【原ゆみこのマドリッド】最悪の年末になった…
2017.12.24 17:15 Sun
▽「どちらの方がより不幸なクリスマスかしら」そんな風に私が考え込んでいたのは土曜日、リーガ17節の試合全てが終わり、2017年の最後の順位表が確定した時のことでした。いやあ、もう自分の最低気分はアトレティコが負けた前夜から始まったんですが、そこはお隣さんのよしみ。せめてクラシコ(伝統の一戦)でレアル・マドリーが首位バルサに勝ってくれれば、勝ち点差は6のままでしたからね。それがあろうことか、サンティアゴ・ベルナベウでの試合でも大きく裏切られてしまうとは!
▽だってえ、宿敵に0-3と完敗し、消化試合は1つ少ないものの、勝ち点差は14。マドリーの今季リーガは終わったとマスコミが口を揃えて言うのも当然なんですが、誰も気にせずともアトレティコだって、9ポイントに差が拡大してしまったんですよ。今の時期から、ここまでの数字を引っくり返して逆転優勝したチームは皆無のはずですし、元々、執念のremontada(レモンターダ/逆転優勝)などとは縁のないチームですからね。ただ、1つ救われるのはエスパニョール戦の後、シメオネ監督も「Yo iba a ver el Valencia-Villarreal/ジョー・イバ・ア・ベル・エル・バレンシア・ビジャレアル(私はバレンシアvsビジャレアル戦を見るつもりだった)」と言っていたように、アトレティコのマストは3位以上でのCL出場権獲得。
▽日曜のクラシコの後、ビジャレアルが0-1で勝ったため、バレンシアに2位の座を奪われず、その点に関してはラッキーだったんですが、逆に不憫が募るのは「El Madrid nunca se rinde, pase lo que pase/エル・マドリッド・ヌンカ・セ・リンデ・パセ・ロ・ケ・パセ(マドリーは何が起きても諦めたりしない)」(ジダン監督)と弱音を吐けないマドリーかと。いやあ、正直言うと、現在4位の彼らは5位のセビージャとたったの勝ち点差2で、むしろCL出場圏死守を目標にしてもいいぐらいの苦境のはずなんですけどね。いくら今季のCL優勝で来季のCLグループリーグ直接出場権ゲットという切り札があるとはいえ、そこはヨーロッパリーグ優勝で同じ権利が手に入るアトレティコと同じですから、当面はこれ以上、順位を落とさないことから始めないといけないと思うんですが…。
▽まあ、その辺はともかく、クリスマスのparon(パロン/リーガ停止期間のこと)に私も入る前に今節のマドリッド両雄の試合ぶりをお伝えしておかないと。すでにレガネス、ヘタフェの弟分チームたちがバケーション入りしていた金曜、ここ1年、アウェイゲームで負けてないのに選手たちもファンも油断していまいましたかね。バルセロナに当日移動してRCDEスタジアムに乗り込んだアトレティコでしたが、ほとんどチャンスも作らず、前半は0-0で終了というのはよくあること。よって、まだ私の中でもアラームは鳴っていなかったんですが、よくよく考えれば、予兆はあって、自陣でのボールロストからフリーのレオ・バチストンがvaselina(バセリーナ/ループシュート)、驚くほど見事に外してくれた時など、「だからアトレティコには1年しかいられなかったんだろうか」なんて呑気にしている場合ではなかったかも。
▽そう、後半はいつもの通り、トマスをコレアに代えて得点を目指した彼らだったんですが、残念ながらコケのクロスをゴディンがヘッドで決めたゴールはファールで認められず。更にフェルナンド・トーレスと交代したガメイロが撃ったシュートはGKパウの正面という、ありがちな失敗を繰り返しているうちに試合も終盤に。まさに「El que tuviera la ocasión y la metiera parecía que se iba a llevar el partido/エル・ケ・トゥビエラ・ラ・オカシオン・イ・ラ・メティエラ・パレシア・ケ・セ・イバ・ア・ジェバール・エル・パルティードー(チャンスがあって、それを決めたチームが試合をモノにしそうに見えた)」(シメオネ監督)という展開になっていたんですが、ここ2試合、ベティス、アラベス戦と、ひどいサッカーをしながらもワンチャンスの1点で勝ってきたアトレティコとあって、私も最後まで希望を捨てることはなかったものの…。
▽実際のところ、コケも「Es un paso atrás no sumar/エス・ウン・パソ・アトレアス・ノー・スマール(勝ち点を稼げなかったのは一歩後退だ)」と言っていた通り、それこそ翌日にはクラシコがあることを知りながら、負けてしまうのは情けない限りなんですが、思い返してみれば、誰もが期待している試合で玉砕するのはアトレティコの伝統のようなもの。ここ数年はあまりなかったんですが、いくらクヨクヨしたとて、首位との差が縮まる訳ではないですし、これでクリスマス休暇入りともなれば、もう「desconectaremos y ya está/デスコネクタレモス・イ・ジャー・エスタ(気分転換をしてそれでお終い)」(コケ)にするしかないかと。ええ、年明けからはFIFA処分が解けて、いよいよジエゴ・コスタも出場できますしね。1月3日のコパ・デル・レイ32強対決ジェイダ゛(2部B)戦1stレグからはきっと、全然違う、もっと強いアトレティコが見られるはずですよ。
▽そして日曜日、アジアンゴールデンタイムを意識して午後1時という早い時間に初めて開催されたクラシコの方はというと。マドリーのクラブW杯優勝を称えるためのpasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)はなかったものの、キックオフ前にはキャプテンのセルヒオ・ラモスが2017年5コ目となるトロフィーをfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に大きな垂れ幕が広がる中、場内を満員にしたファンに披露。世界チャンピオンの貫録を示して、序盤はそれこそ押し気味に試合を進めていた彼らだったんですけどね。
▽残念ながら、それが得点に結びつかなかったのはクリスチアーノ・ロナウドがベンゼマのラストパスを信じられないことに空振りしてしまったり、ベンゼマの方も方でまたしてもヘッドをゴールポストに当ててしまったりしたせいですが、幸い相手も前半はメッシがあまり動かず。それが「Con Isco no puedes buscar anular a Messi, con Mateo sí/コン・イスコ・ノー・プエデン・ブスカール・アヌラール・ア・メッシ、コン・マテオ・シー(イスコでメッシを無力化することはできないが、マテオならできる)」(セルヒオ・ラモス)というように、ジダン監督が大方の予想に反して、イスコではなく、コバチッチを先発させたおかげがどうかはわからないものの、こちらも0-0のまま、ハーフタイムを迎えます。
▽ただ後半は大きく違って、うーん、まさかそれこそ、コバチッチがメッシ一筋だったことが仇となるんですから、サッカーとは恐ろしい。悲劇が起ったのは9分、自陣からカウンターを開始したバルサはラキティッチがドリブルでピッチ中央をGKケイロル・ナバスの守るゴールに向かって真っしぐら。エリア前でセルジ・ロベルトに繋ぐと、フリーで反対側に入ったルイス・スアレスにボールが渡り、先制点を奪われてしまったから、さあ大変!更に悪いことは続いて、このままではいけないと、ジダン監督もベイルとアセンシオを入れるべく、ピッチ脇で待機させていたところ…。
▽折しも再び、ルイス・スアレスがシュート。今度はナバスが弾いたものの、回りまわって、ゴールポストに当たって返ってきたボールをパウリーニョがヘッドしたところ、カルバハルが手で弾くって、いやあなた、フィールドプレーヤーでしょ。当然、ハンドによるペナルティを取られ、レッドカードも出されてしまったため、メッシがPKを決めた後はアップもしていなかったナチョがピッチへ。うーん、確かに「Piensas en unos cambios te meten el segundo con expulsion/ピエンサス・エン・ウノス・カンビオス・テ・メテン・エル・セグンド・コン・エクスプルシオン(交代を考えている時に退場と一緒に2点目を取られる)。こうなるともう別の試合だ」と、ジダン監督が嘆いていた通りではあるんですけどね。
▽そこは奇跡のレモンターダ(逆転劇)がウリのマドリー。たとえ、交代枠オーバーでイスコの出番がなくなろうと、10人であろうと、終盤にはドラマがあるはずと誰もが期待していたんですが…最後はロスタイム、右サイドでボールを取り返したメッシがその時、右のサッカーシューズが脱げてしまったのも何のその、素知らぬ顔でエリア内奥まで行くと、折り返しのキラーパス。それを時間稼ぎでセルジ・ロベルトから代わったばかりのアレイチェ・ビダルに撃ち込まれ、ナバスの手を逃れたボールが3点目になってしまうんですから、もう処置なしです。
▽え、本音のところ、先週はアブ・ダビでアル・ジャジーラとグレミオを破り、世界の頂点に立ったものの、スコアはそれ程、景気のいいものではなし。自分もマドリーの調子自体はあまり良くない気がしていたんじゃないかって?まあ、そうなんですが、マルセロも「Os tenemos muy mal acostumbrados y pensáis que tenemos que ganar siempre/オス・テネモス・ムイ・マル・アコストゥンブラドス・イ・ペンサイス・ケ・テネモス・ケ・ガナール・シエンプレ(凄く悪い習慣で皆、常にウチが勝たないといけないと思っている)」とミックスゾーンで開き直っていたように、夏にはスペイン・スーパーカップの2試合に連勝して、圧倒的な実力差を示していた彼らですからね。本気になれば、勝てないことはないだろうと、私も希望的観測をしていたんですが、現実は何ともシビア。
▽こうも圧勝されては、いくら試合後、ルイス・スアレスへcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らわせながら、ここ10試合目のクラシコで4回目の退場は免れたものの、フェルナンド・イエロを抜いて、イエローカードが最も多い選手となってしまったラモスが、「Nuestra historia y nuestro escudo nos obliga a luchar hasta el final/ヌエストラ・イストリア・イ・ヌエストロ・エスクード・ノス・オブリガ・ア・ルチャール・アスタ・エル・フィナル(このクラブの歴史、ボクらの紋章が最後まで戦うことを義務付けている)。可能性がある限り、マドリーは戦うよ。それがウチのDNAだ」と言っていたとはいえ、未消化分を除いても勝ち点差は11。これってマドリーが残り全勝しても、バルサが4試合負けないと逆転できないってことですからねえ。
▽一体、どうしたらそんなことが起こるのか、私にもわかりかねますが、何せ、まだバルサと五分条件のCL決勝トーナメントは2月後半まで始まらず。その前の1月、4日のヌマンシア(2部)戦1stレグから、コパの戦いもあるマドリーとはいえ、このままじゃリーガは盛り下がってしまうばかりかと。とりあえず、29日までバケーションを取り、30日にはアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムでの公開練習でバルデベバス(バラハス空港の近く)に戻って来る彼らですが、できればフロントもこの間に状況をよく分析して、必要なら1月の市場でFWなり何なり補強。年明けのリーガでは熾烈なCL出場圏争いを繰り広げてファンを楽しませてもらいたいものですが…いや、やっぱりそこに興味が行くのはアトレティコファンだけかもしれませんね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
▽だってえ、宿敵に0-3と完敗し、消化試合は1つ少ないものの、勝ち点差は14。マドリーの今季リーガは終わったとマスコミが口を揃えて言うのも当然なんですが、誰も気にせずともアトレティコだって、9ポイントに差が拡大してしまったんですよ。今の時期から、ここまでの数字を引っくり返して逆転優勝したチームは皆無のはずですし、元々、執念のremontada(レモンターダ/逆転優勝)などとは縁のないチームですからね。ただ、1つ救われるのはエスパニョール戦の後、シメオネ監督も「Yo iba a ver el Valencia-Villarreal/ジョー・イバ・ア・ベル・エル・バレンシア・ビジャレアル(私はバレンシアvsビジャレアル戦を見るつもりだった)」と言っていたように、アトレティコのマストは3位以上でのCL出場権獲得。
▽まあ、その辺はともかく、クリスマスのparon(パロン/リーガ停止期間のこと)に私も入る前に今節のマドリッド両雄の試合ぶりをお伝えしておかないと。すでにレガネス、ヘタフェの弟分チームたちがバケーション入りしていた金曜、ここ1年、アウェイゲームで負けてないのに選手たちもファンも油断していまいましたかね。バルセロナに当日移動してRCDEスタジアムに乗り込んだアトレティコでしたが、ほとんどチャンスも作らず、前半は0-0で終了というのはよくあること。よって、まだ私の中でもアラームは鳴っていなかったんですが、よくよく考えれば、予兆はあって、自陣でのボールロストからフリーのレオ・バチストンがvaselina(バセリーナ/ループシュート)、驚くほど見事に外してくれた時など、「だからアトレティコには1年しかいられなかったんだろうか」なんて呑気にしている場合ではなかったかも。
▽そう、後半はいつもの通り、トマスをコレアに代えて得点を目指した彼らだったんですが、残念ながらコケのクロスをゴディンがヘッドで決めたゴールはファールで認められず。更にフェルナンド・トーレスと交代したガメイロが撃ったシュートはGKパウの正面という、ありがちな失敗を繰り返しているうちに試合も終盤に。まさに「El que tuviera la ocasión y la metiera parecía que se iba a llevar el partido/エル・ケ・トゥビエラ・ラ・オカシオン・イ・ラ・メティエラ・パレシア・ケ・セ・イバ・ア・ジェバール・エル・パルティードー(チャンスがあって、それを決めたチームが試合をモノにしそうに見えた)」(シメオネ監督)という展開になっていたんですが、ここ2試合、ベティス、アラベス戦と、ひどいサッカーをしながらもワンチャンスの1点で勝ってきたアトレティコとあって、私も最後まで希望を捨てることはなかったものの…。
▽そんな上手い話がいつまでも続く訳ありませんって!後半43分、キッカケは懲りずにコレアが強引に敵の間を抜けようとしてボールを失ったことで、そこからエスパニョールが一気にカウンターをスタート。ピアッティ、グラネロと繋がれ、最後はセルヒオ・ガルシアがエリア内からシュートして、あっという間にゴールが決まるんですから、ショックを受けたの何のって。結局、そのまま1点を返せず、アトレティコは1-0で負けてしまったんですが、いえ、試合後のシメオネ監督は「今季の前半はとても良かった。Ojalá volvamos a perder dentro de 20 partidos/オハラ・ボルバモス・ア・ペルデル・デントロ・デ・ベインテ・パルティードス(また負けるのは20試合後であってほしいね)」と、リーガでのシーズン初黒星がこの日まで来なかったことを評価していたんですけどね。
▽実際のところ、コケも「Es un paso atrás no sumar/エス・ウン・パソ・アトレアス・ノー・スマール(勝ち点を稼げなかったのは一歩後退だ)」と言っていた通り、それこそ翌日にはクラシコがあることを知りながら、負けてしまうのは情けない限りなんですが、思い返してみれば、誰もが期待している試合で玉砕するのはアトレティコの伝統のようなもの。ここ数年はあまりなかったんですが、いくらクヨクヨしたとて、首位との差が縮まる訳ではないですし、これでクリスマス休暇入りともなれば、もう「desconectaremos y ya está/デスコネクタレモス・イ・ジャー・エスタ(気分転換をしてそれでお終い)」(コケ)にするしかないかと。ええ、年明けからはFIFA処分が解けて、いよいよジエゴ・コスタも出場できますしね。1月3日のコパ・デル・レイ32強対決ジェイダ゛(2部B)戦1stレグからはきっと、全然違う、もっと強いアトレティコが見られるはずですよ。
▽そして日曜日、アジアンゴールデンタイムを意識して午後1時という早い時間に初めて開催されたクラシコの方はというと。マドリーのクラブW杯優勝を称えるためのpasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)はなかったものの、キックオフ前にはキャプテンのセルヒオ・ラモスが2017年5コ目となるトロフィーをfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に大きな垂れ幕が広がる中、場内を満員にしたファンに披露。世界チャンピオンの貫録を示して、序盤はそれこそ押し気味に試合を進めていた彼らだったんですけどね。
▽残念ながら、それが得点に結びつかなかったのはクリスチアーノ・ロナウドがベンゼマのラストパスを信じられないことに空振りしてしまったり、ベンゼマの方も方でまたしてもヘッドをゴールポストに当ててしまったりしたせいですが、幸い相手も前半はメッシがあまり動かず。それが「Con Isco no puedes buscar anular a Messi, con Mateo sí/コン・イスコ・ノー・プエデン・ブスカール・アヌラール・ア・メッシ、コン・マテオ・シー(イスコでメッシを無力化することはできないが、マテオならできる)」(セルヒオ・ラモス)というように、ジダン監督が大方の予想に反して、イスコではなく、コバチッチを先発させたおかげがどうかはわからないものの、こちらも0-0のまま、ハーフタイムを迎えます。
▽ただ後半は大きく違って、うーん、まさかそれこそ、コバチッチがメッシ一筋だったことが仇となるんですから、サッカーとは恐ろしい。悲劇が起ったのは9分、自陣からカウンターを開始したバルサはラキティッチがドリブルでピッチ中央をGKケイロル・ナバスの守るゴールに向かって真っしぐら。エリア前でセルジ・ロベルトに繋ぐと、フリーで反対側に入ったルイス・スアレスにボールが渡り、先制点を奪われてしまったから、さあ大変!更に悪いことは続いて、このままではいけないと、ジダン監督もベイルとアセンシオを入れるべく、ピッチ脇で待機させていたところ…。
▽折しも再び、ルイス・スアレスがシュート。今度はナバスが弾いたものの、回りまわって、ゴールポストに当たって返ってきたボールをパウリーニョがヘッドしたところ、カルバハルが手で弾くって、いやあなた、フィールドプレーヤーでしょ。当然、ハンドによるペナルティを取られ、レッドカードも出されてしまったため、メッシがPKを決めた後はアップもしていなかったナチョがピッチへ。うーん、確かに「Piensas en unos cambios te meten el segundo con expulsion/ピエンサス・エン・ウノス・カンビオス・テ・メテン・エル・セグンド・コン・エクスプルシオン(交代を考えている時に退場と一緒に2点目を取られる)。こうなるともう別の試合だ」と、ジダン監督が嘆いていた通りではあるんですけどね。
▽そこは奇跡のレモンターダ(逆転劇)がウリのマドリー。たとえ、交代枠オーバーでイスコの出番がなくなろうと、10人であろうと、終盤にはドラマがあるはずと誰もが期待していたんですが…最後はロスタイム、右サイドでボールを取り返したメッシがその時、右のサッカーシューズが脱げてしまったのも何のその、素知らぬ顔でエリア内奥まで行くと、折り返しのキラーパス。それを時間稼ぎでセルジ・ロベルトから代わったばかりのアレイチェ・ビダルに撃ち込まれ、ナバスの手を逃れたボールが3点目になってしまうんですから、もう処置なしです。
▽え、本音のところ、先週はアブ・ダビでアル・ジャジーラとグレミオを破り、世界の頂点に立ったものの、スコアはそれ程、景気のいいものではなし。自分もマドリーの調子自体はあまり良くない気がしていたんじゃないかって?まあ、そうなんですが、マルセロも「Os tenemos muy mal acostumbrados y pensáis que tenemos que ganar siempre/オス・テネモス・ムイ・マル・アコストゥンブラドス・イ・ペンサイス・ケ・テネモス・ケ・ガナール・シエンプレ(凄く悪い習慣で皆、常にウチが勝たないといけないと思っている)」とミックスゾーンで開き直っていたように、夏にはスペイン・スーパーカップの2試合に連勝して、圧倒的な実力差を示していた彼らですからね。本気になれば、勝てないことはないだろうと、私も希望的観測をしていたんですが、現実は何ともシビア。
▽こうも圧勝されては、いくら試合後、ルイス・スアレスへcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らわせながら、ここ10試合目のクラシコで4回目の退場は免れたものの、フェルナンド・イエロを抜いて、イエローカードが最も多い選手となってしまったラモスが、「Nuestra historia y nuestro escudo nos obliga a luchar hasta el final/ヌエストラ・イストリア・イ・ヌエストロ・エスクード・ノス・オブリガ・ア・ルチャール・アスタ・エル・フィナル(このクラブの歴史、ボクらの紋章が最後まで戦うことを義務付けている)。可能性がある限り、マドリーは戦うよ。それがウチのDNAだ」と言っていたとはいえ、未消化分を除いても勝ち点差は11。これってマドリーが残り全勝しても、バルサが4試合負けないと逆転できないってことですからねえ。
▽一体、どうしたらそんなことが起こるのか、私にもわかりかねますが、何せ、まだバルサと五分条件のCL決勝トーナメントは2月後半まで始まらず。その前の1月、4日のヌマンシア(2部)戦1stレグから、コパの戦いもあるマドリーとはいえ、このままじゃリーガは盛り下がってしまうばかりかと。とりあえず、29日までバケーションを取り、30日にはアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムでの公開練習でバルデベバス(バラハス空港の近く)に戻って来る彼らですが、できればフロントもこの間に状況をよく分析して、必要なら1月の市場でFWなり何なり補強。年明けのリーガでは熾烈なCL出場圏争いを繰り広げてファンを楽しませてもらいたいものですが…いや、やっぱりそこに興味が行くのはアトレティコファンだけかもしれませんね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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