【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】韓国戦で貴重なPKをゲット。数少ないインパクトを残した新スピードスター・伊東純也
2017.12.20 12:00 Wed
▽宿敵・韓国に1-4という信じがたい大差をつけられ、惨敗を喫した16日の2017年東アジアカップ(E-1選手権)最終戦。日本代表の多くが相手の高さや技術に翻弄される中、積極果敢に自分の特徴であるスピードを押し出そうとしたのが、右FWの伊東純也だった。
▽開始早々の2分、右サイドのスローインからFW小林悠、MF土居聖真を経由し、ペナルティエリア内に背番号14が突っ込み、DFチャン・ヒョンスのファウルを誘った。これで得たPKを小林が決める。この日の日本にとってポジティブだった場面はこれくらい。伊東が数少ない希望の星になったのは確かだ。
▽「ボールを受けて仕掛けるって場面を多く作りたかったんですけど、試合展開的に難しくなってしまったのかなと。自分はもっとできると思うし、やれる時間はあるので、それをもっと出せればいいかなと思います」と試合後にも強気の姿勢を垣間見せた。
▽FWキム・シンウクの1点目につながるDFキム・ジンスのクロス対応で後手を踏むなど、守備面では稚拙さを垣間見せたし、後半は右太もも裏の痛みが出て動きが鈍ったが、直面した課題を修正していけば、いずれA代表でも活躍できる存在になりそうだ。
▽そもそも伊東純也は神奈川県横須賀市出身。地元の鴨居サッカークラブから横須賀シーガルズを経て、逗葉高校、神奈川大学へ進んでいる。横須賀シーガルズからは、今季限りでユニフォームを脱いだMF石川直宏が出ているが、速さとドリブル突破を武器とする先輩をさらにスケールアップさせたのが、伊東純也なのかもしれない。
▽転機となったのは、関東大学サッカーリーグ2部を戦った神奈川大学3年の時。得点王とベストイレブンをダブル受賞し、一気に知名度を上げた。4年の時にはアシスト王を手にするなど、攻撃面で非凡な才能を擁していることが実証されたのだ。その伊東に目を付けたのがヴァンフォーレ甲府。2015年のJ1では瞬く間にデビューを果たし、30試合出場4ゴールと大卒新人にしてはまずまずの結果を残す。甲府は現在サンフレッチェ広島にいるMF柏好文(国士舘大)、DF佐々木翔(神奈川大)、MF稲垣祥(日体大)らに象徴される通り、大卒新人の発掘に定評がある。伊東も甲府のお眼鏡に叶ったからこそ、1年でブレイクを果たすことができたのだろう。
▽2016年リオデジャネイロ五輪のメンバーから落選したことも、ハリルホジッチ監督の気持ちを押しとどめる要因になったのかもしれないが、今から振り返ると、もっとA代表に早く呼んでいてもいい存在だったのは確か。MF井手口陽介を初招集した2016年11月のオマーン戦、あるいはその井手口が初キャップを飾った今年6月のシリア戦あたりで彼がチームに加わっていたら、今頃はFW浅野拓磨やFW久保裕也と熾烈なデッドヒートを繰り広げていた可能性も否定できない。
▽「拓磨や裕也…、みんな特徴が違いますけど、自分は監督の求めている裏への動きとか、縦への仕掛けとか出せればいいかなと。拓磨とはタイプが違いますし、もっと仕掛ける部分とかは出せるかなと思います」と本人も強調していたが、同じスピードタイプでも裏へ飛び出すのに長けている浅野とは違う。セカンドトップを本職とする久保と比べてもチャンスメークという意味では伊東が優位かもしれない。もちろん本田圭佑(パチューカ)とは国際経験値で比べるべくもないが、本田にないものを伊東は持っている。そこは自信を持っていい部分。そこを研ぎ澄ませていくことができれば、ロシアの最後の1枠に滑り込む希望も生まれてくる。
▽2006年ドイツワールドカップの時も、国内組の1人としてガムシャラさを前面に押し出していたFW巻誠一郎がジーコ監督の心を動かし、ラスト1枠に食い込んだという好例もある。プロになるまで一度も年代別代表に選ばれたことがなかった伊東なら、誰よりも雑草魂を持ってサッカーに取り組めるはず。そういうタフさと泥臭さを見せてくれれば面白い。さしあたって23日の天皇杯準決勝、横浜F・マリノス戦で、大ベテラン・中澤佑二率いる相手守備陣をきりきり舞いするところをぜひとも見せてほしい。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
▽開始早々の2分、右サイドのスローインからFW小林悠、MF土居聖真を経由し、ペナルティエリア内に背番号14が突っ込み、DFチャン・ヒョンスのファウルを誘った。これで得たPKを小林が決める。この日の日本にとってポジティブだった場面はこれくらい。伊東が数少ない希望の星になったのは確かだ。
▽FWキム・シンウクの1点目につながるDFキム・ジンスのクロス対応で後手を踏むなど、守備面では稚拙さを垣間見せたし、後半は右太もも裏の痛みが出て動きが鈍ったが、直面した課題を修正していけば、いずれA代表でも活躍できる存在になりそうだ。
▽そもそも伊東純也は神奈川県横須賀市出身。地元の鴨居サッカークラブから横須賀シーガルズを経て、逗葉高校、神奈川大学へ進んでいる。横須賀シーガルズからは、今季限りでユニフォームを脱いだMF石川直宏が出ているが、速さとドリブル突破を武器とする先輩をさらにスケールアップさせたのが、伊東純也なのかもしれない。
▽転機となったのは、関東大学サッカーリーグ2部を戦った神奈川大学3年の時。得点王とベストイレブンをダブル受賞し、一気に知名度を上げた。4年の時にはアシスト王を手にするなど、攻撃面で非凡な才能を擁していることが実証されたのだ。その伊東に目を付けたのがヴァンフォーレ甲府。2015年のJ1では瞬く間にデビューを果たし、30試合出場4ゴールと大卒新人にしてはまずまずの結果を残す。甲府は現在サンフレッチェ広島にいるMF柏好文(国士舘大)、DF佐々木翔(神奈川大)、MF稲垣祥(日体大)らに象徴される通り、大卒新人の発掘に定評がある。伊東も甲府のお眼鏡に叶ったからこそ、1年でブレイクを果たすことができたのだろう。
▽翌2016年には柏へ移籍。当初は右サイドバックで起用されていたが、下平隆宏監督就任後は本来の攻撃的な位置を担うようになり、持ち前の仕掛けがより一層光るようになる。彼のスピードできりきり舞いさせられたDFも少なくなく、「ハリルジャパンに伊東純也を呼ぶべき」といった論調も日に日に高まっていった。
▽2016年リオデジャネイロ五輪のメンバーから落選したことも、ハリルホジッチ監督の気持ちを押しとどめる要因になったのかもしれないが、今から振り返ると、もっとA代表に早く呼んでいてもいい存在だったのは確か。MF井手口陽介を初招集した2016年11月のオマーン戦、あるいはその井手口が初キャップを飾った今年6月のシリア戦あたりで彼がチームに加わっていたら、今頃はFW浅野拓磨やFW久保裕也と熾烈なデッドヒートを繰り広げていた可能性も否定できない。
▽「拓磨や裕也…、みんな特徴が違いますけど、自分は監督の求めている裏への動きとか、縦への仕掛けとか出せればいいかなと。拓磨とはタイプが違いますし、もっと仕掛ける部分とかは出せるかなと思います」と本人も強調していたが、同じスピードタイプでも裏へ飛び出すのに長けている浅野とは違う。セカンドトップを本職とする久保と比べてもチャンスメークという意味では伊東が優位かもしれない。もちろん本田圭佑(パチューカ)とは国際経験値で比べるべくもないが、本田にないものを伊東は持っている。そこは自信を持っていい部分。そこを研ぎ澄ませていくことができれば、ロシアの最後の1枠に滑り込む希望も生まれてくる。
▽2006年ドイツワールドカップの時も、国内組の1人としてガムシャラさを前面に押し出していたFW巻誠一郎がジーコ監督の心を動かし、ラスト1枠に食い込んだという好例もある。プロになるまで一度も年代別代表に選ばれたことがなかった伊東なら、誰よりも雑草魂を持ってサッカーに取り組めるはず。そういうタフさと泥臭さを見せてくれれば面白い。さしあたって23日の天皇杯準決勝、横浜F・マリノス戦で、大ベテラン・中澤佑二率いる相手守備陣をきりきり舞いするところをぜひとも見せてほしい。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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