacion mas dificil para poder pasar/エル・アーニョ・パサードー・トゥビモス・ウナ・シトゥアシオン・マス・デフィシル・パラ・ポデール・パサール(昨季は突破にもっと難しい状況だった)」と強気でしたが、いや、それ、バルサがパリで4-0と大敗して、カンプ・ノウで6-1と逆転した16強対決のことですか?

▽うーん、その時は2得点した当人が大逆転の立役者になっていましたが、今回は横にメッシもルイス・スアレスもイニエスタもいないとなると、さてどうなることやら。一方、マドリーも嬉しいことばかりではなく、金曜にはクロースが試合中にムバッペとぶつかった際、左ヒザを痛め、その日は走行距離13キロとチーム一の健脚ぶり、ミックスゾーンでもドイツ人記者にたちと楽しそうに話していたものの、2ndレグまでに回復できるか、ギリギリのところだとか。いえ、それまでのリーガ戦5試合はこの日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのベティス戦を含め、首位のバルサとの差も縮まったとはいえ、勝ち点17と凄まじいものがあるため、生ぬるく来季CL出場圏内の4位維持に努めてくれればいいんですけどね。セバージョスのケガも治り、コバチッチやマルコス・ジョレンテら、出場したい中盤の選手には事欠かないとはいえ、クロースのプレーが見られないのは残念なファンも多いかと。

▽そして翌木曜には、キラキラしたCLの舞台と昨季中に縁を切ったアトレティコがヨーロッパリーグ32強対決1stレグでコペンハーゲンと顔合わせ。それでもパルケン・スタディオンのサポーターがキックオフ前、大弾幕やスモークで場を盛り上げてくれたおかげもあったんですかね。あれだけ前夜、マドリーが注目された後、ワンランク下の大会で戦う肩身の狭い思いを忘れられたか、序盤からグリーズマンやサウールがチャンスを迎えていた彼らだったんですが、前半14分、エリア内でアンケルセンのシュートをフィッシャーがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で軌道を変え、当日、オブラクの風邪で先発を任されたGKモヤを破ってしまったから、驚いたの何のって。

▽いやあ、この遠征にはふくらはぎの筋肉痛でジエゴ・コスタも参加しておらず、CLグループリーグではアゼルバイジャンのカラバフに1度も勝てなかったアトレティコですからね。もうこの時点で、1-1で帰って来てくれたら御の字と気弱になった私だったんですが、どうやら彼らを見損なっていたよう。ええ、早くも21分にはグリーズマンのクロスをサウールがヘッドで叩き込み、スコアが同点に。37分にはグリーズマン、リュカが連携し、最後はゴール前からガメイロが決めて見事に逆転って、もしやコペンハーゲンは本当に格下だった?

▽おまけにピッチに激しい雪が降り注ぐ中、後でトマスも「Hacia frio, pero corriendo no hace tanto/アシア・フリオ、ペロ・コリンドー・ノー・アセ・タントー(寒かったけど、走っているとそうでもなかった)」と言っていたように前線から、勤勉に全員がプレスをかける作戦が成功したんでしょうかね。後半にもアトレティコは得点してくれたんです。ええ、26分にはコレアから代わったカラスコからスルーパスを受けたグリーズマンが3点目を挙げ、32分にはガメイロ同様、セビージャで前人未踏の3連覇を達成と、この大会のスペシャリストと言っていいビトロが相手にとって、ほぼ死刑宣告に等しい4点目をゲット。最後は1-4の勝利で終わり、いえ、相手のソルバッケン監督が「アトレティコはウチが当たった最高のチームの1つ。誰も休まず、ずっと働き続けているし、マドリッドの隣人に勝ち点差10つけているのもわかる」と褒めていたのは、多分にお世辞も混じっていたんでしょうけどね。

「マドリッドでは違うメンバーが出るかもしれない」ともう逆転を諦め、ローテーションに出ることも仄めかしていたため、来週木曜午後7時からのワンダ・メトロポリターノでの2ndレグは大船に乗ったつもりでいいかも。ただちょっと気になるのはアトレティコファンの反応で、AS(スポーツ紙)ではすでに1万2000枚売れて、残りのチケットは4000枚程と、満員近くなるような記事が出ていましたけどね。私の経験から言うと、最後に戦った2013年EL決勝トーナメントなどもそうでしたが、32強対決辺りではスタンドはガラガラ。1月のコパ・デル・レイでのエルチェ(2部B)戦やジェイダ(同)戦のように当日券も出るんじゃないかと思いますが、さて。来週は水曜にブタルケで延期されていたリーガのレガネスvsマドリー戦もあるものの、そちらはチケット完売が見込まれているため、ミッドウィークにマドリッドを訪れるファンにはいいサッカー観戦の機会になるんじゃないですかね。

▽ちなみに今週末のアトレティコは日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、アスレティックをホームに迎えるんですが、実は相手も同じ木曜、雪の降るロシアでスパルタク・モスクワとのEL32強1stレグを戦ったばかり。リヨンに3-1で負けたビジャレアル、アノエタで後半ロスタイムに南野拓実選手にゴールを決められ、ザルツブルクと土壇場で2-2と引き分けたレアル・ソシエダなどとは違い、この11日に37歳となったアドゥリスの2得点などで1-3と快勝してきたものの、この試合では彼と共にラウール・ガルシアも出場停止になるのはラッキーだったかと。金曜にはジエゴ・コスタも練習に合流し、土曜のエイバル戦の結果次第ではバルサとの差を勝ち点7から更に縮めるチャンスと、アトレティコファンも意気込んでいるんですが…うーん、そう上手く事が運ぶのかどうか。

▽そしてマドリッドの弟分チームは金曜と月曜の平日開催という気の毒な扱いを受けている今節のリーガなんですが、まだコパ酔いが抜けていなかったか、レガネスはジローナに3-0で先程完敗したばかり。何せ、年明けから準決勝まで、ずっと週2試合のハードスケジュールをこなしたせいで負傷者が続発していますし、まだ降格圏までは勝ち点差10以上とちょっと余裕があるのも油断に繋がった可能性はありますけどね。来週はミッドウィークのマドリー戦、そして土曜にはラス・パルマス戦と続くため、後悔する前に早く調子を取り戻せるといいのですが。

▽一方、月曜午後9時(日本時間翌午前5時)からセルタをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるヘタフェも前節、カンプ・ノウでバルサからスコアレスドローをもぎ取った直後なだけに別な意味での二日酔いが心配なんですが、そこはよく考えて。何せ、首位相手から勝ち点1ゲットはお手柄ですが、その前から彼らは引き分けが続き、ここまで4連続ドローですからね。そろそろ毎試合きっちり勝ち点3を溜めて、速やかに1部残留ライン突破に漕ぎつけてもらいたいかと。前節では先発に返り咲いた柴崎岳選手が再び、スタメンに入れるのかもファンには気になるところでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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ほんの1週間の違いだった…/原ゆみこのマドリッド

「代表も気晴らしになっていいわよね」そんな風に私が安堵感を覚えていたのは月曜日、いよいよ始まる2020年ユーロ予選に備え、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部の宿泊施設に到着するスペイン代表選手たちをキャプテンのセルヒオ・ラモスが迎えているビデオを見た時のことでした(https://bit.ly/2JkM4AD)。いえ、今回の予選もグループ1位と2位が直接本大会に出場。この土曜のノルウェー戦を皮切りに来週火曜にはマルタ戦、その後もフェロー諸島、スウェーデン、ルーマニアとそれ程、スペインにとって茨の道が待ち構えている訳ではないのも、お気楽でいられる理由の1つではあるんですけどね。 むしろ、おかげでこの2週間はリーガのことを考えずに済むためで、え、それって、CLどころか、リーガでも何も考えることがなくなってしまった悲惨な今季の現状を憂えに済むからという意味なんじゃないのかって?まあ、その通りで何せ、まだ3月ですからねえ。今となってはスペイン勢で唯一、CL準々決勝に進んだバルサのファンが4月のマンチェスター・ユナイテッド戦に向けて、じっくりオールドトラフォード遠征を計画するのを羨ましく思うぐらいしかできなくなってしまったというのはそれこそ、ツイてしないとしか言いようがないんですが…。 まあ、ずっと愚痴っていても仕方ないので、先週末のマドリッド勢がリーガでどうだったかをお話していくことにすると。今回、先陣を切ったのはレアル・マドリーで彼らはコパ・デル・レイ準決勝、リーガのクラシコ連敗に続き、CL16強対決でもアヤックスに逆転敗退。お隣さんより1週間早くシーズンが終わりましたからね。そこでソラリ監督を解任、ジダン監督の再招聘とスッパリ気分を来季に向けて切り替えたのが幸いしたか、土曜のサンティアゴ・ベルナベウには久々に陽光がさんさんと降り注ぐことに。 もちろんそれにはキックオフが午後4時15分で丁度、正面スタンドに西日が直射する時間帯だったこともあるんですが、用心のため、帽子は持参していたものの、まさかこの時期から腕に日焼け止めを塗っておかなかったことを激しく後悔する破目になろうとは。気温も25度近くになっていたため、暑くてかなわなかったんですが、眼下のプレーに熱がこもるには少々、時間がかかったかと。ええ、マドリーはジダン監督がGKにケイロル・ナバス、そしてイスコ、ベイル、マルセロを先発に起用し、前任者の時代に不遇を囲っていた選手たちの奮起に賭けたようでしたけどね。 やはり首位と勝ち点差が12となり、リーガ優勝を諦めたチームではモチベーションを保つのも難しかったか、いえ、前半には先日、このところ女性関係の噂でマスコミを賑わせすぎ、サッカーにもっと専念するようにとクラブから注意を受けたクルトワに代わり、この日の先発に抜擢されたナバスがマキシ・ゴメスの強烈ヘッドをparadaon(パラドン/スーパーセーブ)。「Es un entrenador que dice la verdad siempre/エス・ウン・エントレナドール・ケ・ディセ・ラ・ベルダッド・シエンプレ(常に真実を喋る監督だ)」と本人も尊敬する上司の期待に応える一幕も。 それ以外、降格圏で1節前、エスクリバ監督が今季3人目の指揮官として就任したセルタはイアゴ・アスパスの長期不在のせいもあり、とても点が取れそうな感じがありませんでしたが、マドリーもベイルのシュートがゴール枠を直撃したぐらいと、試合は0-0のままハーフタイムに。このままスコアレスドローで終わってはせっかく、キックオフ前は「Entrenador Zinedine Zidane!/エントレナドール・ジネディーヌ・ジダン」というスピーカーのコールに大喝采したスタンドのファンも盛り下がってしまうんじゃないかと心配したところ…。 大丈夫ですよ。待望のゴールが入ったのは後半17分、アセンシオがエリア前で敵DFを数人かわし、ベンゼマにスルーパスを送ったところ、最後はゴール前に突っ込んできたイスコが沈めて先制点をゲット。久々に喝采を浴びると、33分にはマルセロのアシストでベイルが2点目を決めてくれたため、2-0でホーム4連敗に終止符を打つことに。いやあ、試合後には「シーズン後のチーム改革はあるが、残り10試合、自分は誰が残って誰が出ていくかを話すためにいるんじゃない」とジダン監督は言っていたとはいえ、タイトル獲得の可能性がなくなった今、正直、もうマドリーについての話題はそれしかありませんからね。 jugadon(フガドン/スーパープレー)で1点目を演出したアセンシオや、途中出場して「El cambio de entrenador parece que ha funcionado, hemos recuperado sensaciones/エル・カンビオ・デ・エントレナドール・パレセ・ケ・ア・フンシオナードー、エモス・レクペラードー・センサシオネス(監督交代は上手くいったようだ。ボクらはフィーリングを取り戻した)」と話していたセバージョスなどはそのまま、そのいい感触をスペイン代表で発揮してもらえばいいんですが、ベンチ要員やスタンド観戦が続いたイスコなどは今回の非招集休暇でしっかりコンディションを整えないと。ビニシウスはまだ全然ムリですが、ルーカス・バスケスやカルバハル、ジョレンテら、リハビリ中の選手たちもparon(パロン/リーガの休止期間)明けの復帰を目指していますしね。各国代表に行く13人も含め、3月末のウエスカ戦ではまた、どの選手も来季を見据えて、熾烈なチーム内競争を繰り広げてくれるんじゃないでしょうか。 そしてベルナベウを急いで後にした私はサン・マメスでの前半が0-0だったことに感謝しながら、後半15分過ぎに自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に飛び込んだですが、まさか再び、アトレティコが負ける場面に立ち会うことになろうとは!うーん、アスレティックにクリスチアーノ・ロナウドはいないため、そうそう失点はしないだろうと思っていたんですけどね。まさか27分、ヒメネスがファールを受けたとアピールすることにかまけているうちにプレーが進行。さっさとエリア内奥に移動したコルドバにラウール・ガルシアからボールが届き、本職でないサウールがSBを務める左サイドから侵入したウィリアムスにゴールを決められているんですから、困ったもんじゃないですか。 おまけにヒメネスの不運はこれに終わらず、39分、今度はコドロのシュートを防ごうと体を投げだしたところ、ボールの軌道が変わって再びGKオブラクが破られてしまったとなれば、もうお手上げです。だってえ、この日はユベントス・スタジアムで枠内シュートを1本も撃てなかったことを反省、シメオネ監督がジエゴ・コスタ、モラタ、グリーズマンのtridente(トリデンテ/3FWのこと)を先発に並べながら、まったく効果が見えず。おまけに前半にはグリーズマンがジェライに、後半にはモラタがサン・ホセにエリア内で倒されながら、主審にもVAR(ビデオ審判)にもスルーされるという有様で、そのまま2-0で終わってしまったんですよ。 いえ、シメオネ監督によると、「トリノでの悪い試合の後、今日の後半のようにプレーするのは難しい」そうで、選手たちは頑張っていたようなんですけどね。とはいえ、ゴディンなどまだ、「Nos sentimos mas dolidos porque no fuimos el Atletico de Madrid/ノス・センティモス・マス・ドリードー・ポルケ・ノー・フイモス・エル・アトレティコ・デ・マドリッド(自分たちがアトレティコでなかったから、より痛みを感じている)。敗退することはあっても負け方というものがある」と、CL16強対決2ndレグでユベントスに完敗したのを大きく引きづっているようで、それも当然。ええ、いくらコケが「このチームは2度、CL決勝に負けて立ち上がった。Lo va a hacer ahora mismo/ロ・バ・アセール・アオラ・ミスモ(それを今すぐにやる)」と言い張ったって、あの時は夏のバケーションを挟んでいたのに対し、今回はたった4日前の話となれば、さすがにムリがあるかと。 よって、簡単にいかないのは仕方ないんですが、翌日、バルサがベティスにメッシのハットトリックなどで1-4とあっさり勝ってしまったため、2位のアトレティコとの差が10に拡大。つまり残り10試合中、向こうが3、4試合躓かないと、彼らが全勝しても追いつけなくなったため、こちらもお隣さん同様、CL出場権を確定して、早めに来季の構想を練ることになりましたが、まったくねえ。翌日には女子のクラブレベルの試合では世界記録となる6万739人の観客を集め、ワンダ・メトロポリターノでアトレティコvsバルサ戦があったんですが、こちらも後半にゴールを奪われて、0-2で負け。それでも勝ち点差3で首位にいるだけ、立派な妹分たちですが、敗戦後でもファンに感謝して場内一周をしている辺りはやっぱり、似ているようですよ。 え、先週末の悪いニュースはそれだけじゃないだろうって?そうですね、実は土曜の最後の時間帯にブタルケにジローナを迎えた弟分のレガネスも、いえ、今回の各国代表戦で招集された選手がGKルニン(ウクライナ)、シオバス(ギリシャ)、オメルオ(ナイジェリア)、ディエゴ・レジェス(メキシコ)、エン・ネシリ(モロッコ)、ブライトワイテ(デンマーク)と6人もいるのは喜ばしいことなんですけどね。ペジェグリーニ監督も「代表戦がある時はそのことも考えるし、旅支度なんかもあるが、falto intensidad y concentracion/ファルトー・インテンシダッド・イ・コンセントラシオン(激しさと集中力が欠けた)」と言っていたように、前半のうちにポルトゥに2ゴールを挙げられ、こちらも0-2で負けてしまうことに。 更には翌日曜、ビジャレアルとのアウェイ戦に挑んだラージョがマリオ・スアレスのヘッドで先制しながら、またしても逆転され、3-1の負けで7連敗。月曜にはとうとう、ミチェル監督が解任されてしまいましたが、先週末の結果でいよいよ、セーフラインとの差が勝ち点6に開いてしまいましたからね。まだ後任監督は決まっていないんですが、このリーガ戦のない2週間に何とか風向きを変えることができるといいのですが。 一方、同じ時間にメスタジャでバレンシアにコパ・デル・レイ準々決勝のリベンジを試みた、優秀な弟分のヘタフェはスコアレスドローで勝ち点1をゲット。前日、ウエスカに勝った5位のアラベスとはまだ勝ち点2差ありますし、ヨーロッパリーグ出場圏外の7位ながら、彼らの占める輝かしい4位の座を狙っているそのバレンシアとの差も6あるため、これはこれで良かったかと。いえ、その試合では現在、得点数13でサラ(リーガで得点の最も多いスペイン人選手に与えられる賞)レースのトップにつけているマタが、翌日には初めて招集されたスペイン代表でご一緒するガヤにエリア内で突き飛ばされながら、ペナルティを取ってもらえないなんてこともあったんですけどね。 同様にルイス・エンリケ監督のチームで前線のポジションを争うことになるロドリゴのヘッドがゴール枠に当たって入らなかったなんてこともあったため、引き分けは妥当な結果だったのでは?ちなみにボルダラス監督は「No podemos caer en el error de desilusionarnos si no entramos en Europa/ノー・ポデモス・カエール・エン・エル・エロール・デ・デスイルシオナールノス・シー・ノー・エントラモス・エン・エウロッパ(もしウチがヨーロッパの大会に行けなくても失望するというミスを犯してはいけない)。ヘタフェの目標は1部残留なんだから」と予防線を張っていましたが、まあ確かにコパ優勝がバルサだったため、リーガ7位に回ってきたEL出場権を勝ち点差3でセビージャに譲った昨季は、7月から始まる予選に出ないとグループリーグに進めないこともありますし、余分な体力を使わずに済んで、却って良かったと思ったファンも結構いたはず。 とはいえ、CLなら4位でもグループリーグから出られるため、ここで逃す手はないと思いますが、さて。ちなみに先週金曜のEL準々決勝抽選ではスペイン勢生き残りの2チーム、ビジャレアルとバレンシアが対戦することが決定。リーガで前者はラージョの、後者はヘタフェのライバルとなるため、ELダービーで双方、疲れてくれると助かるんですが、まずは自分たちが勝つことが一番かと。ちなみにこの代表戦週間、各国代表に出向するヘタフェの選手は5人いて、今季リーガ1部でデビューしたばかりながら、30歳の苦労人であるマタを始め、ジェネ(トーゴ)、マキシモビッチ(セルビア)、フルキエル(グアルダルーペ)、そして柴崎岳選手となりますが、とにかく全員ケガをしないで帰ってきてもらいたいものです。 そして月曜の夕方には私もラス・ロサスでたった1回しかない、スペイン代表の公開練習を見学に行ったんですが、セルタ戦で受けた打撲の治療をしていたアセンシオと共に、今回のリストではマタやカナレス(ベティス)と一緒に初招集されたファビアン・ルイス(ナポリ)の姿がグラウンドに見当たらず。どうやら先週末から発熱で具合が悪く、病院に行った後、自宅で静養することになったそうで、その代わりに追加招集されたのが、最初のリストで先輩のコケと共に落選し、マハダオンダ(マドリッド近郊)のアトレティコ練習場でみっちり鍛え直す予定になっていたサウールというのもちょっと以前、デル・ボスケ監督が近場にいるという理由でナチョ(マドリー)を呼び、CB不足を補った逸話を思い出しますが、まあ元々、彼はルイス・エンリケ監督の固定メンバーでしたしね。 ロドリとモラタは招集したものの、元バルサの監督がアトレティコのプレースタイルが好きじゃないから、2人を落としたという説が覆されたのはありがたかったものの、これでシメオネ監督が代表戦週間に失う選手は11人に増加。フィリペ・ルイス、リュカ、サビッチ、ビトロはまだリハビリ中とあって、アトレティコの練習はまた少数精鋭になってしまいますが、この金曜にマドリッドを訪れているサッカーファンにはいいお知らせも。ええ、午後9時からアルゼンチンvsベネズエラの親善試合がワンダ・メトロポリターノで開かれるからで、チケットはアトレティコのホームページ(https://bit.ly/2JjF2fq)でまだ購入できるよう。コレアも早速、月曜にはW杯後、アルゼンチン代表に初めて戻ったメッシと共にバルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場で汗を流していましたしね。時間があったら、覗いてみるのも一興かもしれませんよ。 2019.03.19 12:45 Tue
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夢を見た分、失望も大きい…/原ゆみこのマドリッド

「確かにその通り!」そんな風に私が感心していたのは木曜日、AS(スポーツ紙)の編集長巻頭コラムの一節に「レアル・マドリーとアトレティコ、どちらもクリスチアーノ・ロナウドのせいでベスト8に届かなかった」という文章を見つけた時のことでした。いやあ、お隣さんの災難は昨年夏に端を発していて、ロナウドをユベントスに売った後、減ったゴール数を補うために満足な補強をせず。おかげでシーズン中に2人も監督が解任されるなど、CL16強敗退以外にも問題は山積みだったんですけどね。 それをどうしたことか、アトレティコまでユベントス戦2ndレグ前日から、話題をジダン監督のマドリー復帰に持っていかれたかと思いきや。翌日もマドリッドで唯一のCL生き残りチームとなってスポットを浴びるチャンスをむざむざ棒に振る始末。こともあろうか、ハットトリックを達成してユベントスを逆転突破に導いたロナウドに一面を飾られてしまうとは、彼らってやっぱり巡り合わせの悪いチームだった? ちなみに一体、どうしてそんなことになったのか、火曜の試合の様子をお伝えしていくことにすると、2月の1stレグが今季1番と言えるぐらいの出来で、ワンダ・メトロポリターノでは2-0を快勝したアトレティコだったため、勇気をもらったファン1800人もユベントス・スタジアムに駆けつけていたんですけどね。開始早々、3分にCKからGKオブラクが弾いたボールをキエッリーニがゴールに蹴り込んだ際もロナウドのファールで得点を認められなかったため、私もその日はツキがあるんじゃないかと錯覚したんですが、とんでもない。 ええ、それからも攻めているのは相手ばかりでアトレティコはほとんどボールを持てず。最初のうちは「0-0でいいんだから」と静観していたものの、26分、ベルナルデスキのクロスをゴール前でファンフランがロナウドに競り負け、ヘッドを叩き込まれてしまったから、さあ大変!おまけに即時の反撃を期待しても全然、プレーが変わらないんですよ。どうやら1月半ばから、試合が週1ペースになったせいか、妙なゆとりサッカーが身についてしまった彼らには弟分のラージョやレガネスからはゴールを奪えても、ユーベの守備陣形を破ることはできず。前半唯一のチャンスがコケのクロスから、モラタのヘッドが外れたぐらいとなれば、後半に向けて不安が増すばかりですって。 実際、ハーフタイム後には再び、今度はカンセロのクロスをロナウドに頭で撃ち込まれてしまい、うーん、最初はオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)に見えたんですけどね。VAR(ビデオ審判)こそ、今季の決勝トーナメントになって初めて導入したUEFAでしたが、前からあるホークアイが起動し、ボールがラインを越えていたことを主審に伝達。これで総合スコアが2-2となり、いよいよアトレティコも本気を出さないといけなくなったんですが…。 もう何なんでしょうね。彼らの攻撃はモラタ目掛けてロングボールを放る一辺倒で大体がして、いくら前日練習でも体にゴムをかけてジャンプといった、敵DFとの競り合いに勝つ練習をさせていたとはいえ、この冬、チェルシーからレンタル移籍した当人はジエゴ・コスタと違いますからね。そうそうボールをキープできるはずもなく、もうその頃にはずっとポゼッションを放棄していたため、チーム全員が伝統の「3回もパスが続かない」状態に陥っていたとなれば、どうしたものやら。それでも延長戦を切り抜ければ、PK戦で何とかなるかもしれないという希望はあったものの、はい、上手くいかない日とはこういうものです。 それは40分、先発しながらこの日も鬼のようにパスミスを連発し、「本当にモナコに7000万ユーロ(約90億円)を払った価値があったのか」という疑いを常々抱かせていたレマルから代わっていた、こちらも筋金入りのボールロストのスペシャリスト、コレアが自身のミスで奪われたボールを取り戻そうとベルナルデスキを自陣エリアまで追ったのは良かったものの、まさか相手の背中を押して倒してしまうとは! ユーベにPKが与えられ、ここまでのマドリーダービー32試合で19ゴール、ハットトリックも2度挙げているロナウドが当然のごとく決勝点を決めているって、もう開いた口も塞がらないとはまさにこのことだったかと。 結局、「No pudimos encontrar circuito para hacerles dano/ノー・プディモス・エンコントラール・シルクイトー・パラ・アセールレス・ダーニョ(ウチは相手にダメージを与える道筋を見つけられなかった)」(ゴディン)というアトレティコは戦前の予想を大きく裏切って、総合スコア2-3で逆転敗退。ロナウドに1stレグでシメオネ監督がやった”huevo(ウエボ/タマ)”を強調するポーズをロナウドにあまつさえ、アトレティコファンのいるスタンドに向けてされてしまったりしたんですが、この大失態の原因はまず、当人も「No he entrado en juego con diferencia al partido de ida/ノー・エ・エントラードー・エン・フエゴ・コン・ディフェレンシア・アル・パルティードー・デ・イダ(1stレグと違って、ボクはプレーに絡めなかった)」と認めていたように、グリーズマンがピッチで消えていたこと。 うーん、ロナウドが試合後に「La Juve me contrato para esto/ラ・ユーベ・メ・コントラトー・パラ・エスト(ユーベはこのためにボクを獲得したんだ)」と胸を張っていたのと同様に、アトレティコもこういうビッグマッチでチームを牽引してくれるよう、彼の年像を破格の2000万ユーロ(約25億円)にまで増額して、バルサ行きを諦めてもらったんですけどね。もちろんコスタが出場停止でおらず、攻撃に迫力を与えられなかったのも影響しているんでしょうが、そんなのは言い訳にはなりませんって。 もう1つは堅固と言われていたアトレティコの守備陣ながら、この日はフィリペ・ルイスとリュカのケガのせいで左SBの本職がおらず、右SBのファンフラン代役を務めざるを得なかったこと。中盤のトマスも累積警告で、1stレグのcuatrivote(クアトリボテ/4人ボランチのこと)を再現できなかったのも痛かったんでしょうが、そのぐらい根性で何とかならなかった?とはいえ、やはり最大の敗因は「La Juve ha estado mejor tacticamente que nosotros/ラ・ユーベ・ア・エスタードー・メホール・タクティカメンテ・ケ・ノソトロス(ユーベが戦術的にウチより良かった)」と本人も認めていたシメオネ監督のゲームプランニングにあったことは世間の目も一致するところだったかと。 いくら相手がセリエAの万年王者だろうと、ああまで攻撃を放棄することはなかったんじゃないかと言われていますが、はあ。折しも火曜にマドリーに舞い戻ったジダン監督は年棒1200万ユーロ(約15億円)で契約、先日契約延長してヨーロッパで最高給となった2400万ユーロ(約30億円)のシメオネ監督には遠く及ばないなんて記事を後日読むと、片やCL3連覇。後者はEL優勝2回、今季ホームで開催されるCL決勝進出の夢も潰えたとあって、この世界、何か間違っているような気はしますが、こればっかりはねえ。 おまけにこのユーベ戦ではまた負傷者が発生し、アリアス、そしてアップしていただけのサビッチ、そしてビトロもこの土曜のリーガ戦に出られないとなれば、木曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではケガが完治したコスタを入れ、今更ながら、tridente(トリデンテ/3トップのこと)を試しているなんて話を聞いても余計空しくなるばかり。いえ、コケなどは「Hay que seguir/アイ・ケ・セギール(続けていかないといけない)。ボクらにはバルサとの勝ち点を縮めて優勝を争うリーガがあるんだから」と一生懸命、前を向こうとしていましたけどね。 とにかくライバルはスコアレスドローという緊張の残る1stレグの後、水曜の2ndレグではお約束通り、メッシの活躍などで5-1とオリンピック・リヨンに大勝。CL準々決勝スペイン勢唯一の生き残りとなっただけでなく、2009年のグァルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)、2015年のルイス・エンリケ監督(現スペイン代表)に続き、バルベルデ監督もクラブ3度目のtoriplete(トリプレテ/三冠)達成を狙っていますからね。両者の差は勝ち点7ありますし、正直、難しいと思うんですが、さて。まずはアトレティコが土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのアスレティック戦を皮切りに、4月6日の直接対決までの3試合に連勝できたら、ようやく勝負の土俵に上がれるって感じでしょうか。 え、それでその間、コパ、CLに敗退、リーガも首位と勝ち点差12と、アトレティコ以上に今季の目標がなくなってしまったお隣さんはどうしていたのかって?いやあ、月曜にプレゼンがあったジダン監督は翌日から活動を開始。水曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)で最初のセッションを指揮したんですが、21才のCBミリトンの入団が発表されたとて、当人が来るのは準々決勝に進出したポルトでのCL参加を終えた来季のことですからね。今週末土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、サンティアゴ・ベルナベウにセルタを迎える試合も選手たちの顔ぶれは変わらないんですが、イスコやマルセロら、ソラリ監督に冷遇されていたメンバーの機嫌は良くなっていたよう。 とはいえ、ビニシウス、ルーカス・バスケス、カルバハルのケガはまだ治っていませんし、バジャドリー戦を欠場したベイルもウェールズ代表には招集されたものの、先発できるのかは不明。そこへ今回はホセ・ソリージャで2枚イエローカードをもらって退場したカセミロが出場停止、彼の控えのマルコス・ジョレンテもリハビリ最終段階とあって、ジダン監督はボランチの選定に苦労するかも。あとはセルヒオ・ラモスが処分明けで戻るぐらいですが、何せ18位のセルタは同じく降格圏脱出を目指している弟分ラージョのライバル。たとえ、自らの目標がなくなってしまったとはいえ、こういう時には力を貸してもらいたいですよね。 そして土曜の夜にはレガネスがジローナとブタルケで対戦なんですが、現在降格圏とは勝ち点8差、EL出場圏とは7差で13位の彼らはモチベーションを持つのが微妙な位置。前節は兄貴分のアトレティコにサウールがPKを失敗してから、何とか入れたゴールだけで1-0と惜敗してしまったため、オスカル、ジョナタン・シウバ、レシオ、シオバスら、出場停止だった主力選手たちが戻って来られるこの試合ではホームのサポーターを喜ばせてあげられるといいのですが。 一方、日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)に同時に試合をするのが残り2つの弟分チームで、どういう偶然か、双方とも木曜にEL16強対決を勝ち抜いたチームと当たることに。ええ、ミチェル監督の続投が懸かっている19位のラージョはゼニトに総合スコア5-2で勝ったビジャレアルと試合で、何せ相手はリーガでは17位と残留ラインギリギリの不調仲間ですからね。ここ4週間、向こうがミッドウィークにも稼働、疲弊していることを考えれば、ラージョが6連敗を脱出するのも不可能ではないかと。 え、それより今注目はCL出場圏4位に堂々、輝いているヘタフェがコパ・デル・レイ準々決勝2ndレグで後半ロスタイムにショッキングな逆転敗退を喰らった相手、バレンシアにリベンジするため、メスタジャに乗り込む一戦じゃないかって?そうですね、その時以来、リーガでは6試合黒星なし、おかげで5位のアラベスとは勝ち点差4、ヨーロッパの大会、できればCL参加が目標の7位のバレンシアとも6差としているボルダラス監督のチームなんですが、気をつけたいのは相手が木曜のクラスノダール戦で後半40分に敗退を意味する先制点を挙げられながら、48分にグエデスのゴールで1-1とし、総合スコア2-3で土壇場の勝ち抜けを決めたこと。 実際、彼らはコパでヘタフェを破った後、準決勝ではベティスも倒して、バルサと相まみえる決勝に駒を進めていますしね。どうもこういう劇的な結末はチームを調子づかせてしまう恐れもあるため、たとえ現在、マタとホルヘ・モリーナが絶好調。柴崎岳選手がベンチ入りもできない程、攻撃陣が充実しているヘタフェとはいえ、油断は禁物です。いやあ、今季はもうマドリッド勢にとってリーガ戦しかありませんし、私も4月5月が長く感じられそうなので、せめて週末ぐらいは手に汗握る好ゲームを満喫させてもらえるといいのですが。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2019.03.15 13:45 Fri
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あまりに展開が目まぐるしくて…/原ゆみこのマドリッド

「まさか今、シメオネ監督にそれ訊く? 」そんな風に私が憤慨していたのは月曜の夕方、先週、お隣さんがソラーリ監督即時解任、モウリーニョ監督招へいという独占情報はテレ・マドリッド(ローカルTV局)の勇み足だったことは週末のワンダ・メトロポリターノで会った顔見知りのレポーターに訊いて確認できたんですけどね。週が明けて最初のお昼のニュースではどの局も「ジダン監督からOKが取れ、午後6時からの理事会で復帰決定」と言っていたため、そりゃあ3年間ずっとCL準決勝止まりだった前者より、3連覇した後者の方がいいに決まっていると、レアル・マドリーがアヤックスに逆転敗退を喰らった後すぐ、マルカ(スポーツ紙)のウェブで始まった”La crisis del Real Madrid, en directo/ラ。クリシス・デル・レアル・マドリッド、エン・ディレクトー(レアル・マドリー危機ライブ)”というマッチログ風の記事をチラ見することに。 同時にCL16強対決ユベントス戦2ndレグ前のシメオネ監督記者会見を待っていたんですが、速報の中に「ジダン監督についてどう思うか? 」という質問があったのには驚くばかり。だって、正式発表がまだだったのはともかく、アトレティコは翌日、マドリッドで今季もCL準々決勝が見られるかどうかが懸かった、ユベントスとの決戦を控えているんですよ。「No es oportuno hablar de él /ノー・エス・オポルトゥーノ・アブラル・デ・エル(彼のことを話すのにはいい機会じゃない)」と当人はあっさり流していたものの、彼自身、2016年にはトリノにほど近いミラノでそのジダン監督率いるマドリーに2度目のCL決勝負けしているとなれば、あまりにゲンが悪い質問じゃないですか。 まあ、お隣さんの件についてはまた情報が出揃ってから話すとして、とりあえず先に先週末のリーガの様子からお伝えしていくことにすると。今回、トップバッターを切ったのはそのアトレティコで、いやあ、私も1週間、全て帰りは午前様でしかも結果が惨々だったサンティアゴ・ベルナベウから、春の陽光きらめくワンダ・メトロポリターノを訪れることができて嬉しかったんですけどね。このところ、週1ペースの試合が続いているため、余裕があるアトレティコながら、やはり次に控えるのがユベントス戦であることをシメオネ監督は重視。そのため、コケやゴディンが出場停止の中、モラタやサウール、フアンフランまでベンチスタートにしているって、もしや相手が弟分のレガネスだったのも影響していた? おまけにこの日も省エネのゆとりサッカーを続けていたため、とりわけ前半など、グリーズマンがエリア外から2本程、シュートを撃ったぐらいで、チャンスらしきチャンスもなかったんですが、0-0のまま、ハーフタイムに入りながら、ゴールが期待できる希少なFWを後半頭から温存というのはかなり豪気。でもねえ、この日は何とかなったんですよ。というのも4分もしないうちにコレアがオメロウにエリア内で倒されて、ペナルティをゲットしてくれたためで、PKキッカーはレマルと共にピッチに入ったばかりのサウールが担当することに。 ちなみにそのPKは、「助走に入った時、GKが蹴る方向を読んでいたのはわかったんだけど、変えられなくて。Es verdad que tengo mucha fortuna porque el rechace se me queda para mi/エス・ベルダッド・ケ・テンゴ・ムーチャ・フォルトゥーナ・ポルケ・エル・レチャセ・セ・メ・ケダ・パラ・ミー(弾かれたボールが自分のところに来てとってもラッキーだったよ)」と当人も後で認めていた通り、一旦はレニンに阻止されてしまったんですけどね。こぼれ球を押し込んで先制することができたから、助かったの何のって。 実際、その日のアトレティコはツキにも恵まれていて、ええ、後でペレグリーノ監督が「El penalti me parecio un poco soft para pitarlo/エル・ペナルティ・メ・パレシオ・ウン・ポコ・フォスト・パラ・ピタールロ(私にはペナルティを取るにはちょっとソフトなプレーに見えた)」と言っていたように、オメロウのファールでは即座に笛が鳴ったものの、ヒメネスがセットプレーの空中戦でエン・ネシリの頭を腕で払ったり、後半ロスタイムにもロドリがアルナイスをエリア内で倒しながら、VAR(ビデオ審判)がスルー。おかげで1-0のまま試合は終わり、首位バルサとの差を広げることなく、ファンも不安な思いをすることなしにユベントス戦を待つことになったんですが…。 うーん、やっぱり先週はお隣さんを始め、PSGやローマまで逆転敗退していたのが影響したんでしょうかね。レガネスに勝利した後、ピッチで選手たちがスタンドに拍手で感謝していた辺りまでは普通だったんですが、そのまま全員で場内一周を始めるって、いやもう、優勝決定後やそのセレモニーなどの時以外、私だって、見たことありませんって。まあそれだけ、彼らも激戦となるのは必須の火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのユベントスとの2ndレグに向けて、ファンからエネルギーをもらいたかったということでしょうが、やっぱりちょっと、アトレティコって特殊かも。 そして月曜にはトーマスとジエゴ・コスタ、出場停止の2名を除き、20人の選手がイタリアに向かったんですが、何よりの朗報は先週の練習中、足を打撲したゴディンが「Está bien, seguramente jugará mañana/エスタ・ビエン、セグラメンテ・フガラ・マニャーナ(状態はいい。明日はプレーするだろう)」と、記者会見でシメオネ監督のお墨付きをもらったこと。ええ、1stレグを2-0で勝っているアトレティコは0-0でも、1-1でも、1-0で負けても準々決勝進出が決まるため、とにかく敵に複数のゴールを許さないのが肝要となれば、守備陣の要であるキャプテンの存在は何より力強いかと。 負傷でリュカとフィリペ・ルイスがいない左SBもレガネス戦をカンテラーノ(アトレティコBの選手)のソラーノから、アリアス、サウール、フアンフランと交代で賄えたため、先発予定のフアンフランも余力を残していますしね。ファン的には、できれば1stレグの後、「自分はCL優勝5回、アトレティコはゼロ」と、ワンダのミックソゾーンでアトレティコを馬鹿にして去って行ったクリスチアーノ・ロナウドにギャフンと言わせてやりたいっていうのが、本音になるかと思いますが、果たしてその望みは叶うでしょうか。 一方、またしても兄貴分のホームでは歯が立たなかったレガネスですが、こちらはある程度、ペレグリーノ監督もそれを見越していたか、オスカル、ジョナタン・シウバ、シオバス、レシオら主力の4人が累積警告で出場停止という名の休養を取ることができたのはプラス要因。順位も13位のままですし、降格圏まで勝ち点差8あるため、土曜のジローナ戦で仕切り直しをしてくれればいいと思いますよ。 そしてその日はワンダからメトロとセルカニアス(国鉄近郊路線)を使って、コリセウム・アルフォンソ・ペレスへ移動した私だったんですが、その間、いえ、カンプ・ノウでバルサを迎えていたラージョは前半25分にラウール・デ・トーマスの個人技からのゴールで先制していたんですけどね。終わってみれば、相変わらず守備の綻びが災いし、ハーフタイム前にはFKからピケのヘッドで同点にされると、後半にはメッシのPKゴール、そして終盤にもルイス・スアレスに決められ、3-1で逆転負けしてしまうことに。 そのせいか、ヘタフェが迎えた最下位ウエスカもラージョを追い抜く可能性があったため、前節はセビージャも倒した窮鼠猫を噛む勢いをそのままぶつけてきたんですが、いやあ、もしかしたらこのマドリッドの優秀な弟分は冗談でなく、来季CLの舞台を踏むことになるかも。というのも前半34分にはチュミのパスからガジェゴに先制ゴールを挙げられ、リードを許してしまったんですが、後半にはCFの片割れをアンヘルからホルヘ・モリーナに変更。するとどうでしょう、たったの5分でマタが敵DFに当たって入るラッキーな同点弾を決めたかと思えば、31分にはジェネがエリア内でガランに倒されてPKをゲット。 それもマタが沈め、30歳で初めてプレーするリーガ1部でのゴールを13得点に増やすのを見た日にはイアゴ・アスパス(セルタ)が負傷中の今、ルイス・エンリケ監督が今週の金曜、3月のスペイン代表戦用に彼を招集しないなんてありえない? そのまま、こちらもアランバリのペナルティがスルーされたおかげもあって、2-1で逆転勝利したヘタフェは同日、お昼の試合で再び乾貴士選手がゴールを挙げながら、昨季まで当人がいたエイバルと1-1で5位のアラベスが引き分けていたため、勝ち点差を4に拡大。加えて、日曜に試合をする3位の兄貴分マドリーと3差になったとなれば、4月のミニダービーでは「enfrentamiento directo/エンフレンタミエントー・ディレクトー(直接対決)」という単語がメディアに踊るのも夢じゃありませんって。 これまでは1部残留の目標しか口にしなかったボルダラス監督もさすがにこの勝利で勝ち点45になった後は、「Hay que ir partido a partido hasta ver donde somos capaces de llegar/アイ・ケ・イル・パルティードー・ア・パルティードー・アスタ・ベル・ドンデ・ソモス・カパセス・デ・ジェガール(自分たちがどこまで届くか、1試合1試合行くしかない)」と視線が上を向いてくれましたしね。こうなるとますます、この過不足のないチームに柴崎岳選手が入る余地がなくなってしまうのが残念なんですが、さて。 次節はコパ準々決勝2ndで強烈な逆転突破をしてくれたバレンシアに再び、メスタージャでリベンジする機会もありますしね。コリセウムのサポーターたちも再昇格から、たったの2シーズンでかつてシュスター監督も、ラウドルップ監督も、ミチェル監督も成し遂げられなかった最上のヨーロッパの試合を来季、目の前で楽しめるんじゃないかとワクワクしている雰囲気がこの日はスタンドから痛いぐらい伝わってきましたよ。 え、でもいくらヘタフェが調子いいからといって、マドリーが弟分に抜かされるなんてことはありえないんじゃないかって? そうですね、翌日のバジャドリー戦が始まるまでは私もそう思っていたんですけどね。先週のアヤックス戦でCL敗退が決まった後、ロッカールームでペレス会長と口論したり、木曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)で選手だけの反省会を開いたり、セッション中にはマルセロとやり合うなど、ここ数日で種々の逸話を残したセルヒオ・ラモスは出場停止。それにも関わらず、自家用車で駆けつけ、ホセ・ソリージャのパルコ(貴賓席)で応援していたという、その試合の前半30分までは、真剣に彼らが2003-04シーズン以来の4位で終わるかもしれない恐怖を感じたファンは少なくなかったかと。 だってえ、前半12分にオドリオソラがオスカル・プラノを倒し、早々に献上したPKこそ、アルカラスが天高く撃ち上げてコトなきを得たものの、15分、19分と続けて、この冬、ヘタフェから移籍したセルジ・グアルディオラにゴールを決められ、VAR判定オフサイドで命拾いしているんですよ。それでもとうとう、26分にはケコのクロスをグアルディオラがゴール前のアヌアルに送り、先制点を奪われてしまったとなれば、どうしたらいいものか。幸い、33分にはGKマシップがCKのクリアに失敗、落ちたボールをいい場所にいたヴァランがゴールにして、同点で折り返したマドリーでしたが、この日はヴィニシウスに加え、ベイルやルーカス・バスケス、カルバハルもケガでおらず。 あまつさえイスコなど、アヤックス戦当日にベンチ外になったことを聞くやいなや、試合前のミーティングをパス、ベルナベウに向かうチームバスにも乗らなかったせいで、ソーラリ監督ともクラブとも完璧に決裂し、ベンチにいたアタッカーは冬に入団したばかりのブライムとRMカスティージャ(マドリーのBチーム)のクリストだけでしたしね。後半は一体、どうなるんだとヤキモキさせられましたが、バジャドリーがまさかの自滅をしてくれるとは! ええ、6分には今度はオスカル・プラノがオドリオソラにペナルティを犯し、ベンゼマのPKで逆転したマドリーは13分にも彼がCKからヘッドで決めてリードを拡大。最後は39分にベンゼマのパスからモドリッチも得点し、1-4と久々に余裕のスコアで勝利したんですが…「Hicimos goles que nos hubieran venido bien en otros partidos/イシモス・ゴーレス・ケ・ノス・ウビエラ・ベニードー・ビエン・エン・オトロス・パルティードス(他の試合で出ればウチにいい結果をもたらしたであろうゴールを挙げた)」というソラーリ監督の言葉を待つまでもなく、後悔先に立たずなのは明白でしたっけ。 実際、このバジャドリー戦では勝っても負けてもソラーリ監督の解任は決まっていたようで、翌月曜午前中の練習では選手たちに別れを告げたと報じられていましたが、まさか夕方のクラブ理事会の直後、午後8時からジダン監督就任プレゼンがベルナベウであるとは! でも大丈夫、この原稿を書きだしていたため、その場に足を運ぶことはできなかった私ですが、本当にいい時代になりましたね。”世界一”のクラブにかつては世界最高の選手とも謳われ、Undecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)、Duodecima(ドゥオデシマ/同12回目)、そしてDecimotercera(デシモテルセーラ/同13回目)をもたらした英雄が8カ月ぶりに戻って来るとなれば、tdp(スペイン国営放送スポーツチャンネル)でもGoal TV(スペイン民放)でも、全国スポーツ紙のサイトでも生中継があるのは当然だった? いやあ、バルサ相手にコパ・デル・レイ準決勝敗退、そしてリーガ・クラシコでも負けて逆転優勝が絶望的に、更に最後の望みだったCLでも敗退した直後、クラブから電話をもらい、一旦断ったジダン監督は2度目の説得で今シーズン終了後のチーム改革を条件に2022年までの契約を結んだようで、その理由は「会長から呼ばれたから戻った。Como quiero al presidente y al club estoy aquí/コモ・キエロ・アル・プレシデンテ・イ・アル・クルブ・エストイ・アキー(自分は会長とこのクラブが好きだから、ここにいる)」とのこと。 要は愛するクラブの窮状を見かねてといったところでしょうが、不思議ですよねえ。あの穏やかな笑顔で話しているのを見るだけで、ファンがリーガ残り11試合に期待が持てるようになるというのはやっぱり人徳の致すところ? 「チームは変わらないといけないが、それは来季に向けて。今はいい形でシーズンを終えたい」という彼は火曜から、土曜のセルタ戦に備えて練習の指揮を執りますが、これはヘタフェに強敵出現です。もちろん現在、勝ち点5差つけている2位のアトレティコも決して油断できませんが、まずは試合前に世間の注目を奪われてしまった悔しさを火曜のユベントス戦で晴らしてくれるといいのですが。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2019.03.12 15:50 Tue
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明日は我が身とならないように…/原ゆみこのマドリッド

「要は2点差の先勝なんて全然、当てにならないってことじゃない!」そんな不安が私の中に沸き起こったのは水曜日、オールド・トラフォードでのCL16強対決1stレグに0-2と先勝していたPSGがホームでマンチェスター・ユナイテッドに1-3と負け、総合スコア3-3のアウェイゴール差で逆転敗退したのを夜のサッカー番組で知った時のことでした。いやあ、その日は1stレグにホームで2-1と勝っていたローマが延長戦の末、カシージャスとペペ、オリベル・トーレスとアドリアンといったマドリッドの両雄に在籍した選手がいるため、親近感がなくもないポルトにエスタディオ・ド・ドラゴンで3-1を喫し、総合スコア3-4で姿を消すなんてこともあったんですけどね。 それどころか、アウェイで1-2という僅差勝利ながら、格付け的に絶対有利だったお隣さんなど、前日に総本山のサンティアゴ・ベルナベウでアヤックスにまさかの逆転突破を許すという大失態が犯していたとなれば、もしかしてワンダ・メトロポリターノではユベントスに堂々2-0で完勝。クリスチアーノ・ロナウドにいい恰好もさせなかったし、アトレティコには頼りになるGKオブラクもいるため、来週火曜にトリノである2ndレグではそれ程、心配をしなくてもいいだろうという私の見通しはとんでもなく甘いものだった? いえ、その前に先週のコパ準々決勝2nd、リーガとクラシコ(伝統の一戦)連敗のショックから、わずか3日後、レアル・マドリーのCL決勝トーナメント、今季最初で最後となったホームゲームがどんなだったか、お伝えしていかないといけません。うーん、これで3試合連続の満員御礼となったスタンドはやはり、4連覇の懸かった大会とあって、fondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側)に大きな垂れ幕やモザイクが復活していたんですけどね。開始4分、バランのヘッドがゴール枠に弾かれてしまったのがケチのつき始めだったかと。 するとその2分後、タディッチにクロースがボールを奪われ、ナチョも止められずにラストパスがジエィフに。ヨハン・クライフ・スタジアムでもアヤックスの1点を挙げていた彼が先制ゴールを決めてしまったから、驚いたのなんのって。それでもまだ勝っていたマドリーだったため、スタンドも平静を装っていたんですが、18分、またしてもタディッチが今度はネレスにラストパスを供給し、「Nuestra idea era marcar 2 goles/ヌエストラ・イデア・エラ・マルカル・ドス・ゴーレス(ボクらの考えは2ゴールを決めることだった)。あんなに早くできるとは思わなかったけどね」(タグリアフィコ)という、アヤックスの夢想していた通りの展開になるなんて一体、誰に想像できた? そこへ更なる災厄がマドリーを襲い、うーん、ジダン監督の時もロペテギ監督の時も控えが多かったルーカス・バスケスですからね。土曜のバルサ戦ではベンチ待機でお休みをもらっていたものの、今年になってスタメン出場が続いていたのに筋肉が悲鳴を上げたか、29分にはハムストリングの肉離れを起こし、ベイルと交代することに。おまけにその4分後には、「スタートダッシュは相手に勝ったんだけど、タックルからは逃れられなかった」というビニシウスも右足首の靭帯断裂でアセンシオとチェンジ。いやまあ、それでも2014年CLリスボンでの決勝では開始9分でエースのジエゴ・コスタを負傷で失った、どこぞのチームよりすっとましで、何せ今季はBBC(ベイル、ベンゼマ、ロナウドの頭文字)改め、BBA(同ベイル、ベンゼマ、アセンシオ)でシーズンを始めたマドリーですからね。 まだ大丈夫なんじゃないかと思っていたところ、41分にはベイルが得意の左サイドから駆け込んで撃ったシュートまでゴールポストを直撃してしまうとは、あ、これって本当に運が悪いかも。実際、後半も状況は改善せず、17分にはファン・デ・ベークが繋ぎ、それまでアシスト役だったタディッチが3点目のゴールをゲット。しかもその事前のプレーでボールがサイドラインから出ていた疑いがあり、審判がたっぷり4分間程もVAR(ビデオ審判)と連絡を取った挙句、得点を認めるというオチだったとなれば、もう己のツキのなさを恨むしかありませんって。 え、でも25分にはレギロンのパスから、アセンシオが反撃の狼煙となるゴールを挙げ、fondo norte/フォンド・ノルテ(ゴール裏北側)3、4階席で飛び跳ねていたオランダ人たちに圧倒されていた観客もお家芸のremontada(レモンターダ/逆転劇)を期待、ちょっとは盛り上がったんだろうって?まあ、そうなんですが、それから2分も経たない時のことでした。左サイドからシューネが蹴ったFKにGKクルトワの長い手も届かず、アヤックスが4点目を奪ったのは。おかげで後程、ベルナベウの駐車場を出る時には「No paras ni un taxi, vete al Atleti/ノー・パラス・ニ・ウン・タクシー、ベテ・アル・アトレティ(タクシーさえ止められない。アトレティコに行っちまえ)」と心無いマドリーファンから、当人も罵られたりもしていたものの、いや、失点はGKのせいだけじゃないですからね。 結局、その後は「No nos ha alcanzado el esfuerzo que hicimos/ノー・ノス・アルカンサードー・エル・エスフエルソ・ケ・イシモス(ウチの努力が届かなかった)」(ソラリ監督)というマドリーは追加点を挙げることなく、ロスタイムにはファールでイエローカードをもらったナチョが無力感からか、口が滑って即座に2枚目を提示され、退場になってしまったように、その日のマドリーは守備陣を始めとして、何もかもがガタガタ。それこそ、テン・ハグ監督が前日に「セルヒオ・ラモスがいないのは大出血を招く」と言っていた通り、1stレグでの勝利で過信して、累積となるイエローカードゲットでこの試合の出場停止を狙ったことが裏目に出たのは火を見るより明らかだったかと。 うーん、当人には昨季も準々決勝ユベントス戦で0-3と先勝した後、2ndレグで自発的出場停止になった過去が。その時は総合スコアで同点に追い詰められた後半ロスタイム、ルーカス・バスケスがペナルティを受け、ロナウドがPKゴールを決めるまで延長戦突入の危険にあったチームをハラハラしながら、パルコ(貴賓席)で見守っていたはずなんですけどね。まさか、アマゾンで放送するドキュメンタリーの撮影(https://bit.ly/2XIxF4s)予定があったため、その苦い経験を忘れてしまったなんて思いたくはありませんが、まさにこれって、後悔決して先に立たず? それでも1-4で負け、総合スコア3-5でCL敗退が決まった後には、「Claro que echamos en falta a nuestro capitan/クラーロ・ケ・エチャモス・エン・ファルタ・ア・ヌエストロ・カピタン(もちろん、ウチはキャプテンを必要としていた)」と嘆くソラリ監督やチームメートを慰めるためにロッカールームに降り、この失態の責任は選手たちにあると叱責していたペレス会長と鉢合わせ。「夏の間にFWを取ってと言ったはず。自分たちが全部悪い訳じゃない」と反論したところ、放出してやると脅される破目に。「だったら、契約年数分の年棒を払ってくれれば、胸を張って出ていくよ」と、ラモスが啖呵を切ったなんて裏話も翌日には出てきたんですけどね。 とはいえ、残った現実は試合中、誰か落ちる人がいたら怖いなと思う程、力のこもった応援を続け、チームが「サッカーの専門家も誰も信じていなかったが、応援に来た4000人のサポーターと我々だけは信じていた」(テン・ハグ監督)歴史的勝利を挙げた後もずっと、ピッチで喜ぶ選手たちと「Ramos bedankt!(ラモス、ありがとう)」と歌いながら、お祝いをしているアヤックスファンの声が響く中、マイクの前でカルバハルが「Llevamos una temporada de mierda/ジェバモス・ウナ・テンポラーダ・デ・ミエルダ(ボクらは最悪のシーズンを送っている)」と吐き捨てていた通り、この1週間でコパもリーガも最後の命綱、CL優勝の目も失ってしまったという辛いもの。 ミックスゾーンに現れたルーカス・バスケスも「この状態を受け入れるのは難しいけど、vamos a acabar la temporada de la mejor manera posible/バモス・ア・アカバル・ラ・テンポラーダ・デ・ラ・メホール・マネラ・ポシーブレ(今季をできるだけいい形で終えたい)」と言っていましたが、いやあ久々ですねえ。マドリーのヨーロッパの試合が3月に終わってしまうなんてことは。それこそ2005年から2010年の6年間はずっと、16強敗退が続いていたため、私もそんなものかと思っていたんですけどね。その後のモウリーニョ監督時代は3年連続準決勝進出、続く5年間では4度の優勝とCLを長い期間、楽しむことができていたため、この先、ベルナベウでリーガしか見られない2カ月以上をどう過ごしたら、いいものやら。 そのリーガも首位バルサと勝ち点差12となり、逆転優勝と言うのもおこがましくなってしまったため、世間ではお決まりの次期監督候補の名前が次々と飛び交う始末。どうやら木曜の朝はジダン監督再招聘案が有力だったようですが、夜にはテレ・マドリッド(ローカルTV局)がソラリ監督即時解任、モウリーニョ監督の復帰がほぼ確定と断言するまでになっていましたが、こればっかりはねえ。 とにかく今の彼らにできることは、他局がソラリ監督にとって、最後の試合になるだろうと言っている週末日曜、午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのバジャドリー戦でこのビッグウィーク全敗の悪いイメージを払拭することぐらいですが、恐れていた通り、ビニシウスは全治2カ月、ルーカス・バスケスも1カ月の重傷。おまけに翌日にはカルバハルまで右太もも肉離れを起こしていたことが発覚し、ベイルもアヤックス戦の終盤に足首を痛めていたとなれば…クロース、カセミロ、モドリッチも疲労困憊していますし、これまであまり出番のなかったイスコやマリアーノ、セバージョスといった選手たちに期待するしかありませんかね。 そして目標が来季のCL出場圏獲得だけになってしまったマドリーが今後、気に懸けないといけないライバルの1つ、現在、勝ち点差6で栄えある4位に鎮座している弟分のヘタフェはこの土曜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスに最下位のウエスカを迎えるんですが、実は彼らがこんな高みいるのには訳があって、2月にコパ準々決勝2ndでバレンシアに手痛い後半ロスタイムの逆転敗退を喰らって以来、リーガ5試合で黒星がないんですよ。おまけにホルヘ・モリーナとマタの両エースが絶好調で、失点も兄貴分のアトレティコに次ぎ、リーガで2番目に少ないとなれば、前節はセビージャに2-1で勝利。19位との差を勝ち点1に、残留ラインの17位セルタとも勝ち点差3に詰め、勢いに乗っているウエスカとはいえ、勝つのは至難の技かと。 それはすでに週明けにはミチェル監督を解任と報じられた、マドリッド勢唯一の降格圏在住者、19位のラージョのためにもなるため、喜ばしいことですが、何せ彼ら自身は土曜にカンプ・ノウでのバルサ戦ですからね。とにかく先日のジローナ戦を見る限り、私もあまり楽観的なことは言えないんですが、そこは9試合連続白星なしの後、いきなりベルナベウでマドリーに勝ってしまったジローナみたいな例もなきにしろあらず。まだ12試合もあるんですから、希望を失ってはいけませんよ。 そして土曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)にワンダにレガネスを迎えてミニダービーに挑むアトレティコはいうと、いやあ、また週1試合ペースに戻ってしまいましたからね。毎日、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で汗を流しているんですが、時間があるのをいいことに、シメオネ監督はリーガ用と来週火曜のCL用の2種類のスタメンを用意しているよう。まず、レガネス戦では前節退場したコケと累積警告のゴディンが出られないのは仕方ないんですが、中盤にロドリゴ、トマス、ビトロ、コレアを配置。前線も足の付け根を痛めたジエゴ・コスタがまだのため,グリーズマンとコンビを組むのはカリニッチにして、3月の各国代表戦後まで戻れないヒザを痛めたリュカ、前節ふくらはぎを痛めたフィリペ・ルイスら負傷者で欠員となる左SBにはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のソラーノを当てる予定だとか。 翻って、ユベントス戦1stレグでの品のないポーズにも関わらず、幸いUEFAからの処分が罰金2万ユーロ(約250万円)のみに留まり、トリノでもベンチに入れることになったシメオネ監督は、そちらで出場停止のトマスをコケ、同ジエゴ・コスタをモラタで補うんですが、この大一番の左SBはファンフランに任せるよう。うーん、最近、ケガばかりしているフィリペ・ルイス同様、今季で契約が切れる30代の彼ですが、こちらはすでに1年延長のオファーが届いたみたいですしね。そのポジションにあまり馴染めず、文句を言っていたサウールにシーズン終了後売却の噂が出ているのを見てもやっぱり、黙って仕事をする選手には報いがあるってことでしょうか。 一方、前節レバンテ戦の勝利で11位、ヨーロッパリーグ出場圏の6位までも勝ち点差4と着々と上昇しているレガネスは今回、主力に欠場者が多数出る見込み。ええ、累積警告での出場停止がオスカル、レシオ、シオバス、GKクェジェルと4人もいる上、キャプテンのブスティンサ、ジョナタン・シウバがケガでプレーできないからですが、心強いのは大型FWエン・ネシリの復帰かと。うーん、水曜の練習でアトレティコはユーベ戦に備えて、ハイボールのクリアを集中的に練習していたとスポーツ紙で読んだんですが、これはレガネス戦にも有効ですからね。何はともあれ、春の到来を前にマドリッドから全てのCLがなくなってしまわないよう、ケガ人を出すことなく、尚且つ首位との距離を現在の勝ち点差7以上、離されないように終えてもらえるといいんですが。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2019.03.08 20:05 Fri
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宿敵に2連敗とはいただけない…/原ゆみこのマドリッド

「ようやく違うチームが見られる」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、お昼のニュースでアヤックスがバラハス空港に着く映像が流れた時のことでした。いやあ、先週はサンティアゴ・ベルナベウで2度もクラシコ(伝統の一戦)があり、不幸なことにどちらもロッカールームで勝利を祝うバルサの選手たちの姿をSNSで拝まされることになったんですけどね(https://bit.ly/2GZFTA3、https://bit.ly/2VzTyAR)。しかもご丁寧に土曜のインスタ投稿には「Deja vu. Os aseguramos que no es el mismo video del miercoles/デジャ・ブ。オス・アセグラモス・ケ・ノー・エス・エル・ミスモ・ビデオ・デル・ミエルコレス(デジャブ。水曜と同じビデオでないことは保証するよ)」という嫌味なコメントまで添えられていたとなれば、悔しく感じないマドリーファンなどいない? え、おかげでコパ・デル・レイは準決勝敗退、リーガ逆転優勝も絶望的になったとはいえ、まだCLがあるだけマシなんじゃないかって? まあ、確かにマドリーがここ3連覇しているヨーロッパ最高峰の大会はまだ16強対決。同国勢のカードはこの段階では排除されているため、バルサと当たることはないですし、オランダのチームには2月中旬の1stレグで1-2と勝ち越し、アウェイゴールの優位も保って、この火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からの2ndレグに挑めるのはいいんですよ。とはいえ、無事に勝ち抜けても、来週水曜に1stレグで0-0だったオリンピック・リヨンをバルサがカンプ・ノウで倒したら、準々決勝で再びクラシコという可能性もありますからね。 その際、今季はリーガとコパ合わせて4回の対戦で合計2-10と圧倒的にゴール数で負け、しかもその10点中、皮肉にもメッシが決めたものが1つもないという相手にマドリーがリベンジできるかは甚だ、心もとないものがある訳で…いえ、このアヤックス戦には1stレグで累積警告になるよう、わざとイエローカードをもらったとUEFAに判断され、2試合の出場停止を課されたセルヒオ・ラモスが出られませんし、クラシコ2連戦で溜まった選手たちの疲れもあるため、まずは準々決勝進出をしっかり決めることが最優先。それより今は先週末のリーガの様子をお話することにすると。 金曜にトップバッターを飾ったのはマドリッド勢5チーム中、唯一降格圏で残留を争っているラージョだったんですが、どうやら非常にまずい状況に突入してしまったよう。というのも、リーガ平日開催試合に反対する多くのファンがエスタディオ・バジェカスでもキックオフから5分経つまでスタンドに姿を現さず。その後はほぼ、座席が埋まったため、選手たちが心細さを感じたということはなかったと思いますが、ここ4試合黒星が続いているせいですかね。攻撃を組み立てるということがほとんどできなくなっていたから、ビックリしたの何のって。 その傾向には前半29分、CKからのボールをクリアできず、ストゥアーニがゴール前からシュートを決めてジローナが先制するとますます拍車がかかり、更に後半14分にはウルグアイ人エースの突進をファールで止めたCBアブドゥラエ・バがレッドカードで一発退場となったのも痛かったんですけどね。おかげでミチェル監督が「un equipo mucho mas vertical y tener la iniciativa en el juego/ウン・エキポ・ムーチョ・マス・ベルティカル・イ・テネール・ラ・インイシアティバ・エン・エル・フエゴ(縦方向にもっと動いてゲームの主導権を握れるチーム)」を目指して5人DF制から、その日はDFを4人に代えるリフレッシュ策も無に帰すことに。 以降、パスルートが見つからず、CBまでがボールを持つとドリブル突破を試みて自滅という繰り返しだったラージョは残り5分、今度はポロのクロスをストゥアーニにヘッドで決められ、止めを刺されてしまったから、もうどうしたらいいものやら。結局、0-2で負けて5連敗となってしまった彼らでしたが、救いは17位の残留ラインを決める位置にいるセルタも翌日エイバルに負け、差が勝ち点2のままだったこと。うーん、土曜の次節ではカンプ・ノウにバルサを訪ねないといけませんしね。同じく降格圏にいるビジャレアルと戦う17日の試合からでもいいので、とにかくこの悪い流れを断ち切れるといいのですが。 そして土曜の夜にはサンティアゴ・ベルナベウに足を運んだ私でしたが、やはり3日前のコパで0-3と叩きのめされたせいでしょうか。この日はfondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)のクラブ公認応援団も大掛かりな垂れ幕を用意することはなく、選手入場時の盛り上がり方も抑え気味で始まったクラシコでしたが、まあそれで正解だったかと。だって、マドリーは前半26分にセルジ・ロベルトのパスに反応したラキティッチにラモスが裏を取られ、そこから決まった1点を最後まで返せなかったんですよ。 いえ、もちろんソラーリ監督もコパ2ndレグの後、「決定力は練習、そして試合で磨いていくもの」という言葉通り、昨日の今日でいきなり18才のヴィニシウスがゴールを入れまくる選手になれないのは当然なんですけどね。それどころか、先日は前半沢山、相手にチャンスを作られたバルベルデ監督の戦術が見事に当たり、左SBをセメドではなく、セルジ・ロベルトに変更。ラキティッチやピケ、ラングレにカバーを徹底させ、ドリブル突破さえ、ほとんどさせてもらえず、GKテア・シュテーゲンの手を煩わせたのも1回程度となれば、他に輝く選手のいない今、マドリーに成す術はありませんって。 それでも前半はメッシのvaselina(バセリーナ/ループシュート)が外れたり、ルイス・スアレスとメッシのダブルチャンスをGKクルトワが懸命に弾いたりしてくれたおかげでそれ以上の失点はなかったんですが、ハーフタイム間際、ラモスが空中戦でメッシの顔を腕で払った際には先日のジローナ戦、イエローカード2枚で退場になり、次節出場停止処分になった上、累積警告リーチのままの二の舞を恐れたファンも多かったのでは? 幸いここはマジェンコ主審とマテウ・ラオスVAR(ビデオ審判)担当がスルーしてくれましたが、後々、ミックスゾーンでレッドカードに相当しないかと訊かれたピケに「マドリーには25メートルの距離があっても敵を蹴った音が聞こえる選手がいるみたいだけど(カルバハルがレバンテ戦でドゥクレの足がカゼミロをかすってペナルティを取られたプレーについてコメント)、自分は50メートル離れたところにいたから、見ることはできなかった」と揚げ足を取る機会を与えてしまったのは如何かと。 まあ、どちらにしろ、ラモスは後半にイエローカードをもらい、CL戦に続き、日曜のバジャドリー戦も出場停止になったんですが、それより困ったのはマドリーにはゴールを入れてくれる選手がいないことの方。ええ、この日はルーカス・バスケスが控えとなり、スタメンに抜擢されたベイルも後半にはスタンドのpito(ピト/ブーイング)を浴びてアセンシオと交代する始末ですし、かといって、そのアセンシオにも冴えがまったく見られず。 ベンゼマも以前のゴールと縁のない状態に戻ってしまったみたいですしね。クリスティアーノ・ロナウド退団後の得点不足を少しでも補うべく獲ったマリアーノなどスタンド観戦、最後にソラーリ監督が意外性に期待して、投入してみたイスコもやっぱりの出来では…「Hemos sido superiores y no fue nuestro mejor partido/エモス・シードー・スペリオーレス・イ・ノー・フエ・ヌエストロ・メホール・パルティードー(ウチの最高の試合ではなかったけど、ボクらの方が上だった)」(ブスケッツ)バルサにそのまま0-1で負けてしまったのも仕方なかったかと。 うーん、試合後には「Para ganar los partidos hay que marcar gol/パラ・ガナール・ロス・パルティードス・アイ・ケ・マルカル・ゴル(試合に勝つにはゴールを入れないといけないんだよ)」(クルトワ)、「Tuvimos ocasiones, pero cuando careces de gol se te van las cosas/トゥビモス・オカシオネス、ペロ・クアンドー・カレセス・デ・ゴル・セ・テ・バン・ラス・コーサス(ウチにはチャンスがあったけど、ゴールが足りないとコトを逃してしまう)」(ラモス)と、マドリー勢からは点が取れない嘆きが次々と聞こえてきたんですが、そういう悲哀をアトレティコではなく、あの伝統的にgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)体質のお隣さんが味わう日が来るとはまったく、時代も変わったもの。 そこへわざわざ、「Practicamente renunciamos a la Liga, hay que ser realistas/プラクティカメンテ・レヌンシアモス・ア・ラ・リーガ、アイ・ケ・セル・レアリスタス(実質的にリーガ優勝は諦めた。リアリストにならないとね)」(カルバハル)という言葉で白旗宣言をされては、いえ、残り12試合で直接対決なしの勝ち点差12となれば、確かに正論ですけどね。一応、ソラーリ監督のように「ウチは最後まで戦う」と決まり文句を言うのが”世界一のクラブ”としての矜持かと思いますが、これじゃ本当に今季の残りが思いやられますって。 もうこうなると、火曜のアヤックス戦にはマドリー伝統のCL魔力が働いてくれることを祈るしかありませんが、何せFW陣だけでなく、元マドリー監督のシュスター氏に「ディーゼル自動車のようだ」と言われたクロースやカゼミロも調子が悪いですからね。気楽な格下相手の16強対決から、いきなり今季唯一、タイトル獲得の可能性が残った大会の絶対に落とせない試合にシフトした大一番を前にチームも珍しく前日夜から、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場併設の施設で合宿に入りましたが、さて。1stレグではアヤックスもシュート精度が悪いだけでよく攻めていたため、何かちょっと怖い気がしますよね。 そして日曜にはまず、ヘタフェがベニト・ビジャマリンでベティスを圧倒。前半にCKからポルティージョが繋いでカブレラのヘッドで先制すると、ハーフタイム間際にもホルヘ・モリーナからマタという黄金コンビの連携で2点目を挙げ、後半はホアキンに1点を許したものの、1-2で勝利を掴むことに。速攻で前日、乾貴士選手の移籍後初ゴールでビジャレアル戦に勝利したアラベスから、見事4位の座を奪い返していたから、彼らの勢いには感心するばかりだったかと。 ただ、ちょっと怖いのはこれで勝ち点42と残留確定の目標をほぼ達成したヘタフェがこの先も気を抜かないでいられるかどうか。ええ、7、8年前、ルイス・ガルシア監督(アラブ首長国連邦や中国でクラブ監督を務めた後、この冬、9試合ビジャレアルを率いた)の頃には”ユーロヘタ”ともてはやされながら、シーズン終盤にグダグダになってしまった悪い前例がありますからね。ボルダラス監督がその辺、どう手綱を取っていくのか気になりますが、とりあえずは今週土曜のウエスカ戦から、お手並み拝見といきますか。 一方、首位バルサと勝ち点差10となったアトレティコはアノエタでレアル・ソシエダ戦だったんですが、いやあ、助かりました。ジエゴ・コスタとカリニッチがケガで遠征に参加していなかったものの、この日はモラタがとうとう本領を発揮。前半15分過ぎに続けて絶好機に失敗した時にはどうなるかと思ったんですけどねえ。27分にはレマルのCKをゴディンが繋いだ後、ヘッドで先制点を決めると、その5分後にもコケのFKを頭で叩き込み、さくさくと2点差にしてくれたとなれば、もう大船に乗った気でいていい? 実際、後半もGKオブラクがメリノのヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)したぐらいで、ウィリアム・ホセの序盤負傷交代が響いた相手はサンドロが狙いの定まらないシュートで脅かしてきたぐらい。そのまま0-2で勝利したんですが、1つだけ、文句があったとすれば、コケが後半17分、すでにテオへのファールでイエローカードをもらいながら、またしてもタイミングの遅れたタックルでサルドゥアを倒し、2枚目をもらって退場してしまったことだったかと。いえ、土曜にワンダ・メトロポリターノでレガネスとのミニダービーを終えた後、アトレティコには来週火曜にCLユベントス戦2ndレグが控えているため、その前に休みが取れて良かったと思えばいいのかもしれませんけどね。 今やリーガで唯一、勝ち点差7で首位バルサに追いつく望みをかすかにでも持っているのが彼らだけとなった今の状況では、軽率のそしりは免れないかと。ちなみに後半頭から、アリアスと代わったフィリペ・ルイスは左ふくらはぎの負傷で、何せこちらはちょっと前までも右ハムストリングのケガで長く休んでいましたしね。リュカもヒザのリハビリに時間がかかっているため、ユベントス戦に向けてちょっと不安ですが、それでも一時期に比べたら、負傷者は激減。ファンフランも左SBにだんだん慣れてきたため、何とかなってくれるといいのですが。 そして月曜にブタルケにレバンテを迎えた弟分レガネスは前半14分にカウンターから、オスカルが決めたゴールを最後まで守り切り、1-0で勝利。このところ、成長著しいエン・ネシリが出場停止でありながら、同じ勝ち点だったレバンテに3差をつけて、11位まで上がってくれとなれば、次は兄貴分のアトレティコに歯が立たなくてもそれ程、傷つかない? まあそれは冗談ですが、これでいよいよレガネスも勝ち点33と、あと3勝もすれば残留確定ゾーン入りとなれば、やっぱりラージョだけが足並みを揃えられないが悩みの種ですよね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2019.03.05 11:40 Tue
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